ラブライブ! feat.仮面ライダー555 作:hirotani
穏やかに営みを築く街並みを、真っ赤なカラーリングが施されたスポーツカーと白馬のように白いバイクが駆け抜けていく。
エンジンを唸らせながら去るその後ろ姿に、海堂直也は敬礼を捧げた。
それは傍から見れば手で日除けを作る仕草だが、直也にとってはこれから戦いへと赴くであろう彼等に捧げる最大の敬意だった。つい「昨日」まで、世界を救うための戦いを繰り広げていたことに気付かない戦士達への。
先ほど直也とぶつかったスポーツカーの運転手のほうは、一度顔を合わせているにも関わらず直也の顔を覚えていない様子だった。直也のほうはしっかりと覚えているというのに。
直也が未だ彼等を知っているのは、おそらくは歴史改変マシンの影響がまだ残っているからだろう。本来なら住む世界が異なり、出会うはずのない彼等とすれ違いでも出会ったことがそれを証明している。
とはいえ、彼等の記憶から直也の存在が抹消されているのなら、直也のほうも近いうちに彼等を忘れるはずだ。忘れたことにも気づかないまま元の世界に戻り、「彼」を失ったことへの空虚を抱えながら生きていくだろう。
直也は空を見上げる。雲ひとつない青空だ。これまでの人生で最も美しい。このどこまでも広がる蒼穹に思慕を抱けるのは、果たしていつまでなのか。
直也の中にある記憶は、ふたつの過去に分かれている。「彼」がいる過去と、「彼」のいない過去。ふたつの記憶には当然違いがあるのだが、それほど大きな差異はない。「彼」がいないほうの過去でも、直也は「王」とロブスターオルフェノクを倒し、オルフェノクという種に終止符を打った。琢磨逸郎という犠牲を払って。その戦いに「彼」はおらず、ファイズとして戦ったのは直也だった。ただそれだけの違いに過ぎない。
きっと、「彼」が存在した過去にいた少女達の道のりにも、大した影響は及んでいないのだろう。
最初から決められた運命だったのか。彼女らに問えば否定するに違いない。これは自分達で掴み取った栄光だ、と。みんなで叶えた夢なのだ、と。
同じ結果になるのなら、「彼」は必要なかったのか。それを彼女らに問いても答えは得られないだろう。出会わなかった者のことなど、彼女らは知るはずもないのだから。
どちらが真実で、どちらが偽りの過去かなど、直也にとってはどうでもいい事だった。「彼」がいてくれれば、それで良かった。仲間を失った空虚に耐えられなかった直也は、生きていてくれる偽物の時間を選択した。
でも、「彼」自身はそれを拒んだ。直也は「彼」ならそうすることを分かっていた。誰よりも不器用な癖に、誰よりも優しかった彼なら。だから「彼」が時間の真実に触れることを阻止するべく警告を重ねたし、「彼」の前に敵として立ち塞がった。
結果として、直也が未来から掲示を受けた日から続けていた抵抗は全て水疱に帰した。曖昧になってきた片方の過去のなかで、直也が最後に見た「彼」の顔は、まだしぶとく仄かに光を放っている。
直也が生者への帰還を強いられたとき、死者の側に立っていた「彼」は穏やかな顔で直也を見送ってくれた。本来なら若くして命が尽きて、歴史改変という延命措置を施しても戦いに明け暮れた日々を想うと、その最期は直也にとってほんの僅かだが慰めになった。
意味なく死んだ奴はいない、と「彼」は言っていた。それは、死者達の物語を受け継ぐ「彼」の力強く、優しい決意を表した言葉だった。直也は思う。ただ空虚に覆いをするために復讐や偽物の時間を選択した自分に、あんな強さは持ち得なかったのだ、と。でも、こうして生き残った直也には責任がある。「彼」と仲間達が求めなかったとしても、直也自身が背負うと選択する。
絵を描こう、と直也は思った。滅びゆくオルフェノクの直也に残された命は、そう長くはない。余命のあるうちに、皆の物語を語り継ぐための絵本を作ることが直也にできることだ。「彼」等が確かに存在したという証として。人々へこだまのように広がっていく形として。
むかしむかし、オルフェノクという生き物がおりました、というように。
やるべきことは決まった。それを始める前に、直也は空へ尋ねる。この空に対して、何も感じられなくなってしまう前に。時間という絶対的概念によって、心が覆われてしまう前に。
「さて、この空を守ったのは、いったい誰なんでしょうか?」
直也の口から零れ出た名前は、誰の耳にも届くことなく蒼穹の大気へと拡散していった。
「なあ、――」
少しだけ、時間を遡らせてもらう。
これから語るのは、本来の時間を辿った少女達の一幕だ。
