ラブライブ! feat.仮面ライダー555   作:hirotani

9 / 38
 「仮面ライダー555」で真理ちゃんを熱演された芳賀優里亜さん、ご結婚おめでとうございます!
 そして草加! ドンマイ(笑)


第8話 エリーチカ / 灰色の血

「ここが音ノ木坂学院か」

「ああ」

 本格的に夏へと近付き、蜃気楼で頂が揺らめく校舎を三原は見上げている。一見すれば普通の学校だ。生徒にとっては見慣れたもので、大人にとっては懐かしさを覚える無機質さをたたえている。だが、この校舎が不穏なものを抱えているのは確かだ。

「何でスマートブレインはここを廃校にしたいんだろう?」

「分かんねーよ。狙われる心当たりがあるか、理事長に聞くしかない」

 夏用の半袖作業着を着込む巧の後を三原は着いていく。校舎に入るとコンクリートのひんやりとした冷たさを感じるが、やはり暑さから逃れることはできない。とはいえ、夏は巧が1年を通して最も好きな季節だ。熱いものを飲み食いすることが殆どない。自販機の飲み物も全て冷たいものに代えられているから、うっかり熱いものを買わずに済む。

 三原がこの街に滞在してからもう3週間が経とうとしているが、スマートレディとの邂逅からオルフェノクは現れていない。平和なのは何よりだが、その分日々の不安は大きくなる。その不安はある意味で的中してしまった。何度か現れたオルフェノクを撮影した動画がネットの海にばら撒かれ、中にはファイズとデルタを撮影したものまであった。世間はまだ都市伝説程度の認識で、主な現場が秋葉原ということもあり何かのショーという意見もある。だがその正体を知る理事長は、ファイズの他にオルフェノクと戦う術として、デルタである三原との対面を巧に要求してきた。

 慣れてくると、迷路のようだった校舎の構造もすぐに分かるようになる。迷うことなく奇妙な緊張感のある扉を前にして、巧は軽くノックする。すぐに「どうぞ」という声が返ってきて、巧はドアを開けて中へ入る。カーペットを踏むと同時に空調の効いた冷気に包まれるような感覚がする。後に続いた三原は少しだけ震える手でドアを閉めた。こういうところは変わっていない。

 前に来た時と同じく机には理事長が腰掛けていて、その隣には絵里と希が立っている。制服も夏服へと変わり、半袖のブラウスの上にクリーム色のベストを着ている。

「どうぞ、お座り下さい」

 理事長が応接セットを手で指し示し、巧は無言で、三原は「はい」と上ずった声でソファに並んで腰掛ける。希が「どうぞ」と冷たい麦茶を出してくれた。理事長は2人の向かいに腰掛け、三原に笑いかける。

「あなたが、もうひとつのベルトを持っている方ですか?」

「はい、三原修二です」

「三原さん。本日はご足労頂き、ありがとうございます」

 理事長はそう言って頭を下げる。三原は「いえ、そんな……」と謙遜を見せる。麦茶を飲みながらその様子を見ていた巧はグラスを置いて切り出す。あまり遠回りに話を進めるのは好きじゃない。

「言っとくが、デルタのベルトも渡すつもりはないぜ。付けても無駄だしな」

 巧の態度に理事長は気を悪くした様子もなく、余裕のある笑みを浮かべる。

「勿論、そのつもりはありません。三原さんは、この街にどれ程滞在するおつもりですか?」

 「えっと……」と三原が答えあぐねている内に、巧が代弁する。

「今日にでも帰るんだよな?」

「え? いやオルフェ――」

「今日だよな?」

 駄目押しとばかりに、巧はテーブル下で三原の足を軽く踏む。顔をしかめるも、ようやく意図を理解してくれた三原は「そ、そう!」と言った。

「今日にでも戻るつもりです」

 2人のやり取りに気付いてかそうでないのか、理事長は頬に手を添えて「そうですか」と呟く。

「できれば三原さんにもいてほしかったのですが」

「こいつにだって事情があるんだ。それに俺ひとりいれば十分だろ」

「しかし、やはり数は多いに越したことはありません。確か、乾さんのお話だとベルトはもうひとつあるようですね」

「ああ。でもカイザのベルトは壊された。今あるベルトは2本だけだ」

 現時点でオルフェノクに対抗できるベルトは、この音ノ木坂学院の理事長室に全て集結している。だが、巧のなかでとある可能性が浮上する。スマートブレインがまだ存続していて、オートバジンをまた新しく製造する技術が残っているのなら、ベルトも新しく製造できるのでは。所詮は可能性にすぎない。悪戯に不安を増長させても仕方ないことなので、巧は想像を一旦保留にする。

