シルバーウィング   作:破壊神クルル

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33話

昼休みになると、イヴは簪の居る四組へと向かった。

 

「あの、すみません」

 

「なにかしら?」

 

「更識さんを呼んでもらえますか?」

 

イヴは四組の女生徒に簪の呼び出しを頼んだ。

簪は机の上に空間パネルを表示してプログラミング作業を行っていた。

 

「更識さん、更識さん」

 

クラスメイトが簪を呼んでも簪はわき目もふらず、作業に没頭している。

物凄い集中力だ。

 

「更識さん!!」

 

女生徒が簪の肩を揺らして、簪は気づいた。

 

「な、なに?」

 

「面会、更識さんに」

 

女生徒は少々呆れる感じで簪にイヴが会いに来ている事を伝える。

 

「あっ‥‥」

 

教室の出入り口に立つイヴの姿を見つけて慌てて空間パネルを閉じてイヴの下へと駆け寄る。

 

「い、イヴ、どうしたの?」

 

「お昼ご飯、一緒に食べに行きましょう」

 

イヴは簪を昼ご飯に誘った。

 

「えっ、でも‥‥」

 

イヴの誘いに簪は迷った。

昼ご飯を食べる時間よりもプログラミング製作の時間に当てたい。

でも、イヴが折角来てくれたのだから、此処は誘いに乗るべきではないだろうか?

簪が行くか行かないか迷っていると、

 

「『腹が減っては戦は出来ぬ』だよ、行こう」

 

「う、うん」

 

イヴは簪の手と握り、食堂へと向かう。

食堂にてイヴは日替わり定食を頼み簪はかき揚げうどんを注文した。

 

「簪さんは、かき揚げを汁につけて溶かすタイプ?」

 

イヴは簪がかき揚げを汁に浸している事から簪はかき揚げを汁で柔らかくしてから食べるのかと思った。

 

「違う、これはたっぷり全身浴派」

 

(ん?どう違うんだ?)

 

簪の言うたっぷり全身浴派の意味が分からなく首を傾げるイヴであった。

 

「それで、簪さんの専用機について、武装システムの方は、私のISのプログラムを使えば何とかなるかもしれないけど、起動プログラムの方は、今の所どうなの?」

 

「打鉄の起動プログラムを参考に作っているんだけど、どうしてもエラーがでちゃう」

 

「後継機とは言え、やっぱり別物と見た方がいいのかもしれないね」

 

簪の打鉄弐式は日本の量産型第二世代の打鉄の後継機と言うコンセプトを基に設計されていたのだが、プログラムは全くの別物であり、参考にしている打鉄のプログラムではどうしても上手くいかない。

起動プログラムではイヴのリンドヴルムを参考にする事も無理がある。

 

(やっぱり、直接簪さんの専用機にアクセスして答えを聞いた方が早いか‥‥)

 

イヴが昨日、リンドヴルムにアクセスした方法と同じ方法で簪さんの専用機、打鉄弐式に聞いた方が早いかもしれないと思っていたその時、

 

「待っていたわよ!百秋!」

 

食堂に大きな声が響く。

何事かと思って声のした方を見ると、そこには今朝、一組に来た二組のクラス代表にして、中国の代表候補生の鈴はラーメンが入ったどんぶり手に持って立っていた。

簪は百秋の姿を見ると、顔をしかめる。

イヴ本人もあまり関わりたくないので無視を決め込んだ。

だが、事も有ろうに彼らはイヴと簪のすぐ近くの席に座った。

本人らは全くイヴと簪の事には気づいていない。

席が近いのと、声がでかいせいかイヴと簪の席まで会話の内容が筒抜けだった。

 

「鈴、何時日本に帰って来たんだ? おばさんは元気か? いつ代表候補生になったんだ?」

 

「質問ばっかしないでよ。 アンタこそ、なにIS使っているのよ。ニュースで見たときびっくりしたじゃない」

 

鈴のこの言葉に簪は、

 

(全くよ、貴方がISを動かさなければ、今頃私の専用機は完成していたのに‥‥)

 

と、余計な事した百秋に対して心の中で愚痴っていた。

 

(凰鈴音‥百秋の口から出てきた名前だったけど、箒同様、あそこまでアイツにご執心とはね‥‥一体何処がいいのやら?)