既に知っているのなら見る必要はないのかもしれないが、本来なら交わるはずのないこの物語での彼等を見守ってくれたあなたには、どうか見届けてほしい。
小さな
♦
「できた!」
その言葉を連呼しながら、穂乃果は階段を駆け下りていく。障子を開けた居間には雪穂と亜里沙がいて、目を丸くするふたりに穂乃果は「できたよ!」と。
「何が?」と雪穂が尋ね、「送辞だよ! 卒業式の送辞!」と穂乃果は繰り返し「ああ」と胸を撫で下ろす。
「ずっと悩んでたんだあ」
今日執り行われる卒業式。生徒会長である穂乃果は3年生への送辞を述べる進行が組まれている。小学生の頃、「おまんじゅう、うぐいす団子もう飽きた」なんて作文を書いた穂乃果の文章力は高校生になっても上達していなくて、昨晩は遅くまで頭を悩ませた。それでも言葉が纏まらずにいたのだが、ようやく完成した。最高と言える形に。
「行ってきまーす!」と元気よく、穂乃果は玄関の戸を開けて外へと飛び出す。庭の植木に水やりをしている母に「お母さんおっはよー!」と言って学校への道を行こうとしたところで、穂乃果はふと立ち止まり母を見つめる。正確には、母のいる店先を。
「どうしたの穂乃果?」
母がそう聞いてきて、はっと穂乃果は気付き家の中へと引き返した。「ごめん、言いそびれた」と居間の障子を開ける。
「ふたりとも、すっごく似合ってる。ファイトだよ!」
そう言うと、音ノ木坂の制服のサイズ合わせをしていた雪穂と亜里沙は満面の笑みを浮かべた。来月からふたりは、穂乃果の後輩になる。学校は続いていく。それが実感できた。
再び家を出て通学路を駆けながら、穂乃果はまださっきの違和感を忘れることができずにいた。朝の店先。いつもそこにいたのは母だけだっただろうか。もうひとり誰かが、店先の掃除をしていた気がしてならない。でも、それが誰なのか分からない。父はいつも厨房にこもりきりだし、雪穂だって店の手伝いは積極的じゃない。
そこにいた人物がどんな顔でどんな名前だったのか、存在すら曖昧だった。
♦
校舎の周辺に植えられた桜の木は満開に咲き誇っている。春の暖かい風が花弁を吹きすさんでいた。
校門を越えたすぐのところで、1年生の3人がいた。凛が「おーい!」と手を振っていて、花陽が「穂乃果ちゃんおはよう」と言った。「おはよう」と返した穂乃果が「皆は?」と聞くと、真姫が答えた。
「わたし達も今来たところよ」
「あっちにはにこちゃんも」と花陽が目配せしたところへ視線を追うと、にこの妹弟のココロとココアと虎太郎がいる。そばへ寄って凛が「にこちゃんおはよう」と挨拶すると、妹弟たちの傍で佇むにこ、と思っていた女性が「あら」と振り返り笑みを向けてくる。
「にこ……、ちゃんじゃないにゃ!」
凛が上ずった声をあげる。「初めまして」と落ち着いた口調で挨拶する女性の顔立ちはにこに瓜二つなのだが、すらりとしたパンツスーツのよく似合う長身からにことは別人と理解できる。
「わたし達のこと、知ってるんですか?」
花陽が聞くと「勿論」と女性は答え、唐突に「にっこにっこにー!」と乗り気でポーズを決める。
「の母ですから」
思わず「えー!?」と穂乃果は大声をあげた。その反応を良いほうへ捉えたのか、にこの母は微笑を向けてくる。
「は、初めまして」と困惑気味に花陽が言ったところで、「ママー!」とにこが走ってきて母にしがみつく。
「何してるのよ、早く来てよ! 見せたいものがあるんだから!」
「ねえママ、早く!」と子供のように母親の腕を引くにこへ、苦笑を浮かべながら「にこ……、ちゃん」と穂乃果が呼ぶ。ようやく後輩たちに気づいたにこは羞恥に引きつらせた顔と母にしがみついた体を凍結させながら穂乃果たちを凝視してくる。しばし逡巡した後に、母から離れたにこは軽く咳払いし「おはよう」とか細い声で言った。
まさかにこにあんな甘えん坊な一面があったとは。にこの母を部室へと案内しながら、穂乃果はしみじみとそう思った。いつも不遜な物腰だから意外なのだが、考えてみればにこは長姉なのだ。姉という立場上、親に甘え辛いのかもしれない。穂乃果も同じ姉でありながら親に甘えてばかりだが。でも、甘える相手は親と雪穂だっただろうか。海未とことりにも甘えてばかりだが、もうひとりいた気がする。
「じゃあいくわよ」と部室のドアを開けたにこが、照明を点けてテーブルの上を指し示す。続けて花陽と真姫が壁に立てかけられていた旗を広げた。
「これが優勝の証よ!」
