思い付きのネタ集   作:とちおとめ

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暫く待たすと言ったな。アレは嘘だ(デデン

それでも妻を愛してる2凄いですね。
あれ嫁が寝取られてるけど旦那も寝取られてるなんて思わなかった。何を言ってるかと思われるかもしれないですが、あれ一番怖いのあの同級生?の女の子ですね。

個人的な好みですけど、嫁さんよりあの女の子の方が好き(笑)


姫川美咲の場合2

 揺蕩う暗闇の中で、美咲は今自分が夢を見ているのだと感じた。郷田を社会的に殺し、亮太と愛の限り交わった夜に見る夢……ここまで鮮明に夢だと気づけるのも珍しいなと美咲は苦笑した。

 夢の中に揺蕩う感覚は言ってしまえば空中に漂うような奇妙な感覚で、現実では決して味わえないモノだから偶にはこういうのもいいなと思わなくもない。だがこの夢には美咲の愛する亮太の姿はない。一時だって亮太の傍から離れたくない美咲にとっては早く目が覚めて欲しいというのがやはり本音だったりするのかもしれない。

 

「……早く起きてリョー君に会いたい、おはようのキスして朝〇ェラしてあげたい」

 

 ……ほぼほぼ美咲の欲望丸出しである。

 そんな風に亮太へのご奉仕について想いを馳せていた時、ふと美咲は目の前で灯りが見えたのに気づく。一体何だろうか、美咲はそう考えながらその灯りへと吸い寄せられていった。

 視界が晴れて真っ暗だった目の前は鮮明に見えるようになり、美咲の前に現れたのは一つの建物。その建物に近づくにつれて美咲は正体の分からない不安を抱く。その奇妙な不快感はどこか、亮太が苦しんでいるのはでないかという被害妄想のような何かを美咲に植え付けた。

 この扉の向こうで亮太が悲しんでいる……苦しんでいる……泣いている。よく分からないが、美咲にはこの考えが間違ってはいないのだと確信した。

 意を決して扉を開く。

 

「……うっ!?」

 

 扉を開いた瞬間、まず美咲が感じたのは強烈な精臭だった。何人もの男の精が混ざり合ったような臭さ、むせ返ってしまいそうになるほどの嫌悪感催す匂いだった。

 鼻に手を当てて極力匂いを嗅がないように足を進める美咲、部屋の中には見渡す限り多くの男が居るが美咲に気づいた様子はない。どうやらこれが夢のようなモノだというのは間違いではないらしく、美咲は透明人間のような状態と言わんばかりに男たちは気づかない。

 男たちは何かを夢中になって何かを見ている。輪を描くように何かの見世物を見ているような……それを見て美咲の不安は一気に膨れ上がった。この輪の中に何かある……美咲は男たちをすり抜けついにその正体を知った。

 それは――。

 

「おら立花! お前の女が俺たちの精処理便器になった感想はどうなんだよ! 何か言ってみろよな!」

「や、やめてくださぃ♡ お願いだからリョー君、これ以上私の恥ずかしい姿見ないでぇぇぇ♡」

「……美咲……なんで」

 

 美咲の前に現れた光景、それは見たことある人間たちが自分を犯し、それを見た亮太が絶望の表情を浮かべていると言うモノだった。男たちの輪の中で淫らに腰を振り、最愛の亮太という存在が目の前に居るにも関わらず体を震わせて快楽を貪る己の姿……美咲はスッと心が冷えて行くのを感じた。

 

「だめぇ……見られてる……見られちゃってるのぉぉぉ! 小堀君としてるとこ……リョー君にぃ♡」

 

 ダメと言いながら腰を振るのをやめない浅ましい雌の姿、そこには亮太への愛など既に残っていないことが美咲には理解できた。そして――。

 

「……み……さき」

 

 そんな雌の痴態を見せつけられた亮太は涙を流し、悲しみに体を震わせて蹲ってしまう。

 美咲は思う――なんだこれはと。

 冷え切った心に熱くドロドロとした感情がマグマのように流れ込んでくる。この怒りは間違いなくある一つの存在へと向いていた。夢とは言え自分を犯す男たちへの怒りはもちろんだが、一番は亮太を裏切った救いようのない雌に対する憎悪、悲しむ亮太を放ってゴミ屑と交わり続ける犬にも劣る畜生へと。

 ゆっくりと、ゆっくりと犯され続ける自分へと歩みを進める。

 床を踏む感触がどこかリアルになったなと美咲は頭の片隅で理解したが、すぐにそれはとてつもない怒りに押し流されてしまう。一歩、また一歩と歩みを進める中で、美咲だけでなく周りにも変化が起き出したのはそれからだ。

 

「……? ッ!? 姫川が二人!?」

「ど、どうなってんだよ!?」

 

