ラブライブ! feat.仮面ライダー555   作:hirotani

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   01

 

 ブロードウェイと呼ばれるメインストリートは劇場街として、世界的にもエンターテインメントの本場と銘打たれている。最終的にμ’sがこの通りをライブの会場として希望したのは、ある意味で挑戦だった。世界の中心である街の、エンターテインメントの中心地。そこでパフォーマンスを披露することは、この国の人々が日本のスクールアイドルがどれほどのものかを見定める基準となる。

 目抜き通りの交差点。液晶ボードが壁一面に張られたビルの前では、朝からステージの設営で街の喧騒をより激しくしていた。テレビ局や現地のイベント企画会社が共同で発足させた委員会は積極的に日本発のスクールアイドルの宣伝に努め、現地の住民はもとより観光に訪れた外国人を観客に引き込んだ。この街で何より求められるのは刺激で、それをもたらしてくれるのであれば異国の人間であることは大した問題じゃない。この国は異文化に対して寛容だ。隙あらば吸収しようとするしたたかさも持ち合わせている。

 ネオンが照らす夜の街で、そのステージの光景はとても異様に映る。9人の少女たちが立ったまま微動だにせず、照明が灯らないその一点は暗闇に紛れるどころか、かえって人目を引くものだった。

<music:name=Angelic Angel:id=la05184lantis>

 スピーカーから曲のイントロが流れ出すと同時、設置された証明の数々が一斉に照らし出す。

 この曲のためにことりがデザインした衣装は、着物をモチーフにした。μ’sが日本発であることをアピールするため。

 踊りながら、歌いながら穂乃果は不思議な感覚でいた。ステージの床でステップを踏んでいるはずが、意識が別の場所にいるような錯覚にとらわれる。朝ステップの確認をしていた公園の芝生にいるような。それか、ほぼ地球の裏側にあるはずの音ノ木坂学院のグランドの芝生にいるような。

 でも、その浮遊感が穂乃果にとって心地よかった。変に気を張ることなく、自分たちのライブを楽しみ、その楽しさを観客に伝えられる、という実感がある。

 曲の歌詞は敢えて日本語にしている。英語に翻訳して歌うという選択肢もあったが、最終的には日本語のまま歌うことに決めた。穂乃果は知っている。歌は心に直に触れてくるのだ、と。昨晩に女性シンガーの歌に触れて、穂乃果は改めて歌の持つ力を感じ取った。

 意味なんてものは後から追随してくる。この場で重要なのは、今この瞬間に穂乃果の抱く思慕を観客にどれだけ伝えることができるか、なのだから。

</music>

 

 

   02

 

 目的を果たしてからの旅は、まるで一時の眠りの間に見る夢のように早く、朧気に過ぎ去っていく。消灯された飛行機のシートで目を覚ました穂乃果は、数日間の旅で感じていたはずの驚きや高揚の現実味が薄れていくような思いにとらわれた。でも、それは確かな現実だった、とエコノミークラスの固く隣との間隔が狭いシートが証明している。

 ふと、遮光カバーが下げられた窓から光が漏れ出しているのが見える。穂乃果は隣で眠っていることりを起こさないよう、そう、っと身を乗り出してカバーを上げた。窓からは飛行機の翼と、どこまでも広がる雲海が見える。まるで第2の陸地のように隙間なく敷き詰められた雲に、穂乃果は「綺麗……」と呟く。

 その声で目が覚めたのか、ことりが目元を覆うアイマスクを外した。「見て」と穂乃果が促すと、ことりも窓へ目を向けて控え目な感嘆を漏らす。

「ずっと起きてたの?」

「ううん。今起きたところ」

 「ねえ、ことりちゃん」と穂乃果はことりの目を見つめる。

「ライブ、楽しかったね」

「うん。皆といっぱい思い出も残せた」

 顔を見合わせて、ふたりは他の乗客が目を覚まさないよう控え目に笑った。

「またいつか行こうね」

 「うん」と穂乃果は頷く。

「皆でもう一回行こう。いつか、必ず」

 

 空港に降り立つと同時、故郷独特の空気や匂いが帰ってきた、という実感を与えてくれる。入国審査を終えてコンベアが荷物を運んでくるのを待つ間、先に荷物を取って遠くで待っている花陽の「ねえねえ」という声が聞こえてくる。

「昨日の中継、すごい評判良かったみたい」

 「良かったにゃ!」と凛の声が聞こえたところで、コンベアが穂乃果のスーツケースを運んできた。

「ドーム大会もこの調子で実現してくれるといいよね」

 ことりがそう言ったところで穂乃果は思い出す。海外でライブを行ったのは、ラブライブをアキバドームで実現させるのが目的だった。

「そろそろバスが来るみたいよ。行きましょ」

 絵里がそう言って、「うん。じゃあ帰ろう」と穂乃果が応じたときだった。視界に制服を着た少女たちが映る。荷物だってスクールバッグのみで、とても海外旅行へ行く格好には見えない。修学旅行とも考えてみるが、今の時期は修学旅行として季節外れな気がする。しかも、制服だってまばらだ。目が合うと少女たちは恥ずかしそうに、でも満更でもなさそうに顔を背けた。海未も彼女たちに気付いたらしい。

「知り合いですか?」

 「ううん」と穂乃果は答えた。友達は多いほうだと思うが、知らない顔ぶれだ。

 注意深く見渡すと、空港のあちこちに制服姿の少女たちがいて、彼女たちからの視線を感じる。

「もしかして見られてる?」

 絵里が戸惑い気味に言う。「もしかしてスナイパー⁉」と喚く凛と、それを鵜呑みにした花陽が抱き合って震えている。

「何をしたんですか? 向こうから何か持ち込んだりしたのではないですか?」

 そう喚く海未に「知らないよ」と返したところで、「あの」と声をかけられる。穂乃果たちの前に立つ少女は鞄からサイン色紙を取り出し、「サインを下さい!」と差し出してくる。

「あの、μ’sの高坂穂乃果さんですよね?」

 「あ、はい」と穂乃果は声が裏返ってしまった。

「そちらは南ことりさんですよね?」

 「はい」とことりは答える。

「そちらは園田海未さんですね?」

 「違います」と海未はそっぽを向いた。「何で嘘つくにゃ!」と凛が言うと、「だって怖いじゃないですか。空港でいきなりこんな………」と海未は答えた。

「わたし、μ’sの大ファンなんです!」

 少女が熱い声色で言った。離れていたところで見ていた同じ制服の少女たちも「わたしも」「わたしも大好きです!」と色紙を手に駆け寄ってくる。

 「お願いします!」と頭を下げながら差し出される色紙を受け取り、ペンでサインを書きながら穂乃果は考える。他の皆も戸惑いながらサインを書いていて、いつの間にか少女たちが行列を作っている。

<inference>

 <i:もしかして夢なのではないか>

 <i:だとしたらどこからが夢なのか>

 <i:旅行に行く前からか>

 <i:学校の廃校を知ったあたりからか>

 <i:そうなると長い夢を見たものだ>

</inference>

 ふと、穂乃果は何気なしに視線を向けた。先にあるのは目につきやすい液晶パネル。

<surprise>

 どこかの企業のCMが流れているはずの画面に映っているのは自分たち。

 μ’sだった。

</surprise>

 