「それよりもだ。この前スマートブレインの手先が出てきた。スマートブレインはまだ存続してるのか?」

 理事長は少しばかり驚いた表情を見せて「いいえ」と答える。

「スマートブレインは解体され、関連企業も次々と倒産していきました。あの企業グループが活動を再開するのは不可能のはずです」

「でも、現に奴らは完全に潰れたわけじゃないと思うぜ。事後処理とかに関わった会社とか、スマートブレインと繋がりのあるところを調べてほしい」

「乾さん、それは途方もないことです。スマートブレインは日本経済の中核を担っていた企業です。関わった企業を探すなんて、言ってみれば日本どころか先進国の企業全てを調べ上げるということです」

 大きな会社とは思っていたが、まさかそれ程とは。巧は自分の無知さに苛立つ。関わっていた企業が多いということは、隠れ蓑にする企業も多いということだ。

「まあいいさ。分からないなら仕方ない。オルフェノクが出たら俺が倒す。そんでスマートブレインの拠点を見つけたら今度こそ潰す。それでいいだろ」

 そう言って巧はグラスに残った麦茶を飲み干す。「ちょっといいですか?」と、立ったまま会話を聞いていた絵里がつかつかと近付いてくる。

「三原さん。あなたも変身するための訓練を受けていたんですか?」

 「え?」と三原は一旦巧へと視線を移す。その様子を見て絵里は確信を得たのか、目尻を吊り上げて巧を睨んでくる。「エリち」という希の制止を振り切って、絵里は尋ねた。

「やっぱり、訓練というのは嘘だったんですね。教えてください。なぜ2人は変身できるんですか? 変身するための条件は一体何なんですか?」

「君は、戦いたいのか?」

 さっきとは打って変わって、三原は鋭い眼光を絵里に向けた。一瞬だけ怯む様子を見せた絵里だったが、それでもすぐに表情を険しくさせる。

「わたしは生徒会長です。この学校を守らなければならないんです。乾さんが学校のために戦ってくれていることは理解していますが、正直なところ、あなた達はとても信用できません。戦うのは、本来ならわたしの役目のはずです」

「駄目だ。君を戦わせるわけにはいかない。ベルトを手にしたら、元の生活には戻れなくなる」

「そのことなら乾さんにも言われました。人間として生きようとするオルフェノクもいると。でも、学校を襲ってくるオルフェノクはもう人間じゃありません。人の心を捨てた化け物です」

「いい加減にしろ」

 巧が気だるそうに言うと、部屋にいる全員の視線が巧に集中する。巧は絵里をじっと睨む。無知は決して罪ではない。でも、自分と共に戦ってきた者達まで侮辱されたような気がしてならなかった。

「オルフェノク倒して正義のヒーローぶるつもりか?」

「わたしはそんなつもりはありません」

「賢そうな面して忘れたとか言わせねえぞ。もしかしたらここの生徒にもオルフェノクがいるかもしれない。もしお前が変身できたとして、友達がオルフェノクだったら倒せるのか? 友達だから倒せないなんて言い訳はできねえぞ。迷っているうちにどんどん人が死んでいく」

 絵里は希へと視線をくべる。もし彼女がオルフェノクだったら、という仮定を立てているのかもしれない。果たして彼女にその咎を背負うことができるのか。

「オルフェノクを倒せばたくさんの人を救えるかもしれない。でもな、同時に罪を背負うんだ。たくさん救うために元は人間だった奴を殺さなきゃならないんだよ。一度背負っちまったら、もう後戻りはできない」

 散々まくし立ててしまったせいか少し疲れが体の奥から押し寄せてくる。巧はグラスに残った氷を口に放ってがりがりと嚙み砕いた。理事長は物憂げに巧を見た後、絵里と希に告げる。

「2人とも、席を外してくれる?」

「理事長!」

「絢瀬さん。あなたのやるべき事は、生徒達の学校生活をより良くしていくことよ」

 絵里はなおも反論しようと身を乗り出すが、希がその手を引いてドアへと連れていく。未練がましくこちらを見ている絵里の碧眼からは、生徒達の代表である生徒会長としての威厳がすっかり消え失せていた。

