秘封先導鉄   作:”蒼龍”

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こんな真夜中ではありますが、第33話更新です。
タイトルにある様に今回で月ツアーは終了、月の皆さんは暫く出番がなくなります(予定)
では、どうぞ。


第33話「月ツアー終了」

遂にオリオンが勝利を果たし、VIPルームに居たレミリア達は喜び合い、生で試合を見た蓮子(先程まで瞳に宿ってた輝きは消えている)とメリーはその空気に観客としてだが触れ、興奮冷め止まぬ様子だった。

 

「やった、やった、オリオンが勝った〜☆」

 

「ククク、流石我が従者、良くぞあのワールドエンド寸前の状況を覆し、勝利したものよ!」

 

「いや〜、流石に今のファイトはヒヤッとしたぜ………」

 

「ほむ、Gユニットとなり思考のヴァージョンアップを果たしたグレンディオス相手に見事なファイトをしたなと関心が鬼なるがどこもおかしくないな山札の上からΩ呪縛(オメガロック)を仕掛けて来た時にはあまりにも恐ろしすぐるスキルに生まれてから余りビビった事は無かったが思わずさっきのはほんのちょと僅かにビビってしまったんだがナイトはLSメンを最後まで信じていたのでその勝率は0か100かと言ったら100だった。

さすがに紅魔の執事は格が違った!

そしてオリオンだけでなくオーバーロードの強さが圧倒的なオーラとなり見えそうになっていても強気のファイトをしたサグメにはその神秘のベールに包まれた実力のカーテンが開かれ披露宴となり思わず素晴らしいファイトだったすばらしいと褒め称えていた。

そしてオリオンはグレンディオスに勝つ事で新しい時代に一歩踏み出す事となり(ry」

 

「まあ何にせよ、何方も凄いファイトだったわ、敗れた稀神サグメにしろ勝ったオリオンにしろね。

そして、優勝おめでとう」

 

「……凄いファイトだったわね」

 

「ええ……レベルが高過ぎてまだ私達じゃ真似出来ない位ね」

 

その一方でサグメが負けてしまった事でエキスパートカップで月人が地上人一人に全滅し、優勝までされた事に頭を抱えてしまう物の、双方が全力でファイトをした結果でこうなった為余り悔しいとは思わず、寧ろあの実力ならば油断し切った月人を圧倒し、自分達と僅差の試合をしたので優勝は十分可能だと考え、優勝したオリオンとそれと相対しこちらも十分優勝に手が届いてたサグメの両者の健闘を讃えるかの如く短く拍手をする豊姫と依姫。

そしてその従者を抱える『現在のレミリア』にも興味を持ち、何れはファイトをしようと考えですらもいた。

そして東側VIPルームにて、体制派の者達は散々同胞のサグメ達をコケにし、オリオンを見下していたがそのファイトを見て何も言えなくなり口が半開きになり、八意派もサグメが敗北した事にすっかり驚き騒ついていた。

そんな中エルドナーシュは拍手をし、如何にも作り笑いな笑顔を振り撒いていた。

 

「あっはっは、実に素晴らしいファイトだったよ。

サグメ殿のドロートリガー16枚構築にルビジウムによる特殊ガード3回、それに対しチャレンジャーのオリオン氏によるオーバーロードの3回スタンド、何方も決勝として見応えのある物だったよ」

 

「そう言って頂けるなら、幻想郷のヴァンガードファイト普及協会会長としても鼻が高いです」

 

「うんうん、裏表なくそう言える君は好きな部類だよ。

後、其処の仏頂面の君も何だか嬉しそうだねぇ。

出来ればもっと表情豊かに「断る」釣れない人だね」

エルドナーシュの言葉に普及協会会長は頭を下げるも、『シャドウ』は変わらず仏頂面のままオリオン達の方、及び対面側のVIPルームから気配を感じ取り、蓮子やメリー達が其処に居ると分かり、ただただジッと見つめていた。

