いや〜……此処まで長かったですが物語はまだ節目に入ってないと言う……更新速度は遅れ気味ですがまだまだ頑張って行きます。
では、本編へどうぞ。
ファンタズムカップ本選前日の夜、フランは紅魔館のベランダで月を見上げていた。
明日はファンタズムカップ本選、今まで表立った試合に出場する機会を得られなかった自分が、少々長い話し合いの末漸くレミリアから大会に出て良いと許可を出して貰い、その実力を幻想郷中に知らしめる絶好の舞台。
それが間近に迫り高揚感が抑えられず、少し興奮して眠れなくなっていた。
「(明日、明日は私の大舞台のデビュー戦。
私が凄く強いんだってのを皆に見せつけてやれる舞台…………お姉様にもそれを見せて私はかなり強くなったって知らしめられる。
ついでに神霊廟の連中が出場して当たったらそれも倒して鼻を明かす機会でもある。
そう、明日私の目標の一つが…………)「妹様、そろそろ寝ないと明日早く起きれませんよ?」
あ、ごめん咲夜!
今寝るよ〜…………そう、明日がお姉様や他の人達に私が強くなったと認めて貰う、その目標が叶う日なんだ……絶対に試合で負けてやるもんか!」
フランは自身の目標の一つ……レミリアに認めて貰うと言う、今まで機会が無く出来なかった物。
それが叶う日が来た事を噛み締め、興奮が更に増し吸血鬼特有の血の様に紅い瞳が更に紅く輝きを増していた。
そんなフランに咲夜が話し掛け寝る様に促し、フランはそれに従い腕に力を込めながら自室に戻って行った。
そんな妹の姿を陰からこっそりと見ていた姉の存在に気付かぬままフランドール・スカーレットはファンタズムカップ本選に込める想いを胸の中に詰め、デッキにも込めながら眠りに着くのであった。
そして現在、東側の選手入場口をチームスカーレットデビルズが、昨晩の興奮を更に増しながら意気込むフランが何時もと同じ様に歩き、そして入場口から試合会場へとその足が歩を刻む。
その光景は観客席のモニターにも映され観客達が、蓮子達がフラン達を見守っていた。
そしてフラン達の視線の先、西側の入場口から位がそれなりに道士服を着てそれなりに位の高い帽子を被る少女、物部布都を中心にキョンシーと亡霊、更にその道では有名な邪仙と身長の高い金髪の男……風貌から察するにヴァナ人らしき者の計5名が横一列に並びながら試合会場へと入って来る。
その5名こそがチーム尸解仙であり、ヴァナ人らしき男をブロントさんがモニター越しに見た瞬間、驚いた表情を見せながら声を上げた。
「アイツは…………『カムラナート』⁉︎」
「あれ、ブロントさんの知り合いなの?」
「あ、あぁ。
俺の居た世界、ヴァナでちょっとした有名人だった奴だ。
アイツの兄弟共々少しナメた真似をしたので俺やヴァナの冒険者一同がシメたんだが、ヴァナが幻想の淵に消え掛かった末に幻想郷とヴァナの一部が融合した際に何故かアイツも復活英語で言うとリザレクションしてその後はこの幻想郷でヴァンガードファイターになってそれなりに有名になっていたんだが、俺が修行しに行った辺りでアイツの活動がパタリと途絶えて行方知れずに「あの〜まだ長くなりそう?」おおっとこれは失礼した感。
総評として奴は誰かとチームを組んだり従うなんて真似はしない偏屈な奴だと言うのは確定的に明らか。
もっとナイトジョブならば俺の様に礼儀正しくて皆のお手本になる様に努めるべきだな」
ブロントさんはチーム尸解仙の男がかつてヴァナ・ディールにて起きた一つの騒動、その中心人物の1人であるカムラナートだと認識し、少々長く少々ブーメラン気味な説明を蓮子達にし、蓮子達もカムラナートと言う男の事を何となくではあるが理解し、更にブロントさんの言であるチームを組みたがらないのに何故チーム尸解仙として出場したのかを不思議がりながらモニターを見ていた。
そのモニター内、試合会場でフラン達と布都達が相対しながら整列し、司会達の説明を待つ。
「はい、両チーム全員集まりましたね。
ではこれより第1試合を始めますがその前に対戦形式とルールを説明しましょう。
先ず本選の全試合はチーム全員による一斉ファイト制になります!
両チームが5名同士の場合は全員で対戦し、勝ち星を多く獲得したチームが次の試合に駒を進める事となります!
また総当たり戦にあたりファイトの組み合わせはファンタズムカップ運営がランダムに選出し、手持ちのファイカにメールとして即時送信されますのでファイカはしっかりONにして下さい!