<list:item>

 <i:量販店の店頭に並ぶPC>

 <i:アイドルショップの一押し商品>

 <i:ビルの壁一面に張られたポスター>

</list>

 空港での思いがけないサイン会を経て戻った秋葉原の街には、どこもかしこもμ’sの宣伝広告がある。ポスターのような静止画広告は以前にラブライブの宣伝用として撮影したもの。映像広告にあるのは先日に異国で行ったライブのプロモーションビデオ。

「どういうこと⁉」

 μ’s一色になった街を見て、穂乃果は誰に向けてか分からない問いを投げかける。「こっちにもあるにゃ!」と叫ぶ凛のすぐ近くのガラスにもμ’sのポスターが張ってある。前に見たとき、ここにはテナント募集のチラシが貼ってあったはずだ。

「あの、もしかして」

 不意に聞こえる少女の声に振り向いた海未が乾いた笑みを浮かべる。瞬く間に人が集まってきた。電車でも駅でもファンと名乗る人々に呼び止められて、ようやく見つけた隠れ場だというのに。

 だからといってファンというからには邪険に扱ったり逃げ出したりするわけにもいかず、穂乃果は「ど、どーも……」とぎこちない愛敬を振りまくしかなかった。

 

「参ったわね」

 何度目かも分からないサイン会と握手会を経て逃れた路地裏で、真姫が疲れを帯びた声で言う。旅行の荷物にあったサングラスで目元を隠すことはできるが、こんな安い変装でどこまでもつか。

 路地裏で一息つき始めてから、海未はずっと膝を抱えている。こんな海未を見るのも久しぶりだ。

「無理です! こんなの無理です!」

 子供のように駄々をこね始めた海未をどう処理すればいいのか。この時ばかりは穂乃果もお手上げだった。

 腕を組んだ真姫が淡々と告げる。

「帰ってきてから、街を歩いていても気付かれるくらいの注目度。海外でのライブが秋葉中に流れてる」

 「やっぱり夢なんじゃない?」と穂乃果は頬をつねってみる。普通に痛みは感じられる。

「凄い再生数になってる!」

 携帯で動画サイトにアクセスした花陽が大声をあげる。

「じゃあわたし達、本当に有名人に?」

 穂乃果がその事実をようやく認識できると、「そんな!」と海未が悲痛な声をあげる。

「無理です! 恥ずかしい!」

 μ’sが有名になったこと。その因果にある事象に穂乃果は気付く。

「でもさ、それって海外ライブが大成功だった、ってことだよね?」

 現地では好感触を得られ、中継された日本での反応も帰ってきてからの状況で一目瞭然だ。

 「うん、そうだと思う」と花陽は嬉しそうに答える。

「ドームも夢じゃないよね。これでドーム大会が実現したら、ラブライブはずっとずーっと続いてくんだね!」

 「良かったあ!」と穂乃果はばんざいする。そこへ絵里が「まだ早いわ」と冷静に告げる。続けて希も。

「それより、ばれずにここを離脱するのが先よ」

 「でも、どうやって?」と海未が涙声で尋ねる。にこが答えた。

「固まって行動したら目立つわ。ばらばらに散って、それぞれ自力で抜け出すの」

 「ひとりで⁉」と花陽が不安げに言う。すかさずにこは「仕方ないでしょ」と。

「皆がわたし達を探し回ってるんだから。ここを抜けたら穂乃果の家に集合。皆、健闘を祈るわ」

 そう言ってにこはサングラスをかけ、陽が傾き始めた街の表通りに踊り出る。続けて絵里と希もにことは反対方向へと走り出し、仕方なしにも他の皆もそれぞれのルートを行く。

 涙を拭った海未も観念して街へ出てしまい、路地裏に取り残された穂乃果の「へ? へ?」という戸惑いが空しく響く。

 おそるおそる表通りに顔を覗かせると、間が悪いことに近くを歩いていた同年代らしき少女と目が合ってしまった。咄嗟に顔を引っ込めて逆方向へ走り出すと同時に「ねえ今の」「μ’sの穂乃果ちゃんじゃない⁉」という甲高い声が聞こえてきた。スーツケースを引いているからペースがまったく上がらない。慣れた街路だがちょっとでも陽の射すところに出ると少女がいて、その度に脱出ルートを変えなければならない。何度かルート変更を余儀なくされていくうちに、穂乃果は自分がどこを走っているのかを見失ってしまった。こんな陰の濃い路地なんて普段は通らない。

 まずは現在地を把握しようと通りへ出て、脚を止める。すると一気に疲労が押し寄せてきた。身を屈めて粗い呼吸を繰り返しているとき、「ねえ君」という男の声が聞こえてくる。穂乃果は咄嗟に顔を上げた。

「大丈夫? 誰かに追われてるの?」

 穂乃果の目の前に立っていたのは、人の好さそう、という言葉が何よりも似合う印象の青年だった。

 

 

   03

 

 よほど困った顔をしていたのか、青年は事情も聞かずに穂乃果を自分のバンに乗せてくれた。

「ちょっと啓太郎、その娘どうしたの?」

 バンの助手席に乗っていた穂乃果と同年代らしき少女が強気な口調で尋ねると、啓太郎と呼ばれた青年は少し申し訳なさそうに答えた。

「何か困ってるみたいだったからさ。家まで送ってあげようよ」

 青年のこういった困った人を放っておけないのは性分と少女は理解しているらしく、特に文句も言わず「そう、良いんじゃない」と素っ気なく了承した。多分、青年の人の好さに何度も付き合わされたのだと思う。

 穂乃果が家の住所を教えると、「ああ、あの辺りね」と青年は迷うことなくバンを走らせた。クリーニング屋の仕事をしていて、穂乃果の家がある地区も配達でよく通るらしい。

「すみません、送ってもらっちゃって」

 後部座席から穂乃果が謝罪すると、青年は「いいっていいって」と朗らかに言う。

「丁度配達も終わったところだし、帰るついでだからさ。そういえば名前言ってなかったよね。俺、菊池啓太郎」

 「私は園田真理」と助手席の少女も名乗る。

「高坂穂乃果です」

 穂乃果が自己紹介すると、啓太郎は「もしかして……」とバックミラー越しに穂乃果の顔を見てくる。

「μ’sの高坂穂乃果さん?」

 「は、はい」と穂乃果が戸惑いながら答えると、啓太郎は「やっぱり!」と子供のようにはしゃぐ。

「どこかで見たことあるな、って思ったんだよね。凄いよ真理ちゃん有名人だよ!」

 「ほらしっかり前見る!」と真理が強く言うと、「はい」と啓太郎は真理へ向けていた視線を前に戻す。何だか奇妙なふたり組だな、と穂乃果は思った。どう見ても啓太郎が年上に見えるのに、まるで姉に叱られる弟みたいだ。

