思い付きのネタ集   作:とちおとめ

37 / 45
エロゲーの声優さんってやっぱ色々な所で同じ声を聞くわけです。
その時にそのキャラクターの背後に別の同じ声のキャラクターが浮かんできて……その時思う感想が「あ、この人この作品にも出てるのかぁ。同じ声だわぁ~」っとゲームとは全く関係のないことを考える次第ですはい。

今回の奈央ちゃんなんですが、キャラデザが稀に見るほどの好みでした。もしかしたら心春以来の衝撃かもしれないです。

原作:お願い! 誰か助けてッ‼ ~爆乳JD強制便器の夏休み~


悠木奈央の場合 1

 目の前に広がる光景に青年――優太は目を瞑りたくなった。

 夜中にしては賑わっている公園のトイレ、その場所に足を踏み入れた時、彼は見てしまったのだ。

 

「……ンフフ……次のお客さん? 待っててくださいね~? すぐに支度を――」

 

 便器に腰掛け、大量の白濁液を全身に浴びた女性――スタイル抜群の身体を惜しげもなく披露し、美しさと淫靡さを兼ね合わせたような表情をするこの女性は優太にとって何よりも大切な存在だ。そんな存在が、公園のトイレで目を覆いたくなるようなことをしている。優太にとってこれ以上の悪夢はなかった。

 

「……優太君?」

 

 名前を呼ばれ、優太は大きく体を震わせた。

 大人しくも芯があって、いつも自分を癒してくれた彼女はもういない。そこに居るのは己が知る彼女の皮を被った別のナニカにも思えた。けれども、目の前の光景は非情でその存在が嘘偽りのない自分の愛する女性であることは間違いがなかったのだ。

 

「……奈央」

「なあに?」

 

 彼女――悠木奈央は妖しく微笑んだ。

 その顔を見た瞬間、優太は再度自分の知る奈央はもういないのだと絶望するのだった。

 目を閉じれば訪れる漆黒の闇、優太の視界は晴れることなくずっと……ずっと暗いままだ。

 

 

 

 

 

 

「……はっ!?」

 

 瞼に当たる日差しを感じて優太は目を覚ました。

 ハァハァと浅い息を繰り返しながら、最悪の悪夢を見ていたことを思い出して頭を振るう。自分の最愛の女性がある出来事を切っ掛けに変わってしまい、自分の目の前から居なくなってしまうことにとてつもない恐怖を感じたのだ。

 ある程度深呼吸をすれば呼吸も落ち着き、昨晩のことを思い出した。

 彼女である奈央を自宅に泊め、その時にお互いの初めてを交換した。慣れないことの方が多かったが、それ以上に愛する彼女と体を重ねるという行為は言葉に表せないような幸福があった。二度目になるがついに優太と奈央は一線を越えた。その証拠に横を見れば――。

 

「……すぅ……すぅ……」

 

 無防備にあどけない寝顔で眠り続ける奈央の姿があった。

 布団が捲れて寒さを感じたのか、何か温かいものを探すように奈央の腕を伸ばす。奈央が腕を伸ばした先、それは布団でなく優太の身体だ。思いの外強い力を受けて優太は驚きながら奈央に引っ張られた。優太の頭を胸に抱くように奈央が抱きしめたことで、必然的に優太の顔の前に来たのは奈央が持つ大きな胸だ。

 

「昨日、俺はこのお胸様を揉んだり吸ったりしたのか……がっつき過ぎて引かれなかったかな……」

 

 昨晩のことを思い出して自己嫌悪に陥る。奈央と付き合うまで女性との交際経験はなく童貞だったのだ。そりゃあ目の前に大きなおっぱいがあって、それを彼女が好きにしていいよなんて言われた日にはもう止まれない。心なしか奈央も嫌がった様子はなかったようにも思えるしそれどころか、とても慈愛に満ちたというか……上手く言葉に出来ないがとにかく嫌そうには見えなかった。とはいえそれはあくまで優太が思ったことであり、奈央がどう思ったかは分からないのだが。

 胸に注目しすぎて気づかなかったのだが、よくよく耳を澄ませば奈央の規則正しい寝息が聞こえてこないことに気づいた。そこでもしかしてと思い顔を上げると――。

 

「……な、奈央?」

「……あはは。おはよう優太君」

 

