ついに彼女が登場します。
金の少女は知らない、己が何者であるのかを。
本の主人は知らない、その身が貪られているのを。
天の龍帝は知らない、自分が求められていることを。
これは『運命』に翻弄された者たちの戦いの記録。
原作がついに始まったと理解できたのは、はやての発言のおかげだった。
『なんかへんな夢を見たんよー。男の子とお化けみたいなのが出てな、助けてーて男の子がいう夢。あれなんなんやろなーいっくん。・・・あれいっくん聞いとる?もしもーし』
ところどころ雑な感じになっているがそれは無視しよう。
はやてが夢を見たと言ってから、だいぶ経ったが特になにか起きていない。原作主人公たちが頑張っているのか、あるいは、転生者たちか。
女神の発言を信じるなら、俺以外の転生者がいることになる。
「いたら、面倒なことになるだろうな」
あげればかなりツッコミどころが多いだろう。
正直かかわりたくないが、この世界の情報はほしい。知らない可能性もあるが、もしなにか知っているなら聞きたい。そうしないと俺の身が危ない、気がする。
そんなわけで今現在主人公と『ジュエルシード』を探している。
転生者はいちいち探し回るよりも主人公を見つけておけば勝手に出てくるだろう。そもそも見たって転生者なんてわからん。俺みたいのなら別だろうが。
-グイッ
突然腕が引っ張られる。
引っ張られた腕を見てみると『天の鎖』が巻きついていた
「ん、見つけたの?」
尋ねると、巻きついていた腕から離れ縦に二回振れた後どこかを指した。
指した方向にまっすぐ行ってみると青い石『ジュエルシード』があった。
先日『天の鎖』が『ジュエルシード』の探索と封印を覚えた。おかげですでに10個以上確保している。どんどん便利になっていく『天の鎖』。いったいなにを目指しているのだろうか。
毎回のように『天の鎖』に封印してもらい、『王の財宝』に入れようとしたところで声がかかる。
「ねぇ、ちょっといいかな」
こ、このnana様ボイスはっ!
にやけるそうになる表情を引き締め振り返ると、そこには金髪の美少女が
「は?」
驚き、つい声が漏れる。
確かに振り返ったら予想通りの美少女がいたが、彼女の姿は予想外すぎた。
金色の髪はバサバサとしており目には隈ができ、全体的にやせ細っていた。
なんだこれ。
そう思ったのは決しておかしくはないだろう。彼女の姿は明らかに異常だった。
そんな彼女はこちらに話しかけてくる。
「ね、それ渡してくれないかな」
渡せ、渡さないなら奪う。そうハイライトさんが退社した目で訴えかけていた。
はっきり言ってかなりこわい。
彼女は手を出し催促してくる。仕方なく彼女に持っていた『ジュエルシード』を渡す(ビビってない)と、ありがとうと言って去っていった。
・・・帰ろう。俺にはこの件は重い、彼女は主人公たちに任せよう。
無理やり自分を納得させ帰宅した。
うんまあこうなるんじゃないかなと思ってたよ。
翌日、学習機能がないのか懲りもせず『ジュエルシード』を探し出し発見したところで昨日と同じように彼女に出会ってしまった一誠。
「はい、どうぞ」
流石にこの後の展開は予想できたのか自分から進んで渡し逃げようとするが、残念彼女からは逃げられない。
「待って」
彼女は一誠の肩に手を置き尋ねる。
「キミ、昨日私より早く見つけてたよね。どうして?」
「・・・ちゃうねん」
そういいなんとか逃げようとするが彼女は許さず一誠は捕まった。
あの後、なぜか彼女の住んでいるマンションに連れ込まれ、事情聴取を行われた。正直に答える必要もないので、なぜかある場所がわかると言うと手伝ってほしい頼まれた。
「わたしにはあれが必要なの。けど私一人じゃもう限界で・・・。だからお願い手伝って!」
・・・断る!と言いたいところだが、万が一『ジュエルシード』が暴走などしたらこの世界がますいし、転生者に会える可能性が高まるため、一誠は迷うが、
「いいよ、手伝おう」
手伝うことにした。色々と理由はあるが、
(ぶっちゃけ、このままだと彼女死ぬかもしれないからね)
チラリと彼女を見る。昨日も思ったが明らかに今の彼女の体は危険な状態だったから。
詳しい話はまた明日というになり、今日会った場所まで彼女に送ってもらった。
じゃあまた明日と言って去ろうとする彼女に待ったと声をかける。
「あんたの名前まだ聞いてないんだけど」
彼女はなにを言っていると一誠を見るが、自分がまだ名乗っていないことを思い出し答える。
「フェイト。フェイト・テスタロッサ。それがわたしの名前」
彼女、フェイト・テスタロッサはほんの少しだけ照れながら名乗った。
フェイトの状態がおかしい。なにがあったかはまた次回で。
関係ありませんがFGOでアーサープロトが出ましたね。カッコイイです。うちのカルデアに来てくれませんかね。