テーブルに置かれた黄金のトロフィーと、広げられた旗に施された『Love Live! VICTORY』という文字の刺繍。自分たちの掴んだ栄光がそこにあった。にこの妹弟たちが「すごいです」、「きれい」、「うぃなー」と歓声をあげる。
「わたし達、勝ったんだね」
花陽が目尻に涙を浮かべながら呟く。穂乃果もこうして優勝旗とトロフィーを受け取っても、未だに実感が追いついていない。
「優勝にゃー!」と凛がトロフィーを掲げる様子に、「もう、まだ言ってるの?」と真姫が苦笑と共に皮肉を飛ばす。
「ね、本当だったでしょ?」
にこが母へ期待を込めた眼差しを向ける。にこの母は娘に優しい視線を返し、「おめでとう」と告げる。にこが満面の笑みを浮かべたところで、「でも」とにこの母が咎めるような口調へと変わる。
「これ、全部あなたの私物?」
にこの母が見渡す部室には、たくさんの段ボールが詰め込まれている。中身は全部にこが自宅から持ってきたアイドルグッズで、まだ荷造りされていない物も多い。
口ごもる娘に、にこの母は厳しく言った。
「立つ鳥跡を濁さず。皆さんのためにも、ちゃんと片付けていきなさい」
「はい……」とにこは肩を落とした。部室のグッズは殆どがにこの私物だったから、片付けてしまったら空き部屋のようになってしまいそうだ。
「ところで穂乃果、行かなくていいの?」
真姫のその言葉に、「え?」と穂乃果は返す。真姫は呆れの表情を露骨に出しながら言った。
「生徒会役員は式の2時間前に生徒会室集合、って海未に言われてなかったっけ?」
穂乃果は息を呑んだ。そうだ、送辞のことで頭がいっぱいだったから忘れていた。壁にかけてある時計を見ると、集合時間はとっくに過ぎている。「行かなくちゃ!」と駆け足で穂乃果は生徒会室へと向かった。
「ごめん!」と生徒会室のドアを開けると、予想通り海未の仏頂面が視界に映る。
「卒業式に遅刻ですか?」
海未の凄みのきいたその言葉が、穂乃果に向けられた第一声だった。隣ではことりが苦笑を浮かべている。
「ち、違うよ。学校には来てたの! ちょっと色々あって………」
弁明を試みるも、「色々?」と目を細める海未の剣幕に圧されてしまう。そこへ、「海未ちゃん」とことりが助け船を出してくれた。
「卒業式の日に、あんまり怒っちゃ駄目だよ」
「ですが……」と返すも、海未はこの時ばかりは小言を勘弁してくれた。
卒業式の生徒会は大忙しだ。式場の設営に進行の確認。卒業生へ贈る花の準備もしなければならない。
「それで、送辞のほうはちゃんと完成したのですか?」
式場である体育館へ段ボールを運ぶ途中、海未がそう聞いてきた。「うん、それはバッチリ」と自信たっぷりに穂乃果が答えると、「本当?」とことりが嬉しそうに言う。
「ポケットに入ってるから、ふたりも見てよ」
立ち止まって言うと、手荷物がファイルだけのことりが穂乃果のブレザーのポケットに手を伸ばし、中の紙片を取る。ふたつに折った紙片を開いたことりと、それをのぞき込んだ海未は笑みを浮かべた。
「穂乃果ちゃんらしいね」
ことりの言う通り、この送辞は自分らしい、と穂乃果は思う。穂乃果が考案したものだが、穂乃果ひとりではこの送辞は完成しない。その期待を込めて、穂乃果は言った。
「皆も協力してね」
♦
ヒデコ達から去年の卒業式の記録を見てきてほしいと頼まれて、体育館から出たときにその光景は目に映った。
花壇を色とりどりの花々が覆い尽くしていて、そよ風に頭を揺らしている。まるでこっくりと眠りこけているように見えた。緑化委員の生徒たちが世話をした花の絨毯だが、用務員の戸田も手伝ってくれていた。教員ではないから卒業式に来られないのは残念だ。昨日だって3年生の晴れ舞台だから、と校舎周辺を念入りに掃除してくれていたのに。
花壇の縁で、希がしゃがみ込んで揺れる花々を眺めている。眠ろうとしている子供たちを優しく見守る母のように。「希ちゃん」と駆け寄ると、穂乃果に気付いた希は「あ、穂乃果ちゃん」と立ち上がる。「どう?」と希は自分の髪に触れた。
「すっごい似合う! 希ちゃん髪きれいだよね」
そう穂乃果が評す希の髪型は普段のおさげとは変えてある。ひとつに纏めた長い黒髪は編み込まれて、右肩から前へと流している。ひと房の髪は陽光を浴びて艶やかな光を反射して、それが風に揺れると髪の束の一本一本が角度を変えて光を反射している。
「そんなに言われたら照れるやん」
希は恥ずかし気に笑みを浮かべる。
「でも、本当にそう思うよ」
お世辞ではなく、本当に綺麗だ。つい見惚れてしまうほどに。
