このすばIF~カズマがチートを選んだら~   作:にゃるめす

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文章作成ってむずかしい。


第2話

「よし」

 気合を入れる。

 平原で、少し離れたところに5匹のジャイアントトードが群れているのを発見した俺は、右手にショートソード、左手に魔法用の杖を構える。

 そして、

 

「剛力」

 俺は一時的に筋力を跳ね上げるスキルを発動させる。

 その後詠唱をして、

 

 「ライトニング」

 

 「ギュエ!?」

 俺の放った一条の雷魔法は、2匹のカエルを貫いた。 

 どうやら上手くいったようで動く気配はない。

 残ったカエル達は驚いたようであたりを跳ね回りだすが、俺を発見するとすぐにこちらへ走り出す。しかし、

 

「はっ」

 俺はすでに奴らに向かって走り出している。

 奴らとの距離がすぐに縮むと、一番手前の一匹に向かって高く跳躍。

 そのカエルの頭に向かい、剛力によって強化された腕でショートソードを振り降ろした。

 

 

 

 この一撃で生きてられるほど、頑丈に出来ていないのは知っているので、着地とともに、すぐさま至近距離ーー2メートルも無いーーにいる二匹のうち一匹に同じように叩き込む。

 直後に残った一匹が、舌で俺の体をぐるぐるに巻きつけてくるが、杖は手放してない。

 だから、

 

「フリーズ」

 カエルの舌の根元に向け、強めに初級魔法の冷気を放つ。

 するとカエルは舌の拘束を解きその場で暴れだした。

 もちろんそんな隙を見逃すはずもなく、容赦なく右手のショートソードを振り降ろした。

 

 

 

 

 

≪冒険者仲間募集中!中級職以上の前後衛を一人ずつ求めています。

 パーティーは現状自分一人ですが、職業は“真の冒険者”で、剣に中級魔法や回復魔法、他にもいくつかのスキルが使えます。スキルポイントがかなり余っているので、要望次第でそのスキルも取ろうとおもっています。是非声をかけてください。 カズマ≫

 

「これでよしっと」

 俺は書き終わったパーティーメンバー募集紙をギルドの掲示板に張り付けて、ギルドの酒場にある一席に座る。

 

 ジャイアントトードに殺されかけてから5日が過ぎた昼ごろ。

 カエル討伐を毎日そして、今朝もこなしていた俺は、もう少しレベルの高いクエストを受けようと考え始めた。

 理由は単純で、俺が強くなったからだ。

 実際に、中級魔法は一日のうちに、結構な回数を打てるようになった。

 お金はかかったが、「ヒール」と「受け身」それから今朝の戦いで使用した「初級魔法」のスキルを教えてもらい、覚えることもできた。

 しかし、俺には一つ問題があった。

 

 それは、この世界についてジャイアントトード以外の知識がほとんどなく、いつまた死ぬような目に合うか,分からないことだ。

 情報自体は、本やギルドの受けつけで手に入るが、現実とのイメージに差があったり、見たことのないものに驚いてしまったりすることは少なくない。

 元の世界を基準にした判断で、通じなかったこともある。(ジャイアントトード然り、サンマは土から生えること然り)

 冒険の最中にまで、それにいちいち振り回されたくはない。

 

 よって仲間を募集することにしたのだ。

 募集要項が中級職以上且つ人数が少ないのは、大人数のパーティーではいろんなスキルを持っていても自分の価値がないからだ。

 少数精鋭型のパーティなら、自分の汎用性の高さを生かせると思う。

 

「にしても、いろいろ変わったなあ俺。」

 酒場の椅子にもたれながら、ふと思った。

 引きこもりだった俺だが、この異世界に来てから完全に引きこもりしなくなっている。

 ぼろい宿を一応とっているが、夜に寝て、ちょっとした荷物を置くくらいにしか使ってない。

 

「ねえ、」

 あと、筋肉もついた。この世界に来てから体を動かしまくってるおかげだろう。

 仕事をすることの大変さも分かった気がする。

 