更にこの第1試合の様に片方のチームが人数が少ない場合は人数が多いチームが片方に合わせて、この場合はチーム尸解仙がチームスカーレットデビルズに合わせて代表4名で試合を行います!
そして、この時チーム人数が4名で2:2と2人が勝利した場合はこの2人の内どちらかが代表となり延長戦を行い、勝った方が次の試合へ進みます!
なおこの延長戦で人数が多いチームは控えに回ったメンバーを試合に出す事は出来ません、あくまで試合をして勝った人の中から延長戦代表を選出します!
なので誰が出るのか良く考えてから試合に臨んで下さい‼︎」
そして司会の文から試合形式やルールの説明が行われ、試合参加者全員がそれを聞き控えに回す人によっては延長戦で勝てる確率が相性によって高くなる事も低くなる事も一律に増えると察し、観客や尸解仙以外の参加者達がチーム尸解仙が今回5名の中から誰が控えになるかと注目し始め、そのチーム尸解仙の5名は少し話し合った結果布都、カムラナート、亡霊の蘇我屠自古、キョンシーの『宮古芳香』が代表4名になり控えに邪仙『霍青娥』が回る事となった。
そしてフラン達のファイカにメールが届き、メイド妖精が芳香と、世紀末執事妖精がカムラナートと、小悪魔が屠自古と、フランが布都と言う組み合わせとなりそれぞれがそれぞれの対戦相手と相対する様に並び替える。
すると試合会場の床に突然切れ目が入り、それぞれのメンバーが一定間隔で離れる様に床が動き、更にフラン達試合参加者の目の前にとある装置…………メリーは見覚えがある物がモニターに映る。
「あれは……ギアース!?」
メリーは驚きの余り声を上げてしまい、観客達も会場が変形した事やギアースのデッキ登録台が現れた事に驚きザワつき始める。
そう、この試合会場は可変式の巨大なギアースを用いた会場であり、その為観客席と試合会場が別々になっていたのだ。
「ありゃま、大きな試合会場が更に広くなっちゃった。
てか明らかに建物の外観と内部構造のサイズやからが一致しないんだけど……「ふふふ、これが我ら神霊廟と月と河童が協力して作り上げた本選試合会場だ!
紅魔館の当主の妹君よ、今お主はその顔からしてこの神霊廟が用意した会場のえんため性に度肝を抜かされてしまっている、そうであろう!」
いや全然、ああ成る程河童が関わってるならこの変に凝った機能も納得だよ」
フランが変形した会場に視線を泳がせていると対面側の布都がその様子から驚きを隠せてないだろうと話し掛けて来る。
が、別にフランは驚いてなく寧ろ外観と構造が一致しない事を疑問に感じ思考を巡らせていただけであり、布都の口から河童達(と月)の協力でこうなったと聞き納得するに至る。
そうこうしている間に全員がデッキ登録台に自らのデッキを置き、それが内部に取り込まれ読み込みが終了したと同時にファイトディスプレイが表れFVを裏向きで置く様に操作し、ホログラムのデッキも自動シャッフルされ初期手札が目の前に浮かび、それを入れ替えたり入れ替えなかったりして準備を終え全員FVに手を掛け司会の文の合図を待つ。
「(いよいよ始まる、私の怒涛のデビュー!
絶対に勝ってやるんだ‼︎)」
「では、第1回戦始めて下さい‼︎」
『スタンドアップ・ヴァンガード‼︎』
「『魁の
「出でよ、『ドラゴンナイト サーデク』‼︎」
「我が拳に応えよ、『
「『革の戒め レージング』」
「『テレスコープ・ラビット』‼︎」
「『
「『アモンの眷属 バーメイド・グレイス』!」
「来な、『ハーブリンガー・ドラコキッド』!」
全員が一斉にスタンドアップし妖精達やチーム尸解仙4人のクランが判明する。
執事妖精はその筋肉隆々な見た目に違わず〈スパイクブラザーズ〉、メイド妖精は〈グレートネイチャー〉である。
対して布都は〈かげろう〉、屠自古は〈なるかみ〉、カムラナートは〈ジェネシス〉、そして芳香は〈リンクジョーカー〉と観戦モニターにそれぞれが4等分に映り、蓮子達に馴染み深い(因縁深いとも言う)クランばかりが其処にあった。
「チーム尸解仙、何ともまぁ因縁深いクランばかりな事で……」
「(さて、連中がどんなファイトを仕掛けて来るかフラン達のファイトと一緒に見させて貰うぞ…………蓮子達を狙うなんて舐めた真似を止めさせる為にもな)」
魔理沙がチーム尸解仙の使用クランに言及する中ブロントさんはファイトスタイルを見極めるべく見に集中する。
その様子を見て蓮子達も試合観戦に集中し、フラン達の応援を始める。
「いよいよ始まりました本選第1試合!