「ありがとう」と希は言った。その視線が少し俯き加減に下がり、穂乃果は何かと首をかしげる。「ねえ、穂乃果ちゃん」と希はポケットからタロットカードを1枚取り出した。
「うち、今この瞬間が来るまでに、何かが抜けちゃってる気がするんや」
「え?」と聞く穂乃果に、希はカードの絵柄を示す。「運命の輪の正位置」と希は言った。
「これが正しいのかもしれんけど、どうしても違う気がするんよ」
言葉の意味を咀嚼できず、穂乃果は返す言葉を探しあぐねる。希自身も理解しきれずにいる様子だった。カードを見つめる希の目は何かを探すようで、でも何を探すべきなのかも分からないような。
「ごめんね、変なこと言って」
カードをポケットにしまい、はぐらかすように希は笑った。「ううん」と穂乃果は笑みを返す。
「じゃあ、また後で」
生徒会室へ向かおうと足を向けたところで、「あ、エリち知らない?」と希が聞いてくる。「知らないよ」と穂乃果は答えた。今日はまだ、学校に来てから絵里と会っていない。
「てっきり、穂乃果ちゃん達と一緒やと思ってたんやけど」
「そっか、見つけたら言っとくね」
そう言って穂乃果は生徒会室へと急いだ。足早に廊下を歩きながら、穂乃果は先ほどの希の言葉を裡に反芻する。彼女の言葉をただの気のせい、と一蹴できないのは、穂乃果も「今この瞬間」から何かが抜け落ちている、と感じているからだ。
そう、何かが抜けている。とても大切な何か。記憶も、感情も、その「何か」に関するもの全てが根こそぎ頭の中から消滅してしまったようだ。残っているのは違和感だけ。この違和感はいつからだっただろう。昨日も抱いていたのかさえ分からない。
全く整理がつかないまま生徒会室へと辿り着く。ドアを開けると、陽光を浴びたブロンドの髪が宝石のように輝いているのが見えた。
「絵里ちゃん、どうしたの? 希ちゃん探してたよ」
「別に用があったわけじゃないんだけど、何となく足が向いて」
「式の準備は万全?」と絵里は聞いてくる。「万全てほどじゃないけど」と穂乃果は苦笑を返した。
「大丈夫、素敵な式にするから。楽しみにしててね」
穂乃果が力強く言うと、絵里は「ありがとう」と静かに言った。その静けさに、穂乃果はつい「心配事?」と尋ねる。絵里はかぶりを振った。
「ただ、ちょっとだけ……」
そう言って絵里は長机に優しく手を添える。
「昨日アルバムを整理してたら、生徒会長だった頃のことを思い出してね。わたし、あの頃何かに追われてるような感じで、全然余裕がなくて、意地ばかり張って………」
しみじみと語る絵里は、その思い出の全てを呪っているようには見えなかった。むしろ、どこか愛おしそうだ。
「振り返ってみるとわたし、皆に助けられてばっかりだったなあ、って。やりたいことやればいいし、夢見たっていい、って言ってくれたのは希だったっけ」
絵里は窓の外を物憂げに眺める。窓の奥では桜の木が花弁を散らしている。
助けられてばかりなのは自分も同じだ、と穂乃果は思った。絵里や穂乃果だけじゃない。μ’sの中で完璧な人間なんて誰もいない。皆どこかで足りない部分があって、互いにそれを補い合ってきた。絵里が皆に助けられてきたと同時、皆も絵里に助けられてきた。その想いを言葉として表すにはどうにも限界があるが、穂乃果にとってそれは大した問題じゃない。
穂乃果は絵里を抱きしめた。「穂乃果?」と上ずった声をあげる絵里に、穂乃果は自分の持つ熱を分け与えるように体を密着させる。言葉にしきれないなら、行動として示せばいい。今、ふたりはこうして触れ合うことができるのだから。
「絵里ちゃん。わたし達が最終予選に間に合わないかもしれないとき、こうやって受け止めてくれたよね。わたし達も同じだよ。生徒会長になって、ここにいて、絵里ちゃんが残していくものをたくさん見た。絵里ちゃんがこの学校を愛していること。そして、皆を大事に想っていること」
穂乃果は絵里から離れると、しっかりとその碧眼を見つめる。
「絵里ちゃんの想いが、この部屋にたくさん詰まっていたから、わたしは生徒会長を続けてこられたんだと思う。本当にありがとう」
絵里が生徒会長として守ろうとした音ノ木坂学院。それに込められた想いはこの生徒会室に保管されている資料としてしっかりと残されている。学校が存続した今、想いは穂乃果へと受け継ぐことができた。絵里のように立派に生徒会長の職務をこなせることはできないかもしれないが、皆がいるのだから不安はない。
絵里は眼尻に涙を浮かべた。穂乃果はその涙と、それに込められた想いを受け止める。
「もう、式の前に泣かせないでよ」
