秘封先導鉄   作:”蒼龍”

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第19話目を更新致しました。
今回もファイト描写無しの会話回です。
そしてブロントさん達と魔理沙&咲夜の謎の共有回でもあります。
では、どうぞ。


第19話「幽々子の話と魔理沙の涙と異常事態」

蓮子達は全員幽々子が正座する居間へと入り、全員大きな座卓の下座に正座し、幽々子が口を開くのを待っていた。

するとそんな蓮子達を見て幽々子はおっとりとした笑顔を見せ、和やかに会話し始める。

 

「あらあら、そこまで緊張しなくて良いのよ〜?

今回は皆を呼んだのはゆっくりお話する為なんだから、ガチガチに固まってたら折角の妖夢が手塩を掛けて作ったお持て成しの品が美味しくなくなってしまうわ。

さて、改めましてようこそ白玉楼にお越し下さいました。

貴女達の噂は予々聞いていましたわ、伝説のレアカード『ブラスター・ブレード』を操る宇佐見蓮子さんと未知のクラン〈ギアクロニクル〉を使うマエリベリー・ハーンさん。

私がヴァンガード普及協会白玉楼支部の支部長でこの白玉楼の当主、西行寺幽々子よ。

まあ支部と言っても実質妖夢や内藤君達位しか所属ファイターがいないのだけれどね」

 

「は、はぁ………えっと、どうも初めまして、宇佐見蓮子です」

 

「マエリベリー・ハーンです、メリーと呼んで下さい」

 

「ええ、分かったわ」

 

蓮子とメリー、幽々子は互いに自己紹介をすると其処に妖夢が『大量』の料理を幽々子の前に置いて行き、それに蓮子とメリーが驚いたが魔理沙達から幽々子が亡霊なのに常識外な程の大食いであると説明を受け、微妙に納得が行かないが蓮子とメリーはそう心に留め、その後女性陣には適量、ブロントさんには幽々子程ではないが多目、料理を運び終えると同時に座り、全員で頂きますを言って料理に手を付け始めた。

 

「あっ、この豚汁美味しいわ。

もしかしたら、今まで食べた物よりもずっと美味しいかも」

 

「………確かに美味しいわね。

また料理の腕をあげたわね妖夢、改めて紅魔館のメイドとして雇いたいわね」

 

「ありがとうございます、でも私はまだまだ未熟ですし幽々子様との主従がありますので紅魔館のメイドには…「冗談よ」あ、あはは、相変わらず咲夜さんは真面目な顔して冗談を……」

 

そんな談笑を交えながらも和気藹々と料理を口にして行き、全員が食べ終わりご馳走様を言い終えた辺りで幽々子はが口を開き始める。

 

「さてさて、私が皆を呼んだ理由が知りたい人も多分居るだろうし早速お話を聞いて貰うわね〜。

まず私はこの幻想郷に現れた新しい『ブラスター・ブレード』使いと、〈ギアクロニクル〉のファイターに興味を持ってお話がしたいな〜って思って呼んだのよ。

で、次に保護者の魔理沙と友人のブロントさん達にも付いて来て欲しいって聞いて、私が興味を持った貴女達に何が起きてるのか、またどんな経緯で幻想入りしたのかも知りたくなったの。

それで、初対面で図々しいかもしれないけど聞かせて貰えないかしら?

無論口外はしないと約束するわ」

 

「は、はぁ………じゃあ先ず、私とメリーが幻想入りした経緯なんですが………」

 

幽々子の話を聞き、蓮子とメリーは互いに顔を少し合わせて話すか否かをアイコンタクトで伝え合い(其処に変なモーションが数多くあり周りを少し引かせたが)、取り敢えず幽々子に言われた事を話す事にし、幻想入りした経緯や不審者たるシャドウを『ムカつく男』と呼び、幻想入りの際やクエストと偽ってメリーにちょっかいを掛けて来た事を全て話した。

これにはこの場で蓮子達の事情などを初めてブロントさんも怒り気味な表情をして麟とアリスに宥められていた。

すると幽々子は真剣な眼差しで蓮子達を見始めていた。

 

「……そうなの、もう一度聞くけれどその『ムカつく男』は幻想郷の外で貴女達に接触して幻想入りを無理矢理させたのね?」

 

「ええ、間違いないです」

 

「………可笑しいわね、幻想郷は二つの大結界によって外の世界と隔離されてて、外から中に入って来る事は稀にあっても中から外に出るには条件、しかも幻想郷の住民が知らない方法を使わない限りは出来ない筈…………確かに不可解な点が多いわね。

………調べる必要があるわね、その『ムカつく男』の名を教えてくれないかしら?」

 

「はい、そいつは『シャドウ』って名乗ってました「えっ⁉︎」?