「じゃあ街でファンに追いかけ回されてたんだ。大変だったね」

 真理がシート越しに振り向いてそう言ってくる。そんな彼女に啓太郎は「真理ちゃんμ’s興味ないの?」と尋ねた。

「ないってわけじゃないけど、学校行ってないないからどれだけ有名なのかも分からないし」

 「ああ、ごめん」と啓太郎は沈んだ声で謝った。真理はもしかしたら複雑な家庭事情なのかもしれない。でも真理はあっけらかんと。

「別にいいよ。気にしてるわけじゃないし」

 同じ年頃のはずなのに、真理はとても大人びて見えた。どこか貫禄のようなものがある。

 「それよりもさ」と真理は切り出す。

「前も言ったけど今度の土曜日、お店早めに閉めてよね」

「うん、彼氏紹介してくれるんだよね。にしても真理ちゃんに彼氏かあ。どんな人なの?」

「うちのお客さんの木場勇治さん。よく来てくれるから、会えば分かるよ」

 「木場さん……」と啓太郎は反芻した後に「ああ」と。

「あの綺麗な女の人と一緒に来る人だよね。確か長田さん、ていう。意外だなあ。長田さんと付き合ってるとばかり思ってたよ」

 「私よ」と強調した真理は、次に「あっ」と思い出したように。

「木場さん確か一緒に暮らしてるふたりも連れてくる、って言ってた。長田さんはともかく、あいつも来るのかあ」

 真理は憂鬱そうにシートに背中を沈めた。

「確か、海堂さんだっけ? 確かに変わった人だけど、悪い人じゃないと思うよ。木場さんが良い人なんだし、ルームシェアしてるくらいなんだから」

 「確かにそうだけど………」と溜め息をつく真理に啓太郎は「それにしてもさ」と。

「何だか妙な3人だよね。何の接点で知り合ったんだろ?」

「木場さんと海堂って人は大学で知り合ったみたい。あの男がアパートの家賃を滞納して追い出されたのを木場さんが拾ったんだって」

 「拾ったって、そんな子犬みたいな」と啓太郎は苦笑する。

「長田さんは、詳しくは知らないけど家に帰れないみたい」

「そうなんだ。何か辛いことでもあったのかな?」

「啓太郎、木場さんより長田さんのほうに興味あるでしょ?」

 真理が指摘すると、啓太郎は「そ、そんなことないよ」と誤魔化すようにぎこちなく笑った。穂乃果はとても話についていけそうにない。恋人なんて今まで考えもしなかった。初恋もまだなのだから。音ノ木坂が共学で、男性が身近にいれば少しは考えたかもしれない。

「たっくんもパーティ出てくれるかな?」

 啓太郎がふと尋ねた。真理は「どうだか」と面倒くさそうに呟く。心なしか「たっくん」という単語を聞いた途端、不機嫌になったように見える。

「別にあいつはいなくてもいいんだけど。それよりもさ、あいつちゃんと仕事してるかな?」

「大丈夫だよ。今日は草加さんもシフト入ってるんだし」

<anger>

「絶対草加君に任せて自分はサボってるわよ。大体、草加君だけで十分じゃない。草加君はふたり分の仕事できるけど、あいつなんて不器用でお客さんへの態度も悪いんだから。あんな奴もうタダ働きさせたって罰当たらないわよ」

 「真理ちゃん、まだ怒ってるの?」と啓太郎がおそるおそる聞くと、「怒ってるわよ!」と真理は噛みつくように答える。

「私が腕によりかけて作った茶碗蒸しを人間の食うもんじゃない、とか言ったのよ。あいつの猫舌は人類史上稀よ」

 「しょうがないよ。体質は人それぞれなんだし」と啓太郎はなだめて、「にしても」と会話を変えようとする。

「たっくん、草加さんのこと嫌ってるみたいだけど何でだろうね?」

 「嫉妬してんのよ嫉妬」と真理は吐き捨てた。まだ怒りが治まらないらしい。

「草加君は大人だし、何でもできるから。あいつだって18なんだから少しは見習うべきよ」

</aner>

 「あの」と穂乃果はふたりの会話に割って入った。途中から気になってしょうがなかった。

「何で、その『たっくん』って人と一緒に働いてるんですか?」

 穂乃果が尋ねると、ふたりは「ああ」と視線を泳がせる。少しだけ間を置いて、真理が「ちょっとした事情があってね」と答える。

「話せば長くなるんだけど」

 そう前置きして、真理は自分と啓太郎、そして「たっくん」なる人物の物語を話し始めた。

 

<recollection>

 あいつのことを話す前に、私の話になっちゃうんだけどね。私、子供の頃から美容師になるのが夢で、一流のお店で修行するために九州からこっちに出てきたんだ。15歳の頃に流星塾を卒業して……あ、流星塾っていうのは私が暮らしていた孤児院の名前。私、小さい頃に両親が死んじゃったんだ。まあでも、親がいないからって辛かったわけじゃないよ。流星塾には私と同じ境遇の子供たちがいたし、さっき話に出てきた草加君って人もそこの出身なの。だからあんまり寂しさとか感じなかったな。

 ごめん、話戻すね。流星塾を卒業してからはバイト掛け持ちして、お金貯めて免許取ってバイク買って、ようやく旅に出られるまでに1年かかったな。バイクよりも電車で来たほうが速いし便利だけど、ずっと流星塾にいたせいか外の世界をゆっくり見てみたいな、と思って。啓太郎とは旅の途中で会ったんだ。九州でクリーニングの修行してた啓太郎もこっちに戻る途中だったんだけど、私が通りかかったときこいつバイクでこけてめそめそ泣いてたのよ。怪我なんて掠り傷で洗っとけば大丈夫だし、バイクもエンジン蹴飛ばせば動くのに、この世の終わりみたいな顔して。笑っちゃうよね。

 啓太郎がお礼にご飯奢ってくれることになって、ラーメン屋に行ったの。一瞬ナンパかと思ったけど、こんな男がナンパする根性あるわけないから着いていったのね。そこで働いていたのがその猫舌男。そいつが私の注文したラーメン持ってきたんだけど、そいつ猫舌な上に手の皮も薄いから熱いどんぶり持てなくて床に落としちゃったのよ。しかもそいつ全然謝ろうとしなくて、私の顔じっと見てこう言ってきたわけ。

「お前、鼻の頭にニキビができてるぞ」

 信じられないでしょ。その時の私はお客であいつは店員だったのに。大体、私の鼻にできてたのはニキビじゃないっての。あれは前の晩に寝袋で寝てたら石にぶつけて少し腫れてただけ。

 まあ、そんなあいつの態度に私が怒鳴っちゃってね。店長は必死に謝ってるのにあいつはぶすっとしたまま謝ろうとしなくて、その時は余計に腹立ったかな。私が何でこんな男雇ったのか、なんて文句言ったら、あいつ無銭飲食したんだって。あいつも旅をしていて、お金を使い果たしことに気付かず冷やし中華を食べまくったみたい。それでバイトして返すことになったわけ。ただ問題はそこからでね、店長から事情を聞いた啓太郎が代金肩代わりしちゃったのよ。人助けもいいけどさ、助ける相手も選んだほうがいいと思うんだよね。

 それで私が一番腹立ったのはその後。助けてもらっておいて、あいつ啓太郎にお礼も言わずにバイクでどっか行こうとしたのよ。私が引き留めて啓太郎にお金返すように言っても金は無い、とか開き直っちゃうし。丁度ラーメン待ってる間に啓太郎の家がクリーニング屋って話してたから、啓太郎のお店でバイトしてお金返せって無理矢理そいつもこっちに連れてきたんだ。

