シルバーウィング   作:破壊神クルル

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20話

IS学園に入る為の登竜門であるIS学園の入学試験。

筆記による学科試験が終わり、いよいよ次は実際にISに乗ってその適性を測る実技試験が行われようとしていた。

そんな中、他の受験生たちが、自分らが通う中学校の体操服やジャージの中、束お手製のISスーツを纏ったイヴは周囲から浮いた存在となっていた。

 

「えっ!?つなぎ?」

 

「あの子、変わった服装をしているわね」

 

「何アレ?コスプレ?」

 

通常のISスーツとも違い、体操服でもジャージでもないイヴの特別仕様のISスーツを見て、近くに居る受験生は首を傾げたり、ひそひそと話をしている。

それでもイヴは気にしたそぶりは見せない。

このISスーツは友達が自分のためだけに用意してくれたオーダーメイドのISスーツなのだ。

だから、全然恥ずかしくないし、むしろ誇れる一品なのだ。

やがて、更衣室に教師が現れ、実技試験の説明をする。

 

「では、これより実技試験の説明を行う。実技試験は受験番号順で行い学園の教師を相手に一対一の模擬戦をしてもらう。ただし、勝敗に関しては合否には影響はしない。あくまで君達のIS適性を判断するためのものだ。使用するISは学園の打鉄かラファール・リヴァイヴ、どちらでも好きな方を使っていい、専用機がある者は、訓練機、専用機そのどちらを使用しても構わない。では、実技試験を開始するぞ、受験番号‥‥」

 

こうして実技試験は開始された。

公平性を期すため、他の受験生の実技試験の内容は明かされず、受験生達は窓のない更衣室で自分の番が来るのを待つ。

実技試験を終えた受験生も試験教官の動きや癖を他の受験生に教えない様に別の更衣室で着替えさせられて先程筆記試験を受けた教室で待機となる。

 

「次、受験番号‥‥」

 

順調に実技試験は進んでいき更衣室で待つ受験生が次々と呼ばれて行き、

 

「次、受験番号‥‥イヴ・ノイシュヴァンシュタイン・アインス」

 

「は、はい」

 

ついにイヴの番となった。

イヴがアリーナに併設されているピットへと向かうと、

 

「ん?な、なんだ?その服は?ISスーツなのか?」

 

やはり、教師もイヴの服装には怪訝な表情だ。

 

「はい。専用のISスーツです」

 

「そ、そうか‥‥ところで使用する機体は打鉄とラファール・リヴァイヴ、どちらを使用する?」

 

教師がイヴに使用機体を尋ねる。

 

「あっ、私、専用機があるので、其方を使います」

 

「ほぅ~君だったのか、もう一人の専用機持ちと言うのは‥‥」

 

(もう一人?と言う事は、私以外にも専用機を使った人がいたんだ‥‥どんな人なのかな?)

 

イヴは自分以外に専用機を持っていると言う人にちょっとだけ興味が湧いた。

 

「それじゃあ、ISを展開して」

 

「はい」

 

イヴは銀の懐中時計を取り出し、リンドヴルムを呼び出す。

 

「対戦相手はすでにアリーナで待っている。頑張れ」

 

「はい‥‥行くよ、リンドヴルム」

 

イヴがアリーナへと行くと‥‥

 

「待っていたぞ」

 

其処には打鉄を纏った千冬が居た。

 

(な、なんでこの人が‥‥)

 

千冬の姿を見たイヴは目を見開いて驚いた。

一方、生徒会長権限を使って楯無も実技試験が行われているアリーナで実技試験を見学していた。

その彼女も本来、実技試験担当でない千冬がアリーナに居る事には驚いた。

彼女は何故、本来の実技試験の担当でない千冬がアリーナでISを纏っているのか、その事情を聴くために観客席から試験を監督する教師が居る管制室へと向かった。

 

「山田先生!!何故織斑千冬が実技試験に出ているんですか!?」

 