どうしたの魔理沙?」

 

「い、いや、何でもないぜ」

 

幽々子から不可解な点が幾つもある事を伝えられ、調査をしようと言う事となり蓮子とメリーは今まで魔理沙やブロントさん達にもムカつくアイツとしか言って来なかったシャドウの名を出す。

すると魔理沙が突然驚いた声を上げ、蓮子が何かあったのか聞くと何もないと答えられ蓮子とメリーは首を傾げた。

しかし、咲夜はメリーがクエストと偽られちょっかいを出された際にメリーの後を付け、その時に魔理沙と同行した為、彼女が声を上げた理由を知っている。

魔理沙と咲夜の中では『ムカつくアイツ』とは魔理沙と袂を別った幼馴染の青年であり、ちょっかいを掛けた後にファイトハウスからメリーが泣いて飛び出して来てその後に件の青年がこっそり古明地さとりと共に出て来た為断定していたが、蓮子の口から出た名前はその幼馴染の青年の名では無かった為だと。

 

「………『シャドウ』、ね………分かったわ、その男はこっちで調べてあげるわ。

それとこの後、蓮子ちゃんとメリーちゃんに個人的に話があるから他の人、妖夢も一緒に出て貰えるかしら?」

 

「うむ?

別に構わないのだが何故そうするのか説明をするべきだなと思った感」

 

「本当に個人的な事よ、それとも謙虚なナイトさんは女同士の会話を図々しく聞くのかしら?」

 

「むう………」

 

すると幽々子が蓮子とメリーに個人的に話があるとして、従者の妖夢も含めた蓮子達以外の全員を退室させ始め、此処で蓮子達と魔理沙達は別々の部屋となり、残ったのは蓮子とメリー、そして幽々子のみとなった。

 

「それで、私達に個人的に話があるって、一体何なんですか?」

 

「ええ、個人的な話って言うのはそのシャドウが貴女達を狙う理由にも関わるかもしれない事のとシャドウがもしかしたら私の知人であるかもしれないって事よ」

 

「えっ⁉︎

……で、でも、それなら皆にも話した方が…」

 

其処で蓮子達は幽々子の口からシャドウの目的に関わるかもしれないと言う言葉が出た事、更にシャドウは幽々子の知人である可能性まであると言われた事に驚き、声を上げた。

しかし、それなら魔理沙やブロントさん達にも話した方が良い内容なのも事実であり、それを指摘するが幽々子は首を振ってそれを否定し、理由を話し出す。

 

「確かにそうかもしれないけど物事には順次があり、それらは深く噛む事で隠し味とかが分かる………つまりはそれが確信であるかを確かめる必要があるのよ。

無論それは簡単な事だけど、貴女達だけをこの部屋に残した理由なのよ」

 

「……って言うと?」

 

「メリーちゃん、私とファイトをして欲しいの。

この三人しか居ない密室空間で私が貴女とファイトをすれば、私がそれを確信だと分かって貴女達に情報を与えられるの。

良いかしら?」

 

「そう………なんですか、ならファイトをします」

 

如何やら幽々子の話によればメリーが幽々子とファイトをすれば幽々子の中の疑念が確信となり、ちゃんとした情報を与えられるらしく、メリーはシャドウの情報や目的を得る為にも幽々子とファイトをする事こそが近道と判断し、ファイトを受ける事からなったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所が変わり幽々子達が居る部屋から離れた客室にて、魔理沙と咲夜はいよいよブロントさんに蓮子達が誰に付け狙われているかを話す時が来ていた。

それを察してアリスや麟、ブロントさんも真剣な表情で魔理沙と咲夜を見て、案内した妖夢もその場に留まり話を聞こうとしていた。

「………丁度保護者会(仮)が出来る状態になったな」

 

