思い付きのネタ集   作:とちおとめ

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終わります。

まあこうなるよねっていう感じですね。


リハビリ2

 やばい。マジでヤバい。何がヤバいかって言うと、俺の理性が粉々になりそうなくらいにヤバい。

 

 

 

「……ふぅ」

 

 

 

 一呼吸を置いて精神を落ち着かせる。

 

 さて、一体何が俺の身に起きているのかを説明させもらうとだ。今場所は俺が借りている古いアパートなのだが、先ほどまで俺は心春にこれでもかと誘惑されていた……うん、いきなり何を言っているんだと思われるだろうがそうとしか言えない。俺は心春に誘惑されていたんだ。

 

 事の発端は学校が終わった後の放課後だ。いつもと同じように心春が俺に引っ付いて学校を出た時、心春がこんなことを言いだしたのだ。

 

 

 

『今日金曜だから明日から学校はお休みだね。ねえ新君、お泊りに行ってもいいかな?』

 

『……は?』

 

 

 

 というようなやり取りがあった。

 

 もちろん俺としては断った。手を出すつもりは微塵もない……ないのだが、付き合っているような間柄でもないのに家に招くのはどうかと思ったからだ。しかし結局心春は家に来てしまい、先ほどまで地獄のようであり天国のような時間を味わっていたというわけだ。

 

 

 

『ねえ新君。二人っきり……だね?』

 

 

 

 そう言って体を寄せてくる心春。大きな胸も押し当てられるし吐息も届くほど顔を近づけてくる。少し俺が顔を寄せればそれこそキスが出来てしまうような距離だ。ジッと見つめたら見つめたで心春は嫌がる素振りを見せず、逆にもっと見てと言わんばかりに見つめ返してくるほどだ。

 

 

 

『新君凄くいい匂いがする。すぅ~……はぁ♪』

 

 

 

 いきなり胸元に飛び込んで来たかと思えばこんなことを言いだす。俺の方も心春から漂う花のような香りにドキドキしてしまいされるがままだった。しかもである。胸元に心春の顔があるということは、彼女が俺の顔を見るように見上げてくると“何故か”ボタンが二つほど開けられた胸元がしっかりと見えてしまう。普通に制服を着ていても分かるほどの大きさだ。その谷間がこれでもかと見えるようなその光景に、不覚にも下半身に勢いよく血が巡りそうになった。

 

 

 

『ふんふんふ~ん♪ あ、この漫画面白いね』

 

 

 

 本棚から取り出した漫画を寝転びながら見る心春。“何故か”足を俺の方に向けていることから短いスカートから覗く綺麗な足が丸見えだ。何なら普通にパンツが見えてしまうくらいである。

 

 ……さて、心春にその気があるのかないのか定かではないがこれは確実に俺は誘惑されているのではないか? 自意識過剰とかではなく、割とマジで俺は心春に誘惑されているものだと思っている。それをどうにかこうにか鋼の精神で耐え、今心春は若干不満そうにしながら風呂場へ行きシャワーを浴びている次第だ。

 

 

 

「……ほんと。可愛すぎるしエロ過ぎるんだよなぁ」

 

 

 

 正直な話色々と言ったが、本当に心春は可愛いし体つきは凶悪的なまでにえろい。流石はエロゲのヒロインだ。ここまで誘惑されているのなら、自分行っちゃっていいすかって感じで突貫試みようかとも思ったが……やはり寝取られモノ所以の恐怖が出てきてしまうのだ。

 

 俺は別に心春は嫌いじゃない。寧ろ好きな方だと言えるだろう。作ってくれるご飯は美味しいし話も聞き上手、思いやりと献身に溢れている女の子だと素直に思える。故に、いざ一歩を踏み出した時俺は絶対に心春を特別な存在だと考えるようになるのは明白だ。そうなった時にもし心春が原作のようになったらと思うと……そりゃ嫌だよねって話なのだ。

 

 

 

「本当に何で俺のことなんか気に入っちまったんだよ……」

 

 

 

