秘封先導鉄   作:”蒼龍”

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第30話を更新致しました。
そして第3章も終わりが近付いて来ました。
今回は小話なので其処までフラグっぽい話はあまり無いです(全く無いとは言ってない)
では、本編へどうぞ。



第30話「小話、そして決戦へ」

サグメを含めた者全員で丸テーブルを囲み、最後の最後でサグメの秘密が分かり固まってしまってからの翌日、依姫は玉兎達の訓練があるらしく朝早くから居なくなっとおり、屋敷には豊姫のみが残り、宿泊所では蓮子がブロントさんに挑んでる真っ最中であ、他は観戦中である。

 

「『探索者(シーカー) シングセイバー・ドラゴン』と、『ブラスター・ブレード・探索者(シーカー)』で双闘(レギオン)アタック‼︎「思考の盾を持ちデッキのメイン盾である『ホーリーナイト・ガーディアン』がその圧倒的な防御力を神秘のベールに隠していたがついにそのカーテンが開かれ披露宴となり完 全 防 御‼︎」

だから口上長〜い!

ツインドライブ……クリティカルトリガーダブル‼︎

クリティカル2枚の効果は全てリアガードのブラスター・ブレード・探索者(シーカー)に付与!

そしてシングセイバーの双闘(レギオン)スキル、CB(カウンターブラスト)(2)とSB(ソウルブラスト)(3)と手札2枚ドロップなんてバカ重いコストを払って、デッキの中のシングセイバーを1枚選んでスタンド状態でスペリオルライド‼︎

更にソウルのブラスター・ブレード・探索者(シーカー)を1枚選んでシングセイバーと双闘(レギオン)させる‼︎

これぞ絶対に断ち切れない絆の体現、ソウルメイトレギオンよ‼︎

もう一度双闘(レギオン)アタック‼︎「完全ガードなんだが⁉︎」

ツインドライブ……ゲット、クリティカルトリガー‼︎

勿論これもブラスター・ブレード・探索者(シーカー)に全部付与してアタック‼︎「完全ガード‼︎」

んな、完全ガード3枚手札にあるとかそんなのアリ⁉︎」

 

シングセイバー・ドラゴンのスキルを駆使してクリティカル3枚を引き込み、それらを以ってブロントさんに攻撃を仕掛けるも完全ガード3枚に阻まれてしまい、勝機を逃してしまう。

これには流石の蓮子もかなり悔しがっており、頭をクシャクシャと掻き毟っていたがメリー達から言わせてみれば、Vスタンドとは言えデッキの中からスペリオルライドをする為、デッキがシャッフルされるシングセイバーでトリガーを3枚引き込んだ蓮子も大概であった。

 

「ストライド・ジェネレーション!

騎士の誇りと力、今此処に!

『神聖竜 セイントブロー・ドラゴン』‼︎

『青天の騎士 アルトマイル』の超越(ストライド)スキル、CB(カウンターブラスト)(1)を払い、手札から『ナイト・オブ・フラグメント』と『ナイト・オブ・ツインソード』をコールしてフラグメントとツインソードにパワー+5000‼︎

フラグメントのスキル、自身を含めたグレード2のユニットが2体以上居ればパワー+2000とヴァンガードへのアタックヒット時に裏向きのダメージを1枚表向きにし、SC(ソウルチャージ)(1)をする‼︎

更にセイントブローのスキル、G(ジェネレーション)ゾーンのセイントブローを1枚表向きにし、セイントブローのパワーをリアガードの数だけパワー+3000、更にG(ジェネレーション)ゾーンの表向きのカードが2枚以上で、リアガードが2体以上居ればクリティカル+1だ‼︎

セイントブローでアタックだ‼︎「ガ、ガード………出来ない」

思考のナイトによるトリプルドライブ……全部外れ。

だがクリティカル2は受けてもらうんだが⁉︎」

 

「ダ、ダメージ………あっ、負けちゃった/(^o^)\」

 

そして返しのターンでブロントさんにゴリ押しされてしまい、蓮子はそのまま6枚目のダメージを受けて敗北し、オワタ顔を披露した後思い切り悔しがる。

しかしブロントさんも実は今のファイトはギリギリ勝利した様な物であり、蓮子が着実に成長し始めている事が分かり、事実その手には汗が滲んでいた。

 

「うむむむ………やっぱり私にはシングセイバーは合わないかも。

今日のファイトでシングセイバーにライドして敗北する率が8割以上になっちゃったし………これは帰ったらデッキの見直しをして何を入れ直すか決めないと……………あ、そう言えば…………」