「うむ、では魔理沙。

お前が何を話したかったのか今までは神秘のベールに隠されていたが今こそそのカーテンを開き話すべきだなと思った感。

では早速保護者会(仮)の開催【お願いします】」

 

ブロントさんの一言にアリスと麟も頷き、妖夢は表情で私に構わずどうぞと言った感じのものを伝え、魔理沙と事情を知る咲夜もそれに頷き口を開き始めた。

 

「じゃあ………皆はもう聞いた通り、蓮子とメリーは不審者に狙われた上にそいつが幻想郷の外に出て、二人を意図的に幻想郷の中に入れたんだ。

しかもそいつは今も蓮子とメリーにちょっかいを出してる」

 

「うむ、しかも名前はシャドウとか余りにも根暗なオーラが見えそうになる奴だし裏でコソコソしたり♀フレに粘着するストンカーな汚い忍者タイポのカス猿なのは確定的に明らか。

こんな奴が居ては蓮子達は充実したヴァンガ生活が認可されないので圧倒的な防御率を誇るナイトの盾が必要ひ可決なのだろうな(確信)」

 

「私達も蓮子達からある程度は聞いていましたが、今日漸くその名を聞きました。

シャドウ………この人物には十分警戒する必要がありますね」

 

「………それで、私達に改めて蓮子達を一緒に守って欲しいって話なんでしょ?

なら否定意見は」

 

魔理沙の言葉を聞いてそれぞれが蓮子とメリーを守ろうとする意思を見せ、アリスは魔理沙がこれを確認し合う為に保護者会(仮)を開いたのだと思い、全員賛成だと言おうとした所、魔理沙が首を少し振りまだ何かを言いたそうな………しかも何処か複雑な感情が渦巻いている事が表情に浮かび、全員それを見て魔理沙が何かを言わんとしているのか聞こうとしていた。

 

「……確かにそれもあるけど、私が言いたいのは其処じゃなくて『シャドウ』の事なんだよ」

 

「…どう言う事なの?」

 

「………」

 

「魔理沙、辛いなら私が」

 

だがいざ口にしようとした魔理沙の表情は更に辛そうな物になり、咲夜が代わりに言おうか提案しようとした所で魔理沙は手を突き出し、首を振って自分が言う事を頑なに示し、咲夜は黙ってしまう。

そして何度かの深呼吸をして、漸くその先を話し出す。

 

「………その『シャドウ』はな………あいつなんだよ」

 

「あいつ?」

 

「ああ……あいつなんだよ……!

私や、居なくなっちまった『霊夢』の幼馴染で、ヴァンガードを始める切っ掛けを作って、偶に起きた異変を自分の分身である『ブラスター・ブレード』を掲げて一緒に解決しに行って、そして…………『霊夢』が居なくなっちまった直後に私に一方的に絶縁を突き付けたあいつなんだよ‼︎」

 

「………えっ⁉︎

あいつって、まさか………でも蓮子とメリーは『シャドウ』って…………いや、まさか、偽名………?」

 

「魔理沙、それは本当なんだな」

 

魔理沙の口から『シャドウ』の正体………蓮子とメリーにちょっかいを出していたのは、魔理沙や『霊夢』がヴァンガードを始める切っ掛けを作った先導者で、蓮子の様に『ブラスター・ブレード』が分身であった幼馴染の少年………今はめっきり会っていないが、恐らく青年になっていると思われ、それを聞いた瞬間アリスや麟、更にはブロントさんでさえ驚き表情が崩れ、アリスは蓮子達の情報を照らし合わせて『シャドウ』とは偽名である答えにあっさり着き、ブロントさんは魔理沙に事実確認を一言入れると魔理沙は帽子を抑え、しかしその下からは涙がポロポロと落ち、今まで泣くのを我慢していたのが伺えてしまっており、咲夜が落ち着かせる為に背中をさすっていた。

するとブロントさんの怒りのボルテージが急上昇し、今話しかければ「今腕に血管が血走ってるから騒ぐと危険」と返されるのが目に見える程怒っていた。

そして麟も信じられない、しかし魔理沙が嘘を吐く訳が無い事を知っている為複雑な感情が渦巻き始めていた。

 

