シルバーウィング   作:破壊神クルル

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34話

鈴が転校してきた初日‥‥

 

「最っっっ低!! 女の子との約束をちゃんと覚えていないなんて、男の風上にも置けない奴! 犬に噛まれて死ねっ!!」

 

夜、寮の百秋と箒の部屋から鈴の大声が響いた。

 

簪の専用機、打鉄弐式は今度のクラス代表トーナメントには間に合わないが少なくとも夏休み前に行われる臨海学校には間に合うだろう。

イヴと簪が今日の分の作業を終えて、格納庫から寮に戻っている最中、

 

「うぅ~‥‥ひっぐ‥‥うぅ~‥‥百秋のバカぁ~‥‥」

 

寮の通路の物陰で鈴が泣いていた。

 

「「‥‥」」

 

イヴと簪はその姿を見て、彼女の前を無言のまま通り過ぎようとしていたら、

 

「ちょっと!!人が泣いているんだから!!少しは気に掛けなさいよ!!」

 

通り過ぎようとしていたイヴと簪に鈴が絡んできた。

 

((こうなると思ったから声をかけなかったんだよ!!))

 

面倒事に巻き込まれたくなかったと言うイヴと簪の心は見事にシンクロしていた。

 

「と、とりあえず、何があったのかは聞きましょう。私の部屋で良い?」

 

通路で話していては他の人に聞かれかねない。

鈴も恐らくそれは望む事ではないだろう。

それにこの構図‥イヴと簪が鈴を泣かしているみたいで何となくイヤだった。

案の定、鈴は目に涙を浮かべたまま頷く。

 

「簪さんも来ますか?」

 

「えっ?いいの?」

 

イヴのまさかのお誘いに戸惑う簪。

 

「うん、たっちゃん、今日は生徒会室に泊まり込みだって言っていたから」

 

「たっちゃん?生徒会室?‥‥まさか、イヴの部屋の同居人って姉さんなの?」

 

「あっ‥‥」

 

イヴは此処で『しまった。やってしまった』と思った。

簪は確かに楯無との関係に前向きに取り組もうとしている。

だが、いきなり今日明日と言う訳にはいかない。

そんな中でイヴは自分の同室の人が楯無だと簪に暴露してしまった。

 

「う、うん‥‥ゴメン、隠すつもりじゃなかったんだけど‥‥」

 

「えっ?なに?アンタ、お姉さんと仲悪いの?」

 

鈴が簪に姉妹間の事を尋ねる。

簪は気まずそうな顔をする。

 

「鳳さん、今は簪さんよりも貴女の方が先でしょう?簪さんも確かに私の同居人は貴女の姉の楯無さんだけど、さっきも言った様に今日は帰らないから、大丈夫‥っていうか一緒に来て、私一人じゃ、たぶん手に負えないかもしれないから」

 

「う、うん‥わかった‥」

 

イヴに押し切られて簪もついて行く事になった。

それに今日は、イヴの同居人である姉は部屋に帰ってこないのであれば、顔を合わせる事もないので構わなかった。

でも、心の中では、

 

(やっぱり、姉さんは学園でもイヴを‥‥)

 

実家でも学園でもイヴを独占している楯無に嫉妬心を抱いていた。

 

「あれ?って言うかアンタ、なんであたしの名前、知っているの?」

 

「朝、一組で大声を上げて名乗っていたでしょう?」

 

「えっ?アンタ、百秋と同じクラスなの!?」

 

昼食の時、箒とセシリアを無視した様に一組に朝来た時も彼以外本当に眼中になかった様だ。

 

「ええ‥一応、自己紹介をしておきましょう。私の名前は、イヴ・ノイシュヴァンシュタイン・アインスです」

 

「‥‥四組の‥更識簪」

 

「へぇ~アンタがイヴ‥‥まぁ、いいわ。二組の鳳鈴音よ」

 

互いに自己紹介をして、鈴と簪は、イヴと楯無の部屋に到着する。

 

