このすばIF~カズマがチートを選んだら~   作:にゃるめす

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第1話

「ねー、はやくしてー?どうせ何選んでも一緒よ。引きこもりのゲームオタクには期待なんかしてないから、なんか適当に選んでさくっと旅立っちゃって。なんでもいいから、はやくしてーはやくしてー」

 

「オ、オタクちゃうし・・・・・っ! 出かけて死んだわけだし、引きこもりでもないから・・・・・・・っ」

小さな震え声で言い返すが、アクアは自分の髪の枝毛をいじらながら、俺には全く興味なさげに

 

「そんな事どうでもいいからはやくしてー。この後、他の死者の案内が、まだたくさんあるんだからね?」

 

 いいながら、アクアはスナック菓子をポリポリと・・・・・・。

・・・・・こいつ、初対面のくせに人の死因思い切り笑ったり、さっきからちょっとばかし可愛いからって調子乗りやがって。

 アクアの投げやりな態度にカチンときた

 はやくしてー欲しいか?

 ならそうしてやるよ。

 異世界に持っていける“もの”だろ?

 

「……なら、あんt」

 

 言いかけてやめた。

 異世界にこいつ持って行ってもロクなことにならない気がする。

 謎の勘がそう強く訴えている。

 それはもう凄まじいまでに。

 圧倒的なまでに。

 異常なまでに。

 呼吸が荒くなるほどに。

 動悸がするほどに。

 落ち着け、冷静になれ佐藤和真。俺の死因はなんだ?盛大な勘違いによるショッk・・・・ここはこらえて素直にチートを頂こう。

 

「・・・・・・これはなんだ?」

 アクアから渡されたカタログの中から、気になった一つをたずねる。

 

「ん?それは、職業“真の冒険者”とスキルポイント25のセットね。真の冒険者は、どんなスキルも必要スキルポイントの二分の一でしゅとくできる超レア職業で、ステータスの伸びも高いわ。ごくごく・・・スキルポイントのおまけは、この職業はレベルが低いと最弱職の冒険・・はむっ。しゃとたいしてかわらなゴックン・・いから、すぐに死なないための保険よ。」

 

「しゃべる途中で飲み食い始めんのやめろ」

 なんかただのクズ女にしか見えなくなってきたなコイツ。

 

「うーん」

 ・・・・にしても、どんなスキルでもか。

 魔王に職業やステータス、スキルポイントという単語から大体レトロRPGのような世界観であることは予想づいた。

 しかし、実際に異世界を見たわけではない。

 下手な魔剣や聖剣、怪力や俊足の力よりこれを選んだ方が無難な気がする。

 

「ねーこれでいいの?いいわよね?ほら、転生の準備するからさっさと立ちなさい」

 ・・・人の言葉を待つ気ねーなこいつ。

 こんなのが本当に女神なのか?

 

「わかったよ。ほら、立ったぞ。」

 言われた通りに立つと、俺の足元に青く光る魔法陣があらわれた。

 

「佐藤和真さん。あなたをこれから異世界に送ります。魔王討伐のための勇者候補の一人として。魔王を倒した暁には神々からの褒美として、どんな願いでも一つだけ叶えてあげます。」

 ・・・・・・どんな願いでも?

 そうか、そうか。

 いいことを思いついた。

 

「なら、その暁にはお前を俺の奴隷にしてもらうわ」

 

「・・・・・・ぷーくすくす。あんたみたいなヒキニートが魔王を討伐できるわけないじゃない!あなたバカなの?ほんとのほんとにバカなの?いーひひひひ。あっごめんなさい。あなたの死因は・・・・・ぷーくすくす」

 

「はっ そんな風に笑っていられるのも今のうちだぞ?俺は本気だからな!お前の泣きわめく姿が目に浮かぶようだ!」

 

「やれるものならやって見せなさいな、どうせすぐに死んでしまうに決まってるわ」

 

「んだとコラ!よし決めた!お前はただの奴隷じゃなく性奴隷にしてやる!」

 

そんなバカなやりとりをしながら俺は明るい光に包まれた

 

 

 

