蛇の守り神   作:堕天使

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プロローグ

「ふわぁ、よく寝たぁ。ってあれ?」

 

目を覚まし、周囲を見るとそれはいつものアパートの自分の部屋ではなく、緑が鬱蒼と茂る木々がいっぱいある森であり、どこか自分の声変わりをしてかなり低い声からまるで自分のお母さんのような高い声に変わっていた。

 

自分の体を見ると胸を最低限に守っている黒い鎧に下半身を黒い布が隠しており、隠す白い肌に両腕の先と太ももからしたの部分が黄緑色の鱗肌になっていて、その爪が鋭く尖り、地面に広がるほど長い紫色の髪に尻部には黄緑色の蛇の尾が生えている。

 

「この姿ってまさか……ゴルゴーン?」

 

ゴルゴーン、FGOで初登場をしたアヴェンジャーのサーヴァントでメドゥーサが本来の怪物であるゴルゴーンの性質が強調され、召喚された姿であり、サーヴァントとしては本来召喚されない存在である。

 

確かに一番好きなサーヴァントで最終再臨して、親愛度マックスにし、マイルームに固定にして遂にはチョコレートをもらったりしたが、まさか、自分自身がゴルゴーンになってしまい、ここは分からない森だけど不思議に動揺しないというか落ち着き過ぎている。

 

「とりあえず、この森を探索するか」

 

しばらく、歩いていると弓矢や剣を持った緑色の耳が尖っている人間とは違った異形の生物、恐らくゴブリンであろうモンスターが現れたが、勝手に私の髪が無数の蛇の頭に変化してゴブリン達を丸飲みをしてしまった。

 

まぁ、倒す手間が省けたし、お腹が膨らんだからよしとしようか。この子たちも撫でてあげたら、可愛い声を上げてもっと撫でてと言うようにすり寄ってきて可愛いし、一人称が私に変わってしまったが別にどうでもいいことだろう。

 

やはり、このようなモンスターが存在したことからここは私の住んでいた世界とは全く別の世界だと言うことが分かったが、分かっただけで戻る方法も知らないし、この姿のままで戻ったらそれこそニュースに取り上げられてしまうだろうし、かといって行く宛もないし、考えが纏まらないが一先ず歩くとしようか。

 

「ひっ、モンスター!!」

 

「ッ!!誰だっ!?」

 

その時、その声を聞いて私がその声の方を降り向くとそこにはまだ幼い中世の市民が着てそうな洋服の女の子が腰を抜かしていた。

 

「待て、この幼子を喰らうな。おい、お前」

 

私は今にも女の子を喰おうとしている蛇たちを抑えて、少女に目を向けると女の子はブルブルと背筋を震わせ、お祈りみたいなものをしていた。うーん、確かに姿はゴルゴーンだけど別に人間に嫌悪感を感じないが、食べたら美味しそうだと唾液が出てきた。こうなると本当にモンスターになったみたいだなと思うが、心もモンスターのようになっているのかその事が普通だと思ってしまう。

 

「ひゃい…」

 

「とりあえず、お前を喰らうつもりない」

 

「本当に……?」

 

「ああ、だが、生憎私には知識が不足していてな。お前の知っているこの世界のことを全部話せ」

 

女の子はおどおどしながらもこの世界の大まかな地域こと、この近くの町には冒険者なるものが存在していること、魔法が存在していることなど様々なことを教えてくれた。

 

日本と言う地域は知っているかと聞いたがやっぱり知らないか、情報をも聞き出したからこの女の子も用済み、喰らってやってもよかったが流石に私は元人間、そこまで鬼畜なことをしたらそれこそただのモンスターだ。

 

「それでお前は何故ここにいるのだ。お前みたいなか弱い存在では他のモンスターたちに襲われたらひとたまりもなかろう」

 

「……実はお母さんの言いつけを破ってこの森の中で探検ごっこをしてたらそのまま迷っちゃって……」

 

「なるほどな。では、お前はその母親の言いつけを破った罰を受けて貰おう。後悔は私のお腹の中でするんだな」

 

「ひいっ、ごめんなさい……」

 

私はその言葉を聞いて、震える女の子の頭にぽんと優しく手をおいて、右手を使って抱えあげて微笑みを浮かべる。

 

「なんてな…母親に会ったらそのようにきちんと謝るのだぞ」

 

ゴルゴーンの尻尾はかなりの長さがあるが、このままでは森の上から女の子の故郷が見える高さまで及ばないだろうが、怪物の時の尻尾になればそのくらいになるはずと思うとその尻尾はまるで怪獣のように大きくなり、その尻尾の筋力で体をかなりの高さまで持ち上げた。

 

「うわー、すごいたかーい」

 

「高いところは好きか?」

 

「うん、大好き」

 

「そうか、それでお前の故郷はどこにあるのだ?」

 

「えーと、あったあそこー!」

 

「そこだな」

 

私はそのままその巨大な尾を使い、木々を薙ぎ倒しながらその少女の故郷に向かって進んでいく。女の子はおびえてないだろうかと思い、女の子を見つめるが女の子は怯えた様子もなく、楽しそうに景色を眺めているのを見て、最初の食物としては見ていた時と変わり、微笑ましく感じた。その光景を見てか蛇たちがジェラシーを感じているのか少女を威嚇していたが、私の怒気によって静まらせる。

 

「モンスターのお姉さんってすごいね」

 

……ゴ……ンだ

 

「え?」

 

「ゴルゴーンと呼べと言ったのだ。私をそこら辺のモンスターと一緒にするな。それと私が名乗ったのだ。お前の名も教えろ」

 

「私の名前はねメリ・エモットって言うの。よろしくねゴルゴーン」

 

「まぁ、そういうことにしておいてやろう」

 

町に近づくと人目につきたくないために尾を通常の状態を戻して女の子もといメリをゆっくりと地面に降ろすが、メリは名残惜しそうな顔をしていた。

 

「ここを真っ直ぐ行けばお前の住んでるカルネ村とやらに着く」

 

私は村の方を指差すが、メリは寂しげな表情を浮かべて村の方に行こうとしない。

 

「ゴルゴーン、また会えるよね」

 

「ああ、また会えるだろうからさっさと行け。行かなければここで喰ってしまうぞ」

 

「うん、じゃあ、またねゴルゴーン」

 

嬉しそうに笑顔で手を振って、村の方に行くメリを見送って私は蛇たちを撫でながら森の中に入って行きながら思考に耽る。現在は満腹の状態だからあまりメリを喰おうと思わなかったが、もし、空腹の状態でメリに会ってしまったら思わず喰っていたかもしれない。あのfgoのようにマスターと主従関係を築けていない私は人間といい関係を築けるのかはっきり言って自信がない。たまたま、メリには問題なかったが二回目も問題が起こらないとは限らない。なら、もう会わない方がいい。(怪物)のためにもメリ(人間)たちのためにもな―――と思っていたのだがそれは伝言(メッセージ)と言う魔法でたまにメリが連絡してくることによっていつの間にか蛇たちとも友達になることを私はまだ知らない。

 

 

 

 

 

 

 


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