思い付きのネタ集   作:とちおとめ

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箸休め回、沙希ちゃんの続きを待ってた方はごめんなさい。

原作:妻が隠していたビデオ… ~元カレ寝取らせ観察記~


本田雪江の場合

 青年、本田浩一には最愛の妻が居る。名前は雪江といい、甲斐甲斐しく夫の世話をやく貞淑な女性だ。近所からもスタイルが良く美人な女性として囁かれており、夫である浩一にとっても雪江という妻の存在は何よりも大切な女性だった。

 ふとしたことで知り合い、互いに想いを通わせ結婚をするに至った浩一と雪江の生活は今で三年にも及ぶ。三年というそこそこ長い期間を過ごしたにも関わらず、二人の間に倦怠期は訪れず仲睦まじい夫婦としての姿がそこにはあった。子供は居ないが、それでもゆっくりとした時間を大切にするように浩一と雪江は幸せな生活を送り続けていた。

 もちろんそんな風にラブラブな夫婦なのだから、当然のことながら夫婦の営みというモノは存在する。あまりがっつくような性格ではない浩一は激しいセックスを望まず、静かで平凡なセックスはいつも変わらない。しかし……浩一は言葉には出さないが、この良く言えば優しく、悪く言えば代わり映えの無い……そんなセックスに妻である雪江があまり満足していないことに気づいていた。あまり気持ちよさそうにしていない雪江の様子だが、元より雪江はセックスという行為をあまり好きではないと言っていたのを思い出し、ならこんな反応になってしまうのも仕方ないかと浩一は考えることにしていた。

 

「あなた、ご飯ができましたよ」

「あぁ。ありがとう雪江」

 

 夜の営みに関して少し考えてはみたものの、夫婦の生活はセックスという行為だけで形作られているモノではない。中には体の関係を何よりも欲し、体の相性が悪いからとそれだけで失われる夫婦生活というのもあるにはあるだろうが、浩一と雪江の間は少なくともそんな体の関係だけで崩れてしまうほどの脆い結びつきではなかった。

 雪江を大切にする浩一、浩一を大切にする雪江……本当に二人は誰もが羨む理想の夫婦だった。

 ……しかし、そんな幸せが続く生活の中で、ふと浩一は見つけてしまった。

 

「……これは……雪江?」

 

 お風呂に行った雪江が置いていったスマホ、悪いとは思ったが浩一はそれを覗き見てしまったのだ。データファイルの更に奥、厳重に保管されていたファイルの中にあった動画……それに映っていたのは浩一にとってあまりにも信じられない映像だった。

 

『……いい……いいのぉ……私……いじめられないと満足できないのぉッ!!』

 

 そこに映っていたのは今よりも少し若い妻の姿、それだけならまだ良かったが……彼女はたくさんの拘束具によって身動きを封じられていたのだ。そこから流れる映像は今の貞淑な妻とは似ても似つかない淫乱な女が、一人の男によって犯されていく映像。獣のような喘ぎ声、舌を伸ばし体を仰け反らせながら快楽を一身に受け悦ぶその姿に浩一は茫然としてしまった。

 この女は誰だ、そんな考えが浮かんでしまうがどこをどう見てもこの女は妻である雪江だ。もっと映像を見ようと無意識に体が前のめりになった時、お風呂から戻ってきた雪江に気づいて浩一はスマホを急いで元の場所に置いた。

 

「いいお湯だったわ。あなたもどうぞ?」

「……あ、あぁ」

「どうしたの?」

「いや……なんでもないよ」

 

 お風呂上りの雪江の姿、スッキリしたと気持ちよさそうにしている姿が動画の姿と被る。浩一はその重なった雪江の姿を掻き消すように首を振り、続いてお風呂に向かうのだった。

 服を脱ぎシャワーを浴びる中、浩一は自分でも分からない感覚を抱いていた。自分では決して満足させることのできなかった雪江が、動画の中では別人のように快楽を貪っている姿……正直に言おう――浩一は興奮していたのだ、この上ないほどに。

 今まで見たことのない貞淑な妻に隠された淫乱な本性、それによって生まれた途方もない興奮が今の浩一を包んでいた。あんな風に乱れる妻を見たい、一度そう思ったらその欲求は簡単には消えてくれない。浩一は記憶に残り続ける映像の雪江を思い浮かべながら、発散の出来ない気持ちに悶々とするのだった。