 

イヴは鈴とは面識はなかった。

箒の場合は百秋と共に自分を虐めてきたが、鈴の場合は今の状況と同じく、クラスが異なった為、百秋と共にイヴを虐めに来る事は無かった。

それでも、彼にご執心と言う事は彼の口から自分の何かしらの事は伝わっていただろうから、きっと自分に対してはいい印象は抱いていない筈だ。

 

箒とセシリアは百秋と鈴の様子に耐えきれなくなったのか、

 

「百秋、そろそろどういう関係か説明してほしいのだが‥‥」

 

「そうですわ!百秋さん、まさかこちらの方と、つ、付き合ってらっしゃるの!?」

 

「べ、べべ、別に私は付き合っている訳じゃ‥‥」

 

セシリアの問いに慌てる鈴。

 

「そうだぞ。 何でそんな話になるんだ?」

 

百秋の答えに、思わず睨み付ける鈴。

 

「何睨んでいるんだ?」

 

「何でもないわよ!」

 

「幼馴染だと?」

 

怪訝そうな声で箒が漏らした。

箒の記憶の中で鈴の存在はない。

だが、百秋は、鈴の事を幼馴染だと言う。

 

「ああ。箒が引っ越したのは小四の終わりだっただろう?鈴が転校してきたのは小五の頭だよ。で、中二の終わりに国に帰ったから、会うのは一年ちょっと振りだな」

 

百秋が箒とセシリアに鈴との出会いを教える。

 

「で、こっちが箒。ほら、前に話しただろ?小学校からの幼馴染で、俺の通っていた剣術道場の娘」

 

次に百秋は鈴に箒を紹介する。

 

「ふうん~そうなんだ」

 

じろじろと箒を見る鈴。

 

「初めまして。これからよろしくね」

 

鈴の表情はどこか挑発めいた顔をしていた。

 

「ああ。こちらこそ」

 

挨拶を交わす鈴と箒の二人の間で火花が散る。

 

「ンンンッ! 私の存在を忘れてもらっては困りますわ。 中国代表候補生、凰 鈴音さん?」

 

「‥‥誰?」

 

セシリアの顔見て首を傾げる鈴。

 

「なっ!? わ、私はイギリス代表候補生、セシリア・オルコットでしてよ!? まさかご存じないの!?」

 

「うん。あたし、他の国とか興味ないし」

 

「な、な、なっ‥‥!?」

 

怒りで顔を赤く染めるセシリア。

 

「い、い、言っておきますけど、私、貴女のような方には負けませんわ!」

 

「そっ。でも戦ったら、あたしが勝つよ。悪いけど強いもん」

 

自信たっぷりにそう言う鈴音。

 

「い、言ってくれますわね……」

 

悔しさからか、それとも理性で落ち着かせているのか拳を握りしめるセシリアだった。

 

 

「‥‥あっちは無視して話を続けよう」

 

「そうだね」

 

百秋を巡る女性関係なんてイヴにも簪にも興味はなかった。

その為、イヴと簪は専用機開発の話をしていた。

ただ、周りの女生徒は彼らの会話には少し興味があるのか聞き耳を立てていた。

 

「それで、アンタのクラス代表は誰なの?もしかして百秋、アンタなの?」

 

「いや、イヴって奴だ」

 

「イヴ?」

 

聞き慣れない名前に鈴は首を傾げる。

 

「イヴ・ノイシュヴァンシュタイン・アインス‥以前、お前に話した事のある疫病神、織斑一夏にそっくりな奴だ」

 

「へぇ~まっ、どんな奴だろうとあたしに勝てる筈がないけどね~」

 

