落第騎士の英雄譚 破軍剣客浪漫譚「本編完結」   作:どこかのシャルロッ党

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第一幕「ステラ・ヴァーミリオン」

 

「なるほど・・・・下着姿を見てしまった事故を自分も服を

キャストオフする事でフェアにしようとした。全く、黒鉄は面白いな?」

 

「なかなかいい案だと思ったんですけど」

 

一輝は覗きという理由で破軍学園理事長の新宮寺 黒乃に呼ばれていた。

 

「つうか理事長。なんで俺まで呼ばれてんの?」

 

さらには関係のない翔真がいた。

 

「お前には黒鉄の弁護をしてもらわんと困る。黒鉄と仲がいいお前なら、

あの皇女様を説得出来るだろう」

 

「皇女様?・・・・・なあ一輝、一体部屋にいた女の子って誰なんだよ?」

 

「ああ、えと・・・・」

 

一輝が裸を見てしまった少女の名前は『ステラ・ヴァーミリオン』である。

ステラはヴァーミリオン皇国第二皇女なのだ。破軍学園に歴代最高成績で

主席入学という記事が出る程の有名人である

 

「よりにもよってお姫様かよ。一輝、俺この後明日菜とガ◯ダムF91

見ないといけねぇから帰るわ、じゃ」

 

「僕見捨てられた!?見捨てられたの!?」

 

二人が言い争う中黒乃が口を開く。

 

「彼女の伐刃者ランクは最高のAだ。留年してもう一回一年生するどこかの

二人とは偉い違いだな・・・・・綾崎、黒鉄」

 

「・・・・ほっといてください」

 

「そうだぞババア・・・・」

 

 

 

 

―しばしお待ちください―

 

 

 

 

 

 

 

「黒鉄、今後は女性に暴言は吐くなよ?」

 

「は、はい(翔真、大丈夫なのかな?)」

 

隣では頭から煙を出して気絶している翔真がいる。

 

「この一件に黒鉄に非はないが責任は取ってもらうぞ?」

 

黒乃がそう告げると理事長室の扉が開く。

 

「失礼します・・・・ッ!」

 

「・・・・ッ!」

 

入って来たのはステラ・ヴァーミリオンだった。ステラは一輝と

視線が合うとキッと睨む。とっさに一輝は謝罪を始める。

 

「ごめん。あれは不幸な事故で覗こうとしたわけじゃないけど・・・・ごめんなさい」

 

「・・・・潔いのね。これがサムライの心意気なのかしら?」

 

「口下手なだけだよ」

 

一輝の言葉を聞きステラはある提案を思い付く。

 

「だったらハラキリでこの一件を無しにしてあげるわ。どうかしら?」

 

「うん!それなら・・・・・え?」

 

ハラキリ、それはつまり切腹の事である。

 

「日本男子にとってハラキリは名誉なんでしょ?

姫であるアタシにあんな事して・・・・」

 

「ちょっと待ってよ!そんな事までして命は払えないよ!?

たかが下着姿を見ただけでそんな・・・・・」

 

 

小さく呟いたつもりの一輝であったが、まるっきり

ステラに聞かれていた。

 

 

「た、たかがですって・・・・」

 

次第にステラの周りに炎が燃え上がる。

 

 

「じゃあな黒鉄」

 

危険を察知してか黒乃は去る。翔真は置き去り。

 

「ちょっと理事長!?」

 

「覚悟なさい・・・・・アンタみたいな変態痴漢無礼のスリーアウト平民は

私が直々に消し炭にしてあげるわッ!」

 

瞳のハイライトが消え、明らかに殺す気満々のステラ。

一輝は今窮地にいる。友人である翔真はくたばっており、黒乃は避難している。

 

「私の裸をジッと見てたクセに・・・・舐めるように!変態のような眼差しで

私を見てたクセにッ!」

 

「(どうする・・・・どうするどうする!?)」

 

「さあ、言い残す事はあるかしら?」

 

「・・・・・だ、だって!ステラさんがあまりにも綺麗だったから・・・・・

見とれちゃったんだッ!」

 

一輝の渾身の一言。

 

「ふぇ!?」

 

突然の発言にステラは顔を赤くして動きを止める。

 

「な、なにを言ってるのよバカ!み、未婚の女性に軽々しく綺麗って・・・・」

 

あたふたするステラ。そんなラブコメ劇場が幕を開けようとしていた頃、

翔真がゆっくり起き上がる。

 

「す、少しいいか?」

 

「アンタ誰よ?」

 

「俺は皆に這いよる伐刃者(嘘)の綾崎翔真。黒乃理事長から話は聞いたが、

ヴァーミリオン、その部屋って恐らく一輝の部屋だと思うぞ?」

 

「はぁ!?」

 

「あ、言い忘れていたが・・・・・」

 

ここぞとばかりに黒乃が戻って来た。

 

「君達は同じ部屋だぞ?つまりルームメイトだ。今日からな」

 

「「え・・・・・ええええ!?」」

 

 

一輝とステラの叫びがこだまする。

 

 

 

 

 

 

 

 


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