 希は「失礼しました」とドアを開いたのだが、そのまま出ていかずに立ち止まった。ドアを挟んだ向こうに誰かいるらしい。

「ああ、お揃いでどうしたん?」

 「生徒会長……」と怯えた穂乃果の声が聞こえる。

「何の用ですか?」

 生徒会長としての威厳を取り戻した声色が理事長室の中まで聞こえてくる。続けて真姫の声が。お揃いということは、μ’sのメンバー全員で理事長室まで来たということか。

「理事長にお話があって来ました」

「各部の理事長への申請は、生徒会を通す決まりよ」

「申請とは言ってないわ。ただ話があるの」

 相変わらず生意気な小娘だ。確か真姫は1年生だったか。上級生相手に随分と挑発的だ。そんなことを思っていると、穂乃果の声が真姫を嗜める。

「真姫ちゃん、上級生だよ」

 ドアに向けられていた理事長の視線が巧と三原へ移る。

「三原さん。今日はお時間を頂いてありがとうございました」

「いえ、こちらこそ」

 微笑んだ後、理事長はソファから立ちあがってドアへと歩いていく。開かれたドアを優しくノックして、ドアの前を塞いでいる生徒達に尋ねる。

「どうしたの? お客様がお帰りになるから、中に入ってそこを空けてくれる?」

 まさに鶴の一声だ。絵里が異議を唱える間もなく、穂乃果達は理事長室へと入ってくる。入れ違いで三原は「失礼しました」と出ていった。

「あれ、たっくん?」

 穂乃果がソファに座る巧に気付く。

「さっきの人、たっくんの知り合い?」

「ああ、ちょっとな。それより理事長に話があるんじゃないのか?」

 「そうだった」と穂乃果は慌てて理事長の机の前まで歩く。両隣には海未とことりがいて、絵里と希は壁際についている。三原を送っていこうと巧は理事長室から出ていこうとしたのだが、横を通り過ぎようとしたところでにこが腕を掴んで止めてくる。

「何だ?」

「あんたもいてよ。大事な話なのよ」

「やだね。俺はマネージャーじゃないしな」

 腕を振りほどいてそのままドアへと向かうのだが、ドアの前で1年生の3人組が立ち並んで塞いでくる。巧は諦めてドアの横に立った。

「へー。『ラブライブ』ねえ」

 穂乃果から話を聞いた理事長はそう漏らした。「ラブライブ」というスクールアイドルの甲子園のようなものが開催されるということで、エントリーの許可を得るために理事長室まで足を運んだらしい。生徒会に通してもμ’sの活動に否定的な絵里は許可を出すとは思えないから、得策ではある。ことりという理事長の娘もいるから有利だ。

「ネットで全国的に中継されることになっています」

 海未の口から語られる言葉に、巧は内心で驚く。穂乃果から流行っているとは聞いていたが、スクールアイドルとはそんな大々的なものだったのか。全国大会が開かれるということは相当数のグループがいるだろう。

「もし出場できれば、学校の名前を皆に知ってもらえることになると思うの」

 ことりも母親である理事長に説得の言葉を連ねていく。それだ、と穂乃果と海未がことりに微笑みかける。

「わたしは反対です」

 鋭くそう言った絵里は理事長の前へと歩きながら続ける。

「理事長は、学校のために学校生活を犠牲にするようなことはすべきではないと仰いました。であれば――」

 「そうね」と理事長は穏やかに相づちを打つ。学校が抱えている問題は深刻なのに、随分と余裕のある素振りだ。生徒の前で不安な顔をしてはならないという自制なのかもしれないが。

「でも良いんじゃないかしら。エントリーするくらいなら」

「本当ですか!?」

「ええ」

 あっさりと得ることができた許可にμ’sの面々は感嘆の声をあげる。対象的に絵里は驚愕と共に噛み付くように異議を申し立てる。

「ちょ、ちょっと待ってください。どうして彼女達の肩を持つんです?」

「別にそんなつもりは無いけど」

「だったら、生徒会も学校を存続させるために活動させてください」

 しばらく考え込んだ後に、理事長は変わらず穏やかに言った。すっかり言い慣れたかのような口調だった。

「それは駄目」

「意味が分かりません」

「そう? 簡単な事よ」

 理事長が絵里を想っての言葉だと巧でも分かる。だがそれを汲み取れない絵里本人は、視線を下ろしたまま無言で理事長室から出ていった。

「ふん、ざまーみろってのよ」

 腰に手を当てたにこが得意げに言う。「ただし、条件があります」と理事長が切り出す。本来なら生徒会を通すところ、時間を割いて話を聞いてくれたのだから条件を出されても文句を言える立場ではあるまい。

「勉強を疎かにしてはいけません。今度の期末試験で、ひとりでも赤点を取るようなことがあったら、ラブライブへのエントリーは認めませんよ。いいですね?」

 条件としてはかなり容易いものだ。巧も学生時代、勉強なんてろくにしていなかったが授業さえ聞いていれば赤点は免れた。音ノ木坂学院の偏差値がどれ程のものかは分からないが、試験をパスして入学したのなら授業に追いつけないことはないだろう。

「まあ、さすがに赤点はないから大丈夫かと………」

 安心していたことりの声色が不安を帯びていく。理事長が提示してきた条件を聞いて、凛とにこは膝をつき、穂乃果は壁に手をついて頭を垂れている。

 自分の抱える懊悩が少し馬鹿馬鹿しく思えてくる。巧はさも世界が終わったかのような絶望感を醸し出している彼女らを見て深くため息をつき、理事長室から出ていった。

 