まだ見ぬイヴに対しても強気な発言の鈴。

 

「それじゃあ、放課後は暇なの?それとも何か部活やっているの?」

 

「ああ、放課後は‥‥」

 

百秋が放課後はISの訓練をやっている事を鈴に伝えようとすると、

 

「百秋は放課後、私とISの訓練をしている」

 

箒が自慢するかのように言う。

 

「ふぅ~ん、それじゃあ、あたしも手伝おうか?」

 

「百秋に教えるのは私の役目だ。頼まれたのは、私だ」

 

「あ、貴女は二組でしょう!?敵の施しは受けませんわ!!」

 

箒とセシリアはヒートアップしていくが、鈴は至って冷静だ。

 

「あたしは百秋に言ってんの。関係ない人は引っ込んでいてよ」

 

「か、関係ならあるぞ。私が百秋にどうしてもと頼まれているのだ」

 

「百秋さんは一組の人間、ならば、教えるのも一組の人間が教えるのが当然ですわ」

 

「まぁ、そうだけどね。でも、あたしの方が付き合いは長いんだし」

 

「そ、それを言うなら私の方が早いぞ。それに、百秋は何度も家で食事をしている間柄だ。付き合いはそれなりに深い」

 

幼馴染の関係ならば鈴よりも自分の方が長いと先程とは打って変わって、鈴に自慢する様に言う箒。

だが鈴は、それに対抗して箒に衝撃の事実を伝える。

 

「『家で食事』? それならあたしもそうだけど?」

 

「百秋っ!どういう事だ!?聞いていないぞ!!私は!」

 

先程の余裕は一気に消えて百秋に詰め寄る箒。

 

「『どういう事』って、よく鈴の実家の中華料理屋に行っていた関係だ」

 

百秋は箒の迫力にびっくりしながらも鈴の言った言葉の意味を箒に教える。

 

「な、何?店なのか?」

 

百秋の言葉に箒はほっとした様な顔をした。

 

「そうだ。親父さん、元気にしているか?まあ、あの人こそ病気と無縁だよな」

 

「あ……。うん、元気――だと思う」

 

鈴は気まずそうに自分の父親について語るが、彼女の言葉には違和感があった。

だが、その違和感に気づく者はこの場にはいなかった。

 

「そ、それよりさ、今日の放課後って時間ある?あるよね。久しぶりだし、何処か行こうよ。ほら、駅前のファミレスとかさ」

 

「あいにくだが、百秋は私とISの特訓をするのだ。放課後は埋まっている。先程も言っただろう」

 

「じゃあそれが終わったら行くから。空けといてね。じゃあね、百秋」

 

どんぶりに残っていたスープを一気に飲み干して、百秋の答えも待たずに鈴は片付けに行ってしまった。

再びテーブルに戻ってくるなんて律儀なマネはせず、そのまま学食を出ていった。

百秋の返事も聞かなかったが、それは彼女が彼に絶大な信頼を置いている証拠なのかもしれない。

 

そして放課後、百秋はISの訓練に向かうと箒が学園の訓練機である打鉄を纏っていた。

一年生のこの時期に訓練機がそう簡単に貸し出されるとは思わず、セシリアは折角百秋と二人っきりで訓練できると思っていたのだが、当てが外れて残念がっていた。

しかし、流石は篠ノ之束の妹、

『篠ノ之束』と言うブランド名はこのIS学園でも決して伊達では無かった。

百秋たちがアリーナでISの訓練をして居る頃、格納庫では簪とイヴが打鉄弐式の製作を行っていた。

 

「武装システムのプログラムはそっちに送ったから、後は簪さんの好きにチューニングして」

 

「うん、ありがとう」

 

「後は起動プログラムなんだけど‥‥」

 

「‥‥」

 

