落第騎士の英雄譚 破軍剣客浪漫譚「本編完結」 作:どこかのシャルロッ党
「ほう・・・大したものだ。だが!」
「(こいつに小細工は通用しない・・・!)」
翔真は周りを見渡す。翔真達がいる空間以外全ての時間が止まっていた・・・生徒や鳥達も一歩も動いてないことに気づいた翔真はヒルダの仕業だとすぐに気付く。ヒルダはクラレントを振りかざし、剣撃を喰らわせる。
「はあ!」
「飛天御剣流――――九頭龍閃っ!」
「なに・・・」
九つの斬撃がヒルダに襲い掛かる。九つの箇所を集中的に打ち込んでゆくその技はいくら頑丈な身体を持つ者さえ崩れる程の技だ。案の定ヒルダは体勢を崩す・・・だがすぐに立ち上がる。
「(九頭龍閃を喰らわせたはずなのに・・・!?)」
「今のはなかなか効いたぞ翔真。だが、そんな弱い斬撃では大したことない」
「くっ!なら!」
地を強く蹴り、天鎖斬月を構える翔真―――――そして
「(飛天御剣流・・・)」
「隙だらけだ」
「そいつを待ってたんだよ!」
ヒルダの剣撃を交わし防御。翔真はやがて攻撃を回避し、すれ違い様に龍巻閃のような横薙ぎの一閃を浴びせる。それは翔真自身が編み出した飛天御剣流・龍尾閃であり、ヒルダはその横薙ぎを回避出来ず吹き飛ばされる。
「なにアレ!アイツ、あんな技なんて持ってたの!?」
「あれは僕でも見たことなかった技・・・龍巻閃のように見えるけど、あれは派生技だ」
「ですが、あの一撃を喰らったはずなのに・・・あの人は」
ステラ・一輝・由紀江が戦いを見守る中――――砂埃を払うヒルダにはダメージが見られない。ヒルデ・ガルダは綾崎家でNo.2の実力を持つメイドであり、彼女の身体能力や魔力なども翔真とは桁違いだ。そんな彼女の前には翔真が得意とする飛天御剣流は効かない。
「・・・どうして・・・」
「剣撃、スピード・・・魔力がない分それ等でカバーするというのはいい手だ。しかし所詮はFランク・・・どう足掻こうと無理な物は無理だ」
「っ!見下してんじゃ・・・ねぇ!」
「・・・無意味なことを」
「飛天御剣流!『よそ見してると・・・やられるわよ?』お前は・・・!?」
空中へ上がり再び技を放とうとした時、ヒルダに似た金髪ストレートロングの美女が現れる。
「ヨルダ・・・余計なことを」
"ヨルダ"は固有霊装"ゲイ・ボルグ"を出現させるとそのまま翔真を地面へと叩き落とすした・・・
「がっ・・・ヨルダか・・・」
「何遊んでるのよ・・・とっとと死になさいよ・・・出来損ないが!」
「1対2は卑怯じゃないかな」
「あぁ?・・・っ!」
ゲイ・ボルグを翔真に向けた瞬間、一輝は陰鉄を構えてヨルダの背後に立っていた・・・これにはヒルダやヨルダも気が付かなかった。
「へぇ、アンタもまだいたのね・・・黒鉄一輝。あんた等本当邪魔よ!」
「ヨルダ、そっちは任せる」
「命令するな!・・・くっ」
「立て、まだ勝負は終わったらんぞ」
「な・・・に・・・」
クラレントに赤黒いオーラが纏われてゆき、その切っ先が翔真に向けられる。
「クラレント・・・ブラッド・・・アーサァァァ!!」
「!?」
「「翔真さん!/ショウマ!?」」
赤黒いオーラが翔真を襲う!