私は教授じゃないよ。大袈裟だよ   作:西の家

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始まる学校生活

入学式ーー学校の華やかなイベントに出席し、無事に私はこの東京武偵高校の一員となり、日が経った。

私の専門科は探偵科ランクはA

まだ一年生でわからないーー高校からの編入だったので知らない事もあるが、『聞くは一時の恥、知らぬは一生の恥』というように授業では躊躇なくわからない事は先生や同級生、先輩に聞くことにしている。

高校編入前の期間、蘭豹先生からのスパルタ教育は正直、死にそうだった......

あの先生、生徒に問答無用で銃を撃ってくるんだよ⁉︎それも象撃ち銃と呼ばれるM500!あんな物で人間撃ったら死にますよ。

瞬き信号とハンドサインがわからなくて質問したら「気合いでどうにかしろや!」とか言うのですよ。

無茶だ......まあ、同級生に尋ねたらわかったけど。

 

現在、私は武偵高校の女子寮にいる。

自宅から通うことも考えたが、せっかくなので寮生になった。

えっ、何故自宅から通えるのに寮生になったかって?

どうせ学ぶなら近くーー身近で24時間、武偵の環境下で学びたかったからさ!

父さんは反対しなかった、いや反対する前に家から姿を消した。

自宅には置き手紙があり、そこには『お父さん海外で仕事することになりました♪学校生活頑張ってね♡』と書かれていた。

おまけに今後の生活費が振り込まれている通帳と判子を残して......

帰ってきたら武偵高校にした理由を聞く絶対に!

 

「えーっと、拳銃よし。制服乱れなし!」

 

鏡を見ながら制服に着替え身だしなみを整える。

この制服は防弾性で大概の拳銃から身を守ってくれる。

防弾と銘打っているものの、TNKワイヤーと呼ばれる特殊繊維を編み込んで作られているから銃弾はもちろん、刃物からも守ってくれる優れもの。

最近の科学って本当に凄い。

 

この学校では帯刀・帯銃が校則で決められている。

私がこの学校で最初に衝撃を受けたことだーーどおりで入学試験で学校を訪れた際、道行く生徒が銃を平然とぶら下げていたわけだ。

帯銃する私の銃はウェブリー・リボルバーにしている。

イギリス帝国時代に作られた1887年代の回転式拳銃で、それも初期モデルのウェブリー Mk I。

古い拳銃と思われがちだが、不思議と手に馴染む。

既に製造されていない回転式拳銃ーー何かロマンがありますね!

この銃は私が武偵高校に入学すると知った母さんがわざわざ海外から送ってくれたものだから、大事に使わないとね。

 

「おっと、これも忘れないようにしないと......!」

 

私は玄関に立てかけておいたそれを手に取る。

握りの部分に〈M〉と金色の刻印の入った黒いステッキだ。

これも母さんが拳銃と一緒に送ってきてくれたもので、曽祖父の形見だそうだ。

しかもこれ、仕込み杖で刀剣になっているーー1度抜いてみたが、真っ黒な刀剣だ。

ひいおじいさん......きっとこれを持ってイギリスを歩いていて、ジェイムズ・モリアーティと勘違いされたんだろうな......なんて事はないか!

おっと、早く学校に出かけないと!

玄関を開けて外に出ると、

 

「あ、玲瓏館さんおはようございます」

 

「白雪さん、おはようございます」

 

艶のある黒髪ロングの美少女がいた。

この人は星伽 白雪さん私と同じ高校からの編入生とあって親しくさせてもらっている。

超能力捜査研究科、通称SSRと呼ばれる専門科目に属している。

超能力・超心理学による犯罪捜査研究を行っている学科で、武偵高校でも秘密主義が徹底されている専門科で、関係者以外で詳細を知る者は少ない。

実家が青森で神社の巫女さんをやっているそうな。

確かに巫女服が似合う大和撫子だね。

 

「金次君と一緒に登校するつもりだね」

 

「ふぇ⁉︎ど、ど、どうしてわかったの⁉︎」

 

顔を真っ赤にして動揺した。

いや、この前も一緒に登校してたじゃん。

おまけに動揺してたら1発でわかるよ。

ちょっと、からかってあげよう。

 

「白雪さんは几帳面で真面目な性格をしている。実家が神社とあって生活態度も規則正しい。そんな人がこの時間帯ーー登校時間ギリギリに起きて登校するわけがない。何らかの理由があるとみて考えていい。しかも、この時間帯は金次君が登校する時間帯と被っている。白雪さんは金次君と幼馴染。かなり親しい関係だったね」

 

一旦、話しを区切り白雪さんの方を見つめる。

 

「うん、そうだよ」

 

首をコック、コックと縦に動かしうなづく。

 

「白雪さんは金次君に好意を持っているね」

 

「こ、こ、こ、こ、好意⁉︎いや、私とキンちゃんは幼馴染であって、それで恋び......いや、まだまだ早い......!」

 

また顔を真っ赤にして、今度は蒸気が出てくるような感じだ。

本当にこの人わかりやすいな......

だってこの前、一緒に登校した時ずっと金次君のことを見つめてたからさ、すぐにわかったよーーあっ、白雪さん金次君のことが好きなんだなと。

 

「落ち着こう白雪さん。ほら、深呼吸、深呼吸」

 

「う、うん。ヒッ、ヒッ、フーッ......ヒッ、ヒッ、フー......」

 

「あの......白雪さん?その深呼吸は一体?」

 

「この前、衛生学部の子に教えてもらったの。女性が苦しいとき、この呼吸をすると楽になるんだって。玲瓏館さんもやってみたら」

 

衛生学部の人間よ白雪さんになんてことを教えるんだ......!