楯無は管制室に居た緑色の髪に眼鏡をかけ、ふくよかな胸を持つ山田と言う教師に食って掛かる。

 

「お、織斑先生が突然、自分も実技試験を担当するって言って‥‥」

 

楯無の物凄い剣幕に山田先生は怯える様に千冬が実技試験を担当したのかを説明する。

 

「だからと言ってなんで、あの子の担当なんですか!?それに突然、実技試験担当を変更するなんて、一体どういうつもりなんですか!?」

 

「そ、それは専用機持ちの実力を見たいって言って‥‥」

 

「じゃあ、どうしてイギリスの代表候補生とは戦わなかったんですか!?彼女も専用機持ちだったんですよ!!」

 

同じ専用機持ちでも千冬はもう一人の専用機持ちであるイギリスの代表候補生とは実技試験を行わなかった。

 

「そ、そこまでは分かりません‥‥」

 

楯無の怒気を含む様子に山田先生は涙目になっていた。

これではどちらが教師で生徒なのか分からない。

 

(なんか嫌な予感がするわ)

 

楯無は妙な胸騒ぎを感じ、万が一に備えていつでも専用機を展開できるようにした。

その頃、アリーナでは、

 

「お、織斑千冬‥ど、どうして貴女が?」

 

「織斑先生だ」

 

楯無の話では千冬は実技試験担当ではない筈、にも関わらず、彼女は今自分の目の前でISを纏って立っている。

 

「なに、専用機持ちの実力とやらを見せてもらおうと思ってな」

 

千冬はニヤリと不敵な笑みを浮かべる。

 

(速攻で片付ければコイツのIS判定は低いと判断されて不合格決定だな)

 

千冬はまだ結果が出ていない学科試験もイヴは合格ラインギリギリだと判断し、この実技試験でも速攻で終わらせればIS適性が低いと判断されるだろうと思っていた。

 

「‥‥」

 

一方、イヴは千冬の姿を見て緊張した面持ちで、頬から一筋の汗が流れ出る。

 

(私はもう、織斑一夏じゃない‥‥イヴ・ノイシュヴァンシュタイン・アインスだ‥‥あの人とはもう、赤の他人‥姉妹でもなんでもない、赤の他人なんだ!!)

 

イヴは自分に今の自分は昔の自分ではないと言い聞かせる。

 

『では、両者試合を始めて下さい』

 

実技試験の開始を知らせる放送が流れと千冬は打鉄の主兵装である大刀、葵を両手に展開してイヴに斬り込んで来る。

 

(これで終わりだ!!)

 

「っ!?」

 

(はやいっ!!)

 

イヴは咄嗟に千冬の切込みを回避する。

 

(ちっ、仕留め損なったか)

 

その後も千冬はイヴに葵を使った斬撃を見舞うが、イヴはそれらをギリギリのところで回避する。

 

「防戦一方ですが、織斑先生の攻撃を躱すなんて凄いですね、あの子」

 

山田先生は管制室のモニターで千冬とイヴの実技試験を見てその感想を述べる。

 

「‥‥」

 

楯無は黙ってその実技試験を見ている。

 

(やっぱり変だわ‥動きにキレがない‥むしろいつもよりも鈍いくらいだわ‥‥やっぱり、イヴちゃん‥織斑先生を見て動揺している‥‥)

 

山田先生は褒めていたが、イヴと何度か戦った事のある楯無は今のイヴの動きが余りにも違和感だらけとなっている事を見抜いた。

動きにキレがなく、鈍い様に感じられ、表情も何だか顔色が悪く、酷く焦っているようにも見える。

 

「イヴちゃん‥‥」

 

楯無が出来たのは試合時間終了までこのまま逃げ切ってくれることしか出来なかった。

 

「どうした!?その専用機は飾りか!?」

 

アリーナでは千冬が力一杯、葵を振り回している。

 

「くっ」

 

イヴはそれを反撃せず、逃げているだけで精一杯だ。

 

「私に立ち向かう勇気もないのか?この腰抜けが!!」

 

「っ!?」

 