 いつから起きていたのか、バッチリと目を開いた奈央が優太を見つめていた。奈央が起きていた、それはつまりずっと胸を凝視していたことも見抜かれているというわけで、これは流石にマズったなと思い慌てるように謝ろうとしたのだが、そんな優太の心配を吹き飛ばしたのは他でもない奈央だった。

 

「優太君が私の胸を一生懸命眺めてるの……何だろう、凄く嬉しかったよ」

「……え?」

「好きな人の視線を独占してるって感じで。私、この大きな胸がコンプレックスだったんだけど、優太君に気に入ってもらえたなら嬉しいな」

「……………」

 

 この子は女神か何かなのだろうか、割と本気で優太は思った。

 

「私の胸、優太君は好き?」

「大好きです!」

「……ふふ! よかったぁ」

 

 花の咲いたようなとびっきりの笑顔に優太も優太で嬉しくなる。気づけばさっきまで見ていた悪夢のことは忘れていた。意識すれば思い出してしまうのだが、目の前で笑ってくれる彼女が居なくなってしまうそんな未来は絶対に訪れない……なんて、よく分からないが確信めいた何かを優太は抱くのだった。

 思わず嬉しくなって今度は優太から奈央を抱きしめる。きゃっと可愛らしい悲鳴を上げながらも、全く抵抗することなく優太の腕の中に収まった奈央はとても幸せそうな顔をしていた。頬を赤くして照れてはいるのだが、それよりも幸せという感情が強いようでグリグリと優太の胸元に頭を埋める。そんな仕草だけでも優太はノックアウト寸前だ。

 

「ねえ優太君」

「何だ?」

「……こんな私だけど、ずっと傍に居てくれる? 絶対に離れないよね?」

 

 不安そうな声音に優太の心が引き締まる。

 未来はどうなるか分からないが、少なくとも優太に奈央の傍を離れるという選択肢はない。もし優太が奈央から離れる時があるとすれば、それはおそらく――。

 

「俺は絶対に君の傍から居なくならないよ。もしその時があるとすれば……奈央が俺に愛想を尽かした時かな」

 

 別れる時があるとすれば理由はこれだろうと優太は軽く口にした。

 自分はこんなにも奈央が好きで、出来ることなら一日ずっとイチャイチャしたいなんて思ってしまうくらいなのだ。流石にそこまで言ってしまうと気持ち悪いかなと思って口にしはしなかったが、先ほどの優太の言葉を聞いた奈央に大きな変化が起きたのはすぐだった。

 

「ならないよそんなこと。私が優太君に愛想を尽かすなんてこと、絶対にない。あってたまるもんか」

 

 底冷えするような声音で吐き出された言葉、一定の音で紡がれたその言葉に優太はどこか背筋が寒くなるのを感じた。言われたことは嬉しいはずなのに、まるで奈落の落とし穴にハマって抜け出すことができないような錯覚を覚えた。心なしか奈央の瞳の瞳孔が開いているようにも一瞬見えたが、一度瞬きをすればいつもと変わらない奈央の顔がそこにある。どうやら気のせいだったみたいだと優太は見なかったことにした。

 

「ねえ優太君。私は優太君がしたいことなんだってしてあげる。それくらい私は優太君が好き。初めて出来た好きな人だもん……私って重たいかな?」

「全然重くなんてないよ! むしろ俺は自分が凄く幸せ者に感じるよ。好きな人にここまで思われるとか男として嬉しいに決まってるじゃないか」

「!」

「俺だって奈央が望むこと、なんだってしてあげたいって思ってる。それくらい……それくらい俺は奈央が好きだ! 絶対に離してなんかやらない!」

「!!」

 

 勢いに任せて言い放ったが、奈央はどこか感動したように目をウルウルとさせながら俯き、再び強く優太を抱きしめてきた。それに優太が同じく抱きしめ返すのは当然で、二人は暫くお互いに体温を交換し続けるのだった。

 

「……嬉しいな本当に。本当に……ウレシイ」

 

 その言葉を聞いて、優太は今日一番の笑顔を見せるのだった。

 

 

 

 

 

 

 悠木奈央にとって、彼氏である優太は特別だ。

 女性にとって彼氏と言う存在が特別なのは当たり前のことだが、奈央にとっての特別は少しばかり意味が違う。奈央にとって優太は最早自分の人生において欠けてはならないほどの大きな存在になっていた。