 

その蓮子はシングセイバー・ドラゴンを見ながらメモ帳にシングセイバーとタイトルが書かれ、更に白星と黒星の欄にページが分かれておりその黒星に正の一角を書き、それにより正が7個になり白星の正と対比して2:8となってしまい、おまけにこの黒星はブロントさんやメリー達だけでなく、クエストで会った人のファイトも含まれてしまっており、蓮子とシングセイバーの相性が明らかに良く無いと言う事を示していた。

その結果を踏まえて幻想郷に帰った後はデッキの改造とシングセイバーを抜き他のユニットを入れ直す事を考える………そんな時ふと蓮子は、昨日の会話で気になった事があり、それが昨日の時点で聞けてなかった事を思い出し、ブロントさんにそれを聞こうと思っていた。

 

「ブロントさん、そう言えば昨日レミリアさんが『アンティがあるから関われない』って言ってましたけど、私達は肝心のアンティルールはある事と、どんな事を要求出来るかしか聞いてなくて皆から絶対にアンティには従えとしか聞いてなかったんだけど………アンティに逆らったりしたら何が起きるの?」

 

「……ふむ、いつかはアンティを利用するから聞いてくるだろうなと予想はしていたがどこもおかしくないと言う意見。

ならば説明するからちゃんと聞くべきそうすべき、死にたくなかったらそうすべき」

 

ブロントさんがその質問に対して昨日の会話みたく真剣な表情で蓮子を見ており、これはふざけた態度では聞けないと察した蓮子は同じく真剣な表情になり黙りながらその話を聞くべく無言で首を縦に振る。

 

「……うむ、前に白玉楼から帰った際に幻想郷には異変やトラブル解決用に特別にアンティルールが設けられていると説明したが、俺達は敢えて蓮子とメリーにアンティに逆らった際に何が起きるのかは省いたがこれは蓮子達が余程の事でない限りアンティには逆らわないだろうと考えたからだった。

そして今蓮子がそれを聞こうとするなら答えるしメリーにも後でちゃんと伝えるべき。

そして本題のアンティに逆らったりしたらなんだが………実はアンティに逆らうと『鬼や吸血鬼と言った一級の廃の妖怪ですら余りの痛みに動けなくなる程の激痛が走り、強制的にアンティに従わせる』と言う罰が発生するのだよ」

 

「鬼や吸血鬼………つまりはレミリアさんやフランちゃんが痛がって動けなくなる………でも、生きてるなら痛みは」

 

「俺は言ったはずなんだが、『鬼や吸血鬼と言った一級の廃の妖怪』と。

つまりは『普通の人間なら少し逆らっただけで激痛の余り死にかねない程の痛み』が襲うと言う事なのだよ」

 

「………⁉︎」

 

そしてそれを聞いた蓮子はその余りにも予想外な解答に言葉を失う。

アンティに逆らえば普通の人間なら耐えられない激痛に襲われ、最悪死にかねないと言うその内容に。

 

「蓮子、吸血鬼と言った妖怪の肉体の耐久力と人間の耐久力を一緒とは考えない方がよろしいぞ?

一級の廃の妖怪達はほぼ弱点を突かない限り人間の攻撃は「ほう……」と受け流しちぇまう鬼の耐久力を誇り、それが痛過ぎて動けなくなると言う事は人間の肉体では耐えられない恐ろしいレベルの痛みが襲うと言う事実。

実際魔理沙も……アイツに絶縁を叩き付けられた時にアンティルール有りでファイトをして、アイツが出した内容は『負けたら今その場で追って来るな』と言った内容だったらしいんだがアンティ執行時間を過ぎて魔理沙が後を追おうとして遂に激痛が襲い………魔理沙は2週間も昏睡状態に陥り、最初の4日はマジで危なかったんだ。

あの時アリスがその場に居合わせてなければ不味かったと言う過去があるのだよ」

 

「ま、魔理沙が………そんな事があったんだ………」

 

ブロントさんの口から魔理沙がアンティに逆らった際の話が出て来て蓮子は今の明るい魔理沙からは考え難い壮絶な体験があった事を知り、彼女の方を向きながら驚きのあまり悲痛な表情になっており、それをたまたま見たメリーが蓮子に近付いて来る。

 

「蓮子………一体何があったの?」

 

「メ、メリー……実は……」

 

蓮子はメリーにも自分が聞いた事をありのまま話し、それを聞いたメリーは左手で口を押さえ驚きを隠せずにいて、更にメリーの口から今日この後蓮子や魔理沙を誘って『シャドウ』をこっそり追おうとする計画を立てていたらしく、それを聞いてこれは無理だと判断して計画は始まる前に破綻し、魔理沙に起きた様な事は未然に防がれる。