 ♦

「動画見たよ。あんまりアイドルとか知らないけど、彼女達とても良いグループだと思う」

 1日の業務を終えた巧に、校門前で待っていた三原はそう言いながら、巧にスマートフォンの画面を見せる。7人になってから新しく取ったPVだ。人気急上昇のスクールアイドルとしてもピックアップされている。ラブライブに出場できるのはランキング20位圏内のグループのみらしいが、この調子でμ’sのランキングが上がれば、出場も現実になるかもしれない。

「乾の仕事が終わるまで秋葉原の街をちょっと見てきたけど、μ’sのグッズ売ってたよ」

 三原は鞄から買ってきた缶バッジを取り出す。穂乃果の顔がプリントされたバッジだ。

「お前、そんなもの買ってどうすんだよ………」

「乾は嬉しくないわけ? 彼女達に協力してるのに」

「無理矢理手伝わされてんだよ」

 ぶっきらぼうに巧は吐き捨てる。バッジをしまった三原は少し嬉しそうに笑っている。

「でも意外だな。乾がアイドル活動のサポートしてるなんて」

「だから無理矢理だって言ってんだろ。好きでやってるわけじゃない。それに、オルフェノクが出てるならほっとくわけにもいかねーしな」

 巧はそっぽを向く。何だか弱みを握られた気分だ。あれだけ小心者だった三原がこんな悪戯めいたことを言うほうが意外だ。

 何気なく向けた視線。その先に女の姿があった。女と巧の視線が交わる。

「三原、ここを離れるぞ」

「え?」

 事態を飲み込めていない三原の腕を引いて、巧は道路を挟んだ階段を下りていく。

「どうしたんだよ乾」

「いいからベルト付けとけ」

 階段を下り終えしばらく小走りに進んだところで、三原は言われるがままにデルタギアを腰に巻く。巧もケースを開いて、ファイズギアを装着した。同時に風を切って、2人の上空に人影がよぎる。2人の前に着地したバタフライオルフェノクの影が女の形を作る。

「ファイズとデルタ。ここで取り戻す」

 巧はファイズフォンを開いた。

 5・5・5。ENTER。

『Standing by』

 巧が頭上に、三原は耳元にフォンを掲げた。

「変身!」

『Standing by』

 ツールをベルトに装着し、電子音と共にフォトンストリームが全身を覆っていく。

『Complete』

 ファイズとデルタは同時に駆け出した。バタフライオルフェノクの腹に2つの拳が食い込むも、灰色の怪人は意に介さず振り落とす。バタフライオルフェノクがデルタのベルトに手をかけた。力を込めて引き剥がされる直前に、ファイズがバタフライオルフェノクの腹に膝蹴りを見舞う。よろめいたバタフライオルフェノクの手がデルタギアから離れた。ファイズは右手を振り、その顔面に拳を打つ。顔を覆っていた兜が割れて、地面に落ちた破片が灰になって崩れる。

「ファイア!」

『Burst Mode』

 デルタムーバーから放たれた光弾がバタフライオルフェノクの体に突き刺さる。

 体勢を立て直したバタフライオルフェノクは羽をはためかせて飛んだ。逃げるつもりではないらしく、2人の間を抜けたところで急旋回し、ファイズにしがみ付いてそのまま高度を上げていく。ファイズは羽を掴み、力を思い切り込めて引き千切る。バランスを崩したバタフライオルフェノクはファイズ共々地面へと真っ逆さまに落ちた。地面を転がり、歩道に植えられた木にぶつかったところでようやくファイズの体が止まる。

 ゆっくりと立ち上がり、ファイズはミッションメモリーをポインターに装填した。

『Ready』

 デルタもミッションメモリーをムーバーに装填する。ファイズと同じ電子音が聞こえる。ファイズはポインターを右脚に装着し、フォンのENTERキーを押した。デルタもムーバーを口元に持っていく。

「チェック!」

『Exceed Charge』

 フォトンストリームを伝い、エネルギーが充填されたツールを2人はバタフライオルフェノクへ向けた。デルタは伸びた銃口を。ファイズはポインターを。赤と白のエネルギーがバタフライオルフェノクに突き刺さり、ぱっくりと口を開く。2人は同時に跳躍し、クリムゾンスマッシュとルシファーズハンマーを叩き込んだ。

「だああああああああああっ」

「はああああああああああっ」

 ふたつの咆哮と共に、バタフライオルフェノクの体に2本のエネルギーが注ぎ込まれた。背後に着地すると、灰色の体から赤と青の炎が噴き出す。だがそれはすぐに消えて、バタフライオルフェノクはデルタの首を掴んで持ち上げた。デルタは握っていたムーバーの銃口を向けるも、引き金を引く前に振り払われて落としてしまう。

