遊戯王GX ユーリな遊利の物語   作:読みイクト

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やっとできました
イマイチモチベーションが上がらなかったけど、ジャギィさんが短編とはいえユーリが主人公の作品を書いてたのでやる気を出せました
後デュエルしようか悩んだんですが他の方の作品見ても書いてない話があったので今回はやめますかってなりました


若本さんの声ってなぜか好きになるよね

「そして、その入り江に行った人は水中に引きずり込まれてしまうっす!」

 

ぐえっと自分の首をしめて、もがき苦しむ姿を演出する翔

 

「レベル4の怖い話だとそれぐらいかー」

 

十代はありきたりだなと呟きながらがっかりとした表情でいた

 

今日はレッド寮の食堂でモンスターカードを引いてそのレベルにあった怖い話をしている

 

先ほどの翔の話はありきたりな話であり、感情移入しすぎでさらに怖くなくなっていた

 

だから正直言ってつまらなかったね

 

「でも遊利の話は興味深かったな。闇のゲームとかやってみたいぜ!」

 

「でもアニキ、負けると魂を抜かれちゃうんすよ」

 

「大丈夫だって、俺強いし」

 

「十代のそういうところが少し羨ましいんだな」

 

隼人の言う通り僕もそう思うよ

 

自信満々なところが

 

「まあ隼人が一番怖がってたからね」

 

そう

 

この四人のなかで一番リアクションをとっていたのは隼人だ

 

だから十代のように色んなことに前向きにいっているところが羨ましいという考えがあるのだろう

 

「君たち何をしているのかにゃ?」

 

入り口の所から聞こえてきた声は語尾に「にゃ」をつけて話す男性教諭でレッド寮の寮長、大徳寺先生だった

 

「引いたモンスターカードのレベルにあった怖い話をしているんだ」

 

「ほう、それは面白そうだにゃ」

 

大徳寺先生はそう言ってカードを引く

 

そのカードはレベル12のF・G・Dだった

 

これは期待していいのかな?

 

「それじゃあこの島にはデュエルアカデミアの特待生の廃寮があるのは知っていますかにゃ。そこでは闇のゲームに関する研究をしていたとか、そんな噂話を言われていますにゃ」

 

「闇のゲームだって!?」

 

僕は椅子を倒す勢いで立ち上がってしまった

 

そんなことになるのも無理はない

 

闇のゲームは命のやり取りをする危険なものだ

 

例え勝ったとしてもその時に発生するダメージは尋常じゃないものである

 

小さい時にそのやり取りをした経験もあるんだ

 

闇のゲームを行った時の感覚を忘れることはない

 

それほどおぞましいものだ

 

そんなものを研究するなんて無謀なことだ

 

「どうしたんだよ遊利。そんなに驚いて。闇のゲームなんて迷信だろ」

 

「すみません。先生、続けてください」

 

迷信じゃないことは置いといてまずは先生の話を聞こう

 

「伝説のアイテムである千年アイテムを使ったゲームなんだけど、どんな風に研究をしてたかは分からないにゃ。先生が赴任したときには封鎖されていたからにゃ」

 

どうやら先生は知らないらしい

 

けど未来からのデュエリストが来たときに未来の十代と一緒に来て見学?した大徳寺先生は幽霊になっていたけど

 

そうなったのは何かの事件が原因で闇のゲームが関わっていたはずだよね

 

なのに知らないって矛盾している

 

まあ後々分かるだろうけど

 

「遊利君は早く帰った方がいいですにゃ。クロノス先生に怒られてしまいますにゃ」

 

「はい。それじゃあまた明日」

 

「おう」

 

「お休みっス」

 

「お休みなんだな」

 

僕は急いでブルー寮に走った

 

着いたときにはもういい時間だった寮についてもクロノス先生に会っても怒られなかった

 

普段から優等生な態度だから軽い注意だけですんだ

 

ーーーーーーーーーー

 

「今日の夜に廃寮に行こうぜ!」

 

次の日になり今日最後の授業が終わった直後に十代は笑顔で言った

 

「どう考えても危ないでしょ」

 

「大丈夫だって。それに翔や隼人も行くんだ。どうせなら遊利も行こうぜ」

 

「はあ、分かったよ。どうせ十代のことだ。行くと言うまで言うんでしょ」

 

「楽しそうなことなのにみんなで行った方がより楽しそうだろ?」

 

十代は当然だろといった笑顔をしていた

 

そして夜になり十代たちとレッド寮で合流し、廃寮に着いた

 

「おー!見るからにそれっぽい雰囲気だな」

 

「不気味っスね」

 

「ちょっと怖くなってきたんだな」

 