絵里は涙を指で掬いながら、そう言った。もっと会話に華を咲かせていたいが、生憎そうはいかない。「じゃあ、行くね」と穂乃果は棚からファイルを取って部屋から出る。廊下に出たことろで、ドアのすぐ横に希が立っていた。「希ちゃん」と呼ぶと、「やっぱりここやったんやね」と希は言った。
「じゃあ、また後で!」
希と部屋から出てきた絵里にそう言うと、穂乃果は体育館の方向へと歩き出す。今日の、3年生のステージを成功させるために。
♦
「音ノ木坂学院は皆さんのお陰で、来年度も新入生を迎えることができます。心よりお礼と感謝を述べると共に、卒業生の皆さんが、輝かしい未来に羽ばたくことを祝福し、挨拶とさせて頂きます」
「おめでとう」と締め括る壇上の理事長に、体育館にいる生徒たちと教員たち、それに加えて来賓の面々と卒業生の父兄たちが拍手を贈る。「続きまして」と司会を務めるフミコが次の進行を述べる。
「送辞。在校生代表、高坂穂乃果」
「はい」と高らかに返事をして、穂乃果は椅子から立ち上がる。壇上でスタンドマイクの前に立つと、体育館の全域が見渡せる。
「送辞。在校生代表、高坂穂乃果」
こうした学外の面々も招いた式典の場で、穂乃果はとても落ち着いた気分だった。生徒会長に就任した頃の挨拶では緊張して、述べる文言を忘れてしまうほどだったが。きっと、皆が一緒だと思えるからだ。μ’sのメンバー達、応援してくれた生徒と教師たち。ここにいる人々への愛しさが、不安を消してくれる。
「先輩方、ご卒業おめでとうございます。実は昨日まで、ここで何を話そうかずっと悩んでいました。どうしても今思っている気持ちや、届けたい感謝の気持ちが言葉にならなくて、何度書き直しても上手く書けなくて」
送辞の内容を考えるとき、海未にもことりにも手伝いを頼まなかった。これは生徒会長である自分がしなければならないこと。普段の業務はふたりに助けてもらっている分、これだけは、と穂乃果はひとりで考えることに決めた。でも穂乃果には上手い文言がなかなか思いつかず、書いてみてもどれも中身のない薄っぺらい美辞麗句を並べたものにしか見えなかった。
「それで気付きました。わたし、そういうのが苦手だったんだ、って」
あちこちで苦笑が漏れるのが聞こえてくる。
「子供の頃から言葉より先に行動しちゃうほうで、ときどき周りに迷惑もかけたりして、自分を上手く表現することが本当に苦手で、不器用で」
何をするにも、わたしは言葉が足りなかったな、と穂乃果は思った。想いを伝えたくても、それを表す言葉が分からなくて、よく海未と言い争いをしたものだった。大体が喧嘩というより海未からのお説教だったが、反論するにも言葉を知らない。「自分」というものを表現する方法を、ずっと探していた気がする。
「でもそんなとき、わたしは歌に出会いました。歌は気持ちを素直に伝えられます。歌うことで、皆と同じ気持ちになれます。歌うことで、心が通じ合えます。わたしは、そんな歌が好きです。歌うことが大好きです」
少ない言葉の連なりを、メロディーに乗せて口ずさむ。抑揚をつけて、歌詞に込めた想いを歌い上げる。同じ気持ちを抱いた人々と歌えば、気持ちを共感し合える。穂乃果にとって歌とは、自分を表現するものと同時に、皆と繋がるためのものだ。最初は3人で始まったμ’sの歌を聴いて、同じ気持ちを抱いた者が仲間になる。やがて9人になったグループは9人分、でも同じたったひとつの想いを乗せて歌う。歌を聴いた観客たちも同じ想いを抱き、波紋のように広がっていく。素敵だな、と穂乃果は目の前の全てに愛しさを募らせる。
「先輩、皆様方への感謝と、これからのご活躍を心からお祈りし、これを贈ります」
文章での挨拶はここまでだ。出席している面々が眉を潜める。
これが、穂乃果の考えた最高の送辞。自分の想いを、大好きな歌という形で送ること。
穂乃果は歌い始める。同時に、真姫の奏でるピアノの旋律が始まる。これはまだμ’sが始まる前の頃、真姫が放課後の音楽室で弾いていた曲。この音色に惹かれて、穂乃果は真姫にもアイドルをやってほしいと思った。この曲を、あの音楽室に留まらせたくなかった。
大好きな人に大好きを伝えられる曲。過ぎていく時の流れを怖れずに、前へと進ませてくれるこの曲を。
穂乃果の独唱に、海未とことりが加わってくる。続けて凛と花陽も。歌の波紋は、式場全体へと広がっていく。出席している皆でハミングを口ずさみ、学校と、思い出への思慕を巡らせていく。この波が、穂乃果は大好きだった。皆と一緒に気持ちを分かち合える、この空間が。これまでμ’sが歌ってきた曲。ネット上で公開されている曲の数々を、この世界の、穂乃果とまだ会ったことのない人も聴いているのだろうか。もし、聴いて自分たちと同じ美しい思慕を抱いてくれたら、それ以上に幸せなことはない。