「三原!」

 ファイズはファイズアクセルからミッションメモリーを抜き、フォンに装填した。

『Complete』

 胸部装甲が開き、複眼が赤へ、フォトンストリームが銀のアクセルフォームへと姿を変える。アクセルのスイッチを押すとカウントダウンが始まった。

『Start Up』

 ファイズは駆け出した。その姿が視認できなくなり、一瞬だけ影がよぎるとバタフライオルフェノクのデルタを掴んでいた腕の肘から先がばさりと切断される。あまりの速さで、ファイズの手刀は真剣よりも鋭い。

 解放されたデルタは力なく地面に倒れるも、すぐに立ち上がってムーバーを拾い上げる。バタフライオルフェノクは痛みに悶絶しながら切られた腕を抑えている。切断面からは血の代わりに灰が零れ落ちている。

「チェック!」

『Exceed Charge』

 デルタは引き金を引く。さっきと同じようにフォトンブラッドのエネルギーがバタフライオルフェノクを拘束する。続けて、ファイズの赤いフォトンブラッドがバタフライオルフェノクを包囲するように何本も飛んでくる。

 デルタは再びルシファーズハンマーを放った。同時にファイズのアクセルクリムゾンスマッシュがバタフライオルフェノクの体に突き刺さっていく。

『Time Out』

 カウントダウンの終わりと共に、着地したファイズはバックルのミッションメモリーを抜く。胸部装甲が定位置に戻った。

『Reformation』

 バタフライオルフェノクの目の前にΦとΔのギリシャ文字が現れる。灰色の体は青と赤の爆炎と共に、周囲に灰を撒き散らして消滅した。

 2人はフォンを抜いて変身を解除する。さっきまでバタフライオルフェノクがいた場所を凝視しながら、巧は息が荒くなっていることに気付く。慌てて両手をポケットに突っ込んだ。アクセルフォームへの変身は、いつもより零れる灰が多くなる。

「やっと倒せた………」

「これで面倒な奴は片付いたな。お前もう帰れ」

 三原は険しい顔をする。それは巧がぶしつけなことを言ったせいと思ったのだが、不意に三原は巧の腕を掴んでポケットから手を出させた。ポケットから飛び出した瞬間、巧の手から煙を立てて灰がさらさらと流れている。

「やっぱり、そんな体で戦うなんて無茶だ」

「無茶じゃねえよ。それに、戦わなくたっていずれは………」

 乱暴に腕を振りほどくと、また灰が手から撒かれる。まるで花咲か爺さんみたいだ。灰を被っても木に花は咲かないが。

「とにかく、お前は帰れ。こっちには海堂もいるんだろ?」

「全然連絡が取れないんだよ。彼がまだこの街にいるかなんて分からないじゃないか」

「お前がいてどうなるんだよ? いても迷惑だ。奴だって実質俺ひとりで倒したようなもんだからな」

「迷惑って……、ああもう………」

 言葉を見つけられないことに苛立ったのか、三原は乱暴に頭を掻きむしる。

「君は何言っても聞かないからな。分かった、帰るよ」

「そうしてくれ。それと、俺がここにいるってことは真理と啓太郎には黙っててほしい」

「ああ、そうするよ。あの2人、きっと君を連れ戻しに来るだろうからね」

 三原はそう言ってデルタギアをケースに収納する。ファイズギアを収めながら、巧は自分の掌を見る。灰はもう落ちていないが、脱力感は否めない。単純に体力を消耗したせいかもしれないが、体の一部が灰になると貧血のような症状が起こる。

 1日に何度も変身することはできないかもしれない。そんなことを思いながら、巧は重い脚を動かし歩き出した。

 

 ♦

 駅まで三原を送った後、巧はオートバジンを取りに音ノ木坂学院へと引き返した。オルフェノクとの戦闘は学校のすぐ近くだったにも関わらず、目撃者はいなかったらしい。まだ学生やお勤め人が帰宅する時間じゃなかったことが幸いだ。いつものように下校する生徒が出ていく校門へ入ろうとしたとき、凛々しい声が巧を呼び止める。

「乾さん?」

「お前、穂乃果達は一緒じゃないのか?」

 海未は少し疲れたような顔をする。

「穂乃果達は勉強会です」

「あいつそんなに成績悪いのか?」

「まあ、小学校の頃から勉強は苦手でしたが………。心配ではありますけど、わたしは弓道部の練習にも出なければならないので」

 「そうか」と返した巧は駐輪場へ向かおうとしたのだが、一歩踏み出したところで足を止めた。ハミングが聞こえる。聞き覚えのあるメロディだ。海未も気付いたのか、「この曲」と音源へと視線を向ける。

 校門の端で少女がイヤホンで音楽を聴いている。音ノ木坂の生徒ではない。雪穂と同じ制服だ。日本人離れした金髪碧眼の外見が彼女と重なる。少女は巧と海未の視線に気付く様子もないまま鼻歌を歌っている。イヤホンからμ’sのSTART:DASH!!が漏れていた。

