今回後半に沖田さん目線の軽い過去話がのってます
あの後俺はジャックと聖杯を回収し、アーサー王の前に行った。
「ここまでありがとうございました。アーサー王」
「…正直に言うと私には君がわからない」
「そうでしょうね…俺にもよく分かりませんから。すいません、騎士道に反したやり方をしてしまって」
「いや、その点に関しては心配入らない。しかし…君のやり方は…」
「…すみません。情が湧いてしまったんです」
「…情が?」
「俺、以前は日本に住んでた高校生だったんですけど、小さい頃から悪目立ちしててかなり嫌われてたんですよ。それに、無駄に勉強してて知識もそれなりにあったし、ズバズバと遠慮なしに言ってたんで自分でも嫌われるなぁとかは思ってましたが別にそれだけ何で。まあ、そんな事を続けてたら今まで友達だった奴もこんな奴とは付き合いきれないという感じで俺のもとを去って行きました。ただ、学校の人どころか町の人にすらほとんどいないように扱われたのには驚かされましたよ」
「君は…」
「何も言わないで下さいよアーサー王。俺は間違っていたなんて思ってませんし、今はこっちにいるのが俺ですから。存在している事を否定されたのなら、新しい場所に存在し直したと考えれば楽ですから」
「…そうか、君は強いな」
「皮肉にしか聞こえませんよアーサー王」
「ふっ、本心だよ。君は強いよ、精神的に。人間で一番脆いのは精神だと僕は思っているよ」
「アーサー王に褒められるのは名誉ですよ」
「最後になるけど…」
そう言うとアーサー王から光の粒子が出る。
「いい意味で君のマスターになれなくて良かったよ」
「それは俺にとっていい意味ですか?それともアーサー王にとっていい意味ですか?」
俺は冗談めいた様に言ったら、アーサー王は微笑みながら答えた。
「どっちもだよ」
そう言って消えていった。最後まで俺にとってはかっこよかった。流石はアーサー王。
「さてと…ダヴィンチちゃん。お願いします」
「はいよ。随分と頑張っていたじゃないか。私は少し暇だったよ、途中から完全に空気だったし」
「申し訳無いです。でも、この特異点…いえこれから俺が行く特異点は少し特殊な気がして、それの予行練習ですかね」
「そうか、良し。準備完了だ今君たちを回収するよ」
と言われ俺達はカルデアに戻った。
カルデアに戻った瞬間の職員たちの視線が痛かった。いやまあ、自業自得何だけどね。すぐにダヴィンチちゃんが俺達の所へと来た。
「やあ、ご苦労様。どうだった?初めて行った特異点は」
「疲れましたよ。まさかあんな感じとは…藤丸さんはいつもこんな事になってたなんて思うとほんと尊敬しますよ」
「まあ、君は少し特殊だけどね。まさか、推理するとは思わなかったよしかも君1人でなんてね。立香君の方も新宿へと行って最後は色んな探偵を揃えてたらしいよ。推理もあったらしいしねその特異点では」
「へえ、新宿ですか」
「君は行ったことあったかい?」
「いいえ、俺の住んでところは新宿には滅多に行けないところなので行ったことないんですよ」
「そうか、残念だったね」
「いえいえ、むしろ個人的には冬木市に行ってみたいと思ってたので行けて良かったですよ」
「そうかそうか、よしひとまず今日は本当にご苦労様。また明日すぐに次はオルレアンへと向かってもらわなきゃならない。時間は無いが出来るだけ休息は取ってくれ」
「了解しました」
そして俺達は自分達の部屋へと戻っていった。
…まあ、全員同じ部屋なんだけどな。しょうがないじゃないか、何故か部屋がここしか使えないって言われたんだから。もう3ヶ月くらい生活してるからもう家族同然だから問題ない。問題とかも起こしてないから問題ない!
