ほんと、スプラッてる間に質問来てて「え?」ってなりましたよ。
では本編へ
「ホクホクいもーぬ4つください」
昼ごろ。書類仕事を終わらせて帝都を散策しているクレーエ。
(やっぱこんな真昼間にはいないか)
別にクレーエは遊んでいるわけではない。現在進行形でナイトレイドを探しているのだ。
ナイトレイド。帝都の重役や裕福層の人間を標的とする暗殺集団だ。
「その実態は打倒帝国を掲げる革命軍の裏組織」
実際に標的となった者は皆汚職や地方の人間を騙して、拷問や暴行を加えるような屑どもばかりだ。
「連中に恨みはないが、帝具使いとは戦ってみたい」
はるか千年前に生み出された人知を超える、48の超兵器。ナイトレイドは判明しているだけで4つ持っている。
クレーエがホクホクいも―ぬを食べながら歩いていると、一人の少年を見かけた。
正確には、茶色い髪に緑色の目をした165cmほどの少年が、兵舎から追い出されてきた。
「おーい、君。なにかあったの?」
「!クレーエ将軍!!実は・・・・・・」
兵舎の事務員に尋ねると、先ほどやってきた少年が実力を見てほしいと、いきなり剣を抜いたらしい。
再び少年を見る。剣を背に背負っているところから、地方から出稼ぎに来たのだろう。
(おおかた、いきなり隊長クラスで仕官したいと言ったのだろう)
隊長クラスなら、確かに実力も必要だ。だが、真に求められるのは数十もの人間を指揮出来る統率力。その上、現在は不景気で雇える人間にも限りがある。
(・・・・・・それを一から教えるのは、めんどくさそうだな)
「わかった。俺が見てやろう」
「本当か!?」
そういう少年と共に、人気のない空き地まで行く。道端で暴れていたら警備隊に捕まってしまう。
「さ、かかってきなさいな」
普通の剣を上段に構えたまま動かずに待つ。
「うおぉぉぉぉぉぉぉ!」
少年は真っ直ぐ突っ込んでくる。クレーエは少年の振り下ろしてきた剣を、受け止めずに自分の持っていた剣を地面に落とす。
「なっ!」
いきなり丸腰になった事に驚いたのか、速度が落ちる。それに対してクレーエは剣先に手を添える。
「え?」
「皇拳寺で免許皆伝だからね、これでも」
少年の体が宙を舞っていた。呆気にとられた顔のまま背中から地面に衝突する。
「つってってって!」
痛みに呻きながらも立ち上がる少年。剣を拾い、そのまま先程と同じように剣を構える。剣と剣がぶつかり合い、鈍い金属音が響く。
「今度はこっちから行くぞ」
クレーエは少年がぎりぎり反応できる速度で斬りかかる。
「くっ!速ええ!!」
しかし少年はしっかりと反応する。上下左右関係なく、時には拳を、蹴りを混ぜ、攻撃するが、食らいついてきている。
「どりゃあぁぁぁ!」
しかも反撃までしてきた。だが、クレーエはそれを紙一重で避けると、少年の持っている剣を持っている剣で絡め取る。
「うおぉぉぉぉ!」
しかし、絡め取られることを予想していたのか、今度は素手で殴りかかってきた。
「・・・・・・」
クレーエの顔に一撃、拳が入る。クレーエはその衝撃を皇拳寺の投げ技の応用で逸らし、その場で回転する。その時発生した遠心力、少年の打撃の威力、踏み込んだ右足の衝撃を少年へと撃ち返す。
「天蜂」
「かはっ!」
少年は肺の中にある空気すべてを吐き出しながら吹き飛ばされる。
「やば!殺しちゃった!?」
そう思い、少年に近付く。
(外傷、無し。内部への衝撃による気絶)
安静にしていれば治る傷であったことに安堵しながら人払いの結界を張り、少年への書置きを書く。
「えーと、少年へ。君の実力は見させてもらった。対人戦闘能力の低さが目立つ。が、呑み込みの速さと身体能力、成長性は天賦の才があることは間違いなし。
要約すると、そのまま鍛えれば将軍狙えるよ」