闘争こそ、我が日常也て   作:鎌鼬

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勢いで新しいSAOの小説書いたから、読んでみてネ!!(ステマ)




フリータイム・3

 

 

ネームドボスハンティングの翌日、俺は1人で二十四層のフィールドを歩いていた。二十四層は二十五層の前段階だからなのか比較的穏やか……に見えて周りの風景に擬態しているモンスターが犇めき合うという別の意味で殺意溢れる階層だった。〝索敵〟か〝看破〟のスキルを四百台にまで上げていれば問題なく見つかる程度の隠密だが、中層プレイヤーだとレベルを上げることを優先していてスキルを上げないという者が多く、中層プレイヤー殺しと認識されている階層である。

 

 

すでに攻略を終えた前階層に何故来ているのかと言えば、二十四層では他の階層では見つからなかった物が見つかったからである。それは、鉱山だ。それまで鉄などの金属はNPCの商人からしか買取が出来ず、ネズハを始めとした鍛治職のプレイヤーや商人のプレイヤーはNPCから金属の買い付けを行なっていたのだが、二十四層で鉱山が見つかった事により自分たちの手で鉱石を入手する事が出来る様になった。

 

 

無論誰もが好き勝手に取れるという訳ではなく、鉱山はエギルのギルドの監視下に置かれていて需要と供給のバランスを見極めた適切な量が採取されている。

 

 

そして現在の二十四層鉱山〝採掘場〟は、発見された時以上の賑わいを見せている。

 

 

STRを育てた筋肉隆々のプレイヤーたちがタンクトップ姿にツルハシを持って坑道に向かう姿を筋肉フェチの女性NPCやプレイヤーが黄色い声を上げて応援している。あれは確かエギルプロデュースによる〝マッスルツアー〟だったか。他の人なら気にしない様なところでも商売にしてしまう辺り、エギルの商才が恐ろしく思える。だからこそ、リアルでハタチなのに既婚者で営業者という無双が出来ているのだろうが。

 

 

坑道の近くには採取した鉱石をインゴットに加工する精錬所、そしてそのインゴットを使って装備の生産を行う共同の鍛冶場まで設けられている。この〝採掘場〟はフィールド扱いで圏内などでは無いが、擬態をして獲物を待ち伏せるというモンスターの性質故に、モンスターが寄ってこないので比較的に安全なのだ。それでも危険はあるのだが、そこは数の暴力でどうにか出来るとエギルは言っていた。

 

 

実際、偶々迷い込んで来たモンスターがツルハシを担いだプレイヤーたちにリンチされている。

 

 

それに、万が一の為にキチンと備えはしてあるのだ。

 

 

「よっす、オルランド」

 

「む、ウェーブ殿では無いか」

 

 

鎧に身を包み、マントを羽織って〝採掘場〟の徘徊をしていたのはネズハが所属しているギルド〝伝説の勇者(レジェンド・ブレイブス)〟のリーダーであるオルランド。彼らはエギルに雇われて〝採掘場〟の警備をしている。実力は〝血盟騎士団〟レベルなのだが、エギルに雇われたり中層プレイヤーの助けをしたりで攻略の参加はやや控え目なところがある。

 

 

それでも攻略に参加すれば〝血盟騎士団〟レベルの働きをしてくれるだけありがたい事だ。〝アインクラッド解放隊〟とは違うのだ。

 

 

「ネズハに会いに来たんだけどどこにいるか分かるか?」

 

「ネズオならば今は専用の鍛冶場にいるはずだ。アルゴ殿から依頼があったとかで酷く興奮した様子だったぞ」

 

 

ネズハの居場所を聞けば嫌な顔一つしないで真面目に答えてくれる辺り、オルランドは人格者だと思う。実際に、エギルプロデュースの〝マッスルツアー〟の参加者の数人が、筋肉を見てキャァキャァとアイドルの追っかけみたいに騒いでいたのにオルランドを見たら乙女の顔になっている。

 

 

オルランドだけでは無く、攻略組で戦っているプレイヤーや攻略組では無いが実力のあるプレイヤーというのは基本的にモテる。良くも悪くも名前と顔が広まっているので、プレイヤーだけで無くNPCも攻略組の存在を知っているのだ。

 

 

まぁ、何人かの目立たないプレイヤーに関しては名前だけが広まっている状況だが。

 