 

「……でも、これで魔理沙やアリス達がアンティに絶対に逆らうなって言った理由が分かったわね」

 

「ええ………まさかそんな死のリスクまである事だったなんて思わなかったわ」

 

「まあこれに関しては異変やトラブル解決の為の強制力を持たせる為にあると言う物なので仕方無いと言う側面すらあるとも言える事実。

何故ならばただカードゲームで負けただけで異変やトラブルを起こした側がそれを止めたりするのはまずあり得ないからな間違いなく勝敗に関わらず歯向かう奴は出ちまう。

なので強制力を持たせる必要があったのだろうなと思われるので俺はこれに関してはとやかく言わないんだが」

 

そして蓮子とメリーも今更ながらカードゲームの勝敗で全てが決まるならばそれに対し大きな強制力が働いているだろうと気付き、以降は絶対にアンティは従おうと考え冷や汗を拭う。

すると其処に依姫が豊姫と共に現れ(依姫は髪がサラサラな為間違い無く風呂上がり)、蓮子とメリーの前まで来る。

 

「あ、あの、どうしたんすか?」

 

「いえ、貴女達二人と私達二人でただ散歩をしたいだけよ。

少し付き合いなさい」

 

「は、はぁ……分かりました」

 

どうやら綿月姉妹は蓮子とメリーを散歩に誘う為に来たらしく、二人はそれにOKを出すと姉妹は二人を宿泊所の外に出し、するといきなり二人は宿泊所の前から桃の木が生い茂る海がある場所に移動し、紅魔館から月に来た時や其処から綿月邸に一瞬で移動した時と同じ現象に遭う。

 

「うおっ、またあの時みたく一瞬で移動した⁉︎」

 

「ああ、貴女達は知らないのでしたわね。

これは私の能力で説明すると長い時間を掛けなければならないから簡単に言いますが、自身や他者、物を気付くのが遅れる程の一瞬で別地点に移動させるものよ。

さて、此処には今私達しか居ないからゆっくりと散歩をしてお話ししましょうか」

 

蓮子達は月に来る際やさっきのは現象は豊姫がワープ能力を使ったから起きたと理解し、それ以上は追及すると長い説明を延々と聞かされると本能的に理解した二人は豊姫の能力の話はせず、姉妹の歩調に合わせて歩き出す。

すると豊姫が桃を見つけては身長的に届かない為手に持つ扇子を投げて落とそうとし、それを見た依姫が何をしてるかとツッコミを入れ、代わりに蓮子がメリーを肩車して桃を取ってあげたり(豊姫のアドバイス入り)などがあった。

 

「うーん、やっぱり庭で育てた桃の方が美味しいわよね〜」

 

「はぁ………まあ今は散歩中なのでもうとやかくは言いませんよ。

………さて、この辺で少し座りましょうか」

 

すると少し歩いていた所で依姫がその辺の浜辺で座る事を提案し、他3名は了承してその場に座り込む。

そして蓮子達の目の前には海が波を立てて広がり、空はやはり黒く、しかし周りが見えなくなる様な暗さではない不思議な明るさがあり何処か神秘的な場所だと蓮子とメリーは感じ、更にメリーの目には今自分達が居る場所の境界の先、自分達が知っている月の景色が見えていたりもした。

 

「なんか……神秘的な場所ですね」

 

「それはそうよ。

此処は浄土、一切の穢れ無き場所である清らかな地なのですから、

………さて、そんな事より少しだけ聞きたい事があるのですが良いですか?」

 

蓮子の呟きに依姫が答え、しかしそんな事はどうでも良いとして蓮子とメリーに何やら話があるらしく、二人に聞きたい事と言い二人に了承を得ようとし、蓮子とメリーは何かと思いながらもそれに頷き、話を聞こうとする。

 

「コホン、宇佐見蓮子さん、マエリベリー・ハーンさん。

貴女達に聞きますが……貴女達には『行方不明になった自分に容姿が似てたり雰囲気が似てる歳が同じ位か少々離れた親戚』は居ますか?」

 

「えっ、歳が同じ位か離れた?