 それからの旅は本当に最悪だったわよ。あいつ無愛想だし口は悪いし猫舌だし。絶対にこいつ友達いない、って思った。実際に言ってやったらもの凄く怒ったから図星ね。

 そんなわけで、東京に来た私たちは啓太郎のお店に住み込みで働いてるの。啓太郎が住む家が見つかってないならうちで一緒に暮らそう、ってね。啓太郎の両親はクリーニングの仕事でアフリカに行ってるから部屋の空きもあるし、家賃もいらないって言うから良いかな、って。

 私の生活は順調だよ。美容室でバイトとしてだけど働けるようになったし。18歳になったら高認試験受けて、合格したら美容師の専門学校を受験するつもり。お金もしっかり貯めてるしね。

 まあ、あの猫舌男さえいなければ文句は無いんだけど。

</recollection>

 

 真理の旅行記を、穂乃果は一音一句聞き逃すまいと耳を澄ませていた。旅はたくさんの発見や驚きをくれることを穂乃果は自らの旅から知っている。高校に進学せずに夢を追いかける真理の行動力は驚いたが、旅の途中で出会った不思議な縁はもっと驚いた。思いがけない人物との出会いとは、誰の身にもあるんだな、と穂乃果は思った。穂乃果のμ’sメンバー達との出会いは喜びと楽しい日々を与えてくれたが、どうやら真理とその人物との出会いは真逆の感情を彼女に与えてしまったらしい。

 程なくしてバンは穂むらに到着した。「ありがとうございました」とお礼を言って降りると、啓太郎は運転席の窓を開けてにっこりと笑みを向けた。

「頑張ってね。μ’s応援してるから」

 ボディの脇に「西洋洗濯舗 菊池」と書かれたバンが走り出し、住宅街の中へ消えていくのを見届けたとき、穂乃果は「あ」と気付いた。

 「たっくん」という人物の名前を聞き忘れたことに。

 

 

   04

 

 秋葉原から穂むらに辿り着いたメンバーは穂乃果が最後だった。他の皆も秋葉原から抜け出すのに相当の苦労をしたようで、顔に疲労の色が見える。

 全員揃ったところで、穂乃果は雪穂に尋ねた。自分たちが半日かけて空を飛んでいた間、秋葉原で起こっていたことを。

「あのライブ中継の評判がやっぱり凄かったらしくて、あちこちで取り上げられてるよ」

 「ほら」と雪穂はPCの画面を穂乃果に向ける。画面のページは海外ライブの様子を撮影した動画と、それに関するいくつかのニュースサイトへのリンクバナー。動画のコメント欄を見て穂乃果は目を剥く。

「秋葉の街どころか、いろんな所で」

 隣で画面を見る花陽が言った。コメント欄に表記された感想は日本語だけでなく英語もあって、文字なのか分からない記号の連なりまである。世界の中心から発信されたμ’sの存在は世界中へと拡散された。世界中の目に留まったグループの拠点である秋葉原が騒がないはずがない。

 「大変だったんだよ」と雪穂は溜め息をついた。

「戻ってくるまで、ずっとお姉ちゃんを尋ねてファンの人達がごった返してたんだから。まあ、お母さんもお父さんも売り上げが上がった、って喜んでたけど」

 雪穂の言葉を受けて「嘘⁉ お小遣いの交渉してくる!」と穂乃果は立ち上がり、妹の肩を掴んで激しく揺さぶる。

「わたしのお陰で売り上げが上がったんでしょ? もう少しアップしてもらわなきゃ!」

 「そんなこと言ってる場合ですか?」という海未の冷静な声で、穂乃果は昂ぶりを少しばかり冷ますことができた。「そうよ」と絵里が応じる。

「考えなきゃいけないことがあるでしょ?」

 絵里と真姫が声を重ねて言った。偶然だったらしく、真姫は恥ずかしそうに頬杖をついた顔を背ける。「考えなきゃいけないこと?」と雪穂から手を離した穂乃果が反芻すると、「分からない?」と真姫は皮肉を飛ばしてくる。見かねたのか、絵里が答えてくれる。

「こんなに人気が出て皆に注目されているのよ」

 「そうやね、これは間違いなく………」と希が神妙そうに視線を下げる。希の表情の意味を、彼女が何を憂いているのか、穂乃果はまだ分からなかった。

 

 帰国してからというもの、まさに息をつく暇もない。穂乃果の実家が和菓子屋であるという情報がどこからともなくインターネット上で広まり、μ’sのファンを名乗る客が連日穂むらへと訪れていた。店に入りきらず行列ができている様を、穂乃果は生まれて初めて見たかもしれない。

 両親も売り上げが右肩上がりで喜んでいるから良いと思っていたのだが、そう気楽に考えられたのは学校に行っていた平日の間だけだ。学校が休みの土日、母から店番をしなさい、と告げられた。朝から晩までサインや握手を求められて、閉店の時間にはへとへとになっていることが容易に想像できる。でも結局、穂乃果は承諾せざるを得なくなった。小遣いアップを条件に出されて。

 案の定、割烹着を着て店先に立った穂乃果のもとにファンが、主に学生の少女たちがサインや握手を求めた。母は意気揚々と客の呼び込みをした。高坂穂乃果の暮らす穂むらへようこそ、と。

 μ’sを知ってくれるのは嬉しいのだが、ここまで来ると流石に疲れてしまう。海未だったら羞恥のあまり失神していただろう。彼女の家がまだ特定されていないことが幸いだ。

 その日の営業はいつもより早めに終わった。店に置いていた商品が全て売り切れてしまったからだ。母によると、商品棚に物がなくなったのは店の創業初のことらしい。もっとも、穂乃果のμ’sメンバーとしての営業は閉店してから2時間近くも続いていたが。

 ようやくお客とファンが帰って店の暖簾を下げていたところ、また来客がやってきた。

「すみません。今日はもう閉店なんで――」

 穂乃果は言葉を途切れさせ、その来客の顔を見つめる。来客の少年は一瞬だけ顔を逸らすも、すぐに向き直り所在なさげに笑った。

「高坂、久しぶり。覚えてる?」

 「霧江君!」と穂乃果は少年を感慨と共に呼んだ。少年は中学時代の同級生の霧江往人だった。一緒に緑化委員の仕事をしたことは覚えている。

「ごめん、急に押しかけて」

「ううん、会えて嬉しいよ」

 穂乃果がそう言うと往人は頬を紅潮させる。そんな彼を見て穂乃果は懐かしい気分になる。往人は未だに女子と話すことに慣れていないようだ。穂乃果と特別親しかったわけではないが、委員会で話をするときの彼は決まっていつも赤面していた。だから、穂乃果のなかで往人はクラスの男子のなかでは最も印象に残っている。といっても友達になるほど親しくはならず、中学を卒業してからは一度も会っていなかったが。

