遂にヴァンガードはVシリーズからDシリーズになり、更に10周年を迎えてしまいました…思えばかなり思い出が染み付いた物です。
自分は筆談スピードが亀なのでこのままだと完結にかなり時間を要する事になりそうですがそれでも完結まで何とか頑張って行く所存でございます。
なのでこれからも自分の作品を見て下さって頂けるなら幸いです。
では、長い前書きは此処までにして本編へどうぞ。
控え室に来る途中、蓮子達はチームブルーゲイルとすれ違うように対面し、その際ブロントさんとリューサンは互いに拳の底を無言でコツンと合わせ、菫子と麟はこれは2人なりの挨拶であり、全力を尽くして騎士の誇りを見せようと言うある種の誓いの儀でもあると説明し、菫子達はルナサ達と短く会話し、知らない仲では無い為2人の分まで頑張ると言って菫子はガッツポーズを、麟は力強い笑顔を見せるのであった。
対して蓮子達は初対面の為頭を下げて挨拶をするとリューサンが前に出て2人に言葉を交わし始める。
「君達が菫子さんと同じ秘封倶楽部の名を掲げる2人組、宇佐見蓮子さんとマエリベリー・ハーンさんだね。
私の名はリューサン、君達の事は彼、ブライトからある程度聞かされてるよ「あ、リューサンその話は」良いんだ衣玖さん、どうせ後で私達も彼の話に絡んでいる事は分かるんだ、なら此処で話した方が礼儀だと言う物だよ」
「またアイツの……」
「一体どれだけの人に…「まぁ、私はそれを抜きにして君達と全力でファイトをしたかったが、巡り合わせが無かったとしか言えないな。
ただ、何れは君達と全力でファイトをしたい、だから君達はこのまま突き進んで欲しい。
彼の思惑では無い、君達の道をね」……成る程、リューサンは紳士的な人なんですね。
ええ、私達は私達の道を走ります、その過程でリューサン達にぶつかれば全力でファイトをしますから覚悟して下さいね!」
リューサンは自身達がブライトと関わり合いがあった事をいの1番に話し、だがそれに関係無しに一ヴァンガードファイターとしてファイトしたいと言う紳士的な態度に蓮子とメリーはブライト関係にある警戒心を解き、自分達も全力で戦いたいと告げ、それに満足して頷いたリューサン達は最後に「良いファイトを」と言いその場を去って行った。
そして控え室に着くと5人はそれぞれデッキ確認をし、メリーはつい昨日見た悪夢をふと思い出しそれを振り払う様に首を振り、次にブライトから言われた『今は使えないGユニット』を2枚だけ入れて少々肩に力が抜けない様な集中をしていた。
すると蓮子が肩を叩きメリーに声を掛ける。
「大丈夫よメリー、メリーなら絶対今度は乗り越えられる。
相棒の私が保証だってするわ」
「蓮子…」
蓮子の力強い言葉にメリーは自然と肩の力が抜け、その周りを見ればプロントさんが、麟が、菫子が同じ様にメリーを見つめ、今ならば頼もしい仲間達の信頼が力となってくれると不思議と思う様になり、もう一つ見た夢であるファンタズムカップ優勝を果たす事が夢で無くなる予感を感じ取った。
それからメリーは一度瞳を閉じて深呼吸をして皆に向き直りながら蓮子と同じ様に力強い表情を浮かべ直していた。
「…ええ、そうね。
今なら私も大丈夫だって思えるわ…皆余計な心配掛けたわね。
ファンタズムカップ本選、絶対勝ってブライトのバカの鼻を明かしてやるわよ!」
『その調子よメリー!/勿論!/はい!/確定的に明らかなんだが!』
メリーの言葉にに全員頷きながら返事をし、控え室の空きスペースで全員円陣を組み右手を重ね合わせ、誰が初めに手を上げる仕草をしたかは定かでは無いが全員が同じタイミングで手を上げ全員の心は一つだと言う証明を示した。
そしてそのまま控え室を出てファイト会場へ向かうのであった。
