闘争こそ、我が日常也て   作:鎌鼬

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OS見て来ました……感想、キリアスが尊い……!!

映画のキャラの背景も中々しっかりしていてグッド。

結論、面白かった(小学生並みの感想)




ゴーアンドゴー・3

 

「はぁ……」

 

 

何時間戦ったのだろうか?寝転がって気が付いたのだが、高かったはずの太陽が沈みかけて空が朱色に染まっている。HPを見れば黄色だが左腕は骨折していて足は打撲だらけ。アイアンソードの耐久値もあと5%のところまで削られている。

 

 

絶対にステータスに疲労がつくだろうなと考えながら身体を起こして周囲を見ればリトルペネントの死体の山。その中で疲労困憊で倒れているユウキとシノンと襲われていた少年、そして赤になっているHPを回復させる為にポーションを飲んでいるヒースクリフの姿が見えた。

 

 

HP的には危なかったんだろうがこいつが一番元気そうなのに納得がいかない。

 

 

「全員生きてるな?」

 

「うぼぁ〜……」

 

「なんとかね……」

 

「き、キツイ……」

 

「いや、大変だったが乗り切れたようだな」

 

「なんでお前が一番元気そうなんだよ……」

 

 

ノンストップで延々と襲い掛かって来るリトルペネントを惨殺しまくったおかげかアイテムボックスに入りきらないほどのドロップアイテムと、大量の経験値を手に入れることが出来た。途中でトラブルにダイブしたのだが、当初の目的は達成出来ているので問題ないだろう。

 

 

「ヒースクリフ、そいつ持て。俺はユウキとシノン持つから」

 

「まぁ、流石に今の状態で夜を過ごしたくは無いな」

 

 

今の時間は夕方、つまりこれから夜が来る。万全の状態ならば兎も角、今の状態で夜を過ごすのは流石に勘弁願いたい。飯を食って武器を変えればいけないこともないが。

 

 

妙に元気だとは言っても夜を森で過ごしたくないのはヒースクリフも同じなのか、異論を挟むこと無く少年を背負ってくれる。それを見て倒れているユウキとシノンの胴体に腕を回し、抱えるように持ち上げる。文句の一つでも言われそうだかこんな状態なので許してほしい。

 

 

幸いな事にあの騒動のおかげで駆逐出来たのか、モンスターと出会う事なく村に戻ることが出来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっと、助けてくれてありがとう。俺はキリトって言うんだけど……」

 

「気にするな。困った時はお互い様ってな」

 

 

村に帰って助けた少年ーーーキリトをヒースクリフに任せ、ユウキとシノンをベッドに放り込んでそのまま寝落ちして翌日。お礼と改めての自己紹介を兼ねてキリトの奢りで飯を食ってるのだが……

 

 

「アグアグムグムグガツガツ……!!」

 

 

ユウキが並べられた料理を凄い勢いで平らげている。取り敢えず人数分適当に頼んだのだがその半分がすでにユウキの胃の中に消えているのだ。昨日は帰ってそのまま寝た為に何も食べていなかったので気持ちとしては分からないでも無い。だが食べ過ぎだ。懐事情でも気にしているのかキリトが縋るような目で俺を見てくる。

 

 

「あ〜ユウキ……」

 

「ガルルル……!!」

 

「……ほら、俺のいるか?」

 

「いるッ!!」

 

 

無理でした。だって注意しようとしたら邪魔するなら殺してやる的な視線で俺のことを見てきたんだよ?初めてあんな視線で見られたわ。俺のフレンジーボアのステーキを渡すことで目は元に戻ったのだが代わりにキリトがうな垂れていた。ごめんな、だけど金は出さない。だってここはお前の奢りと決まっているから。

 

 

「ふむふむ……」

 

 

シノンもユウキほどでは無いが食べる事に集中している。今はシチューを飲んでいるが、味付けでも気になるのか真剣な目付きになっている。流石は我が家のオカン。

 

 

「すまない、エールのお代わりを」

 

 

ヒースクリフはヒースクリフでエールを水のように飲んでいる。昔は水よりもアルコールの方が安全だとかで好まれていたらしいがSAOでも同じ仕様にしてあるらしく、エール一杯一杯の値段は安い。だが量が多ければ関係ない。すでにヒースクリフの前には10個以上からになったジョッキが置かれている。このペースならまだまだ飲みそうだ。

 

 

「他の奴らがあんなんだから俺が代わりに紹介しとくわ。あのがっついてるのがユウキ、シチューに集中してるのがシノン、それであのエールジャンキーがヒースクリフな」

 

「名前は分かったからもう少し手加減を……」

 

「ヤダ。すでに言質は取ってある。すんませーん、ステーキ追加で」

 

「ひぎぃ」

 

 

あいよーという女将の威勢の良い声に反して死にそうな声を出しながらテーブルの上に崩れ落ちるキリト。ユウキほどではないがこちらも空腹なのだ。幸いにも〝飢餓〟と〝疲労〟は付かなかったがそれでも空腹は感じているし疲れもある。少しでもハラに何かを詰めたい気分なのだ。

 

 

「ところでキリトはどうしてあんな事になってたんだ?実付きでも割ったのか?」

 

「……いや、MPKだ。コペルっていうプレイヤーに嵌められたんだ。そいつは〝隠密〟で逃げ出して、理解出来なかった俺はその場に取り残されてあぁなったんだよ」

 

 

ユウキの目を盗んで獲得したサンドイッチを頬張りつつどうしてリトルペネントに襲われていたのかを聞くとMPKという聞きなれない単語が出て来た。語感とあの時の状況からモンスターを使ったPKということは理解出来る。だがどうしてそんなことをしたのかが理解不能だ。

 

 

SAOをクリアするにしても人手は少しでも多い方が良いだろう。この村に真っ先に来ているのならクリアを目指しているはずだ。それなのにクリアの妨害をするような真似をしている。愉快犯か、それとも何か目的があったのか分からないが、少なくともそのコペルというプレイヤーを見かけたら殺す事にする。

 

 

SAOのシステム的にはモンスターをけしかけたのでコペルが生きているのならカーソルはグリーンのままだろう。だが明確な意図があってキリトを殺そうとした事には変わらない。その矛先がユウキやシノンに向けられたら……そう考えるだけでゾッとする。

 

 

「ふぅん……ま、俺たちが近くを通りかかってて運が良かったな」

 

「あぁ、本当に感謝してるよ……だからもう少し手加減を」

 

「スイマセーン!!これとこれとこれお願いします!!」

 

「私はこれとこれを」

 

「エールの追加を」

 

「んじゃ、俺はこれとこれとこれね」

 

「お願いだから人の話聞いてくれよぉ!!」

 

 

そのあと、キリトの財布が軽くなるまで散々飲み食いしまくった。

 

 

 




キリト登場!!なお、役割は財布だった模様。


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