三人ともそれぞれの感想を述べる

 

「それで中に入るの?」

 

僕としては闇のゲームに関わっていると言われているこの廃寮の中を覗いて見たいが

 

「そりゃ中に入るに決まっているだろ!」

 

十代はめちゃくちゃ楽しんでいる顔で言った

 

中に入ろうとしたとき

 

「あなたたち!そこで何をしているの!」

 

凄く馴染みのある声が聞こえてきた

 

「「「「明日香(さん)!」」」」

 

皆の声が重なる

 

「ここは立ち入り禁止よ。早く帰りなさい」

 

「それならなんで明日香がここにいるの?」

 

僕はここが立ち入り禁止と明日香は言った

 

しかしそれなら何故明日香がここにいるのか

 

その理由を聞きたい

 

「ここには私の兄さんも行方不明になったのよ。それでこの廃寮で兄さんの手がかりを探すの」

 

「それなら俺たちも見つけるぜ!」

 

「勝手にしなさい」

 

明日香は廃寮の中へ行ってしまった

 

「俺たちも行くぞ」

 

「本気っスかアニキ!?明日香さんのお兄さんも行方不明ってことは単なる噂話じゃないっスよ。ここはやめとこうよ」

 

「僕は興味あるから行くよ」

 

「俺もなんだな」

 

「というわけだ。中に入ろうぜ!」

 

翔の説得空しく中に入ることが決まった

 

ーーーーーーーーーー

 

中に入ると小汚ない内装になっていた

 

無理も無いだろう

 

ここは誰も入らない建物なんだ

 

だから手入れされていない状態になり、汚れてしまった

 

そんな中だが十代があるものを見つけた

 

「これって………」

 

それは千年アイテムの壁紙だった

 

「千年アイテムだね。千年パズル、千年リング、千年眼(ミレニアム・アイ)、千年ロッド、千年タウク、千年秤、千年錠と計7つのアイテムのことを言う」

 

「へえーよく知ってるな。遊利」

 

「まあね。………昔関わっていたからってことは言わない方がいいよね」

 

「ん?遊利、何か言ったか?」

 

「いや、何も」

 

「そっか」

 

そんなやりとりをした後にキャーと悲鳴の声が奥から聞こえてきた

 

急いで奥に進むと途中カードが落ちていた

 

「これは明日香のエトワール・サイバーだ」

 

「明日香の身に何かあったんだよ。隼人、大徳寺先生に連絡のために一人でだが帰ってくれないか?俺たちの身に何かあっても大丈夫なように」

 

「分かったんだな」

 

「十代、翔。行くよ!」

 

「おう!」

 

「はいっス!」

 

ーーーーーーーーーー

 

辿り着いた先には仮面を付けた黒づくめの大男と棺に入っている明日香がいた

 

明日香は意識が無いみたいだ

 

「我が名はタイタン。闇のデュエリストだ。この娘の魂は闇に捕らわれている」

 

「闇のデュエリストだと!?」

 

「遊城十代よ、私とデュエルだ。この娘を助けたいのなら私に勝つことだな。もちろん闇のゲームでな」

 

自称闇のデュエリスト、タイタンと十代のデュエルが始まる

 

だけど僕は気になることがある

 

今いるフィールドには闇の力を感じる

 

この力が何故あるのか

 

この力が何を引き起こすのか

 

それらが分からないから不安であり、分からないから下手なアクションをしてしまうと十代と翔の身に危険が迫る

 

だから何もしない

 

何かが起きたときに対応できるように準備はするけど

 

それよりも十代のデュエルに集中しないと

 

「フフフ、貴様のライフが少なくなることで身体は闇に呑まれていく」

 

そう言いながらタイタンが手に持っている何かが光っている

 

光がおさまると十代の身体の一部が消えていた

 

しかし僕はそれよりもタイタンの持っていたものに注目している

 

「千年パズル!?」

 

「千年アイテムの一つっスか!?」

 

僕の言葉に翔が驚く

 

闇のゲームに必要なアイテムの一つが出たのだ

 

翔は本当に闇のゲームだと信じきってしまった

 

だけど僕は逆に嘘だと分かった

 

兄さんともう一人の兄さん、アテムの闘いの儀で遺跡が崩れて遺跡ごと千年アイテムは地中深くに埋もれてしまったんだ

 

だから見つけるのは難しい

 

それにタイタンの持っている千年パズルには繋ぎ目がない

 

千年パズルはその名の通り立体パズルで出来ているから繋ぎ目があって当然だ

 

であるのにそれがないことからタイタンの持っている千年パズルは偽物だと判断できる

 