………うーん、歳の離れた親戚なら実家に居ますが、行方不明になった訳じゃないですし、居ませんね〜」

 

「私の方も日本には親や親戚は居ませんし………容姿が似てたりって事もありませんし、居ませんよ?」

 

「あら、そうなの」

 

すると豊姫から不思議な質問を聞かれ、蓮子とメリーはそれぞれ該当する人物は居ないと答え、それを聞いた豊姫は半分予想通りと言った反応を示し、依姫もそうですかと呟いていた。

 

「あの、何でそんな質問を?」

 

「いえ、実は私達が知る人物の中に蓮子さんやメリーさんに容姿や雰囲気が良く似た人が幻想郷に居たので、もしかしたら貴女達の関係者かなと思っただけですよ。

まあ、考え過ぎみたいでしたが」

 

「はぁ………因みに、その人達には今も会っているんですか?

なら私達も会ってみたいんですけど」

 

「いえ、彼女とあの者は今、端的に言えば行方不明です。

なので今会う事は不可能です。

そして、今この場でその二名の名を出しても無意味なので言及はしませんよ」

 

「ああ、そうですか」

 

蓮子とメリーは二人に何故そんな質問をされたか理由を聞いてみると、自分達に似た人物が幻想郷に居たと言われ、更にその二人は行方不明だとも言われ、世の中には似た様な者が三人は居ると言う迷信がある為そうなのか程度にしか気に留めていなかった。

 

「さあ、そろそろ帰りましょうか。

二人共、私の側にいらっしゃい」

 

『あ、はい』

 

すると豊姫がスカートをはたきながら立ち、綿月邸に戻ると言い蓮子とメリーを側に寄せる。

すると依姫が蓮子の髪を見てまた頭の手入れを怠っているのかと思い溜め息を吐いていた。

 

「蓮子、貴女また髪の毛の手入れを適当に済ませましたわね?

女性は髪が大事なのだから余り手入れをしないと痛みますよ?

帰ったらまた髪の毛を手入れしてあげるからテーブルに座ってなさい。

後ちゃんと髪の手入れを時間を掛けてする事」

 

「は、はい〜………(全く)(依姫さんは私のお母さん)(かお姉ちゃんかっての……)

 

依姫に髪の毛の事を指摘され、ボソッと依姫の事をお母さんかお姉ちゃんかと愚痴り、また自分の髪の毛を見てそんなに手入れを怠っているのかと感じて微妙な表情を見せ、側からそれを見ていた豊姫とメリーは少しだけ笑っていたりしたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして翌日、遂にエキスパートカップ決勝が開かれる10分前の時間となり、蓮子達は依姫と豊姫に連れられ会場を一望し、その中心が良く見えるVIPルームの一つに案内させられる。

 

「うっひゃ〜、飾り付けも置物も明らかな高級感MAX。

革のソファーまで用意されてるし、流石VIPルームって感じ……」

 

「蓮子、余り部屋を汚さない様にね。

これ、弁償するのにどれだけ掛かるか分かった物じゃないからね「確かに弁償額がヤバいのは分かるけど何で私限定⁉︎」

さて、そろそろ試合が始まるわね」

 

メリーと蓮子が何時もの仲の良い雑談を繰り広げる中、綿月姉妹以外の全員がソファーに座り、試合開始の時刻を待ち早くしないかと蓮子、魔理沙、ブロントさんやフランがウズウズしていた。

 

「こらお前ら、余りはしゃぐな。

みっともないぞ「お姉様こそ羽パタパタしてる癖に〜♪」なっ⁉︎

い、一体いつ私が羽をパタパタして落ち着きがないというんだ⁉︎」

 

「(それは今ですよお嬢様………と言ったら多分、今よりも騒がしくなるわね)」

 

「はあやれやれ………貴女達、落ち着かないのは分かったから少し静かにしようね」

 

その間にレミリアとフランが大きな声で話してたりしたが、アリスがそれを諌めて二人を静かにせ会場の方に目をやる。

そして時計の針は刻一刻と決勝開幕時刻へと時を刻んで行き…………遂に、針がぴったりと開幕時刻を示し、会場に歓声が一気に湧き始めた。

 

『さあいよいよ決勝開幕時刻となりました‼︎

今回は特別に私幻想郷の伝統ブン屋射命丸文が、実況席で試合を盛り上げる為に招かれました‼︎

さて、では早速選手入場です‼︎』

 

その瞬間アナウンスが流れ、更に同時に選手入場用の扉が開かれ中からオリオン、サグメが会場の中心へと向かい出し、遂にヴァンガードファイトエキスパートカップ最後の試合が始まろうとしていた…………。




次回はいよいよ決勝となり、先にネタばらしされたサグメ様のデッキはグレンディオス軸、対してオリオンはオーバーロード軸(双闘(レギオン)+超越(ストライド))。
どちらが勝つかは………次回をお楽しみに。

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