 奈央は元々地方の出身者だ。大学生になるにあたり上京してきた女性である。田舎に住んでいた奈央にとって都会は少し怖い場所だった。大学生になった今となっては、垢抜けてその美貌が発揮されるようになりよく男性に声を掛けられるようになったが、高校を卒業するまでは地味な見た目をしていたのもあったし、裕福な家庭で生まれたことで少しばかり過保護に育てられてきた面もあったため、奈央はお世辞にも社交的とは言えなかった。

 そんな奈央を変えた存在、それが優太を含めた友人たちだった。

 大学で知り合った彼ら彼女たちとの交流は奈央に色んなことを教えてくれた。家族の元から離れた寂しさを埋めてくれる、辛いことがあった時励ましてくれる、楽しいことは分かち合ってくれる……そんな大切な存在を奈央は上京して手に入れた。

 そうして過ごしていくうちに優太と付き合うようになり、恋人としての甘酸っぱい時間を大切に想い、もっともっと優太と触れ合いたいという想いが強くなっていく。

 

「……好き、大好き。優太君、私の大切な人」

 

 優太を想い自慰をすることも少なくなかった。

 すればするほど我慢が出来なくなり、一分一秒でも多く優太と一緒に居たいと考えるようになった。ひどい時には優太と電話をしながら自慰をしたことだってあるほど……それほどに奈央にとって優太は大きな存在になったのだ。

 そしてようやく、奈央は優太と心だけでなく体の方でも結ばれた。

 実をいえば奈央には恐れていたことがあった。それはコンプレックスである自分の大きな胸、そして先端の陥没したソレだ。普通とは違うソレを見られて気持ち悪いと思われないだろうか、嫌われないだろうか、それだけが奈央にとって不安だった。しかしその奈央の不安を吹き飛ばすように、優太は興奮という反応で好意的に受け取った。少しばかりズレたものだが、自分が抱いていた不安という名のコンプレックスで興奮してくれたというその事実が奈央自身の体に対する自信を付けさせたのだ。

 元々好きだった感情がもっともっと強くなって、奈央は優太としかこういうことはしたくないと思ってしまうほどに彼しか見えなくなった。

 

『好きだよ奈央……誰よりも君が好きだ』

 

 好きと言われながら体を触られるのが好きになった。

 コンプレックスの象徴を弄られ快感を齎してくれるのが好きになった。

 元々自分自身反応が良すぎることは知っていたが、優太の前でならいくら乱れたって恥ずかしくは……あるけど嫌じゃない。愛する人に自分の全てを曝け出せることは何にも代えがたい幸せなのだから。

 

(……ヤバいかも。私……優太君のこと本当に好きだ。ずっと好きだったのに……このエッチでもう優太君から離れられなくなっちゃった。優太君の専用の女に変えられちゃった♡)

 

 実家の両親が聞けば頭を抱えて倒れるのではないかと言わんばかりのことを考えた奈央はもう優太という存在に染まり切っている。優太しか男性として見れないようになってしまった奈央にとって、もう優太以外の男は家族を抜けば害虫のようなものにしか思えない。そこまで考えて奈央自身既に自分がおかしくなったことに気づくが、それに何の問題があるのかと思う。

 

(優太君さえいればいい。優太君だけが私の傍に居てくれたらいい。私は優太君しかもう愛せないよ。もし優太君と離れたりしちゃったら私が私でなくなっちゃう)

 

 優太の腕に抱かれながら、奈央は暗く染まった瞳で優太を見上げる。

 

(お金なら遊んで暮らせるだけある。だから優太君、大学を卒業したら私と一緒にお家を買おう? そしてずっとずっとイチャイチャしていようね? ずっとずっと……優太君を愛するから、優太君もどうか私をアイシテネ?)

 

「アイシテネ?」

 

 思わず言葉に出てしまったが、一度吐き出した言葉は戻すことが出来ない。しかしまあ奈央にゾッコンの優太である。その言葉に返ってくる言葉は当然肯定しかないのは分かり切ったことだ。

 

「当然だ!!」

「……はうっ!?」

 

 暗く染まった思考、それを切り裂く愛の詰まった言葉の刃。

 

 

 

 もう後戻りできないほどに、奈央は優太を愛しすぎている。

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。