落第騎士の英雄譚 破軍剣客浪漫譚「本編完結」   作:どこかのシャルロッ党

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第三十七幕「別れの時」

 

 

「ふぅ・・・さて、綾崎。何故呼び出されたか覚えはあるかな?」

 

「さあ・・・って、ごまかしても無理ですよね」

 

「ああ」

 

 

道場の一件から数日後。あれから色々と解決し、道場も取り戻し更には綾辻海斗の意識も戻り全てが一件落着したかに見えた。だが翔真は一人黒乃から呼び出しを喰らっていた。黒乃の机の上には"転校届"と書かれた書類が置かれていた。

 

 

「綾崎、お前はどうするつもりだ・・・お前の卒業条件は黒鉄と同じなのだぞ。分かっているのか?」

 

「・・・・・・そうでしたね」

 

「綾崎・・・悪い話ではない。あちらさんはお前を高等部2年で迎え入れると言って来ている」

 

「けど、信用出来るんですか・・・その星導館学園とやらは」

 

 

「心配しなくてもいい。あちらの理事長とは知り合いだ・・・無論、お前の事情を踏まえた上での話だ」

 

 

翔真自身はある選択を迫られていた。それは他校へ転校するかの選択・・・翔真もまた一輝同様に七星祭剣武祭で優勝が学園卒業の条件だった。だが翔真は今の自分の実力では上へ上がれないと十分容認していた・・・しかしある他校から翔真を欲しいという声があり、直接スカウトまで来ていた。

 

 

「お前が待って欲しいと言うからあちらには待ってもらったが・・・もう時間は限られている・・・」

 

「・・・・・・分かりました。転校の件・・・承諾します。ただ新宮寺理事長、こちらから1つ条件があるのですが」

 

「―――出来る限りのことは聞こう」

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「遂に来ちまったな・・・・・・」

 

 

出来ることなら避けたかった転校・・・しかし実際、翔真自身もこの先学園で上に上がることは不可能だと薄々だが感じていた。だが運よく、ここ最近新しく設立された"星導館学園"からのスカウトはある意味タイミングなのだろうと翔真は思った。

 

「(明日菜達は連れて行けるが・・・問題は愛理と麻衣だな・・・)」

 

「兄さん!・・・兄さん!」

 

「わぁ!?ま、麻衣・・・っ!背におぶってるのは愛理か!?何があった!」

 

「・・・実は・・・」

 

 

部屋にいきなり入って来たのは憔悴した愛理を背におぶった麻衣だった。翔真は麻衣から渡された紙を手に取る。

 

 

《綾崎愛理・綾崎麻衣――――今月5日をもって綾崎家から追放する。Fランクに負ける伐刀者など家には必要ない。荷物などは全てそちらへ全部送らせて頂く。綾崎時雨より》

 

「なんだよ・・・これ・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

「そんなに俺が邪魔かよ・・・くそ親父!愛理や麻衣は関係ないだろ・・・!?」

 

 

手紙に書かれていたのは愛理と麻衣が綾崎家からの追放通達だった。恐らく愛理がFランクである自分に負けたのが原因だと翔真はすぐに分かった。紙をクシャクシャにしてゴミ箱へ投げる・・・・・・しかし、事態は思わぬ方向へと向かっていた。

 

 

 

 

 

 


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