秘封先導鉄   作:”蒼龍”

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第10話です、更新速度が速いとかは考えないで下さい。
さて、遂に『ムカつくアイツ』がまた出ますが、此処でちょっとだけ言いましょう。

『カードは大事に扱う様に!』

『カードゲーム中はマナーをしっかり守りましょう!』

それだけ言いたかったです。
では、どうぞ。


第10話「『シャドウ』再来!」

幻想郷のとある施設のとある一室。

見渡しの良い窓から外を眺めている青年が一人居り、少し経つとテーブルの前に立ち、ヴァンガードのカードを2枚取り出してそれをテーブルの上に投げ、更にその2枚は斜め向きに立ちながら回転し、2枚のカードは互いに引き寄せられながら弾き合い、それを何度も繰り返す。

その様を見て青年は一人呟く。

 

「回り始めた運命、果たしてその結末は………」

 

そう短く呟いた後、回転が止まりパタリとテーブルに倒れるカードを2枚回収し、そのまま部屋から退出して何処かへと行く。

その青い瞳に決意を秘めながら………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蓮子達の初クエスト完了から数日後、今日も紅魔館のエントランスホールにて蓮子とメリーはクエストを受けに来ており、蓮子の方は順当にクエストをこなした上、最初のクエストを蓮子がカードを回収した事により等倍のポイントが入ってたのでメリーよりも早くグレード1に昇格してファイカの色が茶になっていた。

一方のメリーは早く蓮子に追いつきたいと思い、今日は別々のクエストを受ける事になっていた。

 

「うーむ、私はこの『迷子の猫ちゃん探し』(1ポイント)をやるとして、メリーはどれをやるの?」

 

「えーと、どれが良いのかな………」

 

しかし、案外メリーは蓮子が先に行動して付いて行く事が癖になってた為か、いざ自分から動こうとすると自身の性格も相まって中々行動を決められず如何しようかと悩んでいた。

 

「むむむ、このままじゃクエストの待ち合わせ時間に遅れてしまう………仕方無い、私先にクエストに行ってるからゆっくり選んでねメリー!」

 

「ええ、そうするわ」

 

此処で蓮子はクエストの時間に遅れそうになり、メリーの側から離れて一人クエストに向かう。

メリーも早くクエストを決めようと思い、画面と睨めっこをしている………と、画面に新しくクエストが発生し、内容は『新しいデッキのテストプレイを手伝ってください』と言うもので、ポイントも今自分のグレード昇格に必要な7ポイントあったのでそれを受けようと決め、パネルを操作して決定した。

 

「あら、誰かのデッキのテストプレイを受けたの?」

 

「あ、咲夜さん。

ええ、丁度昇格に必要な7ポイントだったから」

 

「そうなの。

まあ、頑張りなさい………あ、そうそう」

 

其処に咲夜が来て少し会話をしていると、何かを思い出してメリーにそれを聞き始める。

 

「貴女、今持っているデッキは最初私とファイトした時のままよね?

新しいカードを入れたりはしないのかしら?」

 

「えっ?

デッキの改造………そう言えば、考えた事は無かったですね」

 

その内容とはデッキの改造、つまり新しいカードを使うのかと言うものである。

それを聞いたメリーは少し悩むが、今の考えを咲夜に話す。

 

「………でも、今の私にはこのデッキに何を入れたら良いのか分からないから、暫くはこのままで良いです。

それに………何だか、このデッキを使ってファイトをしてると………何て言ったら良いのか分からない不思議な感覚を覚えるんです。

例えるならそう………運命、みたいな。

経緯はどうあっても、私がこれを使って、このデッキは私の世界を広げてくれた気がしますし…………だから、今の自分に何処まで出来るのかも試してみたいな、なんて」

 

「運命……ね。

まあ、それなら私がとやかく言うのも野暮ね。

デッキが改造したくなったら魔理沙や蓮子、それに私とかを頼りなさい、アドバイス位はあげるわ」

 

「はい、ありがとうございます」

 

メリーは咲夜に今の自分の考えなどを話し、それを聞いた咲夜は何かを少し思った様だったが、メリーの考えなどを尊重して何も言わずにクエストへ行くメリーを見送る。

そして、メリーが玄関から外に出たのを確認するとメイド業務に戻ろうとする………と、其処に再び玄関が開く音がし、振り返って誰が来たのかを確認する。

 

「あら、魔理沙」

 

其処に居たのは魔理沙で、何やら真剣な表情で咲夜を見て何かを言おうとしてる様子が見え、それを問いただす。

 

「……何か用かしら?」

 

「ああ、ちょっと付き合ってくれよ」

 

そう言って魔理沙は咲夜を外に連れ出そうとし、何かしらの大事な用だというのを行動で指し示そうとし、咲夜もそれを察してか主のレミリアに休暇を貰い、魔理沙に付いて行く。

果たして彼女の用とは……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

所変わり人里、その一角のヴァンガードファイト専用施設『ファイトハウス人里支部』と言う場所に来て、メリーは依頼者を探している………が、何故か依頼者が見つからず立往生してしまい、少し如何しようか悩んでいた。

 

「うーん、クエストを出した人は何処に居るのかしら………?