同時刻、チルノ達チームストームファイターもまた蓮子達のリベンジマッチと、ファンタズムカップ優勝と言う目標に闘志を燃やし、誰も言葉は発しないが、それはもう無駄な言葉は不用、ただ蓮子達に勝つと言う目の前の目標に全力を注ぐだけと言う事を理解し合うが故の物である。
そしてチルノを先頭に控え室の扉を開け、蓮子達との決戦場へ赴くのであった。
そして両者がファイト会場に着き、観客席では無く一ヴァンガードファイターとして相対し、互いに互いの闘志を肌で感じこれから起きるファイトに様々な想いを馳せていた。
「さあいよいよ第3回戦、チームストームファイター対チームファンタズマのファイトになります‼︎
先に申し上げた様にチームストームファイターは前評価を覆し本選出場し、チームファンタズマは初出場でありながら予選を通過したダークホース同士のファイトとなります‼︎
何方が勝つか全く予想出来ないこの試合が、たった今より始まります‼︎」
射命丸の大袈裟とも取れるチーム解説に観客席は熱を持ち、特に有名なファイターであるブロントさんがその場に居た為皆そちらの方に注目をしていた。
無論それはただの観客のみならず本選出場チーム全員がブロントさんのみならず蓮子達にも注目していた。
そしてその中でも一際強い視線を向けていたのはチーム尸解仙の全員とチーム汚忍LSの汚い忍者、更にチーム蓬莱傘の鈴仙であった。
「(宇佐見蓮子とマエリベリー・ハーン、果たして何方が『特異点』か……この試合で両者のストライドフォースを計測すればそれも大体は結論が出る。
だが如何に『特異点』であろうとも弱ければ意味など無い、故に見せて貰おうぞ、未来世界の秘封倶楽部の実力とやらを…!」
「(さあブロント、俺に見せやがれ。
俺を滾らせ、冷めた熱を再び燃やすお前のファイトをな‼︎
ついでにだが、ブライトの野朗の思惑通りになるのは癪に触るが奴が幻想郷の未来を担うと言った2人の実力も見せて貰うぜ)」
「(蓮子、メリー、貴女達が永遠亭での死線を潜り抜けた後にどれだけ成長したか見せて貰うわ。
ブライトの思惑…『あのプラン』の中核を担うに相応しくなったか、そしてそれを抜きにしても私が本気で戦いたいと思えるかをね…!)」
三者三様の思考をしながら蓮子、メリー達を見やる。
そしてその期待等を混ぜ合わせた思惑が交錯する中遂に両チームの対戦カードが決まり、それぞれルーミア対麟、ミスティア対ブロントさん、リグル対菫子、大妖精対蓮子、そしてチルノ対メリーとなり、チルノにとってはメリーへのリベンジマッチであり、メリーにとっても幻想郷に来た当初以上に成長したチルノと言う強敵とのファイトとなった。
そしてそれぞれが相手と対面する様に並び替えた瞬間全員の足元からギアースのデッキ登録台が現れ、全員デッキを置きデジタルテーブルとデジタル化された手札が目の前に浮かんでいた。
そしてそれぞれ手札交換をし、登録されたFVに手を掛け、実態は無いがカードは其処にあると言うギアースの感触を確かめながら試合開始の合図を全員目の前の相手に勝つ事のみを考えながら待っていた。
「では準備も終わりましたので〜、第3回戦、開始ぃぃぃ‼︎」
『スタンドアップ・「THE!」ヴァンガード‼︎』
「『春待ちの乙女 オズ』!」
「『グリーディ・ハンド』!」
「『閃きの騎士 ミーリウス』!」
「『
「『マシニング・リトルビー』!」
「『祈りの神器 プレイ・エンジェル』!」
「『テレスコープ・ラビット』!」
「『道標の賢者 エルロン!』」
「『士官候補生 アンドレイ 』!」
「『ガンナーギア・ドラコキッド』!」
全員がFVをスタンドアップさせ、第3回戦の火蓋が切って落とされた。
この試合で先ずは麟とルーミアが先鋒の如く動き始める。
「私のターン、ドロー!
『ディメンジョン・クリーパー』にライド!