「さあ、どうした?臆病者!!逃げる事しか出来ないお前に専用機など、無用の長物なのではないか!?悔しかったらかかって来い!!」

 

千冬は逃げてばかりのイヴに対してあからさまな挑発をする。

彼女の挑発の言葉を受け、イヴは相変わらず、反撃はせずに逃げの一手であるが、動きがだんだんと鈍くなっていく。

そして、

 

「もらった!!」

 

「っ!?しまっ‥‥」

 

ドガッ

 

「グッ‥‥」

 

一瞬の油断を突かれ、イヴは千冬からの一撃を貰ってしまい、その後足蹴りを受け、アリーナの壁に激突する。

 

(か、体が思うように動かない‥‥)

 

幾ら自分がもう昔の自分でないと言い聞かせてもトラウマはそう簡単には消えず、千冬相手に委縮して思うように動けない。

 

「ふん、やはりアイツ(織斑一夏)にそっくりだ。所詮お前もアイツと同じ、出来損ないか?」

 

「っ!?」

 

アリーナの壁に打ち付けられたイヴに対して千冬は失望した表情を見せる。

 

(生まれ変わってもやっぱり私は出来損ない‥なの‥‥?)

 

(でも、あの人の前じゃ、思うように動けない‥‥体と判断が追いつかない‥‥)

 

(私はずっと、あの人の前じゃ、ずっと出来損ない?)

 

(嫌だ‥そんなの‥‥でも‥‥)

 

イヴの脳裏にかつての千冬に対するトラウマが蘇る。

その時‥‥

 

『情けないわねぇ~史上最強の力を持っていながら、たかが女一人にビビるなんて‥‥』

 

(だ、誰!?)

 

イヴの脳裏に別の誰かの声が聞こえてきた。

 

『私か?私はお前だよ‥‥私はもう一人のお前だ‥‥』

 

(もう一人の‥私?)

 

『そうだ。お前があの女に恐怖を感じて動けないと言うのであれば、私が変わってやるよ。私があの女に力と言うモノを見せてやる、私があの女に絶望と恐怖を見せつけてやるよ。だから、お前は引っ込んでいろ!!』

 

(な、なにを‥‥)

 

甘い誘惑の様な言葉と共に狂気を感じる言葉が聞こえる。

そして、後ろ襟を掴まれ、押し退けられる様な感覚がしたと思ったら、イヴの意識は遠のいていった。

 

「これで終わりだ!!」

 

イヴが頭の中でもう一人の自分となのる謎の声と会話をしている間に千冬はイヴに迫り、葵を振り上げてイヴに止めを刺そうとする。

その時、

 

ガキーン!!

 

千冬の葵をイヴはバルニフィカスをグレートソード(ザンバーフォーム)で受け止める。

 

「何!?」

 

今まで一切攻撃もせず、武装も展開してこなかったイヴが突然武装を展開して自分の一撃を受け止めた事に驚く千冬。

 

「『終わり』?ああ、そうだな。『これで終わりだ!!』お前の不敗神話も‥‥そして、人生もなぁ!!」

 

イヴは大声と共にバルニフィカスを振り上げ、受け止めていた葵もろとも千冬を吹き飛ばす。

そして、さりげなく彼女は千冬に対して抹殺宣言をする。

 

「くっ」

 

飛ばされた千冬は受け身をとって着地する。

 

「さあ、行くぞ!!歌い踊れ!!織斑千冬(ブリュンヒルデ)!!豚の様な悲鳴をあげろ‥‥」

 

今度はイヴの方が千冬に対して挑発し始めた。

そして表情は今まで顔色が悪く焦りの色があったものとは大きく違い、狂気に満ちた薄気味悪い笑みを浮かべていた。

 

「悲鳴をあげる‥だと?この私が?ふん、私の一撃を受けただけで良い気になるなよ、小娘が!!」

 

イヴに挑発された事が癪に障ったのか、千冬は葵を構え直してイヴへと迫る。

 

「ふん」

 