「では蓮子とメリーを幻想郷に無理矢理入れたのも、デッキも忍ばせたのも、ちょっかいを出してるのも彼だとして、何故?」

 

「分からないわ、私や魔理沙は蓮子とメリーがバラバラにクエストを受けてしまって、その時に魔理沙が何かが起きる予感がするって事でメリーの後をつけたら………事が終わった後に彼が地霊殿の主である古明地さとりと一緒に出て来て、裏手で何やら企みがあるって会話をしていたのよ。

そして………蓮子の『ブラスター・ブレード』だけど、あれも元々は彼の物で、自分の物と言う事をデータベースから抹消して、セキュリティに引っ掛からない様にもしたと思うわ」

 

泣き始めた魔理沙に代わり咲夜が麟の質問に答え、古明地さとりも関わりを持ち、更にデータベースで所有者チェックが行われ、盗難防止措置が厳重な『ブラスター・ブレード』も自分のデータをこっそり消し、誰も触ってないニュートラルな物と細工をした可能性すら示唆され益々訳が分からなくなり始めた。

が、これらを全て紐解く方法を既にブロントさん達は知っており、分からないならそれを実行するだけだと思っていた。

その方法とは………ヴァンガードファイトで負かした上で、目的を話すアンティを課せば良いと言う物だった。

このアンティは大小、公式非公式大会問わず本来は禁止だが、幻想郷で起きる異変解決や相手が何らかのトラブル発生時に、異変の首謀者に即時異変を終わらせるやトラブル解決に関わるのであるならば特別に許可されているのだ。

 

「んじゃ、あのバカをアンティファイトで負かせてプリケツ晒して土下座させて目的を話させれば良いんだな?」

 

「………頼む、私も、やるから…!」

 

魔理沙の一声にブロントさん、麟、アリス、そして改めて咲夜も頷き、蓮子とメリーを守る事や魔理沙達の幼馴染の青年に何を企んでいるのかを話させる事に同意し、協力する事となった。

すると妖夢が魔理沙達の側に来て、口を開き始めていた。

 

「………矢張り、彼の目的は蓮子さんとメリーさんにある様ですね」

 

「妖夢?

矢張りって………貴女知っていたの?」

 

「はい、『ブラスター・ブレード』使いと未知のクラン〈ギアクロニクル〉を使う二人組の少女の噂を聞いた幽々子様の命で蓮子さん達の周りを調査していた所に、咲夜さん達が言った場面や彼が蓮子さん達の周りに影を残している事が分かり、彼女達に何らかの目的を持って接触したと結論付けました。

そして今、幽々子様はその原因たる蓮子さんとメリーさんに何かがあると推測し、それを確かめる為にファイトを『ビュワッ‼︎』⁉︎」

 

どうやら妖夢も蓮子達の噂を聞き付け、二人を確かめようとした矢先に魔理沙達の幼馴染が蓮子達にちょっかいを出してる事やその周りで何らかの痕跡を残して居たらしく、ある程度は分かっていたらしく、現在幽々子が何故蓮子達が狙われているのかを原因を探るべくヴァンガードファイトを始めている………と言おうとした瞬間、突如部屋の外、と言うよりも幽々子と蓮子達が居る部屋を中心に強風が吹き荒れ、更に肌に感じ取れる程の強烈なプレッシャーが掛かり始めていた。

 

「な、何なんだこの後ろから不意だまされて逃れられない様な圧倒的な襲い掛かって来たプレッシャーは⁉︎」

 

「しかもこの強い風も………幽々子様達が居る部屋を中心に!」

 

「い、一体何が起きているの⁉︎」

 

「分からない、けど確かめる必要があるのは確かよ‼︎」

 

「…っ‼︎」

 

ブロントさんや魔理沙達は嫌な予感が脳裏に過ぎり、この異常事態が何なのかを確かめるべく客間から飛び出して蓮子とメリー、幽々子が居る居間に向かって走り出した。

果たして其処で何があったのか、魔理沙達が目にする物とは……?

 

 

 




さて、今回の最後に何やらトラブル発生。
一体何が起きたのかは次回に。
そして、魔理沙の口から『霊夢』、掛け替えの無い親友の名も……ですが、謎の解答はまだまだ先に。

次回もよろしくお願いします。

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