「ラブライブ、優勝おめでとう」

「観てくれたの?」

「うん。μ’s、ずっと前から良いな、って思ってさ。海外のライブも凄かったよ。鳥肌立った」

 懐かしい知り合いに面と向かって褒められると照れ臭くなってくる。穂乃果は「えへへ」と頬をぽりぽりと掻いた。

「高坂がアイドルやってるなんて知ったときはびっくりしたよ」

「あ、向いてないとか思った?」

「思わないよ。高坂、よく笑うしさ」

 何だか笑顔しか取り柄がないみたいに聞こえるが、往人は皮肉を言う性格じゃない。だから純粋に褒め言葉と受け取ることができる。

「それで、次のライブはするの?」

 往人の質問は、さっきまで穂乃果がファンに何度も投げかけられたものだ。ファンは期待している。μ’sが次にどんなライブをするのか。どんな歌を聴かせ、どんなダンスを見せてくれるのか。

 穂乃果はもはやお決まりになってしまった答えを返す。

「まだ、決めてないんだ」

 「そうなんだ」と往人は残念そうに沈んだ声で言った。

「うちの学校でも話題でさ。皆楽しみにしてるんだ」

 「そっか……」と穂乃果は気のない相槌をうつ。往人がμ’sを知ってくれたことが嬉しい反面で、彼への申し訳なさも大きくなってくる。面の皮厚くこうして彼と普段通りに接している自分がとても卑劣に思えてきた。

「あのさ、高坂」

 やや俯いていた視線を上げると、往人は真っすぐと穂乃果に赤く染まった顔を向けている。耳まで赤くなっていた。

「その……、頑張れよ。俺、ずっと応援してるから」

 そう言うと往人は踵を返し、住宅街の奥へと早足に去っていく。ようやく落ち着いて思考する暇を得たところで、穂乃果は理解することができた。

 皆、μ’sが終わることを知らないんだ、と。

 

 皆で集まって話し合いましょう。

 絵里からメンバー全員へ向けたメールが届いたとき、穂乃果にはやっぱり、という確信があった。きっと、次のライブについて尋ねられたのは穂乃果だけではないはず。学校で、街で、家で。皆も穂乃果と同じように、9人で決めたμ’sのこれからを打ち明けることができなかったのだろう。

 放課後に9人が揃ったアイドル研究部の部室を見渡して、穂乃果は喜ぶべきなのか迷う。卒業式を経た3年生たちが再び訪れたことは嬉しいのだが、集まった理由は楽しく過ごすことではない。

「みんな次のライブがある、って思ってるんだなあ」

 テーブルにうなだれた穂乃果は力なくそう漏らす。さっきもヒデコ達の3人にライブをしてほしい、とせがまれて逃げ回っていたところだ。

「これだけ人気があれば当然ね」

 あくまで冷静に絵里が言った。続けて海未が。

「μ’sは大会をもって活動を終わりにすると、メンバー以外には言ってませんでしたね」

 海未の言う通り、グループの終了は外部の誰にも言わなかった。両親にも、雪穂にも、クラスメート達にも。発表する必要性を感じなかったからだ。ラブライブに優勝したことで注目はされるだろうが、ここまで事が大きくなると、この場の誰が予想できただろう。

 「でも」と穂乃果は抗議の声をあげる。

「絵里ちゃん達が3年生だっていうのは、みんな知ってるんだよ。卒業したらスクールアイドルは無理だって言わなくても分かるでしょ?」

 3年生はあと僅かで「スクール」アイドルではなくなる。出場資格が高校生に限られるラブライブにμ’sはもう出場できなくて、前大会がグループにとって9人で出場できる最後のチャンスであることは、音ノ木坂の生徒や関係者なら周知の事実だ。

 「多分」と静観を決め込んでいた真姫が口を開く。

「見ている人にとっては、わたし達がスクールアイドルかそうじゃないか、ってことはあまり関係ないのよ」

 μ’sがこれからも活動を続けてくれるか。そのファンの期待に、グループがスクールアイドルであることは大した問題じゃない。

 真姫が見出した事とは、μ’sはもはやスクールアイドルの枠を超えつつあるということ。

「実際、スクールアイドルを卒業してもアイドル活動をしている人はいる。ラブライブには出場できないけど、ライブをやったり歌を発表している人はたくさんいるから」

 花陽の言葉に、「そっか」としか穂乃果は返せなかった。スクールアイドルを卒業したからといって、アイドル活動も卒業しなければならない、という制約はない。ファンにとって、3年生が卒業するからμ’sは終わり、だなんて理屈は通らないのかもしれない。

「では、どうすればいいのですか?」

 海未の問いに、部室が静寂に包まれる。その答えを見つけるために集まったのだが、すぐに解決策が見出せるとは思えない。9人で決めた通りに終わらせよう、となればファンを落胆させてしまうかもしれない。求められているなら続けよう、となれば、限られた時間の短さに9人で流した涙は一体何だったのか。決勝のライブで抱きしめた喜びは何だったのか。

 9人の間に漂う沈黙を、希が破る。

「ライブ、やるしかないんやない?」

 「ライブ?」と穂乃果は聞く。「そう」と希は答えて、続ける。

「みんなの前でもう一度ライブをやって、ちゃんと終わることを伝える。ライブに成功して注目されてる今、それが1番なんやないかな」

 「それに」と希は真姫へと視線をくべる。

「相応しい曲もあるし」

 何のことだろう、と思っていると、真姫が頬を赤く染めて「ちょっと希!」と。「いいやろ」と希は真姫の口から飛び出してくるであろう文句を遮った。

「実は真姫ちゃんが作ってたんよ。μ’sの新曲を」

 「本当⁉」と穂乃果は声をあげた。続けてことりが「でも」と。

「終わるのにどうして?」

 確かにそれは疑問だ。真姫にしては意外だった。真姫は少し恥ずかしそうに目線を下げて答える。

「大会で歌ったのが最後の曲かと思っていたけど、その後色々あったでしょ。だから、自分の区切りとして一応。ただ、別にライブで歌うとか、そんなつもりはなかったのよ」

 真姫はポケットから音楽プレイヤーを出して、静かにテーブルに置いた。穂乃果は端末を手に取り、イヤホンを耳に挿してひとつしか入っていない曲を再生する。耳孔に響き渡る旋律に、穂乃果は目を見張った。端末の画面を見ると、No Titleという曲名が泳いでいるだけ。「これ」とイヤホンの片方を分けたことりが顔を向けてくる。「良い曲だね」と穂乃果は微笑を浮かべた。

「いいなあ、凛も聞きたい」

 幼子のような凛に続いて、「わたしのソロはちゃんとある?」とにこが食いついてくる。百聞は一見に如かず。「聴いてみて」と穂乃果はにこに、ことりは凛にイヤホンを譲った。

「わたしも早く聴きたい」

 目を輝かせる絵里を「お、エリちもやる気やねえ」と希が茶化す。

「海未ちゃん、これで作詞できる?」

 穂乃果が尋ねると、試聴の番が回っている海未は微笑と共に「はい」と。

「実はわたしも少し書き溜めていましたので」

 「わたしも」とことりが。

「海外でもずっと衣装ばっかり見てた」

 何だ、と穂乃果は思わず安堵の溜め息をついてしまう。準備は既に始まっている。皆、どこかで裡に音楽を生み出し続けていたのだ。自分たちの、実現させるはずのなかったライブを。