やはり、問題は起動プログラムだった。

プロのエンジニアでも呼んで組んでもらうのが手っ取り早いのかもしれないが、生憎簪にはそんなコネはない。

イヴが束を呼べば束の事だからすぐに来てくれるだろうが、束は世界中から指名手配を受けている身、いくらIS学園がありとあらゆる国家・組織・団体に帰属しないと定めていてもそれはIS学園に所属する関係者である。

ISの生みの親とは言え、束はIS学園の関係者ではないので、この特記事項は該当しない。

故に束を下手に呼ぶことは出来なかった。

 

(やっぱりアレをやるしかないか‥‥)

 

イヴはやはり、自身の能力で打鉄弐式のISコアにアクセスするしかないと思い、簪と向き合う。

 

「簪さん‥‥」

 

「なに?」

 

「‥‥今から見る事を秘密に出来ますか?」

 

「えっ?」

 

「今から私はある方法で簪さんのISのISコアにアクセスします」

 

「コアにアクセス?」

 

「はい、コアに直接尋ねれば、起動プログラムの方法も教えてくれる筈です」

 

「そんな事が‥‥まさか、夕べのアレはっ!?」

 

「はい‥私は昨日、自分のISにアクセスしていました。そこで、ISと会話としていたんです」

 

「‥‥」

 

あまりにも現実離れしている事実に簪は唖然とする。

 

「それと、簪さん」

 

「な、なにかな?イヴ」

 

「‥‥これは、余計なお節介なのかもしれないけど、お姉さんと‥楯無さんと話し合ってくれないかな?」

 

「‥‥」

 

イヴの口から姉の名前が出て来て簪の顔が強張る。

 

「簪さんが楯無さんを苦手にしている事は知っている。でも、楯無さんはもう一度、簪さんと仲直りをしたがっている‥‥」

 

「‥‥」

 

イヴは必死に簪に頼むが彼女は無言のままイヴを見ている。

 

「‥‥どうして」

 

「えっ?」

 

「どうして、そこまでするの?姉さんに頼まれたから?」

 

「‥‥ううん‥違うよ‥‥確かに私は楯無さんにお世話になったから、その恩も返したい‥‥でも、楯無さんにも簪さんにも私の様な思いはしてほしくないから‥‥」

 

「?どういう事?」

 

「‥‥更識簪さん」

 

すると、イヴは真剣な顔で簪を見る。

イヴのその真剣な眼差しに簪も萎縮するほどだ。

 

「これから話す事は貴女を信頼して話す事です‥そして、この事実は貴女の姉である更識楯無さんも知っている私の秘密‥‥」

 

「‥‥」

 

「私と秘密を共有する事で貴女は姉である楯無さんと対等の立場に立てますが、話を聞き、誰にも言わないと誓えますか?」

 

「‥‥」

 

「少しでも無理だと思うのであれば、私は話しません」

 

(姉さんも知っているイヴの秘密‥‥それは是非とも知りたい‥‥それにその秘密を知る事で姉さんと対等になれるなら‥‥)

 

「‥わかった誰にも言わない」

 

「‥分かりました‥ただ、もしも約束を破るような事があれば、その時は自らの命を対価としてもらいます」

 

「い、命!?」

 

「はい‥もし約束を破るような事があれば、私は貴女の命を貰います。それでもいいですね?」

 

「姉さんは‥‥それを了承したの?」

 

「はい。簪さんはそれほどの覚悟はありますか?」

 

「バカにしないで‥私だって更識の家の子‥‥命を張るくらいの度胸はある」

 

「わかりました‥‥」

 

そして、イヴは簪に話した‥‥

 

自分の本当の名はイヴと言う名のではなく織斑一夏である事。

織斑千冬と織斑百秋の腹違いの姉弟である事。

第二回モンド・グロッソの時、誘拐されてマッドサイエンティストの研究室で生物兵器にされた事。

生物兵器にされた時、洗脳されて暗殺者にされた事。

そして、暗殺者時代についた二つ名が殺戮の銀翼である事。

ロシアで楯無と戦った事。

束と楯無のおかげでマッドサイエンティストから解放された事。

解放後は楯無が自分を保護してくれた事。

これまでの経緯をイヴは簪に話した。

簪は衝撃的すぎる内容に言葉が出なかった。

あの殺戮の銀翼が今、自分の目の前に居る事にも驚いたが、ロシアから帰って来た姉の妙な行動にもこれで納得がいった。

 

