(旧)ユグドラシルのNPCに転生しました。   作:政田正彦

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特別な条件を満たすことで仲間にできるNPC、エレティカ=ブラッドフォールンとして生まれ変わってしまった主人公!一体これからどうなっちゃうの~!?


転移まで(2/3)

 どうも皆様、こんにちは、エレティカ=ブラッドフォールンです。

 アインズ・ウール・ゴウンが一人、ペロロンチーノさんに拾われました。

 

 「はぁ~エレティカたんぐうかわ……」

 

 そういうバードマン、ペロロンチーノさんは無表情だけど感情表現のアイコンが「にっこり」のアイコンが出ており、声色からもかなり緩みきった表情をしているんだろうなと思う。

 

 【ありがとうございます、感激の極みです】

 

 「ぐうかわというワードにもちゃんと反応してくれるエレティカちゃんほんと神……はぁ……ただ、ギルドのNPCじゃないから自分で育てないといけないし、設定も改変出来ないから、ちょっと不便……まあその分思い出は増えるんだけどね!」

 

 えっと、というわけで、今はレベリングの最中。

 見たところまだギルドの方々は辞めてる人もちらほらいるかなー?位で、人数はまだ多い方の時期なんじゃないでしょうか?

 

 ですが、メンバーは41人より少しだけ少ないです。

 

 つまりは、今このアインズ・ウール・ゴウンは最盛期ではない、という事。

 

 異世界に転移して自分の意思を持ち始めたNPCが呼ぶ「至高の41人」とは、最盛期にギルドに所属していた41人の事を指すため、41人よりも少ない、ということは、まだ最盛期に突入していないか、あるいはもう既にメンバーが減り始めたと考えるべきでしょう。 

 

 

 そこから導き出される物、それは、異世界入りするまでは……私がNPCでなくなるまではまだ時間がかかりそうだねって事である。

 

 「うんうん……えーと、それじゃあ、今日はここまでにしよっかな……じゃあ、おやすみ、エレティカ~」

 

 【おやすみなさいませ、ペロロンチーノ様】

 

 

 最初こそペロロンチーノ様とのコミュニケーションに不慣れだったり、私のAI?に興味を持ったらしいヘロヘロさんとかその他クリエイターさんの至高の方々や「チクショウ!!俺がその場に居れば絶対エレティカちゃんを俺のものにしたのに!!」みたいな事まで言ってくる至高の方々まで居て本当に混乱したけれど、私は元気です。

 

 

 ……あぁ、そうそう。

 

 

 

 

 

 

 どうやらこれ夢じゃないっぽいね(今更)

 

 

 

 やっべー……これ、あっちの身体はどうなってるんだろ?ちゃんと生きてるんだとしたらそれはそれで怖いしアレなんだけど……まぁ多分死んでんだろーなー……結局何故寝ているうちに死んでしまったのかはわからないままだけど、下手に、こう……トラックに轢かれて~とか、電車のホームで後ろから押されて~とかいう他人に迷惑になる形じゃなくてよかったよね、うん。

 

 よくある異世界転生物だと「うっかり神様のミスで交通事故に遭って死んじゃった!責任とって次の生ではチート級の異能を持たせてあげるね(はぁと」とかいうものがあるので、いや、それも作品としては大好きなんだが、いかんせん、その、主人公の知人である残された人、主人公の家族、友人、恋人、そしてなにより主人公を轢き殺した運転手があまりに可哀想である。

 

 ……あぁ、でも、居眠り運転だった~とか、そもそも通り魔だった~とかは別として。

 

 まぁどうして私がこんな事になっているのかなんてのは今考えても分かることじゃない。

 ある意味主人公であるモモンガさんよりファンタジーな異世界転生をしているんだが、それも今は置いておこう。

 

 さてさて、で、今現在の私の現状ですが……。

 

 

 まぁ、彼らの、ギルドとしての私の扱いとしては、「ある特別な条件を満たすと仲間にできる傭兵NPC」だと解釈されたらしく、「運良くボツになったキャラクターの良質なAIを持たされているのか、あるいはそのまま流用されているイベントキャラクターがそのまま傭兵NPCとなった」という結論に至ったらしい。

 