と言うか、依頼者が居ないと如何しようも「貴女がクエストを受けてくれたマエリベリー・ハーンさんですね?」えっ、あっはい。

私がデッキのテストプレイを受けたマエリベリー・ハーンです」

 

そんなメリーに対し、クエストを受けた人と名指して話し掛けてきた少女が一人現れた。

その少女は薄紫のショートヘアーと深紅の瞳、そして複数のコードで身体と繋がっている不気味な瞳は特徴的で、見るからに妖怪だと分かる。

 

「えっと、貴女がクエストを出した人ですか?」

 

「いえ、私では無いですがその依頼者の代理人から貴女を自分の下に案内して欲しいと頼まれたんですよ。

全く、彼は本当にシャイな方なんですよ、比較的ヒッキーな私に道案内をさせる位に。

さあ、代理人が待って居ますので付いて来て下さい」

 

「は、はぁ……」

 

すると少女は依頼者では無く、その代理人に道案内役を任された者と話し、メリーはその代理人に対してヒッキーすら道案内に使う程面倒臭い人物なんだなと言う印象を持ち、しかし早くグレード昇格する為にもクエストを受けるしかなく、道案内役の少女の後を付いて行く事にした。

すると少女は関係者以外立ち入り禁止の扉の前まで来て、その近くに居た警備員に挨拶(と言う名の顔パス)してその扉を開け、更に奥にある転移魔法陣の前まで歩いていた。

 

「あの、貴女は此処の職員なんですか?

なんか警備員に顔パスしてましたし」

 

「いえ、私は此処の職員では無いですよ。

まあ、ヴァンガードファイト普及協会の職員ですがね。

ではマエリベリーさん「あ、メリーって呼んで構いませんよ?」じゃあメリーさん、魔法陣の中に入りましょうか。

この先に待ち人が居ますので」

 

そうしてメリーは普及協会の職員を名乗る少女と一緒に待ち人が居ると言う場所に向かうべく、魔法陣に入ると瞬間、メリーはさっきまでの場所とは違う所、しかも周りはプラネタリウムみたいな閉鎖型のドームに近い物となっており、少し先にはポツンと何かの台があり、それの更に先にも同じ台があり其処に人が立っていた。

しかも…………………その人物は、今この場に居ない蓮子とメリーも顏を知り、そして次に出会ったらぶっ飛ばしたいと思って居た人物………シャドウその人であった。

 

「なっ………あいつ、シャドウ⁉︎」

 

「『シャドウ』………ああ成る程、彼は貴女にはそう名乗っているのですか」

 

「なっ、貴女まさかアイツとグル⁉︎」

 

「グル………うーん、協力者、と言う意味ではそうですが、貴女と彼の個人間のいざこざには関係無いので、何と言えば良いのでしょうか?」

 

するとメリーを此処に連れて来た少女はメリーのグルと言う言葉に対し、協力者とは言ってはいるがメリー達を幻想郷に無理矢理連れて来た件には完全に無関係と言い、微妙な反応をしていた。

そうして、メリー達のやり取りを見ていたシャドウも口を開き、メリーに話し掛けて来る。

 

「久し振りだな、副部長」

 

「………ええそうね、本当に久し振りで会いたかったわ、絶対にぶっ飛ばしたいって意味で!」

 

「そうか…………単刀直入に言おう、ヴァンガードをしてお前は強くなったか?

何か変わったか?」

 

「………何で貴方なんかにそんな事を言わなきゃいけないのよ……!」

 

明らかな嫌悪の態度を見せるメリーに対し、シャドウはそれを意に介さず不思議な問いをする。

が、メリーはシャドウを完全に嫌っているのでそれに答えず、更に嫌悪感を見せつけ今にもその顔面にグーパンをしようかと利き手に力を込め、足にもいつでもダッシュ出来る様に力を加えていた。

 

「………まあ良い。

それを確かめるならヴァンガードファイトが一番だ。

俺とファイトしろ、そのデッキに相応しいか如何か見極めてやる」

 

「何ですって‼︎」

 

そのシャドウは明らかに上から目線でメリーに対しファイトをしろと言い、更にデッキを使うのに相応しいかなどと挑発+身勝手な物言いをし、普段どちらかと言えば温厚なメリーの頭に血を上らせるのに十分な程の言葉だった。

 

「私がこのデッキを使うのに相応しいか?