 海未は少女が手にしているプレイヤーの画面を覗き込む。巧も見てみると、画面の中でまだ3人だった頃のμ’sが踊っている。講堂での初ライブの映像だ。

「サイトにあがっていないところの映像まで………」

 海未に気付いた少女が「うわあっ」と小さく悲鳴をあげた。反射的に海未も背筋を伸ばし、「ごめんなさい」と謝罪する。

「ああ! 園田海未さんですよね? μ’sの」

 イヤホンを外しながら、少女が海未を見上げる。海未は胸の前で手を振る。頬が紅潮している。

「い、いえ。人違いです………」

 海未がそう言うと少女は肩を落とした。海未の半歩後ろに立つ巧は短く述べる。

「いや、本物だ」

 「乾さん!」と耳まで赤くした海未が抗議する。更に文句を重ねようとしたところで、少女の「ですよね!」という嬉しそうな声に遮られる。せっかくできたファンなのだから堂々とすればいい、と巧は思う。「そ、それより」と少女のプレイヤーに視線を移した海未は尋ねる。

「その映像……」

「はい、ライブの映像です。亜里沙は行けなかったんですけど、お姉ちゃんが撮影してきてくれて」

「お姉ちゃん?」

「はい!」

 この目立つ外見の血縁者といえば、巧のなかではひとりしかいない。

「なあ、お前の姉ちゃんて――」

「亜里沙」

 巧の問いは校舎の方から聞こえる声に遮られる。

「お姉ちゃん!」

 まるで子犬のように、少女は自分と同じ金髪の生徒を呼んだ。まさかとは思っていたが、やはり姉妹だったか。少女の姉は海未と巧を見て表情を曇らせる。

「あなた達………」

 顔立ちは似ているが、顔つきは対象的な姉妹だな、と巧は思った。

 

 ♦

「どこか別のところで話しましょう」

 海未が亜里沙のプレイヤーに入っていた映像のことを尋ねると、絵里はそう言って回答を見送らせた。他のメンバー達に見つかりやすいところでは話しづらいのかもしれない。その意図を汲み取った海未と巧は、絢瀬姉妹の後に着いてしばらく歩いた住宅街の公園に入った。陽も傾き始めていて、小さな子供達が親と一緒にボール遊びをしている。

 絵里と海未はベンチに並んで腰掛ける。とはいっても、2人とも両端に座って互いの顔を見もせず地面の土を見下ろしているが。そんな2人の間にふんぞり返る度胸を持ち合わせていない巧は海未の隣に立つ。オルフェノクと戦ったせいか、疲れて危うく足を踏み外しそうになった。

 ぱたぱたと走ってきた亜里沙が、近くの自販機で買ってきた缶を海未と巧に渡してくれる。

「お待たせしました」

「ああ」

「ありがとう」

 手渡された缶を巧と海未は凝視する。お茶かコーヒーでも買ってくるだろうと思っていたのだが、巧の手のなかにある缶はどちらでもない「秋葉原おでん」という文字と商品のイラストがプリントされている。

「何だこれは?」

「………おでん?」

 困惑する2人に絵里は「ごめんなさい」と謝罪する。

「向こうの暮らしが長かったから、まだ日本に慣れてないところがあって」

「向こう?」

 「ええ」と絵里は碧眼を海未と巧に向ける。

「祖母がロシア人なの」

 クォーターか。4分の1しかロシア人の血が入っていないのに、絢瀬姉妹のブロンドはくすみがない。ハーフどころか、純粋なロシア人と言われても違和感がない。絵里は亜里沙に優しい姉としての顔を見せる。家ではこんな顔をするのだろう。

「亜里沙、それは飲み物じゃないの」

 亜里沙は両手にある姉妹の分にと買ってきたであろう缶を見て「ハラショー」と呟く。ロシア語なのだろうが、巧にはどんな意味か分からない。

「別なの買ってきてくれる?」

 「はい」と返事をした亜里沙は再び自販機へと走っていく。またおかしなものを買ってきやしないか不安だ。ロシアの自販機にはコーヒーやコーラといった万国共通の飲み物は売っていないのだろうか。というよりも、あの自販機は何を売っているのか。自販機の前で指を右往左往させている亜里沙を放置しているあたり、絵里はそれを狙っていたのだろう。海未と巧に話すことは、亜里沙には聞かれたくないのかもしれない。

「それにしても、あなた達に見つかってしまうとはね」

「前から穂乃果達と話していたんです。誰が撮影してネットにアップしてくれたんだろうって」

 講堂で行われたファーストライブの映像。巧の見る限り、撮影している観客はいなかった。会場のセッティングを手伝ってくれたクラスメート達の3人組も、誰もカメラは回していなかったという。撮影者は謎のままだったが、結果的にμ’sがネット上に知れ渡る契機になった映像だ。評価も好感触だったため、穂乃果達はあまり深く追求しなかった。