グリーディ・ハンドはヴァンガードの後ろに移動!」
グリーディ・ハンド:P5000、C1
ディメンジョン・クリーパー:P7000、C1
「(ディメンジョン・クリーパー、ソウルにあのカードがある時、ソウルからディメンション・クリーパーをドロップすれば
なら長期戦を仕掛ければ勝てませんね!)私のターン、ドロー!
『萌芽の乙女 ディアン』にライド!
オズは中央後列に移動させ、アタックします!「ノーガード」
ドライブチェック!『フェアリーライト・ドラゴン』『治』
ヒールトリガー……パワー付与を省略してターンエンドします!」
春待ちの乙女 オズ:P5000、C1
萌芽の乙女 ディアン:P8000、C1
ディアンVSディメンジョン・クリーパー:8000+5000VS 7000=ヒット
ドライブチェック『フェアリーライト・ドラゴン』『治』
ダメージチェック『ヒステリック・シャーリー』『引』
ディアン:P13000+5000=18000、ダメージ回復無し
ディメンジョン・クリーパー:P7000+5000=12000、1枚ドロー
麟:手札:6
ルーミア:ダメージ:1 手札:6
麟の攻撃はダメージが回復しない状況でヒールトリガーを引き当てる所謂『無駄ヒール』と言うデッキ内のヒールトリガーを減らすだけの物になったが、麟自身はシールドを増やせたと割り切りターンを終える。
一方ルーミアはダメージトリガーでドロートリガーを引いた為次のターンに自身の理想的な盤面にする準備が整いつつあった。
残りはキーカードとなるG2のユニットを引き当てるだけ、しかしルーミアは引き当てられない軟弱な考えを初めから捨てている。
何故なら、彼女は引くと決めたら意地でも引き当てる折れない意志を持っているからだ。
非公式の大会、フリーファイトなら無論そんな意地は通さない、全力で楽しむ方へとシフトさせる(相手が小悪魔以外なら)。
だが此処は公式大会、それもファンタズムカップ本選、幻想郷で1番のファイター、チームを決める大会だ。
ならばチームの勝利の為、ファンタズムカップ優勝と言う目標の為に、ルーミアは全力を引き出して勝利をもぎ取るのだ。
「私のターン、ドロー!
行くよ麟、私の本気のギアに全力で付いて来るんだよ、じゃなきゃ……あっさり落とすよ?
『退廃のサキュバス』にライド‼︎「退廃のサキュバス⁉︎
そのカードは…!」
そう、今麟が考えた通りだよ、私のデッキコンセプトは。
だからさ、それを如何やって崩すか考えるのだ〜…ってね。
先ずはグリーディ・ハンドのスキル、
更に『ドリーン・ザ・スラスター』をコールし退廃のサキュバスのスキル、私の他の〈ダークイレギュラーズ〉のユニットがコールされたら
そして…もう2体のドリーンをコール、そして
今のソウルに入ったユニットはそれぞれ『フライング・ライブラリアン』が1枚、更にディメンジョン・クリーパーが2枚…これで計4枚のディメンジョン・クリーパー全部がソウルに来た事になるわ。
でもまだまだ、此処から私は更にコールする‼︎「こんな序盤で⁉︎
しかもこれ以上はトリガーを吸う可能性すら」
関係無い、トリガーが入ったら入ったで仕方無し、それが私の『真剣勝負』モードだから。
『媚態のサキュバス』を2体コールして退廃のサキュバスのスキルを2回発動、更に媚態のサキュバスのスキルでコールした時に
そして最後に『キリング・ドールマスター』をコールして退廃のサキュバスのスキル発動、
ドリーン3体は当然パワー+3000‼︎「手札もこんな序盤から使い切るなんて、この戦略は〈ダークイレギュラーズ〉の定石から逸脱して…返しのターンが怖くないんですか、ルーミアさん⁉︎」
怖い?