「みんな考えることは同じ、ってことやね」

 希の言う通りだ。9人の心はいつでもひとつに集束している。それを踏まえた上で、希は穂乃果に問う。

「どう、やってみない? μ’sの最後を伝えるライブ」

 穂乃果はそこで思い出した。あの街で出会った不思議な女性シンガーと、彼女の言葉を。

「何のために歌う………」

 何のために、を見出せば、彼女が明示しなかった答えが見つかる気がする。本当にμ’sを終わらせた先。まだ視えない次のステージが。

 「穂乃果ちゃん?」という希の声で、意識を別のところに置いていたことに気付く。穂乃果は「ごめん」とはぐらかした。

「こんな素敵な曲があるんだったら、やらないと勿体ないよね」

 「やろう!」と拳を握り、穂乃果は告げる。

「最後を伝える最後のライブ!」

 その言葉で、皆の顔が以前に戻った気がした。ラブライブに向けて練習に明け暮れていた頃。曲や詞、ダンスのステップについて話し合った日々に。

「練習、きつくなるわよ」

 そう言って絵里が不敵に笑う。

「うちらが音ノ木坂にいられるのは、今月の終わりまで」

 希がそんな意地悪いことを告げる。練習がとても密なスケジュールになってしまうことを認識すると、少しだけ憂鬱になる。でも、この憂鬱さえも今では楽しめてしまえそうだ。

「それまでにやることは山積みよ」

 絵里の言葉に穂乃果が頷こうとしたとき、部室のドアがノックされた。「はい」と穂乃果が応じると静かにドアが開けられる。部室に半歩だけ脚を踏み入れた理事長は少しばかり表情を曇らせて、でもあくまで毅然とした声色で言った。

「皆、ちょっといい?」

 

「続けてほしい?」

 理事長室に場を移し、告げられた要求を反芻した穂乃果に理事長は「ええ」と。

「スクールアイドルとして圧倒的な人気を誇るA-RISEとμ’s。ドームでの大会を実現させるにはどうしてもあなた達の力が必要と、皆が思っているようよ」

 「皆が……」と穂乃果は末尾を繰り返す。

 「でも、そう考えるのも分かります」と海未は言う。

 「ここまで人気が出ちゃうと」とことりも。

 反論の言葉を探しているところで、理事長は続ける。

「3年生が卒業しスクールアイドルを続けるのが難しいのであれば、別の形でも構わない。とにかく、今の熱を冷まさないためにも」

 穂乃果は唇を結ぶ。ここで簡単に承諾してはいけない。さっき皆で決めたことを、大人から言われたからといって覆していいものじゃない。その想いを汲み取ってか、そうでないのか、理事長は言った。

「皆、μ’sには続けてほしいと思っている」

 

「困ったことになっちゃったね。最後のライブの話をしていたところなのに」

 校庭で穂乃果たちが伝えた理事長の要求に対する第1の反応が、花陽のその言葉だった。

「わたしは反対よ」

 真姫は明確に、はっきりとした口調で言う。

「ラブライブのお陰でここまで来られたのは確かだけど、μ’sがそこまでする必要があるの?」

 「うん、そうだよね」と穂乃果は力なく応じる。ラブライブという大会への恩はある。海外ライブはそのために歌った。でも、それだけで貢献には足りないというのか。μ’sが続けば、アキバドームでのラブライブ開催は実現するのかもしれない。イベント会社は大きな利益を得て、音ノ木坂学院も生徒が年を経るごとに増えていくかもしれない。

 でも、大会の優勝者とはいえ一介の高校生である自分たちが、大人の事情でそんな重い責任を背負う必要があるのか。真姫が言っているのはそういうこと。

「でも、大会も成功に導くことができれば、スクールアイドルはもっと大きく羽ばたける」

 絵里の言葉は希望なのか、穂乃果は判断しかねた。「海外に行ったのもそのためやしね」と希は乗じた。そこで「待ってよ」と真姫が。

<anger>

「ちゃんと終わりにしようって、μ’sは3年生の卒業と同時に終わりにしようって、決めたんじゃないの?」

</anger>

 真姫がここまで反発するのも穂乃果は理解できる。残る6人で決めた答えを3年生に告げた海岸で、μ’sはわたし達だけのものにしたい、と真姫は言っていた。普段は冷静な真姫が、自分の感情を露わにして出した答えと言葉。あの時の気持ちを無駄にしたくない。それは穂乃果も同じだし、「真姫の言う通りよ」と告げるにこも同じだと思いたい。

「ちゃんと終わらせる、って決めたんなら終わらせないと」

 「違う?」というにこの問いに、しばし逡巡して希が「良いの?」と希が問いを返す。

「続ければ、ドームのステージに――」

 「もちろん出たいわよ」とにこは遮った。

「けど、わたし達は決めたんじゃない。9人みんなで話し合って。あのときの決心を簡単には変えられない。分かるでしょ?」

 μ’sのこれからを決める最初の頃、にこは続けるように言った。自分がアイドルでいられた居場所。葛藤の末、涙の末に彼女も終わらせることを受け入れた。この9人でいてこそのμ’sで、この9人がいる最も美しい形のまま終わらせよう、と。

 逡巡するあたり、絵里もきっと同じ気持ちに違いない。この場にいる全員が、根底には同じはずだ。それが揺らいでいる。スクールアイドルの発展。自分たちと同じ夢を見るであろう次の世代の少女たち。そのためにμ’sは存在し続けなければならないのだろうか。スクールアイドルを象徴する者として。

「もしμ’sを終わりにしちゃったら、ドームはなくなっちゃうかもしれないね」

 沈んだ口調の花陽に、凛が続く。

「凛たちが続けなかったせいで、そうなるのは………」

 これは夢を叶えた代償なのかな。穂乃果はふと、そう思ってしまう。夢を叶え、観客に夢を与えた者としての責任。偶像(アイドル)として夢の火を灯し続けることでそれが果たされるのかもしれない。でもそうした結果、いつしか歌うことへの熱意を失ってしまえば呪いと同じだ。夢を叶えなければ、叶える意義を見出せなければ解けない呪い。μ’sに匹敵するほどのスクールアイドルが登場したら、呪いを否応なく継承させてしまう。それは絶対にさせたくない。

「穂乃果はどう思うの?」

 絵里がそう尋ね、「穂乃果」と真姫が念を押す。リーダーである自分の決断で全てが決まるかもしれない。穂乃果が決めたのなら、と皆は着いてきてくれるのかもしれない。

 穂乃果はすぐに決断を下すことができなかった。何が正しいのか、ここで直感に任せることはできない。

 間違ってしまえば、皆で追い求めた光を見失ってしまうのかもしれないのだから。

 

 

   05

 

 周囲の期待を取るか、自分たちの気持ちを取るか。つまるところ2択しかない。それでも結論は出ず、家路につく間も穂乃果は選択しきれずにいた。帰宅してベッドに身を預けてリラックスしてみるも、頭のなかにある鬱蒼とした悩みの糸は複雑に絡まり続け、解ける気配がまったくない。