「ねえ、聞いてるの?」

 服装もジャージではなく、三日前に購入した、この世界のものを着用している。

 そういや、元の世界ではいt

 

「ねえってば!」

 

「あjんどcふぁ!?」

 一人考えていると、耳元で大きな声がした。

 俺は突然のそれに驚き、椅子ごと体を倒してしまう。

 倒れた体を起こそうとすると、目の前に満足そうにした銀髪いけm・・・女の子の顔があった。

 

「やっと気づいてくれたね。」

 ボーイッシュな女の子は、短めの髪を揺らしながら微笑んでくる。

 もっと別のものが揺れて欲しかったが、絶壁に近いそれは揺れるはずもない。

 でも、へそ丸出しの軽装から分かる美しい肌や体つきは高ポイントだ。

 

「ねえ、初めて会った人間にそのあからさまな視線は止めてくれないかな」

 おっと、ばれていたらしい。

 素直に舐めるような視線をやめて立ち上がる。

 

「で、あなたはいったい?」

 

「ん?あたしはクリス。職業は盗賊、パーティーメンバー募集の紙見せてもらったよ。」

 

「!ということは、はいってくれるn」

 

「いや、実は私じゃないんだ。今ここにはいないんだけどね、あたしの仲間の子がパーティメンバーを探してるんだ。それで前衛の枠を少しの間、空けていてほしくて頼みに来たんだよ。」

 

 なるほど、そういうことか。

「わかりました。そういうことなら構いませんよ。・・あれ?クリスはその子とパーティ組んでないんですか?」

 

「組んでるよ2人で。けど私はちょくちょく用があるから、残念だけどいつも組んであげることは出来ないんだ。それにこれから少しの期間忙しくてあえないし。あ、あと私に敬語はいらないよ。」

 

「わかったよ。じゃあクリス、その子はいつ来れそうなんだ?あと名前と職業も気になるから教えてくれ。」

 

 仲間になる奴の情報は気になる。・・・・いや、確定はしてないけど。

「ああ、いいよ。名前はダクネス。女の子で職業はクルセイダー。あと5時間もすれば来ると思うから。」

 

 なるほど?・・・・・!!

「クルセイダーって、騎士の上級職の、あのクルセイダーか!?」

 

 RPGでは強い職業だったのでこれは期待できる。

 何が何としても仲間にしよう!

「そ、これ以上は本人が来てからのお楽しみにしてね。」

 

「了解です」

 なんて今日はついてるんだろう!

 あれか?俺の幸運の高さのおかげか!?こんな感じですぐに強い仲間が手に入るのか!?

 もしかすると俺はこの幸運の高さで、魔王討伐も本当に出来ちゃうのか!!??

 そんな風に浮かれていると、クリスが何か言いたげにこちらを見ていた。

 

「どうかしたのか?」

 

「・・・えっと君って“真の冒険者”だよね」

 

「ああ、そうだけど」

 

「実はさ、盗賊のスキルをダクネスを待ってくれるお礼に教えたいんだけどさ・・・・」

 ・・・・なんだと!

 

「ぜひお願いしますなんでもいいのでいっぱい教えてください!」

 

「えっ!?でも盗賊のスキルはスキルポイントが1か3必要なものが多いから、君の必要スキルポイント半減の効果が活かせないんじゃない?」

 ?・・・・!そういうことか。

 クリスはどうやら、俺のスキルポイント半減の能力はスキルポイント1の物には適用されず、3の物では2になると考えているのだろう。

 しかし違う。

 

「大丈夫だぞ。必要スキルポイントの数値が奇数でも、小数点がついて効果はちゃんと発揮されるから。1ポイント必要なら0.5ポイントになるだけだぞ。」

 

「えっ、嘘!そんなのありえないよ!」

 

 有り得てるんだが・・・・・

 「・・・・そんな変なことなのか?」

 

 「だって、“真の冒険者”の能力でそんなことできるはずがないですし!絶対にありえないよ!」

 ・・・・・・・あれ?