「お前が撮ってたわけか」

 巧の言葉を受け取り、海未は続ける。

「あの映像がなければ、わたし達は今こうしてなかったと思うんです。あれがあったから見てくれる人も増えたし、だから――」

「やめて」

 絵里の冷たく言い放った一言に、海未の言葉が途切れる。

「別にあなた達のためにやったんじゃないから。むしろ逆。あなた達のダンスや歌が、いかに人を惹きつけられないものか、活動を続けても意味がないか知ってもらおうと思って」

 趣味の悪い仕打ちだ。悪口を吐き出しても特定が難しいネットに晒して、罵詈雑言を聞かせてやろうだなんて。でも、巧は彼女達の夢を壊そうとしたブロンド髪の少女に怒りが湧くことはなかった。不思議なくらい冷静だ。

「だから、今のこの状況は想定外。なくなるどころか人数が増えるなんて。でも、わたしは認めない。人に見せられるものになっているとは思えない。そんな状態で、学校の名前を背負って活動してほしくないの」

 認めない。

 それは自分が理解していると、自分が優れているという確信があるからこそ出てくる言葉だ。つまり、絵里は自分が人を惹きつけるダンスや歌を知っていると自負している。歌は音程が合っていれば良いというものではない。ダンスはステップを踏めれば良いというものではない。上手いのは披露するにあたっては必要最低限だ。更に上のものを観客に見せなければならない。μ’sにはそれがない。絵里はそう言っているのだ。

「話はそれだけ」

 自分のと亜里沙の鞄を持って、絵里はベンチから立ち上がる。海未も立ち上がり、未だ自販機の前で指を宙に這わせている亜里沙のもとへ歩こうとした絵里の背中に「待ってください」と告げる。

「じゃあ、もしわたし達が上手くいったら、人を惹きつけられるようになったら、認めてくれますか?」

 沈黙が訪れる。そう長くない逡巡を挟んで絵里は答える。

「無理よ」

「どうしてです?」

 海未は臆せず問い続ける。辛辣な言葉が待っていようと屈しないとばかりに力強く。

「わたしにとっては、スクールアイドル全部が素人にしか見えないの。1番実力があるというA-RISEも、素人にしか見えない」

「素人でも、やりたいって気持ちと自分達の目標さえ持ってればできるのがスクールアイドルらしいぜ」

 花陽を勧誘したときのことりの言葉を思い出す。その場にいた海未は覚えていることに驚いたのか、巧の顔を見上げている。

 ことりも、自分達が素人だと自覚していたのだろう。プロならステージに立つ事すらできないが、スクールアイドルなら熱意があればステージで歌い踊れるのだと。誰だって皆、最初は素人だ。上手くいかない事のほうが多い。それでもμ’sは切磋琢磨してメンバーを増やし、曲を作ってきた。もっと長い目で見てやれとは思わない。でも、少しは彼女達の努力を見てやってもいいとは思う。

 絵里は振り返った。険のこもった眼差しが巧を射抜く。

「あなたは、その子達の夢を守ると言っていましたが、今のままじゃ夢のまた夢です。そんなものに、守る価値があるとは思えません」

 

 守る価値のないものを、守っても仕方ない。

 

 木場はかつてそう言っていた。彼の言葉が脳裏に一筋の流星のようによぎった瞬間、2人の言葉がとても別のものには思えなくなった。かつて信じていたものを信じられなくなったとき、人はどうなってしまうかを巧は見た。絵里も木場と同じとは断言できない。それでも、彼女のふとしたときに見せる苦しそうな目は、あのときの木場と似た雰囲気を纏っている。

 絵里は亜里沙のもとへ歩き出す。黙って立ち止まる海未を置いて、巧は絵里の背中を追いかける。亜里沙と話している絵里に巧は力強く言う。

「お前に、あいつらの夢に価値付ける権限なんて無え! 俺はあいつらの夢を守る。絶対に」

 今度の絵里は振り返らない。しっかりと伸ばした背中を巧に向けたまま告げる。まるで自分が背負っているものを見せつけるように。

「あなたが何を守っても、わたしはあなたのことも認めません。学校を守るのは、わたしの役目です」

そう言って絵里は歩き出す。状況に理解が追いついていない亜里沙は遅れて巧の後をついてきた海未に新しく買った缶を差し出してくる。

「飲みますか?」

 海未が受け取った缶はおしるこだった。冬ならともかく、もう夏に入ろうとしている今はあまり飲む気がしない。いや、冬でも巧は熱いおしるこは飲まない。海未は優しく苦笑する。

