地理がよくわからない:(;゙゚'ω゚'):バスジャックあたりうまく書けるか、ちょっと不安です。
お台場にてーー
モランは東京都港区台場にあるフジテレビの屋上に来ていた。彼女の服装は上下とも茶色のスーツだ。
空は黒雲に覆われ、今にも大雨が降ってきそうだ。
「ここからならいいですね」
屋上から見える光景をしっかりと目に焼き付ける。
台場の建物と湾岸道路、りんかい線がよく見える。
モランは地理を確認し終えると、肩に担いでいる虎のキーホルダー付き狙撃ケースからL96A1を取り出した。イギリス軍で制式採用されているボルトアクション方式の狙撃銃である。
銃床先端部に折りたたみ式の二脚を装備し、銃床の下部にも補助脚が追加されている。
「チッ!邪魔です」
モランは鬱陶しそうに狙撃銃に装着されているスコープ、L1A1テレスコーピック・サイトを取り外した。
彼女はスコープ無しでも、通常時700m先の標的を狙撃できる。センス(感覚)に身を任せれば、1000m先の標的も狙撃可能だ。今日のような悪天候であっても問題はない。
ならば何故、わざわざスコープを装着していたか。それは零から「狙撃手って、スコープ越しで狙った方が様になるよネ。あと、風速計も使うといいネ」と言われているからだ。しかし、今日に限っては風速計・スコープ無しでの狙撃が許可されている。
「ほら、早く交通止めになりなさい。撃ちますよ」
狙撃銃を構えた先ーーレインボーブリッジに向かって、モランは呟く。レインボーブリッジでは車が往来を繰り返していた。
モランはトリガーに指を添えるが、撃ちたいという衝動を抑える。
彼女はムカついていた。それはもう凄くムカついていた。
動機は遠山 金次だろう。
自分が敬愛する主である零が金次とアリアのやり取りで動揺した。普段のキャラが丸潰れ、えっ、主っていつからこうなったの⁉︎と思わずにはいられないくらいに。
その原因、諸悪の根源(自分が言うな)である遠山 金次にモランは激怒していた。
憂さ晴らしに眼前を通る車両を狙撃しそうになるが、そんな事をすれば零の計画がご破算になるくらいは、今の彼女にも分かるのでグッと我慢する。発砲が許可される''その時''まで。
「一服しますか」
モランはポケットからトルコ葉とバージニアを乾燥させたモノを取り出し、紙に巻いて火を着けると、スゥーと吸って、はぁーと吐いた。
すると、さっきまでの憤怒が嘘のように冷めていった。
武偵高にてーー
「会長〜この書類にもサインお願いしまーす」
「はーい、そこに置いておいて(ちょっと仕事が多すぎるよモリちゃん‼︎)」
零ではなく、零に変装(有料で)したアップルは生徒会室で仕事に追われていた。
零から自分に化けて生徒会に出席してほしいと、依頼されて請け負ったのはいいが、朝一番に登校、その後は生徒会室で役員とともにミーティング、書類整理、予算分配、銃検手続き、挙げるだけで頭が痛くなりそうな仕事量だ。
「(お金を貰ったからにはモリちゃんを演じるけど、コレは聞いてないよー‼︎私死んじゃう)」
「会長?どうかしましたか?」
「あ、うん。何でもないよ」
役員の生徒に声をかけられ、アップルは零の声で返す。
アップルは生来の泥棒だーーそれも超一流の泥棒だ。他人に成り済ますなど、朝飯前だがコレだけは朝飯前とはいかない。
絶対に仕事が面倒で私に押し付けたな......
零に変装した事を嘆いていると、
ーーガラ!