怖がってばかりじゃファイトで勝ちを捥ぎ取るなんて出来やしない、そして本気の私にはそんなリスクなんか関係無い、そんな石橋を叩いて渡る慎重なファイトは小悪魔の『アモン』軸の超パワーや序盤からガンガン押し込んでくるデッキになんか通じない……ならばこそそれを上回る様に私が序盤から押し潰すだけなのだ〜ってね‼︎」
退廃のサキュバス:P9000、C1
ドリーン・ザ・スラスター:P6000、C1
媚態のサキュバス:P9000、C1
キリング・ドールマスター:P7000、C1
ドリーン(A):P6000+3000×6=24000
ドリーン(B):P6000+3000×5=21000
ドリーン(3):P6000+3000×4=18000
ルーミア:ダメージ:0/1 手札:1 ソウル:9(ディメンジョン・クリーパー×4、『フライング・ライブラリアン』、グリーディ・ハンド、『ブリッツ・ハンター』『☆』、退廃のサキュバス、『仮面の王 ダンタリアン』
布陣
キリング 退廃 媚態
ドリーン(B) ドリーン(C) ドリーン(A)
「おおっとルーミア選手、第3ターンから手札が1枚になる事を厭わずフル展開とドリーン・ザ・スラスターのパワーを爆上げして来たぁ‼︎
解説のはたて、これはどう見ますか⁉︎」
「どう見るも何も序盤からパワーを上げて下手なガードをさせない様にして相手にダメージを蓄積させて自分は飄々とするとしか見えないわよ!
こんな戦い方、『アモン』軸でも手札周りが良く無いと余りやらないしそもそも第4ターンのヴァンガードのアタックでクリティカルトリガーが捲れたら一気に逆転を許す博打も良いとこな何も考えない突貫戦略よこんなの‼︎」
「しかしソウルに4枚ものディメンジョン・クリーパーが入ってしまい何時でもあのカードのスキルで
…何やら嫌な予感しかしない布陣ですね、これは」
実況、解説の文とはたてもルーミアの戦略に混乱し何故こんな捨て身の戦法を取ったのか理解出来ずにいたが、豊姫は冷静にソウルや盤面を見てドリーンの強化を限界まで行うこの戦略に背筋が凍りそうな何かがあると感じ冷や汗をかいてしまっていた。
「さあ行くよ、先ずは1番最初にコールしたドリーンのブースト、媚態のサキュバスでヴァンガードにアタック‼︎「(この手札では守り切れません…なら)ノーガード、ダメージチェック‼︎『メイデン・オブ・グラジオラス』」
次退廃のサキュバスでヴァンガードにアタック‼︎「ノーガード‼︎」
まぁ序盤から完全ガードとか切りたく無いよね、ドライブチェック‼︎『悪夢の国のダークナイト』『☆』
クリティカルトリガー、クリティカルはヴァンガード、パワーは勿論キリング・ドールマスターに‼︎「クリティカル⁉︎
ダ、ダメージチェック‼︎『ラナンキュラスの花乙女 アーシャ 』『メイデン・オブ・フラワースクリーン』
ノートリガー…これではガードが…!」
さあさあ休む暇は無いよ、キリング・ドールマスター、2番目にコールしたドリーンのブーストを受けてアタック‼︎「っ、ノーガード‼︎『ウーント・タナップ』『引』
ドロートリガー、1枚ドローします…‼︎」
さあダメージ4、追い込んだよ、ターンエンド‼︎」
ディアンVS媚態のサキュバス:P8000VS9000+24000=ヒット
ダメージチェック『メイデン・オブ・グラジオラス』
ディアンVS退廃のサキュバス:P8000VS9000+18000=ヒット
ドライブチェック『悪夢の国のダークナイト』『☆』
退廃のサキュバス:C1→2
キリング・ドールマスター:P7000+5000=12000
ダメージチェック『ラナンキュラスの花乙女 アーシャ』 『メイデン・オブ・フラワースクリーン』
ディアンVSキリング・ドールマスター:P8000VS12000+21000=ヒット
ダメージチェック『ウーント・タナップ』『引』
麟:ダメージ:4 手札:6→7
ルーミアの全ラインパワー底上げによるアタック+クリティカルトリガーと言う猛攻によりダメージ4となった麟はドロートリガーで手札が増えても焼け石に水程度にしかならない手札内容により次のターンで何をすべきか、何が正解なのかを選ばなければならない状況に迫られ本気のルーミアの実力を改めて思い知らされる事になった。