 困惑の声が聞こえるが、美咲にとってそれは雑音でしかない。そんな風に騒ぎが広がれば、必然と犯されている自分が美咲に気づくのも当然で。快楽に酔いしれていたもう一人の美咲(以後ミサキ)も近づく美咲に気づいて目を丸くした。

 男の精を顔だけでなく、全身に浴びているミサキの姿は汚らしいの一言しかない。美咲はミサキの腕を掴み、乱暴に床に叩きつけた。

 

「きゃあああっ!?」

 

 ドンと、床が振動するほどの大きな音が響き渡った。もちろんそうなれば周りで見ていた男と、ミサキに汚いモノを突っ込んでいた小堀という男が向かってくるのは当然。訳が分からないという風に近寄ってきた小堀を美咲は目に見えないほどの速度で回し蹴りを食らわせ、小堀の体は遠くへと吹き飛んだ。

 体のある部分があり得ない曲がり方をしているが……まあ今の美咲にそれを気にする余裕などない。美咲は床に倒れたままのミサキの髪を乱暴に引っ張り、目線が会う位置まで上体を起こさせた。

 

「……お前……一体何をしているの?」

「ひっ!?」

 

 冷気を纏わせたような声にミサキは怯えをこれでもかと見せた。いくら快楽に壊れたミサキであっても、恐怖心は人並みに感じることはできるのだろう。

 怒りに震える美咲、恐怖に体を震わせるミサキ、周りも付いていけない現状が広がっていた。

 

「もう一度言うわ」

 

 美咲は周りの男たちと同じように、呆然とこちらを見ている亮太を一度見て、再び同じ言葉を美咲は口にした。

 

「一体何をしているのかって聞いたの。リョー君を裏切ってまで一体何をしているのかって聞いているのよ!!」

「……わ、私は……ただ……気持ちよくなりたくって……」

 

 恐怖に突き動かされるように呟かれた言葉はそれだけだった。

 もちろん美咲も理解しているのだ。目の前のミサキはおそらく、本意でこうなったわけではない。立て続けに体に快楽を教え込まれた結果、こんな風に変わり壊れてしまったことを。でも、だからどうしたというのが美咲の本音だ。いくら夢だろうと、自分には関係ない話だとしても、自分と同じ顔をした同一人物が愛する亮太を悲しませている……それだけは美咲にとってどうあっても許せることではない。

 いつか美咲はこう言った――もし亮太を裏切る自分が居るなら縊り殺してやると。

 

(……あぁそうか。この夢はこの女を殺すために見ているのか)

 

 そんな結論が美咲の中で出た。

 美咲は髪を掴んでいた手を離す。ミサキは助かると思ったのか安堵の息を漏らすが、すぐにさっきとは比べ物にならない力でミサキは首への圧迫感を感じた。

 

「ぐ……っ!?」

 

 簡単なことだ。

 美咲の手が喉へと伸びただけである。ギリギリと締め付ける力はとても強く、痛みと苦しみに悶えるミサキの力ではビクともしない。周りで止めに来るものは居ない……誰も美咲に近づけない。修羅のように怒りを纏う美咲に誰しもが恐怖していた。

 

「……私はリョー君を愛している。リョー君だけを愛している」

 

 美咲の独白は誰の耳にも入らない。近くに居るはずのミサキですら、美咲の言葉は聞き取れない。

 

「彼を苦しめる者は絶対に許さない……それが私自身であっても」

 

 もう抵抗する気力も残っていないのか、目から光を喪ったミサキの腕がダラリとぶら下がった。

 

「お前は姫川美咲じゃない……リョー君を愛し、リョー君に愛された女じゃない。最愛を捨てて、最悪の過ちを犯したただの屑よ」

 

 意識のないミサキの体が地面へと崩れ落ちる。

 男たちの放った精液の海で死ねるなら、この屑にはお似合いの死に方だと美咲は侮蔑の笑みを浮かべた。ミサキの体が白濁の海に落ちた瞬間、美咲の意識も外へと引っ張られる……目覚めの時だ。

 クソのような光景から一転して、美咲の視界はまだ薄暗い部屋へと移っていた。外から鳥の鳴き声が聞こえる中、横からは規則正しい寝息が聞こえてくる。

 

「……ふふ」

 

 そちらに視線を向ければ、居るのは当然愛する亮太である。昨夜は激しく交わったのもあり、当然のことながら二人は服を着ておらず全裸のままだ。

 安心して眠る亮太の顔には不安の色なんてもちろんない、あの夢で見た亮太の泣き顔なんて微塵も感じさせない。夢のことを考えると、やっぱり脳にチラつくのはミサキの快楽に蕩けた顔だった。あの光景を思い出す度に腸が煮えくり返るような気持ちになるが、隣に眠る亮太の存在がその怒りを鎮めてくれる。

 