 みんな喜んでくれるのかな。μ’sが続いたほうが。

 部屋には穂乃果しかいない。だから問いに答えてくれる者はいない。それに、きっとファンや協力してくれた人々は喜んでくれる。それは確信できた。理事長は続けることを望んでくれているし、今この瞬間にも動画サイトでコメントを投稿してくれているファンもグループを応援してくれることだろう。

「お姉ちゃーん」

 その声と共に襖が開けられる。「ちょっといい?」と入ってくる雪穂と亜里沙に悟られまいと穂乃果はいつもの調子で「うん」とベッドから身を起こす。「お邪魔します」と雪穂の後に部屋に入った亜里沙は丁寧に襖を閉めた。

「亜里沙ちゃん、ロシアには帰らなかったの?」

「はい。これからスクールアイドルとして頑張るんです。今は戻ってなんていられません」

 張り切る後輩に少しだけ気分が安らぎ、「そっか」と穂乃果は笑みを零した。亜里沙は絵里と同じ綺麗なブロンドの髪をしているから、きっと観客の目を引くアイドルになれるだろう。情熱が高じて暴走しないか心配だが、それは雪穂がストッパーとして機能してくれる。

 「それでね」と雪穂が目の前で座り込む。

「学校での練習場所を相談したいんだ。どこにしたらいいのか分かんなくて」

「なるほど……」

「どこか、お勧めの場所ってある?」

 穂乃果はしばし宙を眺め、学校の施設を思い返してみる。発声とダンスの練習ができる場所として思い当たるのは、一箇所だけだ。

「やっぱり屋上かな。広いし。雨が降ったら練習できないけど」

 「え? でも……」と雪穂は目を丸くする。

「屋上ってお姉ちゃんたちが………」

「そうだけど、少し離れれば音も気にならないよ。そしたら、頑張ってるふたりを毎日そう、っと………」

 「だめだめ! まだ始めたばっかりなんだから」と雪穂は慌てて遮った。いつもは口うるさいが、こうして気恥ずかしさを見せる妹は可愛げがある。

 ふたりも、μ’sが続くことを望んでくれているのだろうか。ふと思うと、穂乃果は妹とその親友の顔を直視できず視線を落とす。思い返せば、μ’sを終わらせる、という選択を下したのは亜里沙の答えがあったからだ。9人が、「みんな」と一緒に1歩ずつ進むその姿が大好き、と。

 スクールアイドルではなくなるが、メンバーの入れ替わりはない。9人のままμ’sは続けていく。それもまたひとつの形なのかもしれない。

 でも、本当にそれで良いのかな。そう思ったところで、亜里沙がささやかな問いを投げかけてくる。

「楽しく、ないの?」

 その質問に穂乃果はとても驚き、「え?」と亜里沙を見上げる。楽しいに決まっている。楽しいからハードな練習もやってこられたのだから。「楽しい?」と聞き返すと、雪穂が「そうだよ」と。

「亜里沙とふたりで話してたんだ。わたし達はμ’sに負けないくらい楽しいスクールアイドルを目指そう、って」

 熱く語る妹はとても楽しそうに、穂乃果の目には映った。今までの自分も、雪穂の目から見ればこんな感じだったのだろうか。

 「だから」と亜里沙が引き継ぐ。

「だからμ’sは、いつも楽しくいてほしいです」

 亜里沙は笑顔でそう言った。絵里から、亜里沙が9人になる前からμ’sを応援してくれていたことは聞いている。大好きなものには大好きな姿のままでいてほしい。そう思うのは自然なことだし、不変はあり得ないこと、と断じてしまうのは寂しい。

 今のわたしは楽しく見えないのかな。否定できないのは図星と自覚していたからだ。何も返せないまま、「それじゃ」と部屋から出ていくふたりを見送る。

「楽しい………」

 再びベッドに身を預け、その言葉をなぞってみる。

<sentiment>

 楽しさというのはいつまで維持できるのか。高揚した気分というのは若い時期だけに持てる特権で、大人になったら失われてしまうのだろうか。

</sentiment>

 携帯電話のコール音が聞こえてくる。おもむろに起き上がり、電話を置いてある机に向かったところで、穂乃果は液晶画面に映る「綺羅ツバサ」という通話元の文字を視界に収めた。

 

 穂乃果は寝間着から着替えることなく、カーディガンを羽織って夜の街へと飛び出した。待たせてしまうことへの後ろめたさからの全力疾走だが、同時に期待もあった。

 ツバサなら、ラブライブでμ’sに優勝の座を譲ってもトップアイドルの地位を維持しているA-RISEなら、穂乃果に答えを提示してくれるかもしれない。穂乃果にスクールアイドルを始めるきっかけを与え、目標とした場所に立っていた彼女なら、μ’sを導いてくれるかもしれない。

 既に自動ドアが遮蔽されたUTX学院のビルを前にして、制服姿の彼女は壁面のモニターを見上げていた。顔は見えなくても、その堂々とした佇まいで綺羅ツバサであることが分かる。穂乃果の足音に気付いたのか、ツバサは振り返る。

「穂乃果さん?」

「ツバサさん………、お久しぶりです」

 脚を止めた途端、一気に疲労がやってくる。息も絶え絶えな穂乃果をツバサは「お帰り」と労い、次に苦笑を零す。

「って、その恰好は何?」

 その質問で、穂乃果は自分が寝間着にカーディガンを羽織っただけの恰好であることに気付く。

「いや、慌てていたもので………」

 自分を打ち負かせた相手の情けない姿にツバサは軽蔑の眼差しをくべることをせず、とても親しげな視線を送る。

「ねえ、少し時間ある? 車を待たせてあるの。ドライブしましょ」

「ど、ドライブ⁉」

 穂乃果の驚愕をよそに、ツバサはすたすたと歩き始める。穂乃果は慌ててその後を追い、駅前に広がる高架デッキの階段を下りた。

 車道に降りるとセダンが停まっていた。車に詳しくない穂乃果でも、その真っ白に磨かれたボディで敷居の高い車であることが理解できる。ツバサに促されるまま後部座席に乗り込むと英玲奈とあんじゅが待っていて、「やあ」「ハロー」と声をかけてくれるのだが、穂乃果の意識は内装のほうへ向かってしまい「お、お久しぶりです」と応じるのに数舜の間を置いてしまった。

 「どうぞ、かけて」とツバサが促してくれなかったら、穂乃果はずっとドアの前で立ちすくんでいたままに違いない。車の後部座席は拡張されていた。本来なら横に並ぶはずのシートはL字型のソファに置き換えられているから脚を伸ばすことができる。設置されたTVモニターと車に置くには不釣り合いなスピーカーからは良い音質でA-RISEの『Shocking Party』を流している。極めつけは、シャンパングラスと片手でつまめるお菓子を乗せたキャビネットだ。まるでセレブのリムジンに招待されたみたいで、ますます恰好が分不相応に見えてしまう。