 光に包まれ異世界転生した後、俺は異世界の光景に圧倒されたり、親切な人からギルドまでの道を教えてもらい、何とかギルドに到着して、ギルドの受付嬢に冒険者についての説明やスキルなどの説明を受けたりした。そして

 

「真の冒険者?!え、うそ?!しかも初めからスキルポイントがこんなに・・・・」

 

 待ち望んでいた展開が来た。

 巨乳できれいな受付嬢のルナさんは、俺の冒険者カードを手に驚いている。

 

「あの、そんなに強い職業なんですか?」

 そんなの知っているがわざわざ知らない振りをして聞く

 

「ええと、強いというより、これは非常に珍しい職業ですね。何せ同じ職業の人は、五十年前に亡くなって以来現れていませんから。」

 あれ?ちょっと違う。・・・いや、確かあの生意気女神はレアとは言ったが、強いとは言ってなかった気がする。

 

「あ、でもちゃんとこの職業は強いですよ!どんな職業のスキルでも二分の一のスキルポイントで取得可能な上に、レベルアップによるスキルポイント取得量は、運が良ければ2ポイント増えることもあります。その上ステータスの伸びもかなり良いです。スキルは、本職の人たちのように職業補正はありませんから弱くなりますが、それでも基礎ステータスが良いので実際の効果は誤差の範囲に収まります。しかも、和真さんは幸運が非常に高いですし、初めからたくさんのスキルポイントを持っているので、もしかしたら魔王討伐も可能かもしれません。」

 アクアから聞いてない情報があったがまあいい。

 

「じゃあこれにします。」

 

「分かりました!では真の冒険者・・・・・・っと。冒険者ギルドへ、ようこそサトウカズマさん。スタッフ一同、今後の活躍を期待しています!」

 

 こうして俺の異世界生活がはじまった。

 

 

 一週間後、俺は日本の常識が通じない異世界で苦労しながら日当制の仕事をして金を稼ぎ、転生特典として預かったらしい金も使って、ショートソードと魔法用の杖を購入した。

現在俺が持っているスキルは、気のいい戦士と、重戦士、モンクから教えてもらった「剣」と「剛力」に「回避」のスキル。

 最後に「中級魔法」のスキルだ。

 街中での攻撃魔法は禁止されているが、運よく街中で「中級魔法」を連発する光景をみる機会があったから習得することができた。

 ちなみに、おれの今のステータスは貧弱なので、杖を使用しても2発撃てれば良い方だが今は気にしない。

 使用したスキルポイントは合計で7,5。中級魔法には5も消費したが、憧れの魔法を取得できたので、よしとする。

 

 さて、なんで俺がこんな話をしているのかと言えば、俺は今、“ジャイアントトード”五匹の討伐依頼を受け、郊外の平原に来ているからだ。

 期限は三日で、敵は大きいらしい。

 が、どうせただのカエルだ。せいぜい体長1メートルが限度だろう。そんな敵に、スキルで強化された俺が負けるはずがない。

 しかも金属を嫌うらしいので、ショートソードを持ってれば大丈夫。

 チートも持っているのだから一人で十分だ。

 

 

「ぎゃーーーーーーーーーー!」

 

 ・・・・・・そう思っていた時期が俺にもありました。

 俺は今、カエルに追っかけられている。

 大きさは、約2メートル。想像の倍だ。

 ・・・いや、これでは誤解を招く。ただしくは、“体高も体長も2メートル” だったのだ!

 

「程度わきまえろよ!ふざけんな」

 日本のカエルの何倍だ!

 言いながら逃げる。 が、

 

「おわっ」

 カエルはそんな俺の叫びを聞くはずもなく追いつき、俺の体へ長い舌を巻きつけそのまま捕食しようと・・・・

 

「ああああああああ!」

 

 

 俺はパニックになった。

 頭がロクに回らない。

 身動きの取れない体を必死に動かした。

 カエルは、暴れる俺を飲み込むことが出来ずじっとしている。

 俺は無意識に、カエルの舌に巻かれてない、右手で持った剣をカエルの頭に何度も叩き込んだ。

 必死に、がむしゃらに、何度も何度も。

 涙を流しながら。

 ・・・そして何度目だろうか?何度もたたきつけている内に、気付けば舌の拘束が解け、ジャイアントトードは死んでいた。

 

