蛇の守り神 作:堕天使
私は現在、お母さんがモンスターが出るから入ってはいけないと言われた森にちょっとした好奇心で入ってしまい、気がついたら迷ってしまっていた。
怖い、そんな感情に襲われながら、兎に角、森を出るために歩みを進めて、もう時間がかなり経ったのは分かるが、一向に森から出られる気配がなく、少女は歩くのが疲れて座り込んでしまった。
「誰でもいいから助けてよ……」
思わず涙が頬を伝ったとき、近くから人の声が聞こえた。よかった、近くに人がいたんだと私はほっとしてこれで村に帰れると思いながら駆けていくとそこにいたのは体は人間とそっくりだが肌の色は異様に白く手とか足とかは黄緑の鱗肌になっていて巨大な蛇みたいな黄緑の尾がお尻から生えており、その綺麗な高い身長にも関わらず地面に付くほど長い紫色の髪には蛇みたいな形になっているものがあり、明らかに人間ではない。お母さんが言っていたようなモンスターを見てしまったとき私は思わず声を発してしまう。
「ひっ、モンスター!!」
「ッ!!誰だっ!?」
モンスターのお姉さんの瞳が此方を捉え瞬く間に距離を詰められてしまい、逃げようとしても腰が抜けたのと変な痺れによって体を動かすことができない。その間にモンスターのお姉さんの髪の蛇が襲いかかって来ようとするがそれをこのお姉さんは抑えて、声を掛けてくるが私はこのまま食べられちゃうのかもしれないと思うと体の震えが止まらなくて震え声で返事をしてしまう。
「とりあえず、お前を喰らうつもりはない」
「本当に……?」
「ああ、だが、生憎私は知識が不足していてな。お前の知っているこの世界を全部話せ」
兎に角、私は震えを堪えながら、機嫌を損ねないようにこの世界のことを語るとモンスターの女性はふむと顎に手を添えて、考えていた様子だった。
「おい、お前」
「はいっ……」
「日本と言う地域は知らないか?」
「ニホン……ですか?」
「知らないのなら良い」
そこが何処なのかは知らないがモンスターのお姉さんの表情が少し暗くなったところが見えた気がした。モンスターも悲しげな表情をするんだなぁと言うかこの間に逃げられるのではないかと思っていたが実行するまでに私はモンスターのお姉さんに質問をされた。
「それでお前は何故ここにいるのだ。お前みたいなか弱い存在ではモンスターに襲われたらひとたまりもなかろう」
「……実はお母さんの言いつけを破ってこの森の中で探検ごっこをしてたらそのまま迷っちゃって……」
「なるほどな。では、お前はその母親の言いつけを破った罰を受けて貰おう。後悔は私のお腹の中でするんだな」
「ひいっ、ごめんなさい……」
さっきとは雰囲気が変わって邪気が籠った笑みを浮かべて、舌を舐めずさりをしてモンスターのお姉さんは私の顔見つめてきた。私は逃げようとは思うのだが震えて体を動かすことができず、その間にゆっくりゆっくりと近づいてくるモンスターのお姉さんを見つめることしかできなかった。そして、彼女の手が振り上げられたとき私は死を覚悟して目を瞑った――がその手は優しく頭に置かれ、目を開くとその化け物の女性はお母さんのような優しげな笑みを浮かべて、私の体はその手に軽々と持ち上げていった。
「なんてな……母親に会ったらそのようにきちんと謝るのだぞ」
モンスターのお姉さんはそう言って蛇の尾を大きくして、その体を持ち上げて、私はいつの間にかにまるで母親が読んでくれた絵本で出てきた主人公のお姫さまが優しいドラゴンに乗って空を飛ぶように
「うわーすごいたかーい」
「高いところは好きか?」
「うん、大好きいっ!!」
私は笑顔で答えるとモンスターのお姉さんは微笑んで、私の故郷の場所を尋ねてくる。私はあそこーと指を指すとモンスターのお姉さんの尻尾は木々を薙ぎ倒しながら私の住んでいる村に近づいていく。モンスターのお姉さんの蛇さんたちが私を声をあげて威嚇してきたが、モンスターのお姉さんが一睨みするとしゅんとしてしまった。
風が気持ちよい、空を飛ぶってこんな気持ちよかったんだ。こんなことできるなんてやっぱりモンスターのお姉さんはあの物語に出てきたドラゴンみたいにかっこいいと私は思う。
「モンスターのお姉さんってすごいね」
「……ゴ……ンだ」
「え?」
「ゴルゴーンと呼べと言ったのだ。私をそこら辺のモンスターと一緒にするな。それと私が名乗ったんだ。お前の名も教えろ」
「私の名前はねメリ・エモットって言うの。よろしくねゴルゴーン」
「まぁ、そういうことにしておいてやろう」
そう言ってそっぽを向いてしまうが私はその表情が安らかに人間のように笑みを浮かべているような気がした。
村に近づくと人目につきたくないために尾を元の大きさに戻したゴルゴーンはゆっくりと私を降ろした。もっと空を飛びたかったなと思っているとゴルゴーンは村の方を指して、村に帰れと言ってくるが私はゴルゴーンともっと遊びたかった。それに物語の最後にドラゴンは別れを告げて、去っていくんだがその時と似ていてもうゴルゴーンと会えないと思うと寂しかった。
「ゴルゴーン、また会えるよね」
「ああ、また会えるだろうからさっさと行け。行かなければここで喰ってしまうぞ」
もうゴルゴーンのことを優しいモンスターだと分かっている私はもう体が震えることはなく、またねと告げて村の方に走っていく。
お母さんに何してきたのって言われたらこう言うんだ。ドラゴンみたいにすごくてかっこいい素敵な友達ができたって……