 鈍感かそうでないのか、どちらかと言えば俺は鈍感ではない。だからこそ心春が俺に好意を持っていることも分かるのだ。これでもし心春の態度が全て演技であり俺をからかうためだけのものであるのなら大した女優だ。今頃テレビで活躍する有名女優も真っ青になること間違いなしである。

 

 さて、そのように色々と俺が考えを巡らしている時だった。

 

 シャワーを浴び終えた心春が帰ってきたのだが……その恰好がヤバかった。

 

 

 

「お風呂上がったよ? 新君」

 

「……な、なんつう恰好してんだ!?」

 

 

 

 バスタオルを体に巻いただけの姿で心春は現れた。色々と見えてはいけないものが……いいや正直に言うと見えてしまっているのだが……ってそんなことはどうでもいいんだ。まさか心春は着替えを脱衣所にもっていかなかったのだろうか、あぁそうかきっとそうに違いない。俺は心春の着替えが入っているであろう鞄を渡そうと立ち上がろうとしたその時、お腹に決して弱くはない衝撃を受け体勢を崩してしまった。そのまま俺は背中から倒れ込み、この事態を引き起こした犯人に文句の一つでも言おうと口を開こうとしたができなかった。それよりも早く、心春が俺にキスをして来たからだ。

 

 

 

「っ!?」

 

「ん……ちゅぅ」

 

 

 

 触れ合うようなキスだったが、一切合切の考えを頭から吹き飛ばされるほどの衝撃だった。頭がパニックになり何もできずに唇を触れ合わせるだけの時間が過ぎる。そんな中で、俺の唇を這う何かがあった。

 

 

 

「……むぅ……うぅん!!」

 

 

 

 それは心春の舌だった。どうやら心春はディープな方もしたいらしく舌で俺の唇を割ろうとしているようだった。それに対し俺がずっと応じないものだから不満顔になりながら唸っているというわけである。事ここに来てようやく少しだけ頭が覚醒し、俺は心春をぐっと引き離した。

 

 

 

「……お前、何してんの!?」

 

「何って……そろそろ次の段階に進んでもいいんじゃないかなって」

 

「何だよ次の段階って……」

 

「それを言わせるの? ふふ、それはねぇ。男と女の人が腰を突き合わせるあれだよ!」

 

 

 

 自信満々に何を言っているんだ君は……。

 

 何だろう、凄くドッと疲れた気がする。俺も風呂に入るため、迫り来る心春から逃げるように脱衣所に入り鍵を掛けるのだった。

 

 

 

「……怖がらなくていいんだよ? 新君。私は絶対に君を裏切らないから」

 

 

 

 脱衣所に向かう時に聞こえたその言葉はとても真剣で、思わず振り向いてしまいそうになったのはここだけの話だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 脱衣所に消えてしまった新君を見て、私は後少しだったのになぁと溜息を零す。勢い任せだったが私はやっと新君にキスをすることが出来た。思い返すと下半身が疼き出すがそれ以上に心臓が大きく脈を打っている。大きな胸の柔らかさを越えドクンドクンと鼓動を感じることが出来るほどだ。

 

 流石に怒られてしまうかなって思ったけど、新君も照れるだけで嫌そうではなかった。それが分かっただけでも良かったし、どことなく新君が恋愛というものに対して怯えを持っているということも直感だが理解できた。

 

 

 

「……何があったのかな。新君の過去? それとも他に何かが」

 

 

 

 流石にそこまでは分からない。

 

 新君が何に怯え、何を恐れているのかは分からない。もしかしたら過去に恋愛に関することで痛い目を見たのかもしれない。もしそうならその相手を探し出して地獄を見せてやろうかとも考えたけど、優しい新君がそれを良しとするわけではないので却下。

 

 あんな表情をするくらいだ。私が無理に聞き出しても嫌な気持ちにさせてしまうだけだろう。なら私は新君が話してくれるのを待つだけだ。待つのは得意だもの、それこそ大好きな人のことなら特にね。

 

 いつまでもバスタオルというわけにもいかないからパジャマを着て新君が帰ってくるのを待つ。暫くすると新君が戻ってきて、若干私から距離を取りながら座った。

 

 

 

「……むぅ」

 

 

 