 

礼を言ってオルランドと分かれ、共同の鍛冶場とは別の、ある一定までスキルの熟練度を上げたプレイヤーに与えられる専用の鍛冶場に向かい、ネズハの鍛冶場を見つける。

 

 

そして扉を開くと、そこには上半身裸で恍惚とした表情を浮かべたネズハが、打ったであろう剣の腹に頬擦りをしていた。

 

 

俺はそっと、扉を閉めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやはや、お見苦しいところをお見せしました」

 

「見苦しいどころじゃねぇよ、SAO内なのに吐くかと思ったわ 」

 

 

ある意味正気を疑う様な冒涜的な光景を目にした俺は正気に戻ったネズハに呼び止められて専用の鍛冶場に入った。鍛冶場の中はついさっきまで使われていたのか熱が篭っているが、まだ我慢出来る程度の暑さだ。

 

 

「ところで今日はどんなご用で?」

 

「サブ武器のメンテナンスとアルゴが頼んでた奴の様子を見にな」

 

 

ネームドボスハンティングで耐久度が下がってしまった〝サイズブレード〟をネズハに手渡し、アルゴが頼んでいた〝朽ちた剣〟の修復の進行具合を聞く。アルゴの予想が正しければ、今回の二十五層の攻略の鍵となるのは〝朽ちた剣〟だ。大砲やバリスタは〝ザ・ファフニール〟と互角に戦う為の装置でしか無い。

 

 

「……中々手荒く使われたみたいですね、ウェーブさんに言われてた通りに耐久度特化にしてなかったら壊れてたかも。それとアルゴさんからの依頼の品ですね?正直、修復だけならもう終わってるんですけど……」

 

 

そう言ってネズハが出したのは一本の両手剣。さっきまでネズハはこれに頬擦りしていた様な気がするが……気の所為だな。

 

 

「その剣は〝竜殺しの剣〟と言ってカテゴリーは見た通りに両手剣なんですけど……切れ味はこれまでで確認された刀剣類の中でもダントツ。だけど耐久度は反対に最低で、恐らく十回も切れたら良い方だと思います。それに性能としてドラゴンタイプのモンスターへのダメージ増加がありますけど、それとは別にドラゴンタイプ以外のモンスターへのダメージカットも付いています」

 

「つまり、完全なドラゴン特攻って事か?」

 

「そう言う事です。ぶっちゃけると武器や兵器としては下の下ですね。たった十回も切れずに、しかも特定のモンスターにしか使えないんですから。あと、その剣を装備するのにはSTRの他にも〝両手剣〟のスキルの熟練度600以上が必要です」

 

「600ねぇ……まぁ、攻略組を探したら見つかるだろ」

 

 

攻略組のメンバーは大体自分がメインに使う武器のスキルと〝隠蔽〟〝索敵〟辺りはカンストしている。この武器を使える該当者も探せば見つかるだろうが、問題はこの武器を任せるだけの実力があるかってところだな。

 

 

「メンテは直ぐに終わるのでストレアさんの様子でも見に行ったらどうですか?」

 

「まぁ会いに行くつもりだったけど……大丈夫か?なんか、こう、目が濁ってるぞ?」

 

「二徹して体力無いですけど気力で動いてる感じですね。一度冷静になったら多分そのまま寝落ちすると思います」

 

「メンテの最中に寝るなよ?」

 

 

メンテナンスの最中に寝落ちして炉に頭を突っ込むところを予想したが、多分大丈夫だと判断してストレアがいるであろう共同の鍛冶場に向かうことにした。

 

 

 





開幕からぶっこまれるネームドボスハンティングとかいうパワーワード。多分ヒスクリやキリトちゃん君辺りならやれそう。

二十四層で発見された鉱山により、鉱石や装備の供給を安定して行える様になりました。なお、エギルとかいうリアル無双がマッスルツアーなるものを開いているらしい。

伝説の勇者(レジェンド・ブレイブス)〟からオルランドとネズハが再登場。キチ波の手で強化詐欺が未遂に終わったので遺憾無く攻略組に参加出来る優しい世界。だけどオルランドがお人好しなので攻略への参加はやや控え目。それでも実力はある。

それとネズハとかいうプレイヤーが上半身裸で恍惚な表情を浮かべながら剣に頬擦りをしているらしい。


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