「はぁ、はぁはぁはぁはぁはぁ。」

 

 地面にへたり込み、荒くなった息を整える。

 パニックになった。

 危なかった。

 もしかしたら死んでいた。

 今冷静に考えてみると、なんで魔法もスキルも発動しなかったのだろうと思う。・・・・・いや、

 

「・・・何にも、できなかった。」

 おそらく俺は、あのカエルを簡単に倒せていたのだ。

 それだけの力はあった。

 スキルを発動せずに勝てたのだから。

 けれども俺には無理だった。

 強い力を手に入れて、有頂天になって、調子に乗って一人でクエストを受けた結果がこれだ。

 

 「なさけないなぁ・・俺」

 呆然と空を眺める。

 空は暗くなった俺の心とは対照に青々と明るい。

 ・・・・・・・・・・・なぜだろうか?急にあの、青い髪の糞女神をおもいだした。

 この空をみていると、人の気持ちを考えないあいつが「ぷーくすくす」と、俺をバカにしているような気がしてならない。

 ・・・・・頭の中で何かがぶちぎれる音がした。

 

「やってやんよ。糞女神! おまえをこの地面に這いつくばらせてやっからなーーー!」

 

 俺は、再び立ち上がり、次の獲物を探し始めた。

 

 

 

 

 「はー 生き返るーーー」

 

 俺は今、アクセルの町の大衆浴場で体をあらっている。

 あの後俺は、ちゃんとスキルを使いながら戦えるようになった。

一日で、五匹のジャイアントトードの討伐に成功し、ギルドに報告して11万5000エリスの報酬をもらった。

 途中でレベルが上がりステータスが上昇したことが、一日でクエストを完遂できた要因だろう。

 自分ではっきり分かるくらいに身体能力が上がったことが分かった。

 

 「・・・・・にしても、まさかあんなにカエルがでかいなんてなあ」

 ここは異世界なのだと改めて実感する。

 そういや、カエルがあの大きさだとほかの生き物たちはいったい・・・・・・考えるのやめよう。

 怖すぎる

 

 「お、お前新参者のカズマか?。聞いたぞ、一人でジャイアントトード五匹つぶすなんてお前なかなかやるな。」

 一人異世界の生物に恐怖を覚えていると、後ろから声をかけられた。

 後ろを振り向くと、くすんだ金髪が特徴のダストという青年がいた。

 文字通りゴミのような男で、よく軽犯罪をしては警察にお世話になっているらしい。

 事実として俺は三日前に、この男が街中で酔った勢いに魔法使いの女の子を犯そうとし、その反撃に中級魔法を何度もくらわされている光景を目撃している。

 その光景をたまたま見たおかげで俺は中級魔法を覚えることが出来たのではあるが・・・・いろいろとなんか、ひどい。

 と言うか、

 

 「・・・・もう釈放されたのか」

 こいつは先ほどの強姦未遂で逮捕されていた気がする。

 

 「ん?牢屋の中でぎゃーぎゃー騒ぎまくって飯をたかりまくってたら、すぐに出してくれたぞ。」

 ・・・・・・・・ひどすぎる。

 

 「て、いうかなんで俺のことしってんだ?」

 ダストが聞いてくる。

 

 「街であんたのことを、知らない人なんてほとんどいないと思うぞ。」

 コイツの名前は一日に一度は聞く。

 「たしかに俺は名の知れた冒険者だな!はははははは」

  悪評で。

 

 その後俺たちは、いろいろと話しをして気が合いすぐに友人になった。なぜすぐに友人になれたのかという疑問が翌日に湧くが、同じクズだからということに気づくのは少し先のはなしだ。




 ここでオリジナル設定を。
 ジャイアントトードは金属を嫌い、それらを身に着けた相手は捕食はしません。
 ですが遊びに、自分より弱そうな相手を例え金属を身に着けていても襲うことがあることにしました。

 「剛力」スキルは、本作特有の、自分自身のみを対象とした「重戦士」の基本スキルにしています。

重戦士は名前の通り重装備なので、一時的な筋力アップのスキルもあっていいかなと作ったものです。



処女作なので、
生暖かい目で見てくれたら嬉しいです。

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