この呼吸法は子供を産む......いや、やめておこう。

 

「とりあえず人前ではやらないほうがいいよ」

 

「どうして?」

 

「知らぬが仏という言葉もあるから。きっと白雪さんが知るにはまだ早い」

 

首をコテンと横に傾ける白雪さんに一応、警告はしておいた。

今、知ったらショックで倒れて病院に行くことになりそう。

 

「さて、話が逸れたけど戻すね。白雪さんが登校時間ギリギリに出てきたのは金次君を迎えに行くため。そして一緒に登校するーーどうかな違う?」

 

「大正解だよ玲瓏館さん!名探偵みたい......」

 

名探偵じゃなくても白雪さんの態度を見れば、100人中100人が私と同じように答えるだろう。

でも何だろう?白雪さんから名探偵と呼ばれて気のせいかーーいい気分じゃない。

 

「あの......玲瓏館さん?どうしたの?なんだか顔が怖いよ」

 

「あっ、ゴメンゴメン。気にしないで」

 

そのまま歩くこと数分ーーバス停に到着した。

 

「あ、キンちゃん。おはよう!」

 

「おはよう金次君」

 

「ああ、おはよう。白雪、零」

 

私たちの挨拶に怠そうに答えたのは、ちょっと根暗そうな優男ーー遠山 金次。

専門科目は強襲科でランクはSだ。

 

私が編入試験でまあ色々とお世話になりました。

編入試験後も会う機会があったんだけど、試験の時と比べて性格が違うような気がするんだよね。

試験だから気を張ってたのかな?それとも厨二病は卒業できたのかな。

 

「まーた、そんな挨拶してる。人から嫌われるよ?」

 

「うるせぇ、お前は俺の母ちゃんか⁉︎」

 

金次君って、なんだか面白いんだよね。

これはギャグの才能あり!

 

「はい私は君のお母さんですよ。ママって呼んでもいいよ?」

 

「......ッ......!何朝からふざけてんだよ。誰が呼ぶか」

 

「玲瓏館さんがキンちゃんのお母さん......私のお義母さんに......」

 

「よう!キンジ」

 

「おはようキンジ君」

 

私が金次君をいじっていると、バス停の向こうーー金次君の後ろから2人の男子が歩いてきた。

ガサつな感じのでも優しさが滲み出ている男子は武藤 剛気。

専門科目は車輌科でランクはA。

乗り物と名のつくモノならなんでも乗りこなすことが出来る凄い人だ。

2人目のイケメンかつ礼儀正しく真面目な性格の常識人ぽい男子は不知火 亮。

専門科目は金次君と同じ強襲科でランクはA。

私と同じ一般中出身でよく気が合う。

 

「おはよう白雪さん零さん」

 

「おはようございます不知火君」

 

「おはよう不知火君。今日もイケメンだね」

 

「ははは、褒め言葉と受け取っておくよ零さん」

 

真っ白い歯を覗かせて笑ってみせたーーこれならモテるわけだわ。

 

「おはようございます白雪さん!」

 

「おはようございます武藤君」

 

武藤君が白雪さんに挨拶した。

さて、この態度からわかる人はわかるかもしれないけど、武藤君は白雪さんに好意を持っている。

しかし、悲しきかな......白雪さんは金次君一筋だ。

まあ、頑張れ武藤君グッドラック。

 

「よう零もおはよう」

 

「おはよう武藤君。今日も専門授業でぶっ飛ばしすぎないようにね」

 

武藤君はスピード狂だ。

前に彼が運転する車に乗せてもらったのだが、降りた後で吐きそうになった。

 

「車は飛ばしてナンボだろう?それよりも零。一般科目の数学のここ教えてくれよ〜全くわからん!」

 

「うん?どれどれ......あー、ここね。難しいよね」

 

武藤君はカバンから数学の教科書を広げて私に見せてきた。

失礼かもしれないが、武藤君・金次君を始めとした武偵中出身者は一般科目の平均値が低い。

授業も遅れているような気がしてならない。

この数学も私のいた中学では終わっているモノだ。

 

「武藤君は車が好きだよね」

 

「当たり前だぜ!車輌科に車が嫌いな奴はいねぇ!」

 

「だからさ、この問題を車のスピードと見立ててね......こうしたらわかるかな」

 

私はペンを取り出して、教科書にサラサラと武藤君にわかりやすいように書き足していく。

 

「おお、なんかわかるぞ!そうか車と思えば......ありがとうよ零!」

 

「どういたしまして。専門授業も大事だけど、一般科目も疎かにしたらダメだよ」

 

「それは難しいぜ〜」

 

「ははは、頑張れ頑張れ」

 

困ったように頭を抱える武藤君を見て、思わず笑ってしまった。

 

「ほら、皆バスが来たよ」

 

不知火君が指差す向こうからバスがやって来た。

私たち5人はバスに乗り込み、学校に向かう。

今日もまた新しい一日が始まる。

武偵高校の専門授業は新鮮でワクワクする。

中学では味わえなかった感覚だ。

今日はどんな事が学べるかな......

 

 

 

 

 

 

 




さて、今後の学校生活はどうしようかな。
オリ主が2年、先輩の立場になった話しを書きたいな。

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