 

 

 

「……あ、そう言えばこの映像消してなかったわね。私ってとんだドMだから元カレにも無理やり調教染みたセックスさせて困らせたし……ふふ、こうしてみると懐かしいなぁ。ま、今の私は浩一さん一筋だけど」

 

 ……もしかしたら、互いの性癖についてもしっかりと話していれば浩一は変な気持ちを抱くこともなかったのかもしれない。まあしかし、仕方ない部分もあるだろう。愛する夫に対し、実は私はドMなのでいじめられるように激しくされた方が好きだと言える人なんて少ないのではないだろうか。

 ただ浩一が思ったように、雪江が普段のセックスに満足していないのも事実なのは事実。だがそんなものは雪江にとって些細なことでしかなく、例えセックスをしなくても浩一に愛されているという実感さえあれば雪江は満足し、同じように浩一に愛を返すように彼だけしか見えていないのだから。

 

「……浩一さんに調教されたいなぁ」

 

 とても貞淑な雪江が呟くには違和感しかない言葉だが、悲しいことにこれ事実なのよね。本気で彼女は浩一にできることなら調教してほしいと願っている。

 

「浩一さんに縛られて、甚振られて……あぁ、ダメ……我慢できなくなっちゃう」

 

 先ほどまで浮かべていた優し気な表情はどこへやら、今そこに居るのは愛する夫に無理やり犯されることを想像し熱い吐息を溢す雌の姿があった。いつも優しい浩一が力任せに己を犯す姿、それだけで明日の活力が生まれるのを雪江は感じる。胸を思いっきり鷲掴みにされ、乱暴に尻を叩かれ、欲望の全てを己の股に叩き付けられてしまったらどれだけ気持ちいいのか……雪江の指はどうしようもないほどに濡れた下半身へと伸びる。

 

「浩一さん……浩一さん……ッ! 私をいじめて……ダメにして、あなただけの雌豚にしてぇ!!」

 

 今まで抑圧されていた枷が外れたのか、夫婦憩いの場のリビングで雪江のフィーバータイムは始まった。もちろん、快楽を貪ることに夢中になっている雪江は気づかない。お風呂に入っていた夫が戻ってきており、この場面を目撃していることに。

 

(……一体何が起こったんだってばよ!?)

 

 この場面を目撃し、思わず某人気少年漫画の主人公の口癖が出てしまうほどには、浩一は目の前の光景に唖然としてしまいパニックになってしまった。お風呂で悶々とした時間を過ごし、いざ戻ってみれば始まっていた妻のフィーバータイム……もう一体何なんだと人目が無ければ叫んでしまいたい光景だ。

 美しい清楚な妻が下半身丸出しにして指を出し入れしている光景、薄暗いリビングに響き続ける嬌声に当然のことながら浩一もとある部分が臨戦態勢になるのは仕方なし。

 

「……雪江」

「……ふぇ!?」

 

 ふと名前を呟けば、雪江はビクッとして浩一に視線を向けた。お互いに呆然とし、どういう言葉を掛ければいいのか分からない状況。片や思いっきりテントを張り、片や大洪水という珍百景ですら絶対に放送されることがないだろう間抜けな光景……一番先に変化が起きたのは雪江だった。

 

「ち、違うのあなた……これは……っ!」

 

 ビクンビクンと、雪江の体が震えだす。不本意とはいえ、愛する夫に自慰をしている姿を見られた雪江は確かに羞恥を感じていた。だがその羞恥は全く別の感情に切り替わる……それは、羞恥という名の見られることによる快感だ。

 

「見られてる……私の恥ずかしい姿……あなたにみられてるぅ!!」

 

 今まで思いっきりのある自慰を見られたことはなかったため、僅かではあるが雪江に生まれた羞恥心は彼女のマゾ体質に若干の火を点けたのだ。

 さて、こんな場面にお互いが立ち会ったからこそ話し合いは必要だった。お互いにすごすごとソファに座り、雪江は己の性癖を暴露した。己の体はとんでもないマゾ体質で、いじめられないと感じないことを。だから今まで普通にセックスをしても絶頂には導かれなかったのだと。

 

「……そうなんだ」

「えぇ……その、ごめんなさい。こんなどうしようもない性癖を持ってて」

 