ふと、歌いながら穂乃果は式場を見渡す。ありがとうを、大好きを伝えたい人がまだいる。でも、その相手はこの場に揃っているはずだ。メンバーも、応援してくれた生徒も、教師も全員。家にいる家族だろうか。それとも亜里沙だろうか。
笑みを浮かべながら、絵里が涙を流しているのが見える。希の眼尻に浮かんだ涙も、一筋に頬を伝っていく。にこは、彼女らしく表情を強張らせて泣くまいと堪えている。
皆に想いを伝えられた。でも、まだ伝えていない人がいる。確かなことは、その人のことが大好きだった、ということ。
でも、大好きなのに何で顔も名前も思い浮かばないのだろう。穂乃果には理由なんてまるで分らなかった。
♦
卒業式が終わると、卒業生たちは教室で担任教師と別れの挨拶を交わす。在校生は総出で式場の後片付けだ。撤収作業はすぐに終わり、生徒たちは思い思いに過ごし始める。卒業する先輩との別れを惜しむ在校生の姿は、校舎の各所でちらほらと見かけられる。部活動に所属している生徒たちの多くは先輩の見送りと役職の引継ぎで、アイドル研究部もその例に漏れない。
「無理無理無理! 誰か助けてー!」
部室に花陽の悲鳴がこだまする。王冠に赤いマントと、まるで王様のような装束を着させられて当人もようやく理解が追いついたらしい。考えてみれば、ライブライブ決勝のことばかりで次期部長を決めていなかった。花陽を推薦したのは、今日限りで部長を退くにこだ。
「あなた以上に、アイドルに詳しい人は他にいないんだし」
にこの言葉を聞いて、なるほど、と穂乃果は納得できる。花陽はあまり前に出る性分ではないけど、アイドルに関してはにこと渡り合えるほど造詣が深い。
「で、でも……、部長だなんて……」と口ごもる花陽の背を凛が押した。
「凛だってμ’sのリーダーやったんだよ。かよちんならできる」
「そうよ」と真姫が続く。
「一番適任でしょ」
「でも……」と言う花陽を「できるわよ、あなたなら」とにこが遮った。
「こんなにたくさん、助けてくれる仲間がいるんだから」
にこの言う通り、花陽には皆がいる。困ったことがあれば当然助ける。それに気付いたのか、花陽は部室に集まるメンバー全員を見渡した。
「もっともっと賑やかな部にしといてよね。また遊びに来るから」
照れ隠しにそっぽを向いて、にこはそう言った。花陽は目に浮かんだ涙を指で掬い取り、笑顔で「うん!」と答える。
「じゃあ、真姫ちゃんが副部長ね」
突然の花陽の言葉に、「ええっ⁉」と真姫が柄にもなく声をあげる。
「何でわたし?」
「わたしが部長だったら、凛ちゃんがリーダー。だから真姫ちゃんが副部長だよ」
「それ良いにゃ!」と凛も賛同する。煮え切らない、というように表情をしかめる真姫に、全員で拍手を贈る。拍手が止むと、絵里が告げる。
「皆、頼んだわよ」
「ま、待って! わたしはまだ――」と真姫は食い下がろうとするのだが、途中で諦めたのか「もう、別に良いけど」と腕を組んだ。2年生は3人とも生徒会役員だから、これ以上は負担させまいという配慮の上での采配だ。押し付けてしまう形になって申し訳ないとは思うが、真姫だったらそつなくやってくれるだろう。だから穂乃果は心配していない。
「さ、これで必要なことは全部終わったね」
そう切り出した希が、「じゃあ、うちらはそろそろ行こっか」と絵里とにこを促す。
「え、もう行っちゃうの?」
穂乃果がそう言うと、希は少し困ったように笑う。これで終わりだなんて淡泊だし、寂しい。
「せっかくだし、校舎を見て回ろうと思って」
そう言う絵里に、「じゃあ、わたし達も行くよ」と穂乃果は言った。
「この9人で、ってのはこれが最後だし」
穂乃果の言葉を最後に、部室に沈黙が漂う。無表情な皆の視線が自身に集中していることに気付き、「あれ?」と呟く穂乃果に「言ったにゃ!」と凛が抱きついてくる。「ああ!」と声をあげる穂乃果は思い出した。この9人で交わしていた約束を。それを確認するようにことりが。
「最後、って言ったらジュース1本て約束だよ」
約束は約束、ということで、中庭に場所を移したメンバー達に穂乃果は自販機で買ったジュース人数分を持って行った。ベンチに腰掛けて皆がジュースをご満悦そうに飲んでいる間、穂乃果はすっかり寂しくなった財布の中身を見て肩を落とす。来月分の小遣いを母は前借りしてくれるだろうか。そう思っていたところで、絵里が茶化すように追い打ちをかけてくる。