「それじゃあ、適当に座って、今お茶でも淹れるから」

 

そう言ってイヴは客人を持て成す為にお茶の用意をする。

 

「‥‥何にもない部屋ね」

 

鈴が部屋に入り、辺りを見回してポツリと零す。

イヴと楯無の部屋は娯楽品が全くと言っていいほど無く、荷物も必要最低限の物しかないようだった。

書物も漫画や小説と言った類のモノはなく、あるとすれば参考書ぐらいだ。

楯無もそんなに私物を持ち込む性格では無いので、この部屋はどうしもて無機質な感じがしてしまう。

 

「必要最低限の物しかないからね、時間が出来たら、買い物にでも行くつもり」

 

イヴはお茶の用意をしながら答える。

 

「はい、ハーブティー‥気分が落ち着くよ」

 

「‥‥ありがとう‥‥ふぅ~‥‥おいしい」

 

イヴからカップを受け取った鈴はハーブティーを一口に飲み、一言感想を述べる。

鈴がハーブティーをある程度飲み、気分が落ち着いたのを見て、イヴが鈴に尋ねる。

 

「それで、何があったの?」

 

「‥‥」

 

鈴は、最初は黙っていたが、ポツリポツリと話し始めた。

鈴と百秋の出会いは、小学五年生の始めに中国から日本に転校してきたのだが、外国人と言う存在が珍しいのか鈴はクラスで虐めに合った。

虐められている所を百秋に助けられたのだと言う。

 

(ふぅ~ん‥あの百秋がね‥‥)

 

自分を虐めていた百秋がまさか、鈴を助けるなんてイヴにとっては意外だった。

 

「それで、あたし、百秋と小学生の時にアイツと約束したのよ」

 

「「約束?」」

 

「うん‥‥その‥‥料理がうまくなったら、毎日百秋に酢豚を食べさせてあげるって約束をしたの‥‥」

 

ぽつりと口から出た言葉は、鈴自身あまりにも力のないものだった。

だが、内容は衝撃的なものだ。

 

「「‥‥」」

 

そこで言葉を区切って、鈴は「どう思う?」とイヴと簪に尋ねる。

 

「そ、それってもしかして、『毎日私の味噌汁を―――』とか、そう言うやつ?」

 

簪が恐る恐る鈴に尋ねる。

 

「‥‥う、うん‥そう‥‥」

 

(それってもしかしてプロポーズ?)

 

簪は鈴の大胆さに驚く。

 

「えっと‥‥それってもしかしてプロポーズの文言?」

 

(い、イヴ!?何をそんなにストレートに!?)

 

簪が思っていた事をダイレクトに口にするイヴ。

そんな彼女の態度にギョッとする簪。

 

「そうよね!? すぐに分かるわよね!? こんな大事な約束をしたら、普通は忘れる訳ないわよね!?」

 

「それを彼は‥‥」

 

「ええ、そうよ‥‥それを‥‥それをあの馬鹿秋は‥‥」

 

鈴は俯いて拳を握りしめ、プルプルと震えている。

そして、

 

「毎日ご飯を奢ってくれるって覚えていたのよぉぉぉぉっ!」

 

絶叫した。

 

「なんで!?『食べさせる』が『奢る』に変わっているのよ!!どんな脳みそしているのよ!?アイツは!?」

 

鈴は悔しさからかテーブルをドンと叩く。

 

((うわぁ~))

 

百秋の所業にイヴも簪もちょっと引いた。

 

「きっと似たような言葉だと思ったんだろうね」

 

「意味が全然違うのよ、意味が!!」

 

鈴は再びテーブルをドンドンと叩く。

 

「でも、それは鳳さんがしっかり説明してないからじゃないかな?」

 

「うっ‥‥でも普通分かるって思うじゃない!日本じゃ有名なプロポーズの言葉なんだし!!そもそも、料理の腕が上達したら奢るってどういうことよ!おかしいでしょう!?」

 

鈴がイヴと簪を睨みつけるように見ると、二人は困った表情をする。

 

(やっぱり面倒事だった‥‥)

 

(どうしよ‥私でも手に負えないかも‥‥)

 

百秋らのせいであまり男性に対して好感を抱けなくなっているイヴと恋愛ごとに関しては全くの素人である簪に鈴の恋愛相談はちょっと難易度が高い。

 

「むっ?その顔、どうせ、面倒なことになったとか考えているんでしょう?」

 

((ギクッ!?))