 警戒しているのかもしれないけど、それは女の子にとっては嬉しくないぞ新君。私はゆっくり……何てことはなくサササッと動いて新君の隣をキープした。そしてガッチリと新君の腕を取って胸元にしっかりと抱きこむ。これで新君は逃げられないね。

 

 

 

「なあ心春」

 

「何かな?」

 

「……その……さっきも思ったけど胸が……な?」

 

「胸が……なあに?」

 

 

 

 私は新君の顔を覗き込みながら更に強く胸を押し付ける。う~ん少し意地が悪すぎるかな。でもね、これは私にとって戦いなんだ。新君のハートを射止めるために、私は私の持つ全てを懸けてこの戦いに望んでいる。

 

 

 

「当たってる……って言っても離れてくれないんだよな?」

 

「もちろんだよ。敢えて言うなら、当てているんです♪」

 

 

 

 好きな人に触れたい、触れられたいって思うのは自然でしょう? だから私はこうしているんだ……それくらい好きなんだよ。私は新君のことが本気で好き。誰にも渡したくない。私だけの新君になってほしいし新君だけの私にしてほしいの。

 

 

 

「ねえ新君。好き」

 

「っ……」

 

「本当に好き。大好き。私だってね? 恥ずかしいんだよ凄く」

 

 

 

 そう言いながら新君の手を握り、私の胸に押し当てる。新君の指が私の胸に沈み込み、私の体に甘美な電流が流れた。

 

 

 

「ドキドキしてるでしょ? 新君もドキドキしてる?」

 

「あぁ……でも俺は」

 

 

 

 ……やっぱりだ。やっぱり少し何かに怯えている気がする。

 

 私は新君の顔を覗き込むように体を押し倒した。今の新君なら簡単に押し倒せると思ったけど、ここまで上手く行くとは思っていなかった。驚く新君を可愛いと思いながら、私はまた新君にキスをした。

 

 長い、とても長い時間そうしていた気がする。一旦唇を離し、私は新君の瞳を見つめながら口を開いた。

 

 

 

「新君。私はずっと新君の傍に居たい。新君が好きなの。どうしようもないくらいに。だから……私のこの気持ち、受け取ってくれませんか?」

 

 

 

 肉食系のように追い立てたけど、後半部分は少しだけ声が震えてしまった。もしこれで断られたら……諦めたくはないけど、諦めた方がいいのかなって思ってしまう。ただの迷惑な女になるだけなのは嫌なのだ。……あはは、既に迷惑な女かもしれないけど。

 

 ちょっと気が落ちてしまって油断していた私。そんな私の耳にふと聞こえた声。

 

 

 

「……そうだよな。守ればいいんだよ。ずっと……俺が心春を守れば」

 

 

 

 新君の声が聞こえてすぐに、私は先ほどのお返しのように押し倒された。そして――。

 

 

 

(……あ)

 

 

 

 私は新君にキスをされていた。私からではなく、今度は新君の方からキスだった。

 

 嬉しい。どうしようもないほどに嬉しい。これはつまり……そういうことでいいんだよね? 私、喜んじゃっていいんだよね?

 

 嬉しさで思わず叫び出しそうな気持ちを押し込め、今は新君との啄むだけのキスを楽しむ。そうして暫く続けていた私と新君、新君が顔を離してこう言ってくれた。何よりも欲しかったその一言を。

 

 

 

「この場合は待たせてごめんって言うのか、逃げ続けてごめんって言えばいいのか分からないけど……正直になることにした。心春、君が好きだ。だから俺と――」

 

 

 

 もう我慢はしなくていいよね?

 

 私は新君の唇に再び自分の唇を押し当てた。そして――今度は私の舌の侵入を新君が阻むことはなかった。今日この日、私の想いは漸く新君に届いたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから数時間が経つと、何やら頭を抱える新の姿と。自身のお腹を愛おしそうに撫でる心春の姿がありましたとさ。




続いてしまったの巻。

色々やりたいこと多すぎて手が付かないんですが、ちょくちょく本編もそうですけどこんな形のお話をやりたいと思っています。


後今やっているアズレンと原神のことばっかり呟いていますが、フォローしていただけると凄く喜びます(笑)
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