それを2分間続けていると、何を考えたのか席を立ち、その場を去ろうとする。

「待て、これより表彰式が行われるのだぞ、何処へ行く?」

 

「周りに何か怪しい奴が居ないか見回る、表彰式参加者の警護と言う奴だ」

 

会長の問いに『シャドウ』は見回りと答え退室し、そのままVIPルームに戻る事無く表彰式が終わってしまう。

そしてその表彰式でオリオンがトロフィーを受け取った瞬間、ついつい嬉しさの余りフランが飛び出して抱きついたり、それをレミリアが怒って止めに入ったりのハプニングがあったが、結局蓮子達は『シャドウ』と関わる事無く会場を後にしたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

表彰式が終わってから3時間後、蓮子達は荷物を纏めて地上に帰る途中であった。

そんな中で、メリーは蓮子に起きた現象に何か変な予感……嫌な感覚ではないが、兎も角妙な感覚に襲われ、レミリアの部屋に話があると言って中に入っていた。

 

「して、私に話とは何なのか?」

 

「はい、あの……実は、オリオンさんと初めてあった時、それとオリオンさんとサグメさんの試合中に蓮子の瞳に変な光が見えて、蓮子自身も変なイメージを見たって言ってまして………あの、蓮子に一体何が起きたか分かりますか?」

 

「瞳に妙な光と変わったイメージ………ふむ、成る程な、座ると良い」

 

するとその話を聞いたレミリアは何かを察したらしく、メリー隣に座らせ、自身が予測しオリオンが確定させた事をメリーに話そうと決め、口を開く。

 

「メリー、私はオリオンを貴様や蓮子に会わせた理由は、貴様達が『シャドウ』を名乗る我らの顔見知りに狙われている理由、それも蓮子の方を看破する為だったのは覚えているな?」

 

「はい、覚えてます。

………もしかして、蓮子に起きた現象が、蓮子の中に宿る力なんですか?」

 

「そう、それこそが私達が看破した物、副次効果としてカードの声を聞き、ファイトの流れとデッキの本質を読み、真の力は我らの世界とクレイをシンクロし、両者に影響を与えるクレイの歴史上に現れる先導者が持つ力、名は『PSYクオリア』だ。

この力を利用すれば、クレイの歴史にこちら側から影響を齎す事すら可能であり、PSYクオリアを持つ者は形は違うが『強くなりたい』と言う想いが強くなり、暴走しがちになる少々癖がある力だ」

 

「『PSYクオリア』……そんな力が蓮子に……」

 

メリーはレミリアから、蓮子の持つ力がやや自分とはベクトルが違うが、ヴァンガードに密接に関係しファイトにまで影響を及ぼす力だと知り、もしかしたら悪用されてしまうのではと考え、不安になり始める。

しかし、レミリアはそんなメリーを見て笑みを見せ更に話を続ける。

 

「心配はするな、PSYクオリアと言えど蓮子は目覚めたばかりと見える。

そう、上手くコントロール出来ず発動すらしない場合さえあるな。

それに、貴様達は互いを守り合おうとしている。

その想いさえ忘れなければ悪用されようが必ず宇佐見蓮子はマエリベリー・ハーンの下へ戻り、より強い輝きを手にして親友を守る為の剣となる筈だ。

だからこそ、変に心配して奴を不安がらせるなよ?」

 

「レミリアさん………」

 

レミリアからの励ましを受けてメリーは多少は不安が残るものも、蓮子が気に掛ける程で無く寧ろ逆に元気な部分を見せつけ明るく接しようと心に決め、笑顔をレミリアに見せる。

 

「……ふむ、心配は無さそうだな。

さて、そろそろ帰る支度を済ませるぞ。

でなければあの姉妹が煩いからな」

 

「はい」

 

