プロローグ −開戦−
帝国が、ラグナイト資源を求めてガリアに侵攻した第一次大戦の戦線の一つガリア戦線。この戦線は、ガリアの英雄ヘルゲン・ギュンター将軍率いるガリア軍機甲部隊によって撃退された。人々は、この英雄の誕生と戦果を喜び、そして尊敬した。だが、ガリア北部を帝国から護った守護者の名前を知る者は少ない。その英雄は、軍歴に記録されることは許されない…
征歴1930年2月に帝国皇太子暗殺事件をきっかけに突如開かれた東ヨーロッパ帝国連合。通称『帝国』と大西洋連邦機構。通称『連邦』の開戦の報はヨーロッパ各国の緊張を急激に強めていった。開戦してからは、帝国、連邦共にそれぞれ周辺国に侵攻を開始し、次々と国土を広げて行きながらも、両国の国境地帯では、一進一退の激戦を行なっていた。
そんな中、帝国と国境を接しているガリア公国という国家が存在していた。国土は帝国より遥かに小さい小国家であったが、国土の北部にラグナイト資源を豊富に産出する鉱山帯を所有しており、数少ないラグナイト産出国であった。この国は永世中立を宣言しており、この戦争の行方を見続けていた。時に、1932年4月の事であった。
<ガリア軍部>
「中将、連邦と帝国の動きは今どうなっている」
その言葉を軍令部の上座に座る太った身体の男が長机の横に座る男に話した。
「は、現在両国は互いに一進一退の状態のようです。ですが、両国共に国土を広げているようで、つい先月、 帝国は南に接していたオストリアを、連邦は北に接していたスヴァニアをそれぞれ落としたようです。また、最新の情報で帝国がフィラルドも落としそうだ。と報告が入っております」
「落としそうだ?そんな曖昧な内容ではいかん!確定
した事実のみを話せ。良いな、中将」
「は、申し訳ございません。閣下」
ふん‼︎そう言うと、閣下と呼ばれた男は葉巻に火をつけた。
この男が、現在のガリア公国軍軍部の中部ガリア正規軍の司令官にして、ガリア正規軍全軍の最高司令官のゲオルグ・ダモン大将である。
「それで、少将、ギルランダイオ要塞の守備状況は
どうなっているのかね?」
そう言って、今度は別の細身の男にダモンは話した。
「は、閣下。現在ギルランダイオ要塞は要塞守備隊3個大隊及び、国境警備隊三個中隊が守りについております。戦車の方も、最新式の軽戦車を20台要塞に配備しており易々とは抜けませんし、抜かせません」
そう言うと、ダモンはまた、ふん!と言い席に深く座り直すと、
葉巻の煙を吐いた。その後国内の補給基地の設置状況などを聞き、
会議の終了を宣言しようとした時、一本の通信が飛び込んできた。
【ギルランダイオ要塞に帝国軍の大部隊襲来】
の一報であった。
1000字の壁は強敵だった…