すると、千冬は葵をイヴへと投擲する。

イヴはそれをバルニフィカスで弾き飛ばす。

二本の葵を吹き飛ばされても千冬は再び両手に葵を出現させる。

イヴはバルニフィカスをグレートソード(ザンバーフォーム)から戦斧(アサルトフォーム)へと切り替える。

二刀流の葵を使う千冬に対してイヴは戦斧(アサルトフォーム)のバルニフィカス一本で互角の戦いをする。

 

「あの子、一体どうしたんでしょう?さっきとは動きが全然違いますよ」

 

先程まで防戦一方のイヴが突如、武装を展開させて千冬を互角にやりあっている事に山田先生は驚愕する。

 

(確かにおかしい‥あの動き、これまで以上に先鋭されている‥‥あの子に一体何が‥‥)

 

山田先生同様、楯無もイヴの突然の変化に驚いていた。

互いに長い獲物を使っているにも関わらず、千冬もイヴもその刃が届くギリギリの至近距離で戦っている。

 

バキーン!!

 

イヴがバルニフィカスの柄で千冬の葵を一本へし折ると千冬は折れた葵を捨て、また新たな葵を出現させる。

 

「くらえ!!」

 

千冬が突き技を繰り出すと、イヴは片手でソレを受け止め、手の掌に仕込まれている衝撃砲でその葵をへし折る。

千冬は葵がへし折られたり、刃こぼれするとその葵をその場に捨てるかイヴに投擲するかを行い、新たな葵を出現させる事を繰り返した。

 

「おい、目の前のモノばかり見ていると足元を掬われるぞ」

 

千冬は不敵な笑みを浮かべながら、イヴに警告をする。

 

「ん?‥っ!?」

 

イヴの足元には沢山の葵の残骸が転がっていた。

千冬は咄嗟に空へと飛びあがり、スイッチを押すと、アリーナの床に転がっていた葵の残骸が一斉に爆発した。

彼女が使用していた葵の柄にはあらかじめ爆弾が仕込まれていたのだ。

千冬は折られた葵や刃こぼれした葵を捨てていたのは一斉に爆破する為の布石だった。

しかもイヴとの攻防をしながら絶好の位置へ彼女を誘導していた。

 

「これだけの爆発に巻き込まれれば‥‥」

 

上空に退避してアリーナで起きた爆発を見下ろしていた千冬は背後に何かを感じ、瞬時に葵を出現させ、突き技を繰り出すが、葵は何かにつかまれ、自分の腹部には蹴りが打ち込まれる。

 

「グハッ!!」

 

腹部に強烈な蹴りを入れられ、アリーナの床に叩き付けられる千冬。

 

「私がこの程度の爆発でやられると思っていたのか?」

 

「ぐっ‥‥」

 

千冬が起き上がり、声をした方を忌々しそうに見ると、其処には無傷のイヴの姿があった。

イヴは爆発の際、咄嗟にAICを発動させ、爆風の直撃を防ぎ、爆煙に紛れて千冬の至近距離に接近していた。

 

「そら、お前のだ、返すぞ」

 

イヴは手に持っていた葵をまるで鉛筆回しをするかのように180度回転させて千冬に向かって投擲、続いて、

 

「はあっ!!」

 

手の掌の衝撃砲で葵を撃ち抜く、するとその葵も爆発を起こし、千冬は爆発に巻き込まれる。

 

「ぐっ、小娘が!!調子に乗るな!!」

 

千冬は自分がやろうとした罠を逆にイヴにしてやられ、逆上して葵を出すとイヴに斬りかかって来る。

イヴはバルニフィカスを大鎌にして迎え撃つ。

すると、千冬はイヴの大鎌の攻撃を楯無の時の様に空中で飛び上がり、一回転すると同時にイヴの首にワイヤーを巻き付ける。

 

「ぐっ‥くっ‥‥」

 

「私を舐めるなよ、小娘」

 

「ぐっ‥‥」

 