レミリアに促されたメリーは彼女にお礼として頭を下げ、そのまま部屋から出て自分の部屋にある荷物を纏めて地上の魔理沙の家に帰る準備を進める。

そんな中でメリーは蓮子は私が守ると言う想いを更に固め、今後再び接触して来るであろう『シャドウ』に対しても、目的や魔理沙の幼馴染であろうとちょっかいをかけて来るなら今まで通りに全力で倒そうとも思ったのであった。

 

 

 

 

 

 

それから30分後、蓮子達は全員地上へと豊姫の能力で送られ、更に見送りには豊姫や依姫だけで無く、サグメまで付いて来ていた。

 

「……ふむ、漸く戻って来たぞ我らが紅魔館!

今日は爆発して無くて良かった〜」

 

『……爆発?』

 

「さてお嬢様、早速オリオンと共に館内チェックを行って来ます。

オリオン、貴方は東側」

 

「西は任せた」

 

「んじゃ、闇系の仕事が今からあるからこれで」

 

「じゃあね、またこんなイベントに誘ってよ?」

 

「では皆さん、また明日」

 

そんな会話が流れ、各自が解散していく中で依姫は蓮子、豊姫はメリー、サグメは魔理沙に近付いて来る。

三人は何かと思い立ち止まって依姫達が何の用かと聞き始める。

 

「あの、何ですか?」

 

「ええ蓮子、別れ前に貴女に行って置く事があります。

先ず女の子なんだから髪の毛の手入れはしっかりとなさい、それからもう少し身嗜みにも気を配る事!「あ〜……」

それから………これをあげます」

 

どうやら依姫は蓮子にお節介を焼く為に近付いたらしく、それを聞いて蓮子はいつも以上に身嗜みや髪の毛に気を配らなきゃならないのかと少しゲンナリしていた。

だが依姫の用はそれだけで無く、懐から何かを取り出し蓮子にそれを渡す。

蓮子に渡された物、それは後頭部に結ぶ縫い目入りの大きな赤いリボンだった。

 

「あの、これは?」

 

「貴女は、私が気に掛けてた娘に良く似てるの。

だから、多分これが似合うと思って布を切って作ってみたのよ。

これを結んだら身嗜みの一つを丁寧にやってみなさい」

 

「は、はぁ」

 

魔理沙はそのリボンを見て、それのデザインが自分の親友であった『霊夢』の物と寸分違わない物だと直感で理解し、そのリボンを付けた蓮子の姿を想像する………が、いつもの蓮子では不恰好過ぎて似合わないと言うイメージが浮かび、少しだけ口元を押さえてた。

……しかし、依姫がしっかりと髪の毛をとかした状態の蓮子にリボンを結んでやると、矢張り『霊夢』と重なり何故か懐かしさすら覚えてしまい、更にはまた涙が出掛けるが今回は我慢が効き、涙が頬を伝う事は無かった。

その間に豊姫もメリーと話し始めていた。

 

「メリーさん、大人の私から貴女に少しだけ忠告よ」

 

「忠告ですか?」

 

「ええ………余り、境界や異質な物に近付き過ぎてはダメよ?

貴女には大切な親友が居るのだから彼女を悲しませたり置いてけぼりにしない事よ?」

 

「……勿論、そんな事は絶対にしませんよ」

 

どうやら豊姫の方はメリーに忠告を入れに来ただけらしく、それを聞いたメリーは蓮子が悲しむ事や一人きりにする事は自分がレミリアの前で再確認した事に反すると分かっており、絶対そんな事はしないとキッパリと否定し、豊姫に強い意志を込めた瞳を向ける。

それを見た豊姫は静かに頷き、瞳を閉じたまま笑みを浮かべそのまま下がって行く。

どうやらこの忠告は無意味だったらしい、そんな感じの雰囲気を豊姫は醸し出している。

一方サグメは魔理沙に耳打ちをし、魔理沙はそれを聞いてハッとサグメの方を向き、誰にも聞こえない声で何かを話し、更にサグメが耳打ちをする。

そのサグメもほぼ無表情ではあるが、何かをした様な雰囲気を纏っており、更にスケッチブックには『私は口を使わないコミュニケーションしか回りくどい事が出来ない、だから単刀直入にはっきりと言わせて貰った』と書かれており、それを見た蓮子とメリーは何なのか分かっていなかった。