そしてこの場面で不正解を当ててしまえば最早詰み、次のドローで何を引くかどうかでも返しのターンで詰み、そんなプレッシャーが伸し掛かる状況下に入り頭の中で展開を考えつつデッキトップをドローしようとしていた。
「私のターン、スタンド&ドローします‼︎(…引いたのは『メイデン・オブ・パッションフラワー』、完全ガード…これなら1回はアタックを防げます…後は……)
『開花の乙女 ケラ』にライドします‼︎
次に『メイデン・オブ・フラワースクリーン』をコールします‼︎
…私はこれでバトルフェイズに入ります、メイデン・オブ・フラワースクリーンでキリング・ドールマスターにアタックします‼︎「ふむふむ……ならノーガード」
(通った、これでドリーンが11回パワーアップする事が無くなった、後は…』オズのブースト、ケラでヴァンガードにアタックします‼︎「ノーガード」
ドライブチェックします‼︎『メイデン・オブ・ディモルフォーゼ』『☆』
クリティカルトリガー、パワーとクリティカルはケラに与えます‼︎「ダメージチェック『ブレイドウイング・レジー』『悪夢の国のアリス』『治』ヒールトリガーだけどダメージ回復無しだね」
ターンエンドします‼︎(これでガード値も一応確保出来ました…後はルーミアさんのカード次第ですが…)」
開花の乙女 ケラ:P10000、C1
メイデン・オブ・フラワースクリーン:P9000、C1
フラワースクリーンVSキリング・ドールマスター:P9000VS7000=ヒット、退却
ケラVS退廃のサキュバス:P10000+5000VS 9000=ヒット
ドライブチェック『メイデン・オブ・ディモルフォーゼ』『☆』
ダメージチェック『ブレイドウイング・レジー』『悪夢の国のアリス』『治』
麟:手札:7
ルーミア:ダメージ:3
麟は前列リアガードのみをコールし、本来なら展開出来たG1もガードに回してルーミアが次に如何来るかを考察しつつ残りは自身の引き次第とも考え、返しのターンに備える。
しかし……ルーミアはそれに対して不敵な笑みを浮かべ、麟はそれを見て訝しんでいた。
何故ルーミアは此処まで余裕な笑みを浮かべているのか理解出来ずにいた。
するとそんな麟の心情を察してかルーミアは口を開き始めた。
「何故笑っていられるかちょっと分からないって感じだよね麟?
その理由、単純に説明するなら今の所思った通りにファイトが進んでるから、だよ」
「思った、通りに…?」
「そう、この状況になれば麟はガード値を高める為に後列にリアガードを出さない事、キリング・ドールマスターをアタックする事、そして私のダメージに媚態のサキュバスが落ちなかった事……これらが上手く噛み合った事、そして麟の今のトリガーの出方も先ず良かった事。
ヒールトリガーを出されたら次のターンで決められる確率が大幅に下がるから出るなって考えてたけど、もうその心配もしなくて良いやってなったから「次のターンで決める、つまりファイナルターンと?」そうなのだ〜ってね。
……正直な所、麟の引きには少し満足出来ない点が幾分かあってね、だからもう幕引きにしたかったんだ、このファイトそのものにね…ファイナルターン‼︎」
ルーミアは此処まで自身の予想通りにファイトが進んでいた事で遠回しに勝利を確信したと捉えられる言葉を発し、そしてファイナルターンを直ぐ様宣告、実況達も驚かせ、麟もその気迫に手に緊張が走り、何が来るのか…否、ルーミアの切り札は既に知っている。
ならそれが来ると確信し何としても防がねばならないと考えていた。
「ドロー‼︎
その刃翼をはためかせ、凡ゆる夢、欲望、全てのを切り裂き取り込め‼︎
ライド、『ブレイドウイング・レジー』‼︎
レジーのライド時スキル、〈ダークイレギュラーズ〉のリアガードを1体選び、デッキから同名カードを3枚まで選びソウルに置く‼︎
私は媚態のサキュバスを2枚選んでソウルに‼︎
そしてメインフェイズ、ソウルのディメンジョン・クリーパー4枚のスキル発動、このカードをソウルからドロップして
更にメインフェイズ中にソウルが増えたのでドリーン3体はパワー+3000を8回発動する‼︎
さあ上からブレイドウイング・レジー、キリング・ドールマスター、退廃のサキュバス、『フラグ・ブレイカー』、『仮面の王 ダンタリアン』、『フライング・ライブラリアン』、更にダンタリアン、そしてキリング・ドールマスターがソウルに入ったわ‼︎「っ、全てノーマルユニット⁉︎」