「私って本当にリョー君が好きなんだなぁ。ねえ……リョー君」

 

 亮太の頬に優しくキスをして、美咲はその顔を覗き込みながら言葉を続けた。

 

「私ね、もうリョー君が居ないと生きて行けないの。リョー君が私の全て、リョー君が私の生きる意味。私、姫川美咲は貴方と結ばれるために生まれて来た女なの」

 

 重い女の言葉を当然のことながら眠っている亮太は聞いてはいない。美咲は困った旦那様だなぁと、このこのっと頬を指で突く。

 もう一度身を乗り出して、今度は亮太の唇に触れるだけの優しいキスをお見舞いし……そして――。

 

「ふふ、大きくなってるよリョー君。私がご奉仕してあげるね♡」

 

 美咲は亮太の下半身へと顔の位置を変えるのだった。

 

 

 

「……う~ん」

 

 目覚め、少しの怠さを感じながら亮太は目を覚ました。体が思った以上に動こうとしないこの疲労感はやはり、昨日の美咲との交わりだったのかと記憶を呼び起こす。

 

「……昨日は凄かったなぁ」

 

 っと、乱れ狂う美咲を思ってそんな言葉が漏れて出た。そんな時だった――下半身から快楽の波が亮太の脳に届いたのは。

 一体何だと、己の下半身に目を向けた亮太。そこに居たのは美咲で、彼女は自身の口と豊満な胸を使って亮太の亮太を可愛がっていた。朝の光景にしてはひどく淫靡なモノに、流石の亮太も思考回路が一旦停止した。そんな亮太の内心を知ってか知らずか、美咲は花の咲いたような笑顔で言葉を放った。

 

「おはようリョー君。どう? 気持ちいい?」

「……朝からいきなりだな……まあうん、凄くいい」

 

 ……男としてはこう返す他ないだろうこんな状況では。

 亮太の言葉が嬉しかったのか美咲はもっと頑張ると気合を入れなおしたのか、少しだけ動きが激しくなる。美咲の口と胸によって与えられる快感に腰を震わせながら亮太はぼんやりと、そう言えば今日は学校だったなぁとどこか他人事のように思うのだった。

 

 

 

 郷田が警察に捕まったことで、野球部は顧問不在となるのは当たり前のことだが、それはマズいと亮太と美咲のクラスの担任が暫定的に顧問になることになった。その流れから、少し厳しすぎるとの声も上がり野球部の恋愛禁止のルールは解かれることとなった。もちろん自分の練習を疎かにしないようにとの制約もあるが、この決定に野球部員たちは歓喜した。そして当然のことながら、彼らの欲望の目が向くのはマネージャーである美咲である。誰も彼もが美咲を狙っていた。彼女を自分の女にしたい、彼女を犯したい、そんなことを部員全員が大なり小なり妄想してしまうほどには美咲という存在は大きかった……のだが。

 何度も言うが美咲は亮太と付き合っている……つまりこういうことだ。

 

「リョー君、はいタオル」

「あぁありがとう美咲」

「ううん、拭いた? それじゃあタオル貸して?」

「汗臭いよ?」

「“彼氏”の汗だよ? 全然平気!」

 

 なんて会話が行われるわけだ。

 亮太としては隠そうともしていたのだが、何を思ったのか美咲は隠すなんてことはせず、堂々と亮太との関係を見せつけて行った。その結果、男子部員たちは亮太に対して嫉妬の感情を持ちはしたが、七割くらいの部員たちは亮太と美咲の甘い雰囲気を見せられて諦めて行った。

 ……問題は残った三割、中でも特に。

 

「……なんであんなやつが姫川と付き合ってんだよ」

 

 少し小太りの部員、小堀だけは亮太に対し憎しみの籠った視線を投げかけていた。小堀は美咲がマネージャーとして入部してきたその時から、いつかは美咲を自分のモノにしてやると薄暗い願望を抱いていた。そんな自分を差し置いて、大して目立たなかった亮太が美咲と付き合っていることに我慢が出来ない。

 

(姫川は俺のだ……胸も尻も全部全部俺の物だ!!)

 

 美咲の全ては自分のモノ、そう疑わない小堀の欲望は止まらない。絶対に美咲を手に入れて性奴隷にする……小堀は汚い感情を隠しながら口の端を吊り上げる。

 そして当然のことながら、小堀の向ける亮太への醜い視線、己に対する吐き気を催すようなねっとりとした視線を美咲は分かっていた。夢でも現実でも下種なやつだなと、美咲は亮太に聞こえないくらいの舌打ちをする。

 

「……あいつもいらない。居なくなってもらわないと」

 

 差し込んできた夕暮れの闇に沈むように、美咲の言葉も溶けて消えていくのだった。

 




この一途な美咲ちゃんを皆さんが好きになってくれると嬉しいです。

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