「やっとみつけました」
とある夜中。人通りのない街の公園で、対峙する3人の女性。
「こいつ、急に空から!」
「気を付けてください、マイン。彼女人間じゃありません・・・多分」
ツインテールの少女と長髪の女性がすこしばかりの動揺を見せる中、相対した金髪碧眼に、青い軍服を着た女性、セノアは二人を睨む。
「手配書の似顔絵と顔が一致したため、ナイトレイドのシェーレと断定。もう一人も手持ちの帝具より仲間と判断。敵は二人、閣下は捕獲せよとの命令でしたから、手加減しませんと」
「なっ――――――」
「それは・・・・・・」
セノアには、4本の腕が生えていた。
「初めまして。クレーエ軍所属、機動砲兵師団、団長のセノアです。分かりやすく、五大将と呼んでください」
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「マイン、どうしますか?」
シェーレは隣にいるツインテールの少女、マインに尋ねる。
「どうもこうも、姿を見られた以上ヤるしかないでしょ」
そう言いながら自身の帝具、パンプキンを構える。
「あまり私を舐めないで下さいね!」
どこから取り出したのか、剣を構えながら駆ける。すると、シェーレが前に出てくる。一本目の右手で持った剣を振り下ろすと、それを巨大な鋏で受け止める。
「それはこっちのセリフよ!」
その隙間を縫うように放たれたパンプキンの狙撃が、セノアに直撃する。シェーレはその際に発生した衝撃で、マインのいる少し前まで後退する。
「その程度ですか?」
セノアは無傷でそこに立っていた。よく見ると、軍服の袖が少しだけ炭化していた。
「輻射波動機構稼働」
赤く染まった左腕の一つを構える。輻射波動機構義腕。マイクロ波誘導加熱ハイブリッドシステムを魔術的に再現したものだ。左掌から高周波を短いサイクルで対象物に直接照射することで、膨大な熱量を発生させて爆発・膨張等を引き起こし破壊するというもの。掴んだ敵の武装の加熱破壊の他、輻射波動によって発生する振動波によって砲撃からセノアを丸ごとガードする障壁としての使い方もある。
他にも様々な機能を持った義腕を3つ搭載している。
「厄介ね、あの腕!」
「マイン、落ち着いて。焦っては向こうの思うつぼです」
「随分と落ち着いていますね。だから、焦ってもらいます」
そう言うと、茶色い布に包まれた筒を取り出した。それを左手で持つと、輻射波動で加熱する。
ドシュン!という音と共に黒い球状の物質が打ち上げられる。それは空中で鮮やかな色の閃光を放ちながら爆発する。
「後、5分もしないうちに援軍が来ますよ?頑張って私を壊して下さいね?」