 

 「落ち着けクリス。口調おかしくなったぞ」

 

 「あっ」

 クリスは顔を赤くさせて、急に黙り込んでしまった。

 もしかして、

 

 「素は敬語なのか?」

 

 「ち、ちがうよそんなわけないじゃんなにをいっているんだいカズマ!?」

 最後の俺の名前以外無駄に棒読みな上、早口だったのでごまかしているのはバレバレだ。

 

 「無理はしなくてもいいのですよ、おそらく、盗賊職だから敬語は似合わないとかお思いになって、そんな口調にしたのでしょう。クリスさん、早く楽になりませんか?きっと女神エリス様も、あなたが無理をなさる姿を望んでいませんよ。」

 

 「望んでる!絶対に望んでるから!」

 あわてるクリス。

 俺はその肩に手を置き、

 

 「・・・・・・・・無理してたんだな。」

 「違うからーーーーーーっ!」

 

 ☆☆☆☆

  街の中の、人の少ない幅広の道。

  俺は今、ここでクリスに盗賊のスキルを教えてもらっている。

  俺はひとしきりクリスをからかった後、謝罪としてクリムゾンビアーを一杯おごり許してもらい、その後再びスキルを教えてもらう話に戻ったのだ。

  しかし、未だ俺の必要スキルポイントが少数単位で半分になることを信用してくれていなかったので、試しに「逃走」という、ポイント1のスキルを教わり、冒険者カードに記載された未収得スキル覧の中をみせてやると、驚愕の表情を浮かべていた。

  それでもなかなか納得しようとせず、同じくスキルポイント1の「潜伏」「気配遮断」「敵感知」のスキルを次々に教わり習得したが、やはり0.5という必要スキルポイントは変わらなかった。

 

「次は窃盗を教えるから」

 クリスは諦めず1ポイントのスキルを教えてくる。

 

「なあクリス、俺の能力ってなんか問題あるのか?」

 

「え?」

 

「だって、そんなに焦って認めようとしないし、あり得ないだのなんだのいってるし。」

 

「文献ではカズマみたいに小数点がつくなんてこと書いてなかったからだよ。」

 クリスは存外にあっさりと答える。

 が、

 

「でも真の冒険者って、俺がなるまで50年間は現れてないんだろ?その文献が間違ってるんじゃないのか?」

 情報は都合のいいように伝わるものだ。

 その文献が正しいことを記載しているとは限らない。

 文明レベルが中世止まりのこの世界の文献を、この世界の住人はそこまで信用しているものだろうか?

 

「そ、そうかもしれないね。」

 クリスは頬の傷跡をひっかきながら目を泳がせている。

 ・・・・・・あやしい

 

「じゃあ、文献が正しかったとしたら、なんでそう認めようとしないんだ?俺の場合たまたまそうだったってことになると、何か不都合でもあるのか?」

 

「えっと、そんなことはないけど・・・あっそうだ!ねえバインドってスキル覚えたくない?」

 

「話題を変えんな」

 絶対に何か隠してるなこいつ。

 額から汗が流れ出してるし、

 

「あの、その・・・これ以上は聞かないでくれると嬉しいな」

 言葉を少しの間考えていたクリスだが、とうとう観念したのか、誤魔化すのをやめた。

 

「・・・・クリスの知っていることは俺にとっt」

 

「大丈夫だよ。カズマにとって不利益になるようなことじゃないから。・・・だから、」

 

「分かった。これ以上は聞かないよ」

 

「はぁ、よかった。君って案外頭が良いんだね。」

 

「案外って失礼だな。こう見えても俺は、ネトゲで名を馳せたことのある男だぞ?巨大パーティーの幹部として、手のかかる奴らを必死にまとめた俺からすればこんなの朝飯前だぜ。」

 決して運よく勘が働いたとか、運がよかったとかそんなのではない。

 

「ねとげ・・・?よくわからないけど、カズマがすごいのはわかったよ。じゃあ改めてスキルを教えるね。」

 クリスは俺のほうに片腕を向けて、

 

「スティールっ」

 瞬間、俺のズボンの右ポケットが軽くなる。

 そして向けられていた片腕には、

 

「あ!俺の財布が!」

 