「みんな遅れてごめんなさい」
副会長の白雪が遅れてやってきた。おそらく、所属するSSR科のクエストで遅れたのだろう。この光景は生徒会ではお馴染みらしく、他の役員は気にしていない様子だ。
「おはよう白雪さん」
「おはようございます零さん。遅れてごめんね」
「いいって、いつもの事だし。ついて早々で悪いけど......」
「あっ!うん。ちょっと待ってね。すぐに淹れるから」
アップルは白雪に仕事を手伝ってもらおうと声をかけたが、白雪は別の事と捉えたらしく、生徒会に備えられているポットの方に向かった。お茶でも淹れてくれるのだろうか。
「はい、零さん専用」
そう言って白雪がアップルに差し出したのは、真っ赤なお茶だった。見事なまでに真っ赤なお茶だった。
「えーっと、コレは何かな?」
アップルは白雪に訪ねる。彼女の本能が言っている。コレはヤバイ。飲んだらヤバイ。
「え?何って、零さんがいつもの飲んでる零さんスペシャルだよ?」
「そ、そうだったね。ははは、因みに何を入れていたっけ?」
「えーっと、七味、唐辛子、ババネロ、練り辛子、わさびだよ」
「あっ、そうだった。私、うっかり忘れてたよ。淹れてくれてありがとうね」
「どういたしまして」
白雪はニッコリと笑う。彼女には悪意はない。白雪は零本人からこのお茶を淹れてほしいとお願いされているからだーー純粋な善意だ。アップルは知らないだろうが、零は生徒会でこのお茶を平気で飲む。他の人が飲めばどうなるか?それは......
「(誰か助けてェェェェ‼︎)」
これだけはお金ではどうしようもない。
強襲科棟前にてーー
「何だい騒がしいナ」
「ナんだろな」
ボニーとクライドは強襲科棟の外で、往来する強襲科生の姿を眺めていた。2人は愛車である黒塗りのオープンタイプのフォード・マスタングにーーボニーはしゃがんで背を預け、クライドは立って背を預ける。空は黒雲で覆われている。
「酒あるカ?」
「バッカじゃねぇの。アるワケないだろ。強襲科棟に隠してあったビンテージモン全部蘭豹に没収されただろ」
怒りの蘭豹像の一件で2人は蘭豹から抜き打ち検査(強制的な)を受けた。結果、寝ぐらにしている大深度地下都市のボロマンションから、強襲科棟の自室(強奪した)まで調べられ、保管してあった酒類を没収されたのだった。
未成年飲酒で退学か、と思われたが蘭豹は情けとして2人の退学を取りやめた(没収した酒を全て貢ぐのが条件だった)。
「嘘ダ。最後の2本隠してあるだろウ。誰のせいでこうなったと思ってル」
「バッカじゃねぇの。ダれがやるか」
ボニーはクライドに銅像の一件をぶり返して酒を強請るが、クライドは拒否した。クライドも最後に残った自分の酒を片割れとはいえ、ボニーにやるつもりは無い。
「ああー、酒が飲みてエ」
「よっこらせ」とボニーは気だるげに立ち上がる。
「なぁ、モリーの言ってた『武偵殺し』は現れると思うカ?」
「アらわれるんじゃない。モー曰く、キンケツが1人になったら現れるってさ。コりゃ、確実に死地に赴く事になるぜ。明日なき学科万歳てな」
「どこに行ったって、俺たちに明日なんてねぇヨ」
ボニーは空を、クライドは片割れを眺める。2人の目はどこか寂しげだ。
「バロウズ強盗団には今日しかねェ。酒くらい好きに飲みてえもんダ」
「ホらよ」
クライドはスカートのポケットから、スキットルを取り出すとボニーに差し出した。
「あっ!クライド......てめぇ、やっぱ隠してやがったナ!」
「ウるせぇな。ありがたく飲めよこの野郎」
首都高速湾岸線にてーー
ジャックは首都高速湾岸線の東京湾トンネルの品川区出入り口に来ていた。
「......怖い」
出入り口の真上に陣取っているジャックの脚はガクガク震えている。彼は高所恐怖症だ。今いる場所からは八潮北公園、火力発電所がよく見えるーーいい眺めだが、彼からすれば最悪だ。
高い場所が苦手な彼が何故ここにいるか?それは零からここである人物をパスするから受け取ってほしいと頼まれたからだ。
彼女曰く、「走行するバスから投げるから受け取れるとしたら、君しかいない!」そうな。
「......怖い怖い怖い怖い怖い」
早くして、とジャックは心の内で叫ぶ。脚はさらにガクガク震え、今にも高速道路下に落下しそうだ。
ジャンヌ編でメチャやりたいネタがあるのに(泣)
バスジャックが終わったら飛行機まで一気にいこうかな。