更に『悪魔の国のダークナイト』をコールしてスキル発動、ソウルに移動させ1番目にコールしたドリーンにパワー+3000、そして更にソウルが増えたから全てのドリーンはパワー+3000が9回分発動し、1体目のドリーンは実質10回分のスキルが発動した事になり、そして最後に『フライング・ライブラリアン』をコール‼
仕上げにレジーのスキル、ソウルが15枚以上あるので私のターン中クリティカル+2を得る‼︎」
ブレイドウイング・レジー:P10000、C1→3
フライング・ライブラリアン:P8000、C1
ドリーン・ザ・スラスター(A):P6000+3000×10=36000
ドリーン・ザ・スラスター(B&C):P6000×9=33000
ルーミア:手札:0 ソウル:19
「ル、ルーミア選手全ラインのパワーを41000以上にまで引き上げました‼︎
更にブレイドウイング・レジーはクリティカルが3になり、このアタックには絶対に完全ガードを使わざるを得なくなってしまいましたぁ‼︎」
「オマケにソウルに入ったユニットは手札からコールしたダークナイト以外全てノーマルユニット、あのデッキにはまだ12枚もトリガーが眠ってる事になります!
ルーミア選手の引き次第では本当にこのターンで勝敗が決まってしまう恐れがあります‼︎」
「麟選手のデッキタイプは
何時の時代も相手に実力を発揮させる前に倒すのは定石とされますが、此処まで上手く事を進めてしまうその引きの強さ、更にファイト展開のコントロール…ルーミア選手もまた超一流のファイターと言える実力者である事は最早此処までのファイトを見れば窺い知れてしまいますね…」
麟の予想通りにルーミアの切り札、レジーが現れ、更にディメンジョン・クリーパーのスキルで入ったカードは直ぐノーマルユニットだった為まだデッキの残り25枚中12枚はトリガーであり、最悪クリティカルトリガーが2枚出てしまう可能性すら高く、麟は手札確認をするが矢張りクリティカルトリガーが2枚出てしまえばガードをし切れない為そんな状況にならないで欲しいと言う不安などの感情が表情に表れていた。
それを見てルーミアは不敵な笑みを浮かべたまま再び口を開き始めた。
「…『ファイトにはその人間の全てが表れる』「その言葉は…⁉︎」私のファイトで麟から見える物は、それは間違い無く理不尽な蹂躙だよね、だからこそ最悪の展開に恐れが表れてしまう。
でね、私から麟のファイトを見るとね…お手本、基本的な事を堅実に守りつつ勝利への道を開く、そして防御を捨てるとすれば堅実に勝てる場面に入った時、そしてある程度ファイトが進んでそうした方が良いかもしれないと判断した場合だけ、なんだよ。
私はチームファンタズマの、宇佐見蓮子とマエリベリー・ハーンとその近くに居たファイトを全てチェックして来た、だからこそ麟のファイトがそんな風だって言えるんだ……つまりは私のファイトと麟のファイトは相性が最悪、何が何でも速攻で全てを決める私と基本的に堅実麟ではこうやって第5、6ターンまでにはファイトの結果が見えるんだ。
もしも麟がさっきのターンでヒールトリガーを引けてたらまた違う結果になったかもだけど……たらればを語ったらキリがないから、結論から言ってしまえば私と当たった時点で麟は勝ち目が余り無かった、ただそれだけなんだよ」
「ファンタズマの、私達の全ファイトをチェック…まさか貴女は…「その先の答えを知りたかったら私に勝つ事、最もこの時点でもう私の価値はほぼ確定したから意味無いけどね」っ、まだです、まだ私は…‼︎」
「レジーでアタック、合計パワーは43000、クリティカルは3、さあどんな風にガードする‼︎「っ、完全ガード、コストはディアン…‼︎」
そう、レジーのアタックを確実に防ぎ、そしてダブルクリティカルが来ない事に賭ければそのガードが堅実。
だけど、此処からはもう私の独壇場、麟には勝ち目は無いわ‼︎『ブリッツ・ハンター』『☆』『悪夢の国のダークナイト』『☆』
クリティカルトリガーダブル、それぞれフライング・ライブラリアン、媚態のサキュバスに振り分ける‼︎「なっ……そん、な…⁉︎」
これが答え、もう麟はヒールトリガーに賭けるしか無い。
けど出るかは別、フライング・ライブラリアンでアタック‼︎「…ノー、ガード‼︎
ダメージチェック…『開墾の戦乙女 パドミニ』『ダンガン・マロン』『☆』
クリティカル、トリガー…」
ねっ、出るかは別でしょ?