ちなみに風呂に入った……ジャックと。その風呂上がり。ちなみに沖田さんとヒロインオルタは2人で今風呂に入ってる。
「はあ…頭痛い…」
「大丈夫?お母さん」
「大丈夫だよジャック…こっちおいで」
と、手でジャックを招きベッドで横になってる俺の所へと呼んだ。その動作だけでジャックは俺の隣に来て横になった。そして俺はそのジャックの頭を撫でた。
「今日もお疲れ様ジャック」
「うん。私達お母さんの役に立てた?」
「もちろんだ。ジャックにはいつも助けてもらってる。本当にありがとう」
「えへへ」
「今日はもう寝てな。おやすみジャック」
「うん。おやすみお母さん」
そう言って俺はジャックの隣で寝付くまで添い寝してあげた。これもいつもの日常風景だ。そしてちょうどジャックが寝付いた頃に2人が上がってくる。
「マスターさん、今日はお疲れ様でした」
そう言ってジャックの寝てるベッドから離れたベッドに腰掛けている俺の膝に自然に乗ってきた。
「ああ、えっちゃんもお疲れ様。あまり活躍の場が無くてごめんな」
「いいんです。私は分かっていますから、何も言わないで下さい」
「ありがとう。もう寝るか?」
「そうですね。明日も早いそうですし、いつものお願いします」
「分かったよ」
えっちゃんにもジャックと同じように頭を撫でながら添い寝する。
そして寝付いた頃にまた離れて沖田さんの元へと行く。
「お疲れ様でした沖田さん」
「はい、マスターもお疲れ様です。すいません、また大事な時に…」
「気にしないで下さい。沖田さんはいつも俺の支えになってくれていますからお互い様です」
「もう…マスター」
「何ですか?」
「堅いです。二人っきりなんですからもっと砕けてくださいよ。マスターだってそっちの方じゃないと息が詰まっちゃいますよ?」
「う…まあ、そうですね…じゃあ…」
俺は立ち上がり沖田さんの座っている真ん前に来て座り、沖田さんの腰に手を回し沖田さんの足に頭を乗せた。
まあ、つまりは正面での膝枕という訳だ。この体勢に入ったら沖田さんは優しく頭を撫でてくれた。
「ふふ、気持ちいいですか?マスター」
「うん…2日は寝れる…」
極楽だよほんと…
「マスターはこれ本当に好きですね」
「うん…」
「マスターは偉いです。いつも私達優先で考えてくれて、自分の事より私達の事を考えるのは見ていて危なっかしいですが…それがマスターですからね。沖田さんはその分マスターを支えます。マスターが甘えたくなったらいつでも甘えて下さい。ジャックにも、ヒロインオルタにも偶には甘えて上げてください。あの2人も心配していますから。2人を娘の様に扱っているのは知ってます。でも、娘に甘える父親もいると思いますよ」
「…一つ訂正させて貰いますと。娘じゃなくて愛娘です」
「ふふ、まったく。マスターは親バカですね」
「自覚してます…」
「…マスターに初めて会った時のことを思い出します」
「初めて…ですか…」
「はい…」
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私が初めて会った時…つまりは召喚された時。マスターを初めて見た時は何か陰のようなものを感じました。それと同時にこの人とやって行けるのかとても不安になる程信用は無かったです。
マスターは普段あまり私達とは話すことはありませんでした。いつも業務連絡位しかの会話をせずに訓練を受けてましたし。とても不信感を強く持ったのを覚えています。2人もそんな感じだったのではないでしょうか。
しかし、マスターはそんな私達の気持ちを知ってか知らずか少しずつ話しけるようになりました。訓練後も自分よりも私達サーヴァント優先で自分の事を二の次で対応してくれました。相変わらずあまり話しかける事はありませんでしたけど。
そして、私にとってマスターの見方が変わった出来事が起こりました。マスターが倒れたのです。いつもは私が倒れるといったことが多くマスターに看病してもらう事もありましたが、今度はそのマスターが倒れたと聞きかなり驚きました。原因を聞くと過労でした。マスターは元々魔術師としての勉強をしてこなかったようで、その遅れを取り戻すために訓練に並行してその魔術の勉強を寝る間も惜しんでしていた様でした。
しかも私達に悟られないようにいつも通り変わらずに接していました。それを聞いてとても胸が…心が苦しくなりました。
心の奥でこの人なら、マスターなら大丈夫だろうとか勝手に思っていました。魔術師だろうと何だろうとマスターは人間で、万能ではない。体だって壊すこともあり、体調だって崩すことだってある。そんな当たり前の事すらも欠如していた自分にとても腹が立ちました。
それから私は出来る限りマスターの看病につきました。時には3人で一緒という時もありました。そして、そんなある時です。
「マスター、沖田さんが来ましたよ〜」
「ああ、沖田さん。いつもありがとうございます」
そう言ってマスターは起き上がろうとしました。
「あー!ダメですよ起きちゃ!まだ安静にしてないとダメですよ!」
「でも、いつも来てくれて悪いよ」
「いいんですって、沖田さんが好きでやってることですから。今は沖田さんに任せてください。ほら、横になって」
「うん…ありがとうございます。沖田さん」
そう言ってからマスターはまた横になった。それを見た時私は
(ああ、マスターも弱いんだな)
と思いました。別に馬鹿にしたわけではありません。こんなに弱いのに頑張っていたんだなって、こんなに脆いのに耐えていたんだなって思いました。
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「それから私はマスターの支えてになっていこうと誓いました」
私は話し終えマスターの方を見るとマスターは静かな寝息を立てて眠っていました。
私は眠っているマスターを起こさないように静かに抱き上げてベッドに寝かせてからその隣に寝ました。
「えへへ、沖田さん大勝利です」
と小声で言って目を閉じた。
「おやすみなさい、マスター」
沖田さんピックアップが来るので沖田さん主体で書きました。
沖田さんっぽさが出てるか個人的には不安ですが何とか書いてみました。はっきり言って個人的な願望ですはい。
書けば出るを信じます!!
来てください沖田さん!!