首に巻き付けられたワイヤーはミシミシと鈍い音を立ててイヴの首へと食い込む。

 

「ぐっ‥うっ‥‥」

 

首を絞められ、苦痛で顔を歪ませるイヴ。

 

「終わりだ!!小娘!!諦めろ!!」

 

「くっ‥‥」

 

千冬が勝利を確信した時、リンドヴルムのドラグーン・システムが発動、レーザーでワイヤーを切断した。

 

「なっ!?それはイギリスのティアーズ!?」

 

「ハァハァハァ‥‥ふっ‥‥残念だったなぁ‥もう手加減はなしだ‥‥行け!!ドラグーン!!」

 

イヴは十基のドラグーンを千冬へとけしかける。

 

(十基のティアーズだと!?だが、そんな沢山のティアーズを操作出来るはずがない!!仮にできたとしてもティアーズの操作だけでお前は動けない筈‥‥っ!?)

 

千冬の後を十基のドラグーンが追いかけていると、彼女の目の前にはイヴがおり、レールガン、スターライト・ゼロを構えている。

イヴはドラグーンを使い、千冬の逃げ道を呼んで先回りしていた。

しかもAICで千冬の動きを止めた。

 

「いらっしゃーい」

 

AICで千冬の動きを止めたイヴはAICによって動けなくなった千冬を見てニタァと薄気味悪い笑みを浮かべる。

 

「なっ!?AICだと!?」

 

レールガンが直撃し、AICによって動きが止まっている千冬に十基のドラグーンが襲いかかる。

千冬の打鉄のエネルギーは瞬く間に消費されていき、生命維持警告域超過と表示され警報音も鳴る。

満身創痍となった千冬にイヴは薄気味悪い笑みを引っ込めてイグニッション・ブーストで彼女に急接近すると、千冬の首を片手で締め上げる。

彼女の首からは先程、イヴがワイヤーで絞められた時と同じくミシミシと鈍い音がする。

 

「どうした?世界最強?中坊の小娘相手に随分と無様な姿だな。ハハハハハ‥‥」

 

「ぐっ‥‥」

 

首を絞められ、苦しそうに顔を歪める千冬。

 

「ハハハハハ‥‥相手が専用機でしたから勝てませんでしたとでも言い訳を考えているのか?だが、私が殺すと言った以上、お前の死は決定事項だ!!」

 

一方、イヴはそんな苦しんでいる千冬の顔を見て、口を三日月の様に吊り上げ、再び狂気に満ちた笑みを浮かべている。

 

「お前の苦しんでいる顔をもっと見たかったが、フィナーレだ」

 

イヴは千冬の首を掴んだ状態で急降下し、アリーナの床に千冬を思いっきり叩き付けた。

 

「ぐはっ!!」

 

アリーナの床に思いっきり叩き付けられ、めり込むような形で倒れている千冬に対してイヴは、

 

「小便は済ませたか?神様にお祈りは?アリーナのスミでガタガタふるえて命乞いをする心の準備はOK?」

 

千冬の息の根を止めるかのように彼女に最後に何か言いたい事はあるか?と尋ねる。

 

「ひぃっ‥‥」

 

千冬の中に初めて死への恐怖が過ぎった。

コイツは只の小娘なんかじゃない。

コイツは化け物だ。

コイツは自分の命を狩りに来た死神だ。

 

「さぁ、悲鳴をあげろ!!豚の様なぁ!!」

 

イヴはゼロ距離で千冬の頭部に衝撃砲を打ち込もうとしていた。

生命維持警告域超過の中、ゼロ距離で衝撃砲を連射されては命の危険がある。

その時、

 

「っ!?」

 

イヴは咄嗟に背後から何かを感じとり、千冬から距離をとりバルニフィカスをグレートソード(ザンバーフォーム)にして、背後へと振る。

すると、

 

ガキーン!!

 

バルニフィカスと何かがぶつかり合った。

イヴが振り向くと其処には、ミステリアス・レイディを纏い手には蒼流旋を持った楯無が居た。


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