 まぁどっちにしても私はちょっと人間らしい動きをしすぎたので、最近はちょっと動きに法則性?をつけたりしているけれども。

 

 部屋にあったでっかい鏡を見るに、格好はやはり、ブラッドフォールンがついているからなのかは知らないけれど、シャルティアによく似ている。

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 違う部分といえば、まず髪型こそ同じような感じだが、髪が銀髪ではなく、赤い。だがつむじから毛先にかけて、銀のグラデーションがかかっている。ヘッドドレスはない。赤に染めてから銀色の髪が生えてきたみたいな感じといえば伝わるだろうか?眼は赤紫色。体格は……巨乳ロリ。

 

 えっ、本物かって?それは……乙女の秘密です。

 嘘です、R18規定みたいなものがかかっているらしく、例え自分のお胸であってもモミモミしても感覚がないため、確かめる術がないだけです。

 

 あとは、まぁ、吸血鬼だからかNPCだからかは知らないけれど、睡眠を必要としていない、というのも変わった点といえば変わった点、しかしなんというか、睡眠を全く必要としない身体は奇妙な物で、それでも一応寝た方がいいのではなんて思わされる。

 

 あとは……なんだろうな……多分私はこのまま何年かしたらモモンガさんと一緒に異世界に飛ばされるんだろうし、そしたら、純粋なトゥルーヴァンパイア、アインズウールゴウンの下僕としての生を受ける事になるんだろう。

 

 そういう意味では、幸いだった。ここがアインズウールゴウンだった事が。

 

 もし知らずに適当なギルドか冒険者に拾われてたかあるいはペロロンチーノ様に出会わずにあのままだったらと考えると寒気がする。

 

 きっと私はデータ扱いで消滅してしまったのではなかろうか……。

 

 まぁ、そんなこと言ったら私が無事に異世界に行ける保証もないんだけれど。

 

 

 ……あ、やべ、この件、なしなし、考えんのやーめた。

 

 

 えっと……それから、私は、「シャルティア=ブラッドフォールン」が生まれる前に彼らと出会ったらしく、レベリングとか、レベルの管理を全てペロロンチーノ様に任せているんだけど、シャルティアとは随分違う。やはり姿が違えばそういった要素も変わってくるわけで、私がまんまシャルティアの立ち位置に入れ替わってしまったなんて事はないようだ。

 

 そのレベリングとかもろもろのおかげで、無事に私は最高レベルに到達。そのまま、階層守護者としての役割を与えられて、現在シャルティアと同じ、1,2,3階層の守護者をやっている。

 

 最高レベルに差し当たった所あたりだったか。これ、シャルティアちゃんと生まれてくるよね?と不安になっていたら、ペロロンチーノ様のお姉さまことぶくぶく茶釜様が双子のダークエルフを見せびらかしに来て、私と大層張り合わせた挙句、「ならばもう一人同じトゥルーヴァンパイアの子を作って、こちらも双子で対抗してやる!!」という結論に(何故そうなった……?)なったらしく、今さっきまでせっせとデザインを作っていたところだった。

 

 チラッと見てみると、シャルティアはシャルティアでした。

 原作となんの変わりもない、普通にシャルティアそのまんま。

 1,2,3階層の守護者っていうのも同じ。

 「双子はいつも一緒じゃないといけないんだよ!!」というぶくぶく茶釜さんの熱弁によって采配されたものである。

 

 職業(クラス)レベルも私が知る限りではシャルティアまんまである。

 原作では守護者最強の攻撃力を誇るシャルティア、そのまんま。

 

 もし原作でのシャルティアが支配されるシチュエーションに私が陥りそうになったら、とりあえず冷静に対処出来るようにしておかないと同じ事になるから気を付けないと、シャルティアのそのぶっ壊れ性能にそんなことを思った。

 

 まぁ死んでも多分生き返れるんだろうけど、あまり死にたくないし、確実性はないから、一番は死なないようにするってことかな……。

 

 で、最後に、モモンガさんと異世界に行った際に、実は中に人が居るよ~ってことはどうするかというと……まぁ、それは伝えなくてもいいと思っている。

 

 正直、言っても良いんではと思ったが、言ったとしてどうなる?モモンガさんに新たな悩みの種が増えるだけでしょ……これ以上苦労させたくないむしろ苦労の種を取り除きたい。

 

 特にシャルティアの離反イベントとかどうにかしたい。

 

 けれど私が口を出した所で、私とモモンガさんでは生まれた時代が違うし、オーバーロード原作の話なんかしても「運営は一体何を考えているんだ?」としか思われないだろう。

 

 其の辺は追々、どうにかしていきたい。

 

 

 そういえば、ペロロンチーノさんがログインするまで暇なのでは?