貴方が勝手に私の持ち物にこのデッキを加えて、この幻想郷に私達を勝手に送った癖に………上等よ!

此処で貴方を、私の世界を広げてくれた、私に運命みたいな物を感じさせてくれたこのデッキでファイトで倒して、その上で貴方をボコボコにしてやるわ‼︎」

 

「運命………か。

まあ良い、手短に済ませるぞ」

 

そうしてメリーとシャドウのファイトが早くも決まり、メリーは〈ギアクロニクル〉のデッキを取り出してファイトの準備をしようとする。

するとシャドウもデッキを取り出してFVとGユニット(G(ジェネレーション)ゾーンに置かれるユニットの総称)、デッキを台の上に別々に置くと、それらが台の中に吸い込まれ、電子状のテーブルマットとFVのカード、更にデッキが現れ、シャドウがデッキに手を翳すと電子状のデッキの上から5枚が浮かび、シャドウの左手の上で停滞する。

 

「………何この無駄に凄い設備」

 

「初見では驚きますよね、これ。

この設備の名は『Grand Image Reality System』、略式名称は『ギアース』と言います。

今まで人のイメージとして朧げにしか捉えられなかったヴァンガードファイトやユニット、クレイの大地をホログラム化して、より視覚的に、リアルなファイトを実現する画期的なシステムですよ。

………まあ見た目的にも幻想郷とかなり不釣り合いな物ですが、より良いヴァンガードファイトを実現すると言うスローガンを掲げた河童達がこれを作り上げたんですよ」

 

幻想郷と言う名の世界とは不釣り合いな近未来的な設備を目にしたメリーはシャドウへの怒りが頭を支配してるのには変わりないが、こんな物を見ては惚けてしまうのは必然であり、面食らった表情を浮かべてしまい、それを少女が設備の名などを説明し、その少女も何処か呆れた様子で苦笑し、メリーの気持ちが良く分かると言った態度を見せていた。

 

「どうした、早く準備しろ」

 

「っ!

分かっているわよ‼︎」

 

それらを見ていたシャドウはさっさと準備をする様に催促し、それを聞いたメリーは勿論怒りながらGユニット、FV、デッキを分けてギアースのファイト台に置き、それが先程のシャドウの時と同じ様に吸い込まれ、電子状のプレイマットとデッキなどが現れ、メリーもデッキに手を翳すと手札がふわふわと浮き、左手をお盆を乗せる様な形にするとその上に手札が浮き、右手でそれらを回したりして少し遊んでいた。

 

「では始めるぞ」

 

「………いつでも!」

 

『スタンドアップ・「THE・」ヴァンガード‼︎』

 

「『ガンナーギア・ドラコキッド』!」

 

「『ドラゴンナイト サーデク』」

 

そしてファイトが始まり、互いにFVをスタンドアップさせた。

するとシャドウのFVはメリーとの初ファイトの時と同じ〈かげろう〉のユニットで、しかしアンドゥーとは違いパワーは5000で、明らかに先駆スキルを持っているタイプのユニットであった。

「………ファイトには」

 

「?」

 

「ファイトにはその人間の全てが表れる。

どんなファイトをするかで、その人間の性格や考え方、更には今どんな感情で動いているのかもはっきりと分かる」

 

するとシャドウはメリーに対し、そんな哲学的な事を独白し始め、更にメリーのデッキやファイトの動きを見透かす様な目で見て、何かを図る様な態度を見せていた。

 

「さあ、見せてみろ。

お前の言う運命とやらを……!」

 

「ええ、見せてあげるわよ………貴方が嫌と言う位ね!」

 

こうして互いに煽り合いながらファイトが始まり、メリーはシャドウに怒りをぶつけ始めた。

それを側から見ていた少女はやれやれと言わんばかりに苦笑し、しかしメリーを観察する様に、このファイトの行く末をその脳裏に刻む様に見ていた。

………そして、第1ターンが開始された。




此処まで閲覧して頂きありがとうございました。
え〜それと、シャドウのやった事はジャッジキルやマナー違反、『〇〇はカードを傷めるぜ!』などのツッコミが満載ですが、リアルではやらない様にしtヤルワケナイダロ○(#`・ω・)=○)Д´∵. グハッ!!(天丼)

次回、二人のファイトが本格的に始まります。
次回も楽しみに待っていて下さい。

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