恐らくだけどその手札にあるトリガーユニットはフェアリーライト・ドラゴンが2枚は確実、だから最初のトリガーチェックでフェアリーライト・ドラゴンが出た時出て欲しくなかったなんて表情を浮かべちゃったんだ。
まぁ、それが無くても私はこの手札の時点で序盤からガードなんか捨てて蹂躙する方針にしてたから関係無いけどね。
……取り敢えず1勝はこっちの物、悪く思わないで欲しいのだ〜ってね」
ケラVSレジー:10000+0VS10000+33000=完全ガード
ツインドライブ『ブリッツ・ハンター』『☆』『悪夢の国のダークナイト』『☆』
フライング・ライブラリアン:P8000+5000=13000、C1→2
媚態のサキュバス:P9000+5000=14000、C1→2
ケラVSフライング・ライブラリアン:P10000VS13000+33000=ヒット
ダメージチェック『開墾の戦乙女 パドミニ』『ダンガン・マロン』『☆』
麟:ダメージ:6 LOSE
ルーミア:WIN
たらればの可能性を排除しつつ麟のファイトを淡々と語るルーミアの言葉一つ一つに全て当て嵌り、その頬に汗が伝いルーミアの言葉に返す言葉が見当たらずにいた。
が、蓮子とメリー、その近くにいた者のファイトを全てチェックしていたと言う言葉、更に『ファイトにはその人間の全てが表れる』と言う現在蓮子とメリーと因縁深き人物、ブライトの言葉を使った事でルーミアはブライトと裏で繋がっており、『自分達を陰から見ていたのでは?』と言う疑念が生まれ、それを確かめざるを得なくなるも結局自身が想定した最悪な状況、クリティカルトリガーを2枚引かれてしまう事が現実となりそのままルーミアに敗北、チームストームファイターに1勝を許してしまう。
更にルーミアはフェアリーライト・ドラゴンが2枚と言う手札具合を淡々と言い、それすらも当たっておりルーミアの言葉通り自身のファイトとルーミアのファイトは相性が最悪であり、更にファイトの展開も初めからルーミアに傾いたままの物だったと認めざるを得なかった。
こうしてチームファンタズマは黒星を一つ抱えてしまい、残りの4人に後を託すしか準決勝に進めなくなってしまう。
麟はそんな自身に不甲斐無さを感じ、苦い敗北感が突き刺さったまま目を伏せるしか無かった……。
此処までの閲覧ありがとうございました。
麟はスタンドトリガーを2枚抜きドロートリガーを2枚投入して色々工夫していたのですが、ルーミアの本気モード(何時もののほほんとした態度から一転して文字通り真剣になり、相手を徹底蹂躙する理不尽状態になる)となり序盤から攻め立てられてしまい敗北となりました。
麟はこの敗北に如何なる様に成長するか、またチームファンタズマの他の試合がどうなっているかお待ち下さいませ。
次回もよろしくお願い致します、よろしければ感想、指摘をお願い致します。
キャラ設定を見たいですか?
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