闘争こそ、我が日常也て   作:鎌鼬

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ホロウクリスマス・3

 

 

「で、なんでキリト連れて帰ったのを見て波キリなんていう悍ましい言葉と男の娘スキーとかいうパワーワードが出て来たんだ?」

 

「お、重い……!!」

 

「痛い痛い痛い痛い……!!」

 

 

四十九層でレベリングをしていたキリトに呼び出されて〝決闘(デュエル)〟をし、終わった途端にキリトが倒れたので借りている宿屋に連れて帰ったらユウキとシュピーゲルに不名誉な呼ばれ方をしたので現在罰を下しているところである。

 

 

キリトはベッドに投げ捨て、ユウキには四つん這いにさせてその上に座り、シュピーゲルには片手でアイアンクローをしている。

 

 

「おら気張れや、座り心地が悪いぞ」

 

「ひゃん!?」

 

 

ユウキが俺の体重を支えきれなくなって震えて来たので喝を入れる為に尻を叩く。セクハラ?リアルじゃお仕置きでよくやってたからセーフセーフ。

 

 

「ね、寝てるキリトを持ち帰ったから……!!」

 

「ロ、ロリコン、キチガイ、ホモと様々な呼ばれ方をしているウェーブさんに男の娘スキーの称号を与えようと……!!」

 

「倍プッシュだ……!!」

 

「ヒギィッ!?」

 

「グワァ……!!」

 

 

アイテムボックスから両手剣を取り出して質量を増やしてユウキの負荷を増やし、力をさらに込めてシュピーゲルに与える痛みを増やしてやる。

 

 

ロリコン、キチガイ、ホモ……攻略組じゃあ俺は色んな呼ばれ方をしている。ロリコンはユウキとシノンとアルゴを連れているから、キチガイはいつもの言動から、ホモはPoHに狙われているからだろう。どれも揶揄い半分だし、事実なので否定しないで逆に開き直っていたら定着してしまったのだ。これなら厨二チックな呼ばれ方をされている方がまだマシだ。

 

 

まぁ、そういう呼ばれ方はあるにはあるんだけど。

 

 

「で、実際はどうなのよ?まさか本気で波キリとかじゃないでしょうね?」

 

「その悍ましいパワーワードは止めてくれ……!!あれだ、どうもキリトはここ最近無茶なレベリングしていたみたいでな、疲れが溜まってぶっ倒れたんだよ。フィールドで会ったしそのままにしておく訳にもいかなかったんで連れて帰ったんだ。OK?」

 

「オ、オーケぇ……!!」

 

「衆道は認めない……ッ!!」

 

「ねぇって言ってんだろうがぁ!!」

 

「ンンッ!?」

 

 

顔が青くなって来たシュピーゲルを投げ捨て、違うと言っているのに俺がホモであるとした上で否定してくるユウキの尻をさっきよりも強めに叩く。叩いてから気がついた。なんかユウキの息が荒くなってる。さっき出した声もどこか艶っぽかったし。

 

 

「ユ、ユウキちゃん、大丈夫?」

 

「な、なんかね……痛みが気持ち良くなってきた……!!」

 

「ペンペンぺんっと」

 

「気持ち良さを通り越してただ痛いィッ!?」

 

「気持ち良く感じさせない痛みの出し方なんて把握済みなんだよ。ドMな知人から拷問してくれと頼まれてイラっとしたから精神崩壊寸前まで拷問してやった事があるからな」

 

「もう何を突っ込んだらいいのか分からないんですけど!?」

 

 

危うくユウキを新しい世界に踏み入れさせるところだった。そんなことをしたらユウキの両親に合わせる顔が無い。適当に罰を与えたところで気は晴れたので立ち上がってソファーに腰を下ろす。俺が退いたことでユウキは床に五体投地で倒れているが、その顔はどこか不満そうだった……踏み入れて無いんだよな?

 

 

「ただいまぁ……」

 

「疲れタァ……」

 

 

ユウキが新しい世界に踏み入れたかどうかを考えているとアルゴとストレアが帰ってきた。クリスマスイベントの情報を集める為にアインクラッド中を探していたせいか2人の顔には疲れ切っている。だからなのか、アルゴとストレアはろくに確認もしないで俺が座っているソファーに倒れこんできた。2人の頭が俺の膝の上に乗る。

 

 

「お疲れさん。もう少しで飯が出来るから休んどけ」

 

「あう〜……」

 

「情報の整理しないと……」

 

「手伝うから後回しにしろ。疲れて作業しても纏まらないぞ」

 

 

片手でストレアの頭を撫でながら、もう片手でウインドウを操作しようとしているアルゴの手を止める。今日は22日で、クリスマスイベントがあるとすれば24日か25日かのどちらかだろう。アルゴが早く情報を纏めたいのは分かるが流石に疲労困憊な状況でそれをさせる訳にはいかない。

 

 

前に放置してたら完全にラリってる状態で情報を纏めていたからな。

 

 

「見なさいシュピーゲル、あれが出来る男がする飴と鞭よ」

 

「さっきまで鬼畜だったのに今じゃ頼れるお兄さんに……!!」

 

「凄いなウェーブさんは……」

 

「むぅ……エーくんは私だけを見てよ」

 

「ユナ……」

 

「さて、岩塩はっと」

 

「おっと、2人に投げるつもりだな?」

 

「楽しそうだな、お前ら」

 

 

ノーチラスとユナがいちゃつき始めるとユウキとシノンがそれに反応して、シュピーゲルがそれを止めるというのが最近の流れになっている。見ていて飽きない、あと楽しそうだから混ぜて欲しい。

 

 

「そう言えばユイちゃんはどうしているの?まさか放置してるとかしていないわよね?そうだったらズドンするわ」

 

「エギルのところで預けてるってさ。しかもエギルの店を手伝ってるって話だ。なんでも時期が時期だからサンタ衣装で売り子させてるって言ってだぞ。そのおかげで売り上げが数十倍に跳ね上がってウハウハだとか」

 

「相変わらずエギルさんの無双っぷりがヤバイな」

 

「ていうかユイちゃんがサンタ衣装着ただけで売り上げが数十倍になるって……」

 

 

まぁユイはプレイヤーにとっての癒しだから仕方がない。攻略組に関わっていると頭のネジが外れてぶっ飛んでしまう奴しかいなくなるのだが、ユイは変わらずに純粋なままなのだ。その純粋さから汚れていることを自覚しているプレイヤーは浄化されて悶え苦しみ、ユイコンとかいう宗教に目覚めるんだとか。

 

 

俺は悶え苦しむことは無いのだが、会うたびにおじさんと呼んでくるのは勘弁して欲しい。俺はまだ26だ。おじさんでは無い。

 

 

「ご飯できたわよ」

 

「良し、飯にするか。シュピーゲル、キリト起こしてくれ」

 

「アイアイサー」

 

 

このままユイについての話を掘り下げると俺の心にダメージが入りかねないのでシノンの発言で切り替える事にする。クリスマスイベントについてキリトにも話さないといけないしな。

 

 

 






ユウキチ、新しい世界に踏み込みそうになる。ウェーブはセーフと思ってるけど側から見たらほとんどアウトっていう……

大天使エギル、天使ユイにゃんにサンタコスをさせて無双する。流石は大天使と言う他ない。


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