ギィン。と、鈍い金属音が響く中、タツミはザンクと、ゼロを名乗った男の戦闘を眺めていた。
「・・・・・・」
ザンクの一撃をゼロは避けることなく受け止める。それも先ほどまで持っていた剣ではなく、剣と同じ形をした黒い棒でだ。
「くそっ!」
「いいのか?足を止めても」
シュピっ。音と同時に石畳が刃と化す。
「ぐっ!貴様あぁぁぁぁぁ!」
叫びながら突っ込んでくるザンク。それに対してゼロはどこから取り出したのか、白い布を取り出すとザンクの盾になるように、広げる。
ザンクは布ごとゼロを切ろうとするが、布は鈍い金属音を上げて剣を弾いた。
「なっ!?」
「ルートを絞ったのが仇となったな。これじゃあ倒してくださいと言っているようなものじゃないか」
鉄すら上回る布ごとザンクを殴るゼロ。その後、カシャリという音と共に、腕から刃が生えた。そのままザンクの腹部を突き刺す。
「義肢・・・だと?」
「機械相手には未来視は通用しないようだな。勉強になったよ」
「くっ、くそおぉぉぉぉぉぉぉ!」
左側の剣でゼロに斬りかかる。もはや死ぬことは分かっている。それでもゼロだけは殺すという執念の一撃だった。
「
しかし、ゼロが剣に触れた瞬間、剣が砕け散った。
~~~
(ここで、終わるのか?)
ザンクは自身の過去を見せられていた。
何度も、何度も、首を切り落とす。命乞いをする人間の首を、何度も斬り落とす。
首を切り落とすたびに声が聞こえる。
『お前もこっちに来い』と、殺してきた人間の声が聞こえてくる。その中に、聞き慣れない声が聞こえた。
~~~
「まだだ!」
右側の剣でゼロを斬りかかるザンク。本来なら防御する予定だった。しかし、何故かゼロは回避した。
―――――――――まるで、この攻撃を避けねば死んでしまうような、そんな攻撃だった。
「なんだ?」
近くで見ていたタツミも異変に気が付いた。
(ザンク・・・の中に何かいるな。それもかなりヤバい奴が)
「では、逝くぞ!」
いつの間にかザンクは袖から生やしていた剣を両手に持ち直していた。
「------!」
振るわれた剣を避け、こちらが斬りかえす。しかし、振り下ろされた剣を引き戻して、防御する。
(直感と心眼(真)でなんとか動きをみているが)
ザンクに憑依している存在が強すぎる。肉体は完全にザンクの物だが、技量は確実に憑依している存在の物だろう。
(これ、アカメに憑依されてたら死んでたな)
首を切り落とすに足る斬撃を紙一重で避けると、ポーチから幾つかの宝石を取り出す。
「爆ぜよ!」
その一言で宝石が光り始める。
「無駄だ!」
8つ投げた宝石のうち、5つを爆発する前に剣で弾く。残りの三つは剣を盾にして防御する。
直後爆発する。
「-------」
宝石の爆発も意に反さずに、接近するザンク。
「終わりだ」
「いいや、間違っているぞ」
ゼロはザンクの胸部を指さす。そこからは血が溢れていた。
魔術礼装、無刃の魔剣。
宝石内に溜めこんだ魔力を刃状に展開、攻撃を可能とする指輪型の礼装だ。
(もっとも、詳細を知ってる連中からしてみれば手品以下の子供騙しだがな)
だが、何も知らない者からしてみると、脅威でしかないだろう。
「さて、帝具を回収しよう」
そういいながら帝具を回収する。
それにしても―――――――
(まるで、ザンクに山の翁か湖の騎士を無理やり憑依させたみたいだな)
もし仮に、こんな事が出来るのは――――――