「あの、亜里沙……。μ’s、海未さん達のこと、大好きです」

 亜里沙はそう言って無邪気に笑うと、おでんとおしるこの缶を抱えて姉を追いかけていった。それを見送った海未は手の中にあるおしるこの缶へ視線を落とす。

「乾さん。どうして、乾さんはわたし達の夢を守ってくれるんですか?」

「まあ、何ていうか気まぐれだな」

「いつもそうですね。肝心なことは誤魔化してばかり」

「いいだろ別に。お前はμ’sのこと考えてればいいんだよ」

 海未は真っ直ぐ巧を見つめた。とても純粋な眼差しだ。まだ世間について知らない事ばかり。だが反面、知らないからこそ知ろうとする明確な意思を感じる。

「わたしは乾さんを信じたいです。穂乃果とことりは信頼していますけど、わたしは心からあなたを信じることができません。何でファイズに変身できるのか、以前は何をしていたのか、乾さんは全く話してくれないじゃないですか」

「自分のこと話すのあまり好きじゃないんだよ」

「答えになっていません!」

「ったく、お前も絢瀬も余計な心配しすぎなんだよ。ガキは自分のやりたいことやってればいいんだ」

 巧は公園の入口に停めておいたオートバジンへと歩く。立ち尽くしている海未に「行くぞ」と言うと、海未は驚いた顔をして「どこへ?」と尋ねてくる。

「東條のとこだ。あいつなら何か知ってるかもしれないしな」

 着いていくべきか決めかねている海未に、巧は有無を言わさずヘルメットを差し出した。

 

 ♦

 神田明神に着く頃には、いよいよ陽が完全に暮れようとしていた。藍と赤の混ざった不気味な色の空の下、巫女服で境内を掃除していた希を見つけた。

 海未が先ほどの出来事を説明すると、希は「そう」と淡泊に言った。友達ならば何かしらの感情を込めてもいい。希の反応はどこか冷たく思える。

「エリちにそんなこと言われたんや」

「はい。A-RISEのダンスや歌を見て、素人だって言うのは、いくら何でも………」

「エリちならそう言うやろね」

 希は淡々と告げる。自然な響きの言葉だった。冷たいと思える反応は冷淡さではなく、絵里のことを友達として最も理解している故のものだったのだ。希は続ける。

「そう言えるだけのものが、エリちにはある」

「どういうことですか?」

「知りたい?」

 悪戯に笑む希に、緊張からか肩肘を張る海未は逡巡の後に頷いた。希はまた笑みを向けて、懐から出した携帯型音楽プレイヤーを差し出す。海未はおそるおそる受け取る。

「ほな、うちはまだお仕事があるから」

 それだけ言うと、希は下駄を鳴らして社殿へと戻っていった。彼女の不思議な器量を感じる背中を見送ってからしばらく、プレイヤーを凝視していた海未はようやく保存された映像を再生した。

 掌に収まる端末の小さな画面。その中で彼女は踊っていた。まだ成長途中の四肢を伸ばし、飛び跳ね、片足を軸にして体を回転させている。とても優雅だ。レベルの高いダンスであることが素人の巧でも見て取れる。

「これ、絢瀬か?」

「ええ、恐らく」

「あいつバレエなんてやってたのか」

 絵里の容姿から、映像は数年前のものだろう。画面の中で踊る絵里は幼い。白亜のレオタードを着て、金髪を後頭部に纏めているから随分と印象は異なる。だが何よりも現在の絵里との乖離を感じさせるのは、幼い彼女の表情だ。とても楽しそうに踊っている。パフォーマンスのための作り笑いじゃないことは画面越しでも分かる。少なくともこの映像の頃、絵里はバレエを楽しんでいたに違いない。

「これが、生徒会長がわたし達を認めない理由だったんですね」

 弱々しい声で海未がそう漏らす。絵里があそこまでμ’s、ひいてはスクールアイドルを目の敵にする理由は絵里自身にあったのだ。彼女は本物のダンスを知っている。ただ動きだけで観客を魅了する術を持っているからこそ、アイドルが歌や衣装や優れた外見で取り繕っているように見えていたのだ。

「乾さん。わたし、悔しいです。わたし達がこれまで一生懸命やってきたのは本当です。でも、こんなもの見せられたら……。自分達のダンスや歌が、まるで茶番みたいで………」

「それで、どうすんだ? まさかダンスやめるのか?」

 「いえ」と海未は明確に答える。音楽プレイヤーを握りしめ、固く結んだ口からその決意を述べる。

「生徒会長に、ダンスを教わります」




 プロットは「ラブライブ!」に沿ってるからそんなに1話が長くなることはないだろうと思っていました。蓋を開けてみたら実質2作品をねじ込んでいるわけなので話数を重ねるごとに長くなっていきました(泣)。

 正直、巧と絵里ちゃんの絡みがここまで多くなるとは思ってもみませんでした。元々ファイズギアを巡って巧と絡むのは海未ちゃんにするつもりだったのですが、のぞえりコンビとの絡みが殆どなくなるので急遽変更しました。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。