 

ジト目で二人を見る鈴。

 

「い、いや、その‥‥」

 

「‥‥」

 

図星をつかれてあたふたと狼狽えるイヴに気まずそうに視線を逸らす簪。

イヴはカップの中のハーブティーを一口飲んで、

 

「‥コホン、それで、鳳さん‥貴女はどうしたいの?」

 

気を取り直して、イヴは鈴に百秋との関係をどうしたいのかを尋ねる。

 

「あ、あたしは‥‥」

 

イヴの赤紫色の瞳が鈴をジッと捉えて放さない。

鈴は言葉を続けられなかった。

 

(あ、あれ?あたしはどうしてほしいんだろう?‥‥百秋に謝ってもらいたい? 約束を思い出してほしいの?あれ?‥‥どうしてほしいんだろう?)

 

彼と再会できて嬉しかった。

約束も肝心な部分は忘れていたが、約束自体を覚えていてくれたことは嬉しかった。

でも、再会した時、彼は既に二人のクラスメイトを侍られていた。

二人とも自分より女らしい身体つきだった。

そんな二人相手に自分は勝てるだろうか?

セカンド幼馴染と言う立場でどれだけアドバンテージを築けるだろうか?

本当に自分は彼を振り向かせることが出来るのであろうか?

様々な思いが鈴の中で渦巻く。

 

そこへ簪がポツリと鈴に声をかける。

 

「鳳さんは‥‥」

 

「ん?」

 

「鳳さんは彼の隣に立ちたいの?彼の恋人になりたいの?」

 

(簪さん、ダイレクトに尋ねるな‥‥)

 

今度はイヴが簪の大胆さに驚く。

 

「う、うん‥‥そうなの‥かもしれない」

 

先程まで絶叫する程怒っていた鈴はカップの中のハーブティーを見ながら弱々しく呟く。

 

「でも、こうなってしまった以上、鳳さんから約束の意味を伝えられないでしょう?」

 

「確かに、そんな事をすればただの道化だもんね」

 

「うぅ~」

 

それに先程、彼の部屋を出るときに百秋を殴ってしまったこともマイナスになっている。

殴られた相手から「好きです」と言われても断られる可能性が高い。

 

「遠回しにアプローチしても気づくかな?」

 

「多分無理だろう。オルコットさんがさりげなくアプローチをしていても彼、気づいていないから‥‥それともオルコットさんは彼のタイプじゃないのかな?って言うよりも鳳さんの場合、まずは仲直りからだけどね」

 

セシリアの場合は最初の出会いがあんな形だったので、彼はただ戸惑っているだけだった。

箒の場合はツンデレのツンの部分が強すぎる為、百秋は逃げ腰になっている。

 

「鳳さん自身も直接彼に告白するのも難しいし‥‥」

 

チラッと鈴を見ると完全に意気消沈して俯いている。

 

「でも、諦めきれないんでしょう?彼の事」

 

「う、うん」

 

イヴは『うーん』と考え込みそして、

 

「だったら、ISで片をつけるのはどう?」

 

「ISで?」

 

「うん‥クラス対抗戦以外にも学園じゃISの試合があるから、その時に彼に勝つか、彼よりも勝ち進めたら、謝らせるか告白するかを選択すればいいんじゃないかな?」

 

告白という言葉を聞いた瞬間、鈴の顔が熱で赤くなる。

 

「と、とと、突然、な、ななな何を言いだすのよ!?こ、ここ、告白って、ハードル上がり過ぎじゃない!?」

 

「ただし、負けたら鳳さんが謝る」

 

「えっ?」

 

どうかな、とイヴは提案してきた。

ついさっき出会ったばかりで、話もこの部屋で少ししかしていないのに、どうしてここまで自分のことを理解できているのか?