「どうだった? 向こうは」

 車が走り出してしばらくして、ツバサが尋ねる。

「はい、とても楽しく勉強にもなりました」

 ようやくソファの柔らかさに慣れた穂乃果がそう答えると「そうか」と英玲奈が応じ、次にあんじゅが「ライブも大成功だったみたいね」と。

「周りはその話題で持ちきりよ」

 ツバサの言葉に、穂乃果は「いや、そんな……」と照れ笑いを浮かべる。

「それで、次のライブはどこでやるの?」

 次に出た彼女の質問に穂乃果は口をつぐむ。突然の呼び出しで動揺こそしていたが、考えてみれば今の状況で話の場を設けられたとなれば、その質問は当然のことだった。A-RISEはラブライブが始まって早い段階から、μ’sにライバルとして目をつけていたのだから。

「その顔はどうしよう、って顔ね」

 ツバサが穂乃果の内心を代弁する。穂乃果は視線を俯かせたまま、ぼそりと語る。

「μ’sは3年生が卒業したら終わり。それが1番良いと、わたし達は思っていました。でも、今はすごいたくさんの人がわたし達を待っていて、ラブライブにまで力を貸せるくらいにまでなって――」

「期待を裏切りたくない」

 ツバサの言葉に穂乃果は頷き、続ける。

「応援してくれる人がいて、歌を聴きたいと言ってくれる人がいて、期待に応えたい。ずっとそうしてきたから、やっぱり――」

 先の言葉を言うことができない。A-RISEの3人を前にして、まだ決断を固めていないままの曖昧な結論を出したくなかった。「だったら続けたら」というあんじゅの言葉の通り、続けたほうが良いのかもしれない。でも、自分たちの「やりたい」という気持ちから始まり続いてきたμ’sが、周囲に求められるまま存続していく。それは果たしてμ’sとして相応しい形なのだろうか。

 そこへ、穂乃果の視界に1枚の紙片が入り込む。「これは」という穂乃果の質問に答えたのはあんじゅだった。

「わたし達をこれからマネジメントしてくれるチームよ」

 穂乃果はツバサから差し出された名刺を手に取り「マネジメント」と反芻する。

「わたし達は続けることにしたの」

 ツバサは強く、はっきりと告げる。

「学校を卒業してスクールアイドルじゃなくなっても、3人で一緒にA-RISEとして歌っていきたい。そう思ったから」

 スクールアイドルを卒業してもアイドル活動をしている人はいる、という花陽の言葉を思い出す。A-RISEはその選択を取った。スクールアイドルのマネジメントは所属する学校が務めることになっていて、卒業したら自力で活動していかなければならない。芸能事務所とマネジメント契約ができるのはA-RISEのような一握りの、プロの世界でも通用するグループに限られる。今の人気ぶりから、μ’sに目をつけている事務所もあるだろうか。

「あなたの気持ちは分かっているつもりよ。わたしも迷った。ラブライブを目指しスクールアイドルを続け、そして成し遂げたときに終わりを迎えるのはとても美しいことだと思う」

 そこでツバサは「でもね」と視線を下げた。

「やっぱり無くなるのは寂しいの。この時間を、この一瞬をずっと続けていたい。そして、お客さんを楽しませ、もっともっと大きな世界へ羽ばたいていきたい。そう思ったから、わたし達は」

 3人の重い表情から、A-RISEの決断も迷いに迷いを塗り重ねて下されたものだと理解できた。スクールアイドルという枠から外れ、プロのアイドルとして活動していく。流行には当然波があるし、ずっと人気グループでいられる確証なんてない。現に、ラブライブの優勝候補の筆頭格だったA-RISEは第2回大会でμ’sに敗れた。

 それでも、3人は一緒にいることに決めた。たとえ先が視えなくても3人でなら次のステージへ行ける、という信頼のもとで。穂乃果も、8人の仲間を信じている、という点では同じだ。9人でいれば羽ばたけると信じていた。

 ツバサは穂乃果をじ、っと見据える。

「あなたがどういう結論を出すかは自由よ。でも、わたし達は続ける。あなた達にも続けてほしい」

 その力強い眼差しに穂乃果は怖気づいてしまう。そこへあんじゅが。

「共にラブライブを戦ってきた仲間として、これからも」

 その言葉に、穂乃果は自分の期待がとても無責任なものと思い知らされた。A-RISEはμ’sをライバルとして、仲間として見てくれている。共に刺激を与え、己を研磨し合える存在として。そんな彼女たちが自分たちを導いてくれるなんて他力本願もいい所だ。

 結局、自分たちの答えは自分たちで見つけるしかないのだから。

 

 家まで送る、とツバサは気遣ってくれたが、穂乃果は大丈夫です、と断った。歩いて帰れるから、と。

 少しばかり静かになった夜の街へ消えていくセダンを、穂乃果は見えなくなるまで見送った。この出来事を皆に話したら、どんな反応をするかな、とぼんやり考えながら。

 ようやく歩き始めるも、数歩進んだところで穂乃果は脚を止めて周囲を見渡す。秋葉原は日常的に来る街だが、普段通る道とそうでない道がある。車から降ろしてもらった場所は後者のほうだったようで、ここが果たして馴染み深い街の一角であるのか危うくなってきた。取り敢えず適当に歩けば、大通りに出られて道が分かるかもしれない。そう思い暗い道を歩くのだが、進めば進むほど迷宮の奥へと進んでいくような錯覚と恐怖にとらわれる。

 周囲を見渡しながら歩くうちに、寒さで体が震えてきた。家を出たときは走っていたし、車の中も暖房がきいていたから何ともなかったが、まだ夜は冷える季節だ。せめて服ぐらい着替えておけばよかった、と後悔し手に吐息を吐きかけるも、その程度で温まりはしない。

 どれくらい歩いただろうか。ちゃんと家の方向へ歩いているのだろうか。住宅街に入ったが、見たことのない家々が立ち並んで余計に不安が膨れ上がってくる。穂乃果の視点は無意識に、路肩に停まっているバンへ向いていた。なぜそれを見たのかというと、夜の住宅街で路上駐車している車がそのバン1台だけだったからだ。

 何気なく向いていた穂乃果の目が、バンの脇に書いてある「西洋洗濯舗 菊池」という文字を捉える。穂乃果は駆け出してバンへと向かった。もたもたしていたら気付いてもらえず走り去っていくかもしれない。助手席のドアを開けて中へ飛び込むと同時、穂乃果は深々と下げた頭の前で両手を合わせる。

「ごめんなさい啓太郎さん! また家まで送ってください!」

 車のなかに、穂乃果の声が反響することなく消えていく。まるでシートのクッション材が音波を吸収しているように。驚かせちゃったかな、と思いながら穂乃果がおそるおそる頭を上げたところで、運転手はようやく声をあげる。

「は?」

<bewilderment>

 穂乃果はその顔を視界に収めると、何と言ったらいいか分からず口を開いたまま静止させる。

 運転席に座るのは啓太郎とは似ても似つかない、鋭い目つきをした長い茶髪の青年だった。

</bewilderment>

 青年は憮然と言い放つ。

「お前、誰だよ?」

 

 

</body>

</ltml>

 




 劇場版編での『555』メンバーは何と言いますか、平成ライダー初期の劇場版で前作のキャストが友情出演するのと似た感じです。

 いよいよ次回が本当の最終回になります。何度か最終回ばりのエピソードがありましたが次回で本当に最後です。

 本当ですよ。本当ですってば!

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