「穂乃果の奢りのジュースは、美味しいなー」
「穂乃果ちゃんありがと」と意地悪く言う希に「どういたしまして……」とか細く返した。
「穂乃果、あなたブラックコーヒーなんて飲めたっけ?」
隣に立つ真姫が尋ねてきて、穂乃果は自分の右手にある缶コーヒーの温もりに気付く。
「あ、ホット買っちゃった! 怒られちゃう………」
咄嗟に出てきたその言葉に、皆が穂乃果を凝視する。
「怒られるって、誰にですか?」
海未のその質問に、穂乃果は「えっと……」としか答えることができない。穂乃果も自分が何を言っているのか分からなかった。適温に温められた自販機の缶コーヒーが飲めないほど猫舌のメンバーなんて、誰もいないはずなのに。
「自分が飲むために買ったんじゃないの?」
にこがそう言ってきて、「そうかな?」と戸惑いながら穂乃果は黒くプリントされた缶を見つめる。コーヒーなんてミルクと砂糖を入れなければ飲めないが、それしか思い当たる節がない。プルトップを開けて中身を一口だけ啜ってみる。とても苦かった。その苦さに穂乃果は顔をしかめる。
「どうして大人ってこんな苦いもの飲むんだろ?」
穂乃果の問いを、皆はただ「さあ」とはぐらかすだけだった。ここにいる面々でブラックコーヒーなんて飲める者なんていないはずなのに、どうして買ってきたのだろうか。
♦
ファーストライブで歌を披露した講堂、メンバーが9人になって初めて歌ったグラウンド。思い出深い場所は、この学校の至るところにある。ここは穂乃果たちにとって主な生活の場であり、同時にアイドルでもあった場所。
ここから全てが始まったんだ。
皆で校舎を回りながら、穂乃果は感慨を抱きしめた。廃校の検討が発表されて、宣伝のためにアイドルを始めようと決起したのがもう1年前とは。この1年間、長かったようで短かったようにも感じられる。過ぎてみればあっという間だけど、その刹那的な時間で少しは成長できただろうか。
講堂に行ったとき、ファーストライブの時は広く感じられたステージと観客席が不思議と小さく感じた。わたし達が少しだけ成長できたということかもしれない、と海未は言っていた。自分では実感できなくても、傍から見れば成長しているのだろうか。
「最後はやっぱりここね」
目的地に到着すると、そう言った絵里が開けた空気を心地よさそうに吸い込む。μ’sにとって最も思い出深く、馴染み深い場所。
それは、練習場所として使っていた屋上だった。
「考えてみれば、練習場所がなくてここで始めたんですよね」
海未がふと、そう漏らした。体育館もグランドも他の部が使用しているから、他に練習場として使えるのは屋上しかなかった。雨が降ったら使えないし、夏場は直射日光が射して暑い。完全に貧乏くじを引かされた。
でも、毎日ここに集まって練習して、出来ないことを皆で克服して、時にはふざけて笑い合った。ここにはその全部が詰まっている。穂乃果たちが、μ’sが積み重ねてきたものが全部。
練習着を着てここへ躍り出るとき、穂乃果はいつも洗濯された服から洗剤の匂いを嗅ぎ取っていた。洗剤の石鹸フレーバーの香りが穂乃果は好きだった。優しい香りが全身を包み込んでくれるのを、いつも感じていた。
まるで、穂乃果を守ってくれているかのように。
唐突に、穂乃果は廊下に置かれたロッカーからバケツとモップを持ってきた。水を張ったバケツの中にモップを浸す彼女を、何の説明もされていない皆は目を丸くして見つめている。
「見てて」
皆にそう言うと、穂乃果は水を十分に吸ったモップを屋上の床に滑らせていく。傍から見れば随分と粗末な掃除だ。磨く方向なんてでたらめで、モップだって絞らず水を滴らせながら床を濡らしている。
やがて、皆は穂乃果の行為が何を意味するのか、それは床を濡らす水の軌跡で気付いた。
「できた」
腰に手を当てて、穂乃果は濡らした床を眺める。水で描かれた、μ’sの文字を。
「でも、この天気だからすぐ消えちゃうわよ」
真姫の言う通り、今日は見事な晴れ日和だから、こんな水気はすぐに日光が乾かしてしまうだろう。
「それで良いんだよ」
穂乃果は穏やかに言った。すぐに消えてしまう水の文字。たった1年だけの活動だったμ’sはこの文字のように短く儚いものだった。でも、それで良いのだ。奇跡というのは長くは続かない。ほんの一瞬、刹那的なものだからこそ価値がある。決勝のステージで感じ取れた観客たちの熱。夢が叶ったあの瞬間のために、自分たちは練習を重ねてきたのだから。