それが鈴には不思議だったが、鈴の決意が表情に現れる。

 

「いいわね、その案。後ろ向きなのより断然あたしらしいかも」

 

愚痴を聞いてもらい、解決案を提示されて気持ちが軽くなった気がする。

鈴はカップに残っていた冷めたハーブティーを一飲みにして 鈴は立ち上がると、イヴと簪に背を向ける。

 

「言いたいこと言ったら結構スッキリしたわ。ありがとね、二人とも」

 

顔だけをイヴと簪の方へ向けて礼を言う。

 

「いや、私はあくまでも解決案の一つを出したに過ぎないから、最終的に判断するのは鳳さん自身だよ」

 

「あたしのことは鈴でいいわ。こんな話をしたんだし、いつまでも『鳳さん』って呼ばれるのも気持ち悪いから」

 

「わかった‥あっ、私の事もイヴでいいよ。下の名前は長いから」

 

「私も簪でいい」

 

「ええ、分かったわ。あっ、そうだそれともう一つ」

 

「ん?」

 

「なに?」

 

「クラス対抗戦、負けないからね。じゃあね、イヴ、簪」

 

そう言って微笑んだ後、鈴は彼の部屋を後にした。

 

「嵐みたいな人だったけど、元気になってよかった」

 

「うん‥でも‥‥」

 

「うん‥‥」

 

問題は鈴が好意を抱いている人物が問題なのだ。

イヴも簪も極力あの男には関わりたくない。

それが本音だった。

鈴が帰った後、簪も色々あって疲れたのか、ハーブティーを飲んだ後、寮の自室へと戻った。

 

 

そして、鈴の転校から幾日か経ったのだが、鈴と百秋との変化があった。

彼が鈴に話しかけても鈴はまともに返さず、彼女は完全に無視を決め込んでいる。

二人の間にあれから何があったのだろうか?

それはイヴや簪には知る由もない。

イヴの方も最近は簪の専用機製作の為、楯無よりも簪と一緒に居る時間が長くなってきている。

楯無は寂しがっているが、妹との仲が戻ればその寂しさもなくなると思っていた。

むしろ、妹とイヴとの桃源郷が待っている。

そして、クラス対抗戦を来週に控えた週末、対戦表が発表された。

イヴの初戦の相手は鈴となった。

そんな中、食堂でイヴと簪が食事を摂っていると、

 

「イヴ!!簪!!ちょっと、聞いてよ!」

 

鈴が怒りながらイヴと簪に絡んできた。

 

「ど、どうしたの?」

 

「何かあったの?」

 

そして鈴の愚痴が始まる。

鈴はあの後、彼にISの試合での事を伝えに言ったら、彼とちょっとしたことで口論となったらしい。

 

「そしたら、アイツ、あたしの事『貧乳』って言いやがったのよ!!」

 

「「‥‥」」

 

鈴は髪の毛が逆立つかのように怒りを爆発させる。

彼女にとって胸の事は禁句なのだろう。

自分達よりも鈴との付き合いが長い筈の彼は当然その事は知っているはずなのに、それを平然と口にした百秋に対してイヴは呆れる。

 

「‥‥女の敵」

 

簪も本音や虚、楯無、イヴと言う胸が大き目な人が周りにいるせいか、自分だけあまり胸が大きくないことにも悩んでいたので、鈴の気持ちはよく分かった。

 

(確かに奴は女の敵だな)

 

その後、イヴと簪は鈴の愚痴を長々と聞く羽目になった。

 

 

そして、クラス対抗戦当日。

第一試合直前。

イヴはピットにてリンドヴルムを纏い試合が始まるのを待っていた。

 

「鈴のISは甲龍‥白式同様、近接戦闘型か‥‥」

 

対戦相手である鈴の専用機甲龍の公開データをみていた。

すると其処へ、

 