注目はフランドール選手VS物部選手‼︎
チームリーダー同士の対戦ですので激闘必至ですよ‼︎」
「フランドール選手は〈シャドウパラディン〉、展開しつつ味方を退却しヴァンガードを強化するクラン。
対して物部選手は〈かげろう〉、相手のリアガード退却が得意なクラン。
互いに噛み合うクラン同士、どちらが先に息切れを起こしてしまうかで結果が変わるファイトになりそうですね」
「先攻は私、ドロー!
『無常の
クローダスはヴァンガードの後ろに移動!」
フラン:手札:5
布陣
R 無常マスカ R
R クローダス R
「ふむ、『
我の手番、ドロー!
我は『英気の炎 アエトニキ』にライド!
サーデクはヴァンガード後列へ移動させ、そのままバトルフェイズへ移行しマスカレードにアタックする!
ドライブチェック!『バーサーク・ドラゴン』「え、あれ、『バーサーク・ドラゴン』⁉︎
そのカードを使う人今は滅多に見かけないのに……ダメージチェック!『幽幻の
ふん、どんなカードも使い様ぞ。
例えそれが最初期のカードだろうと上手く使えば銀の弾丸となろう。
我はこれにて手番終了!」
布都:手札:5
布陣
R アエトニキ R
R サーデク R
アエトニキVSマスカレード:7000+5000VS7000=ヒット
ドライブチェック『バーサーク・ドラゴン』
ダメージチェック『幽幻の
布都:手札:6
フラン:ダメージ:1
実況解説がそれぞれ盛り上がる中でフランは手札にある妥当なユニットにライドし、布都がどんなユニットにライドしドライブチェックで何が捲れるかを見ていたが、意外な事にその捲れた物は『バーサーク・ドラゴン』……ヴァンガード最初期のカードであり、『ブラスター・ブレード』のスキルと対になるグレード2『以下』のユニットを
「ほう、バーサーク・ドラゴン……あのユニットを使うとはあの太子の部下は中々面白い古参主義なようだな」
「皆、バーサーク・ドラゴンって何なの?」
「ヴァンガード最初期のカードで私のコレクションの『ドラゴニック・デスサイズ』……メリーなら確か、『レリックマスター・ドラゴン』ってユニットが居ただろ?
それらと同じコストで相手のグレード2以下のリアガードを退却させるスキルを持ってる奴さ。
まぁ矢鱈滅多に見ないカードの1枚って思えば良いさ。
しかしアレを採用するとなれば、あのアエトニキ……相手ユニット退却時にソウルへ行き、ダメージ2枚を表向きにするだけじゃまだコストを補えない。
〈かげろう〉は
ブロントさんも何やらファイターとしての目を輝かせていた為か蓮子はバーサーク・ドラゴンがどんなユニットかと聞き、魔理沙がコレクションの中のカードやメリーが所持し、結局コストの関係から採用しなかった『レリックマスター・ドラゴン』の名を挙げ、それらと同じコストの退却スキルを持つと答え、更にコスト補充手段が布都のデッキには幾つかあるとまで口にし注文する。
そんな中でメリーは布都のFVであるサーデクを見て少し思い返し……ブライトとの苦い初ファイト時にもあのユニットが使われていたと思い出し、メリーは布都のデッキ構築に少し予測が出来た為、彼女が次に何をするかを見る為蓮子やブロントさん達みたくファイトに集中し始める。
「私のターン!
ドローしてそのままライド、『ブラスター・ダーク・
ブラスター・ダーク・
「あら、あれって咲夜が持ってる『ブラスター・ダーク・
「うむ、
そしてフランが今ライドした奴こそが
メリーはフランがライドしたブラスター・ダークを見て咲夜の持つブラスター・ダークと似ている事を指摘すると、ブロントさんはあちらはレギオンメイトとして後から出た別ユニット、フランの使うブラスター・ダーク・
そう言えばとメリーはレミリアの‘‘Diablo’’等も居ると思い出し、蓮子の『ブラスター・ブレード』みたく様々な種類が居るのだと思うに至っていた。
「更に更に、前列に『督戦の
バトルフェイズ、ドリンでアタック!「ふむ、ノーガード『リザードソルジャー グローム』」
グローム……確か
ドライブチェック!『
やったクリティカルトリガー‼︎
全てブラスター・ダークに付与‼︎」
「ふむ、ダメージチェック『ガトリングクロー・ドラゴン』『引』『ドラゴニック・バーンアウト』まぁこんな物かのう」
督戦の
ドリンVSアエトニキ:7000VS7000=ヒット
ダメージチェック『リザードソルジャー グローム』
ブラダ撃VSアエトニキ:9000+5000VS7000=ヒット
ドライブチェック『
ブラスター・ダーク・
ダメージチェック『ガトリングクロー・ドラゴン』『引』
布都:手札:6→7 ダメージ:3
フラン:手札:5
「フランドール選手、物部選手を追い立てる‼︎
流石注目選手の1人、中々素晴らしい試合運びをしております‼︎」
「特にプレイミスも見当たりません、上手くファイトの流れを掴みつつありますね。
しかしファイトはまだ序盤ですので物部選手の動きによってはまだまだ先が分かりませんでしょう」
司会の文が白熱した実況をし、豊姫が的確な評価を下す中でフランはクリティカルトリガーを引き当て、
布都にダメージ3を与え一気に追い上げ出す。
しかし今のアタックをブロントさん等は布都がわざとダメージを受け、CBコストを確保したと感じており次から動き出すと考えていた。
「ドロー。
『ベリコウスティドラゴン』にライドじゃ。
更に『ガトリングクロー・ドラゴン』、『バーサーク・ドラゴン』をコールし、
ガトリングクローのスキルで
これでバトルフェイズじゃ、サーデクの支援、ベリコウスティでヴァンガードにアタック!