「そう、これがスティール。相手のものをランダムに一つ奪い取るスキルだよ。幸運が強い人ほど良いものを奪い取りやすくなるから、カズマには最適のスキルじゃないかな?」

 なるほど、確かに最適だ。

 

「それじゃあ、あたしから財布を奪い返してみなよ。本当に運が良ければ、あたしのダガーが盗れるかもね。」

 48万エリスもした業物らしいそれを、自慢気に見せつけてくる。

 俺は冒険者カードを操作して「窃盗」を習得。

 そしてクリスにむけて右手を突出し、

 

「スティールっ!・・・・ってなんだこれ?」

 クリスから何かを奪ったっぽいが、自分の財布でもダガーのような硬い感触でもない。

 俺は自分が握りしめた、温かくてちょっと湿ったそれを広げてみると、

 

「おおっ!当たりも当たりっ大当たりだーーーーー!」

 

「キャーーーー!パンツ返してーーー!」

 

「イイイイイヤッハッーーーー!」

 純白のパンツをかかげ、何度もそれを振り回す。

 これほどの幸せが今までの人生にあっただろうか?いや、ない。

 

「パンツ振り回すのやめてーーー!」

 クリスが目に涙を浮かべながら訴えてくる。

 ・・・・さすがに良心が

 

「やめて欲しかったら、金を払ってください。」

 痛む。

 けれど仕方ない!仕方ないんだ!

 俺の体はこの喜びを表したくってしょうがないんだ!

 悲しいけど、辛いけどっ!せめてお金をくれないとこの衝動は治まらないんだ・・・っ!

 

「分かった!分かったから!えとえーっと、いくら払えばいいのっ!?」

「自分で決めてください。」

 なんて良心的なんだ俺はっ!

 価格を相手に決めさせるなんて、文明化社会では早々ありえないっ

 

「そ、そんなの無理だよ!」

「ならやめn「わかった!有り金全部あげるからやめてーーーーーっ」るよ」

 

 クリスから有り金を巻き上げ、ついでに自分の財布を返してもらった俺は、パンツを振り回すのをやめる。

 ・・・・・ってあれっ

 

「なにその手?」

 クリスはパンツを返せとばかりに右手を出している

 

「なにって、お金あげたんだからパンツ返してよぉ。」

 泣き顔で訴えてくるが、

 

「俺は振り回すのをやめるっていっただけで返すなんて言ってないぞ。」

 

「えっ」

 絶望で染まった表情でこちらを見てくる。

 

「あの、どうすれば返してくれますか?」

 あっ、素が出た。

 

「なら二つ頼めるか?」

 クリスは絶望で染まった表情をそのままに首を縦に振る。

 

「じゃあ一1つ目は、何としてもお前の仲間のダクネスを俺の仲間にすること。」

 

「えっ?」

 予想したものと違ったのか、クリスは表情をもとに戻し首をかしげる。

 

「2つ目は、お前が忙しくなくなったら、俺のパーティーに入ってダクネスとも一緒に冒険者をすること。これができるんだったら返して・・ってうわっ」

 

「ありがとうっ」

 クリスはそういって泣きながら抱きついてきた。

 ・・・・・・ってあれ?俺って今、自分で追いつめて慰める的なことやってた?

 あっれー?これも俺の幸運のおかげか?

 

 その後、俺は泣いて抱きついてきたクリスを落ち着かせてパンツを返し、雰囲気でクリスの金も返した。

 そして、ことが終わった頃にはだいぶ時間が経っていたので、2人でギルドに帰った。

 クリスが妙にくっついてきたから、帰路は恥ずかしかった。

 

 

 

 

 

 俺はこれから、クリスに頼んだ2つのことによって後悔するのだが、それを今は知る由もない。




にゃるめす「カズマァァァァッぁ!お頭を落としやがって許さんぞぉぉぉ!」
カズマ「えっ、でもなんか自分でも知らないうちに・・・・」
にゃるめす「次回っ「このカズマに後悔を!」」
カズマ「えっちょっ!俺どうなるの!?」

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