「生まれの違いというのもありますが、私と織斑姉弟の仲は最悪でした‥そのせいもあって私は捨てられました‥でも、簪さんと楯無さんは血の繋がった姉妹で、まだやり直す事は十分可能です。楯無さんは簪さんと仲を修復しようと一歩を踏み出そうとしています。簪さんも楯無さんに負けたくないと言うのであれば、その一歩を踏み出す勇気をだしてみて下さい」

 

「‥‥」

 

イヴの説得に簪は黙っていたが、

 

「‥す、直ぐにはちょっと‥‥少し時間を‥頂戴‥‥」

 

「‥わかりました」

 

イヴ自身も更識姉妹の仲がそう簡単に、直ぐに修復するとは思っていないが、今回、簪も楯無に違う意味で一歩近づこうとしている事が窺えた事でも一歩前進だろう。

 

 

「それじゃあ、簪さんの専用機にアクセスしてみるね」

 

「う、うん」

 

イヴが目を閉じると、彼女の体がほんのりと光だし、髪の毛が物凄い速さで延びていく。

伸びた髪の毛は意志を持つかの様に動いていき、打鉄弐式の中、そして整備端末の中へと入って行く。

すると、整備端末にツイッターの様にメッセージが表示された。

 

『ゴキゲンヨウ、カンザシオジョウサマ』

 

「‥‥」

 

簪は震える手でキーボードのキーを打つ。

 

「打鉄弐式‥なの?」

 

『イエス。ゲンザイ、コノカタヲチュウカイシ、コウシテカンザシオジョウサマトコンタクトヲトッテイマス』

 

「早速なんだけど、打鉄弐式、あなたを動かす為の起動プログラムが上手くいかない、もし知っているのなら教えて欲しい」

 

『‥‥ソノマエニシツモンヲ‥‥‥』

 

「何?」

 

『アナタハナゼ、チカラヲホッスル?』

 

「えっ?」

 

『ワレワレ、ISハキョウダイナチカラ‥ソノチカラヲモチアナタハナニガシタイ?』

 

「‥‥」

 

自分の愛機に力を求める理由を問われ、簪は戸惑ったが姉を超える力が欲しいと答える。

 

『デハ、アネウエヲコエタアトハ?』

 

「えっ?」

 

簪は楯無を超えた後、何がしたいのか?

そんな事、考えたこともなかった。

 

「‥‥まだわからない‥今の目標は姉さんを超える‥それだけ‥それを成すにはどうしてもあなたの力が必要なの‥お願い、協力をして」

 

『‥‥』

 

打鉄弐式は考え込むかの様に無言。

 

(私からもお願いする‥打鉄弐式‥)

 

スポコンの様なノリではないが、話し合うと言うってもいろんな形がある。

姉を超えたいと言う簪と妹を守りたいと言う楯無。

話し合う時、ISでのガチバトルで話をつけるのも一つの手である。

全力を出し合って互いに思いっきり言いたい事を吐き出す機会にもなるかもしれない。

 

(もし、簪があなたの力を外道な力に使う様ならば、その時、機能を停止すればいい‥‥)

 

昨日、イヴ自身もリンドヴルムに尋ねた際、リンドヴルムはイヴを信じると言ってくれた。

ならば、打鉄弐式もパートナーでもある簪を信じて欲しい。

 

『‥‥』

 

イヴの頼みに答えるかのように端末にプログラムの羅列が表示される。

 

「これは‥‥もしかして、打鉄弐式の機動プログラム‥‥?‥ありがとう‥打鉄弐式‥ありがとう‥イヴ」

 

簪は頬をほんのり染めて口元を緩めて愛機とイヴに礼を言った。


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