ドライブチェック『ドラゴンダンサー バルバラ』『治』ふむ、ヒールトリガーじゃ。
パワーはバーサークに与えダメージを回復。「ダメージチェック!『ブラスター・ダーク・
ベリコウスティのスキル、ヴァンガードにアタックヒット時、ダメージを1枚表向きにする。
バーサークでアタック、14000じゃ!「
ふむ、手番は終了じゃ」
ベリコウスティドラゴン:P9000、C1
ガトリングクロー・ドラゴン:P4000、C1、『引』
バーサーク・ドラゴン:P9000、C1
ドリン、クローダス:退却
ベリコウスティVSブラダ撃:9000+5000VS9000=ヒット
ドライブチェック『ドラゴンダンサー バルバラ』『治』
布都:ダメージ:0/3→1/2
バーサーク・ドラゴン:P9000+5000=14000
ダメージチェック『ブラスター・ダーク・
バーサークVSブラダ撃:14000VS9000+10000=ガード成功
布都:ダメージ:1/2 手札:6
フラン:ダメージ:2 手札:4
布都のユニットのスキルによりフランのリアガードが全滅し、ヒールトリガーとベリコウスティドラゴンのスキルで実質ダメージコストが2回復し幾ら同じダメージ数でもフランが劣勢になっていた。
更にドリンが退却された事でブラスター・ダーク・
「クローダスが退却されたから次のフランのターンはブラスター・ダーク・
更にリアガードが居ないから結構展開もキツイ。
あの物部布都ってファイター、的確にフランの首を絞めてるわね、油断ならないわ……」
「成る程……システムユニットが居なくなって身動きが出来ないって訳なのね。
私のデッキで言えばギアウルフやウルニギン、持っているカードも含めたらギアホークとかも…………でもまだ序盤。
此処からがファイトが激しく動き始めるわ」
蓮子は状況をザックリとメリーに伝え、更に布都が油断出来ないレベルのファイターである事も告げ未来の秘封倶楽部の2人、そして魔理沙達も固唾を飲み始める。
メリーもクローダスやドリンを自身の有するカードに例えてフランが如何に動き辛いか理解し、しかしまだ序盤だとも口にしてファイトを見守る。
そう、今はまだまだ4ターン目が終了したばかり、この次の5ターン目から大体ファイトが激しくなり始めるのだ。
「私のターン、スタンド&ドロー!
『幽幻の
さあ来て、『黒衣の
タルトゥのスキル、
もう一度来て、ドリン‼︎
更に反対の前列に無常の
まだまだ、ファイトは此処からだよ‼︎」
幽幻の
黒衣の
フラン:手札:2 ダメージ:0/2
布陣
タルトゥ モルドレッド 無常マスカレード
ドリン R R
フランは気合を入れ直しブレイクライドスキルを持つモルドレッドにライド、更にタルトゥとマスカレード、タルトゥのスキルで再度ドリンをコールし、若干欠けているが3回アタックの態勢を整えてファイトは此処からと高々に叫ぶ。
他のチームメンバーも皆似たり寄ったり(強いて言えば小悪魔が優勢程度の違い)の状況で、フランの声を聞き気合を再度入れてファイトに臨み始める。
それらを見てチーム尸解仙はそれぞれの反応を見せながらそれを迎え撃つ態勢になる。
第1回戦はいよいよ本格的に激闘の様相を見せ始め、ファンタズムカップの本選らしい雰囲気になりつつあった。
此処までの閲覧ありがとうございました。
最近忙しくなったりメンタル面が不安定になったりで筆が進まないのが辛たんです……。
さて、次回は決着回になりますが果たしてどちらが勝つかはお楽しみに。
次回もよろしくお願い致します。
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