「‥‥イヴ」

 

簪がイヴに声をかけた。

 

「えっ? 簪さん? どうしてここに?」

 

イヴは驚きつつそう返す。

まさか、違うクラスの簪がピットに来るなんて予想外だった。

 

「私は‥‥四組のクラス代表だから‥次の試合で、まだ時間があるから‥‥」

 

「そ、そうなんだ‥」

 

その時、試合開始時間となり、選手入場を知らせる放送がかかる。

 

「あ、あの‥イヴ」

 

「ん?なに?」

 

「私が言うのも変だけど‥その‥頑張って」

 

少し顔を赤くしながら、小さな声で簪がそう言った。

 

「うん、頑張る」

 

イヴは、はっきりと頷き、前を見据えた。

 

「行くよ‥リンドヴルム」

 

イヴはアリーナ内に飛び立った。

 

アリーナの中央近くの空中で、鈴音が専用IS、甲龍を纏って、静かに待っていた。

 

「来たわね、イヴ」

 

「まさか、一回戦の相手が鈴になるとは思わなかったよ」

 

「ええ、あたしもよ‥でも、負けるつもりはないから」

 

「私も同じだよ」

 

両者は互いに対峙し不敵な笑みを浮かべている。

今回イヴの中の獣は殺し合いもなく、また織斑姉弟が関係しない為かイヴの深層心理の闇から出て来ていない。

それでも、油断はならないので、イヴはちゃんと試合前に薬を飲んでいた。

 

「でも、今のあたし、ムシャクシャしているの。イヴには悪いけど、この大会でうっぷんを晴らさせてもらうわ!!」

 

「ガス抜きには付き合うよ」

 

そう言ってイヴはバルニフィカスを戦斧モードで出現させる。

 

「へぇ~言ってくれるじゃない」

 

鈴も大型の青龍刀、双天牙月を構えて不敵な笑みを浮かべている。

 

『それでは両者、試合を開始してください』

 

試合開始のアナウンスと共に、鈴音が突撃し、その手の青龍刀を振るった。

 

ガキィィィィン

 

一方、イヴも鈴を迎え撃ち、アリーナの中央で両者はぶつかり合う。

鈴の青龍刀とイヴの戦斧モードのバルニフィカスがぶつかり合った瞬間衝撃波は生まれ周囲を圧倒させる。

 

「なかなかやるじゃない」

 

「鈴もね‥‥」

 

ガチャガチャと互いの獲物で刃を交え、両者は互いに距離を取る。

すると、鈴音はもう一本の青龍刀を展開し、二刀流で構えた。

 

「はぁああああっ!!」

 

「でやぁあああっ!!」

 

二刀流の鈴に対してイヴはバルニフィカス一本をバトンの様に扱い、ビームの刃と柄の部分で鈴の猛攻を躱す。

そして、再び両者は距離を取る。

 

「‥‥ねぇ鈴」

 

「何かしら?」

 

「なんか‥楽しいね‥‥」

 

「えっ?」

 

「こうして互いに競い合って、ぶつかり合っているのに、なんかワクワクする」

 

(こんな気分、たっちゃんと模擬戦をしている時と同じ気分だ)

 

「‥‥そうね、こんな気持ち代表候補生になってからは味わった事がないわね‥この高揚感、ちょっと癖になるかも‥でも勝つのはあたしだからね!!イヴ!!」

 

鈴音の言葉と共に、甲龍の肩アーマーが開く。

 

「っ!?」

 

その瞬間、イヴの直感が警報を鳴らす。

イヴは咄嗟に横へと回避する。

その瞬間、イヴの横を何かが通り過ぎたような感覚がした。

 

「へぇ~、初見で避けるなんてやるじゃない。 この『龍咆』は、砲身も砲弾も目に見えないのが特徴なのに」

 

余裕たっぷりに自らのISの切り札を説明する鈴。

 

「なるほど、衝撃砲か‥‥」

 

イヴもクスッと口元を緩めた。


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