辛さも苦しさも、全てはたった一瞬のためだったのかもしれない。覚えておくべきなのは、夢が叶った瞬間だけで良いのかもしれない。でも、あの時抱いた美しい想いは、辛さも苦しさもあって得られたのだ。だから、穂乃果はこの1年間の全てを、ひとつとして記憶から取りこぼすつもりはさらさらない。
「ありがとうございました」
皆で声を揃えて、μ’sの文字へ深く礼をする。
仲間との出会いを
切磋琢磨した日々を
楽しかった時間を
夢を
ありがとう。
皆はひとり、またひとりとドアから屋内へと入っていく。何の言葉も交わさず、裡にある想いを大切に持っていくように。最後に残った穂乃果はバケツを持った。道具を片付けなければ。水文字はすっかり薄くなっている。あと数分もしないうちに消えてしまうだろう。
穂乃果はふと、誰もいない屋上の一角を見つめる。あそこで、海未にステップの間違いをよく指摘された。別の場所ではにこと真姫が言い合いをしていて、それを凛が面白そうに見ていた。また別の場所では、花陽の体幹トレーニングを絵里と希がコーチしていた。
今も皆がここにいて、練習着を着て、ダンスのステップを踏み、発声練習をしているかのような錯覚にとらわれる。でもそれは長くは続かず、水文字と共に静かに音もなく消滅していく。
穂乃果は無意識に柵へと歩いていた。片付けようとしていたモップもバケツも置いて、そこから広がる景色を見渡すことなく、ただ柵の土台になっている縁石を見つめる。穂乃果は視線を空へと移した。
ここで、誰かと一緒に空を見ていた気がする。記憶のどこにも、奥底にさえあるのか分からない。春の青空だったかも曖昧だ。夜の星空だった気もするし、夏の入道雲が浮かぶ空だったようにも思える。
「やり遂げたよ、最後まで」
穂乃果は縁石に向かってそう告げる。言葉を向ける相手は、一緒に始めた海未とことりだろうか。それとも、1年前の自分だろうか。誰なのか分からなくても、言わなければいけない、と思った。
ひゅー、と温かい春風が屋上に吹き抜けた。風が穂乃果の頬を撫で、髪を揺らす。風に運ばれてきた桜の花弁が空へ舞い上がる様子を見つめる穂乃果に、その声は風と共に彼方から吹いてきたように聞こえた。
――夢を持つとな、時々すごく切なくなるけど、時々すごく熱くなるんだ――
不意に届いてきた声に戸惑いを覚えると共に、穂乃果はずっと胸の中にあった違和感が、しっかりと想いとして実体を形成していくのを感じた。
「穂乃果、何してるんですか。もう行きますよ」という海未の声と共に、皆が屋上へ戻ってくる。空を見上げていた穂乃果は皆へ顔を向ける。「穂乃果?」と絵里が探るように見つめている。穂乃果は皆に満面の笑顔を向けた。
「わたし、新しい夢ができたんだ。空を見て思ったの。この夢は持ち続けなきゃって」
顔も名前も思い出せない。このぼんやりとした想いは幻なのかもしれない。
でも、確かに「彼」はここにいた。
この学校を、μ’sを、夢を守ってくれた。
「彼」はどこにいるのだろう。この青空が広がる世界のどこかで、誰かの夢を守り続けているのだろうか。
「新しい夢って?」
「聞きたいにゃー!」
ことりと凛が聞いてくる。
「彼」がいったい何者なのか、穂乃果には分からない。これから思い出すのかもしれないし、時間と共に記憶の奥底へと埋没してしまうのかもしれない。でも、穂乃果は忘れないと誓う。どんな顔で、どんな名前だったのか思い出せなくても、「彼」の言葉は絶対に忘れない。たとえ言葉すらも忘れてしまっても、裡で輝き続けるこの想いは、この1年間の記憶と共に抱いていく。
切なさと、熱さを教えてくれた「彼」の夢を。
笑みと共に、穂乃果は高らかに宣言する。
この夢が青空のように、歌のように、無限に広がっていくことを願いながら。この世界のどこかにいるかもしれない「彼」にも届くことを祈りながら。
「世界中の洗濯物が真っ白になるみたいに、皆が幸せになりますように」
無事第2期最終回を迎えることができました。ここまで応援してくださった皆様へ心から感謝を申し上げます。
今回で完結という形が最善かもしれませんが私のなかではまだ終わりではなく、これから『ラブライブ!』劇場版編へと続きます。劇場版編をもって、本作は完結となります。ただ、劇場版編は私の完全なエゴなので人によっては蛇足に感じてしまうかもしれません。なので「この終わり方が良い」という方はこれから先のエピソードは読まないで頂いてかまいません。
最終回ばりのテンションが続いてばかりで疲れてしまうかもしれませんが、お付き合い頂けたら幸いです。