最前線のその先へ   作:よもぎまんじゅう

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第一話です


ユクモ村の独りのハンター

今日はのどかな小春日和、膀をかすめる心地よい風、初冬にかけて寒くなっていく日々の中にもまだこんなにも温かな日がある・・・こんな日は少し日常から離れてみよう。

 

「おはようヨモギ、今日は久しぶりに暖かいよ」

 

「おはようございますミャ!レイ様、直ぐに食事を作るので待っててくださいミャ」

 

「うん♪よろしく」

 

俺のオトモ、ヨモギがキッチンに行ったのを確認して、俺は少し薄暗い部屋に入った。

 

「おはようトウマ、今日はすごく暖かいんだ、窓開けてもいいよな?」

 

「うん、たのむよ」

 

トウマ・・・コイツは俺の幼馴染みで小さいころからよく村の外でハンターごっことかして遊んでいた、そして一緒に大人たちに怒られていた。何をやるにも一緒でモンスターハンターになるときも、ハンターになってからも二人で狩りをして、「仲良しさん」という通り名までつけられていた。

・・・けど、とある事故で脚は動かなくなっちゃって、トウマはハンターを引退した。

 

「そういえばトウマは朝食いる?」

 

「そうだね、今日は食べようかな」

 

トウマは事故のせいで運動が出来なくて腹も張らないから、3日に3食位しか食べないけど、今日は食べてくれるみたいだ。

 

「ヨモギ!トウマも食べるって!」

 

「はいミャ!腕によりをかけるミャ!」

 

ヨモギは狩りのサポートもすごく上手くて、尚料理もヤバイくらい上手い。さすが俺の自慢のオトモ。

 

「お二人共、できましたミャ!丸鳥の金の卵と雪山のポポから取れる厳選霜降り肉を使った『ポポ玉丼』ですミャ!」

 

「「うぉぉおおおお!」」

 

俺もトウマも声を上げて喜んだ。

この・・・金に輝く卵とポポ肉から溢れる「ジュワジュワ」という音。たまんねー。

 

「そして、私はいつも通り、大好物の『プリリン』ミャ!」

 

「それでは皆さん手を合わせて「「「いただきます!」」」

 

 

朝食を食い終わって俺は一人で散歩をしに行くことにした。

 

「じゃあヨモギ、トウマ行ってきます」

 

「レイ様!一応武器を持って行くミャ!」

 

「分かってるって!じゃあホントに行ってきます!」

 

俺は村長に許可をもらってユクモ村の外周を散歩することにした。

・・・と、村を出て間もなく道のど真ん中でうずくまっているガーグァを見つけた。

 

「怪我でもしたか?そんなとこに丸まってると狩っちゃうぞ・・・・・・て、え?」

 

俺がガーグァの影だと思っていたのは影ではなく、コイツが守っていた者の血液だった。

 

「ハンターか!?でもこんな装備見たことないし・・・」

 

守られていたのは、赤い髪を後ろで結って全身を血で染めた女の人だった。




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