「お前たちも分かるだろう。こいつの身体が消えかかっていることが、このデュエルが闇のゲームだということを」

 

タイタンは自慢気な口調で闇のゲームだと言い張るが

 

「十代のなにが消えているって?」

 

僕は確認のために聞き返す

 

「何を言っている。今まさに遊城十代の身体の一部は消えているではないか」

 

「………どこも消えてないけど」

 

これは本当だ

 

十代の身体をよく見ても消えている部分はない

 

「何言ってるっスか遊利君!タイタンの言う通りアニキの身体が消えちゃっているっスよ!」

 

「それじゃあ翔に聞くけど十代の何処の部分が消えているの?」

 

「そりゃあ腰から膝までの部分っスよ」

 

翔は指さしながら言う

 

「何言ってるんだ翔。胸の部分が消えてるだろ?」

 

翔の言うことに十代は別のところを言う

 

「え?」

 

「どういうことだ?」

 

二人が疑問に思っている中、僕は二人の言うことが噛み合ってない理由に目星がついた

 

「二人とも。何で二人の言うことが違うのか分かったよ」

 

「ほんとっスか!?」

 

「教えてくれ遊利!」

 

「その前にまず聞かないといけないことがある。タイタン」

 

「何だ。聞かなければいけないこととは」

 

「その千年アイテムは何処にあったの?」

 

「エジプトの遺跡にあった」

 

「ふーん、なるほど。それじゃあどんな風にあったの?」

 

「遺跡の最深部に丁寧に飾られていた。一体この質問は何だ」

 

「質問の意味は後で分かるよ。それより質問を続ける。千年アイテムの数はいくつある?」

 

「そ、それは……な、な」

 

「あってるっス」

 

あ、翔のバカ!

 

まあ別にいいけど

 

もう答えは出てるけど

 

「ふっふっふ。なぁなだ!」

 

「うん正解。だったら千年アイテムの所有者の名前も言えるよね」

 

もう嘘だと分かっているから答えが詰まる質問をする

 

「ほ、他の千年パズルの所有者は………」

 

もう決定的なボロを出しちゃったよ

 

「はいアウト。千年パズルは千年アイテムだけど一つしかないから他に千年パズルを持つ人はいないよ。よって貴方が偽物の闇のデュエリストでイカサマだという証明になる」

 

「くっ!」

 

タイタンは悔しそうな顔をする

 

「それに十代と翔が十代の身体が消えているのが見えるのに消えている部分が違って見えるのは催眠術とかでしょ。それらは個人差があるから消え方が違うのはそれが理由だろうけど。それに僕はそういった類いのものは効かないからね。だから十代の身体の何処にも消えている箇所が見えなかった訳だ」

 

それに付け加えてタイタンのトリックの解説を行う

 

「分かってしまっては仕方ない!」

 

タイタンが走りだして逃げようとした矢先、突然床が光りだし、辺り一面暗闇の世界になっていた

 

「お前、まだイカサマをしたのか!」

 

十代が怒った口調でタイタンに問い詰めるけどこれをやったのはタイタンではない

 

その証拠にタイタン自身焦っている

 

「違う!私ではない!……な、なんだ!?」

 

タイタンの足元の周りに小型モンスターが現れて僕たちを襲う

 

「スターヴ!」

 

僕はすぐにエクストラデッキからスターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴンのカードを引き、実体化させる

 

「アイエエエエエ!!スターヴなんで!?」

 

十代が実体化したスターヴを見てニンジャリアリティショックを起こしたよ

 

それが偶然なら凄いな

 

「クリクリ~」

 

「あれ!?相棒も!?」

 

ハネクリボーも実体化したが、これは精霊の力が弱いからこの空間内に充満している闇の力で実体化できたのだろう

 

「スターヴ!焼き払え!」

 

「何だか分からないけど相棒もこのブヨブヨしたやつを追い払ってくれ!」

 

スターヴが口からビームを放ち、ハネクリボーは威嚇して追い払う

 

「助けてくれー!」

 

タイタンはブヨブヨしたやつに呑まれていった

 

「嘘から出たまことってこういうことを言うんだね」

 

残念だけど助けられそうにない

 

だけど自業自得とも思えてくるよ

 

ーーーーーーーーーー

 

棺に眠らされていた明日香を運びながら廃寮から脱出してしばらく経ち、隼人と大徳寺先生が駆けつけた時には目を覚ました

 

十代は落ちていたエトワール・サイバーと寮内にあった明日香の兄らしき写真を渡した

 

これがフラグが立つ要因の一つだと思うと感慨深いな

 

こうして廃寮探索は終了し、夜が明ける


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