 と思うかもしれないが、実はそんな事はなく、私はNPCなので、「機能停止」というコマンドを用いることによって再び「起動」のコマンドを用いらない限りずーーーーーーーーーーーっと寝てることが出来る。

 

 懸念材料だった、ペロロンチーノさんの引退後の私の時間は、普通に寝ていればいいという結論に至った。

 

 だけど、異世界に転移した時には、停止(待機)状態だったNPCであったアルベドが動き出したことから、異世界に転移したら停止状態だったNPCは動き出すんだろうね。

 

 逆に言えばペロロンチーノさんが最後に私を停止させた時、次に目が覚めるのは異世界の大墳墓ということになるわけ。

 

 いや~、そう考えると、結構異世界転移までの時間もそう遠くないのかもね……。

 

 

 でも本音を言えば、ペロロンチーノさんやぶくぶく茶釜さんには、残って異世界に一緒に行きたいなぁ……ダメかな……。

 

 だって、どうせこのゲームでいうところのリアルの世界って、外ではマスク無しじゃ生活できないほど劣悪な状況なんでしょ?

 

 だったら、と思ってしまう。

 

 ただ、モモンガさんと違って、他の至高の方々には別の……リアルの生活があって……。

 

 ……やめやめ、皆には皆の生活があるんだから……。

 

 未だにこんなことを考えているのは、「それでも」と考えてしまうからだろうね。

 

 寂しいなーと漠然と思いながら、私は次の起動の時を待った。

 

 思ったよりも私は自分を拾ってくれた存在、それ以上に、実の娘のよう(にしては少し愛が気持ち悪いが)に愛してくれたペロロンチーノさんに少なからず恩義を感じているんだなと思った。

 

 彼のおかげで、残してきた両親や妹に対して、家に対して、寂しいとか、帰りたいとか思うことが少なかったのは事実である。

 

 一人で未だに彷徨っていたら、気が狂ってしまったのではないかとすら思う。

 

 それだけペロロンチーノさんは私を可愛がってくれた。

 

 この容姿に感謝だ。

 これはいわゆる転生特典とかいうやつなのだろうか。

 

 

 

 そうして、レベリングも終了した頃、ついに、私の双子の妹……生き別れの妹であり、アインズウールゴウンの下僕となった時に奇跡的な再会を果たした……という設定で、シャルティア=ブラッドフォールンが誕生した。

 

 「エレティカ!ついに出来……いや、君の妹が見つかったよ!」

 

 と見せられた時は、本来妹なんていう存在があるという設定がないはずのエレティカとして、どういう反応を示せばいいのだろうかと思ったが、結局、抱きつきたいのを抑え、NPCっぽく、いつもと変わらない表情でその嬉しそうなペロロンチーノさんを見ていた。

 

 とにかく、まだ一度も喋ったことはないし、恐らく異世界転移されるまできっと話すことは無いんだろうけど、まぁ、せめて、ペロロンチーノさんがうっかり私の停止を忘れてしまった時ぐらいであれば、頭を撫でたりしてもいいのでは?と思っている。

 

 だってほら私NPCだから!アカウント停止とかないしね!!

 

 今では、双子のヴァンパイアとして、第一、第二、第三階層を二人で守護する存在として、常に一緒にいる。

 

 今はまだ喋ることはないし、微笑みかけることも、触れても何も感じないが、ギルドの人たちの会話や言動を覚えているのなら、今のうちに、出来ることはした方がいいと思った。

 

 

 ひとまず今は、ペロロンチーノ様が見ていないところで、シャルティアを可愛がる事にする。

 

 

 NPCに垢BANは通用しないからね!!




はぁ……シャルティアちゃんかわゆ……。

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