 本当に申し訳なさそうに雪江は表情を歪めるものだから、浩一は雪江の心配を取り除くように謝ることじゃないんだと頭を撫でた。正直頭を撫でるという行為は大人にとってあまり嬉しいものではないかもしれないが、雪江は嬉しそうに浩一の手を受け入れもっと撫でてほしいと身を寄せた。

 そんな時間を過ごした中、何を思ったのか浩一はこんなことを口にした。

 

「なあ雪江、もし我慢できなくなったらいいよ? ……その」

「??」

「別の男とさ……セックスしても」

 

 それは欲求不満だと思われる妻を想っての言葉だったのだが、その言葉に対し雪江は目を吊り上げて声を荒げた。

 

「冗談じゃないわ。どうして私があなた以外の男に抱かれないといけないの?」

「だって……雪江が」

 

 欲求不満を抱えて生きるよりはずっといい、浩一としても嫌な提案だったが妻を想えばこその言葉だった。もちろん浩一の言葉は性急すぎて解決策になっていないのは雪江の表情を見れば明らかだが、今の浩一は色んなことが一気に押し寄せて若干考えが纏まっていないが故の言葉だろう。

 

「確かに私の性癖は少しばかり困ったモノだわ。でも、だからと言ってあなた以外の男に抱かれて発散したいなんて思わない。だって、愛する夫が居るのにどんな理由があったにせよ体を許すなんて立派な裏切りじゃない。私は嫌よそんなの」

 

 少しばかり泣きそうな顔をされてしまい、思わず浩一も考えが足りなかったかと反省した。とはいえ雪江がこう言ったことで思い出したのは先ほどの動画だ……あの動画は一体何のか、あの男は誰なのか、それは他ならぬ雪江の口から語られるのだった。

 

「……あなたと付き合う前の元カレとは……まあ無理やり付き合わせたけどそういうことはしたわ。それが原因で別れを切り出されたけどね」

「そ、そうなんだ……」

 

 ……どうやらあの映像の男も苦労していたようだ。

 ツンとしてしまった雪江の様子に、浩一は少し苦笑して思いっきり抱きしめた。少しばかり浩一の言葉に怒ったと言っても、雪江はどうしようもないほどに浩一を愛している。それ故に、こうして抱きしめられてしまったら怒りなんてすぐに吹き飛んでしまう。

 

「ごめんね雪江……もう冗談でもあんなことは言わないよ。愛してる」

「……いいわよそんなの。もう怒ってないわ――私も愛してる」

 

 深いキスを交わして、今日のこの何とも言えない出来事は終わりを迎え……るわけがなかった。

 今回の浩一だが、確かに妻の見たことのない表情を見て興奮はした。だがそれは別の男に抱かれたからという寝取られのような性癖ではなく、単純にあそこまで狂う妻の痴態を見たいという欲求から来るものだった。今回の出来事を通し、浩一は雪江の大切さを再認識すると共に、何の化学変化が起きたのか浩一の性に消極的という部分が雪江の痴態を見たいという欲求に塗り潰されたのだ――つまり。

 

「……よし、雪江。俺ちょっと頑張ってみるよ」

「え? ちょっとあなた? 一体どういう――」

 

 少し気弱だったはずの浩一、だが今雪江の目の前に居るのはギラギラと目を光らせる浩一の姿。雪江は一瞬怖いと思ったが、彼女の女の部分は今の浩一に対し期待感を覚えさせ、知らず知らずの内に彼女の股を再び濡らす。

 

「自分でもよくわかんないんだけど……無性に雪江を犯したい。滅茶苦茶にしたい」

「……あ♡」

 

 真剣に囁かれた浩一の言葉に、雪江の目はハートになった。 

 それからの夜、本田家では獣のような嬌声が響き渡るようになったとかどうとか。雪江の肌は今まで以上にプリプリと張りを増し、美しくなったと近所でも評判になるのだった。

 ただでさえ美人だった雪江に何が起きたのか、その理由を雪江はこう語るのだった。

 

『好きな人に調教されるように犯さられれば女は綺麗になれるのよ!』

 

 ……果たしてその言葉に同意できる人がいるのだろうか、全く持って謎である。

 




活動報告でアンケート取ろうとしたんですが、匿名だから見れないじゃんって気づきました(笑)

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