 

「さて、私達はこれで帰りますね〜」

 

「いつかまた会いましょう。

それからレミリア・スカーレット………いずれファイトをしましょう」

 

「……さらばだ」

 

そして月人三人は用事を済ませた後は直ぐにワープして月に戻って行った。

そんなこんながあったが蓮子とメリー無事に月旅行から戻り、レミリアにしっかりと挨拶をした後は魔理沙の家に戻りデッキの組み直しとテストファイトに勤しみ、仲良く幻想郷生活を送るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オリオン、話がある」

 

それから1時間後、突如として雷雨が降り始め出しメイド達や咲夜等が急いで換気の為に開けた窓を閉じている中、レミリアはオリオンに紅魔館内の廊下の一角で話し掛け、オリオンは何なのかと思い振り向き、少し腰を低くして話す。

 

「何の御用でしょうか、お嬢様?」

 

「ふむ、実はお前の発言で気になった事があってな…………何故、お前は咲夜から聞いた『蓮子のPSYクオリアとの共鳴現象』の部分で言葉を濁した?」

 

「⁉︎

………バレバレでしたかな、あの態度は」

 

レミリアが聞いて来た内容に驚き、またあんな態度をレミリアの前で見せれば何かを隠していると彼女や咲夜にバレるのは明白であった為、溜め息を吐きながらレミリアに視線を向け答え出す。

 

「この事は金か……いや、魔理沙の前では言える筈の無い内容だったので伏せただけです」

 

「ふむ、では今言え。

此処には魔理沙はいない」.

 

更にレミリアは魔理沙が居ない事から伏せた事を話す様にオリオンに要求する。

それを聞いてオリオンは、周りには自分と主人であるレミリア以外は誰も居ない事を確認し、魔理沙の前であった為に敢えて伏せた内容をレミリアに話し出し、それを聞いたレミリアは瞳を見開き、それと同時に雷が落ち、一瞬の閃光が二人を照らしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日付が変わる直前の夜、雨や雷はすっかり止み、厚い雲に覆われていた夜空が雲の切間からその顔を覗き出し、綺麗な星が輝き出していた。

そんな中で人里付近を見回る身長が低めな青年が一人居た。

その青い瞳は、昼間は張り詰めていなければならずにいる為か今はすっかりと穏やかな瞳をしており、しかしその内に秘めた物は昼の時と全く変わらず、如何にも近寄り難い雰囲気があった。

その中で青年が今日の分の行動を終え、当てもなく歩いていた………が、その足は突然止まる。

何故止まったかと言えば……………青年が歩く先に一人の少女が立っており、しかもその少女には青年は見覚えが………否、その少女を知っており、そして雲の切間から月明かりが漏れ、少女を照らし出した。

その少女は白黒の服を着込み、魔女の帽子を被り、箒も持ちかつては何時も青年と顔を合わせては笑い合い、その間に『博麗の巫女』を入れて仲良くヴァンガードファイトをし合い、偶に起きた異変も共に解決して来た、青年にとっては忘れようにも一緒に居た期間が長い為どうしても忘れられない幼馴染………。

 

「………」

 

「…………よう、数日振りだな、このバカ幼馴染」

 

霧雨魔理沙、その人が今、『シャドウ』を名乗る青年の前に立っていたのだ。

 

 




月ツアーは確かに終了し、あらかたの話は終わりました。
でも、あとちょっとだけ第3章は続きます。
次回は魔理沙と『シャドウ』のファイトとなりますが果たして……?

次回もよろしくお願いします。


PS:一部加筆をしました。

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