落第騎士の英雄譚 破軍剣客浪漫譚「本編完結」   作:どこかのシャルロッ党

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ちょくちょく出ていたオリキャラが出るよ~


第二十四幕「天剣と飛天 前編」

あれから色々あり、絢瀬は一輝から剣の

指導を受ける事となった。ちなみに由紀江も

参加する事になり、一輝は二人の講師になった訳

だが――傍らで聞いていた翔真はある事が気に

なっていた。

 

それは絢瀬の事である。『最後の侍』という異名を

持つ彼女の父親・・・綾辻海斗がいるにも関わらず

何故一輝に剣の指導を頼むのか。先程父親の事を

尋ねたが、曖昧な返事を返された。

 

 

「(何故、父親に頼まないんだ?そう言えば・・・)」

 

綾辻海斗。最近になって彼にある噂が囁かれている。

それは重病説だ。長らく表に出ておらず、姿を

見せない事から、一部の伐刀者の間ではそういう

噂が流れている。

 

「調べてみるか・・・」

 

「何を調べるの?」

 

「うわ!?明日菜か・・・ビックリさせるなよ」

 

「むぅ・・・その言い方、ちょっと酷いかも」

 

頬をぷくっと膨らませ、少しだけ不機嫌な明日菜。

翔真は苦笑いを浮かべながら誤解を解く。

 

「後ろから声掛けられたら、誰だってビックリする。

明日菜だって、やられたらビックリするだろ?」

 

「・・・まあね。取り敢えずごめんね」

 

「いいさ」

 

翔真と明日菜は場所を移し、寮へと向かう。

途中からシャルロットと朱乃、さらには愛理と

麻衣も加わり、意見も欲しいと思った翔真は

絢瀬の事を話した。

 

 

「うーん・・・少し分からないね」

 

「でも、翔真君の言い分には納得出来るかも」

 

シャルロットは悩むが、明日菜は翔真の考えた

推測を聞いて納得する。

 

「ですが、兄さん。仮にそうだとしても

人のプライベートを詮索するのはよくないと

思いますよ?綾辻先輩にだって、知られたくない

秘密があるんですから」

 

「けどなァ・・・」

 

愛理の言葉に反論は出来なかった。確かに人の

プライベートにまで口を出す事ではないが、

翔真にはどうしても気になる事があった。

 

 

 

―――――

 

 

 

翌日。外出届けを出して学園の外へと出た翔真。

当初の予定では、一人で行く予定だったのだが・・・

 

「なんでシャルちゃんまで来たんだ?」

 

「そうやって、一人でこそこそしてたら

誰だって気付くよ?取り敢えず早く行こっ!」

 

「へいへい」

 

 

電車を乗り継ぎ、綾辻一刀流道場の付近に到着。

二人はそのまま歩きながら、妙な違和感を抱いていた。

 

「ねぇショウマ・・・・・・何か気配がしない?」

 

「シャルちゃんも気付いてたか・・・」

 

先程から妙な視線――そして隠し切れてない殺気。

二人は歩く足を止めて、自らの固有霊装を召喚する。

 

「・・・出てこい・・・」

 

「・・・・・・」

 

二人は背中を合わせて警戒する。すると草むらから

赤い制服に身を包んだ少年少女達が現れた。

 

「ここから先は立ち入り禁止だよ~?」

 

「つうか、アンタ等誰だし?ここアタシ等の

縄張りなんだけど?」

 

「(こいつら・・・貪狼の奴等かよ)」

 

赤い制服に見覚えはある・・・・・・貪狼学園だ。

某レイヴォルフのように戦い上等、喧嘩上等主義の

学園で有名。

 

「(つうか女子とかいたのかよ・・・まあ)」

 

天鎖斬月を構え、翔真は真剣な表情へ変わる。

シャルロットもサンダルフォンを構えたまま

警戒し続ける。

 

「貪狼学園の君達がなんでこんな所にいんの?

出来れば理由を聞きたいが・・・・・・」

「「教える訳ねーだろ!!」」

 

少年達が一斉に襲い掛かる。すでに固有霊装が

手元に召喚されており、刃が二人に迫る。

 

「させないよっ!」

 

サンダルフォンを勢いよく振り回し、少年達は

吹き飛ばされる。その瞬間――翔真は少年二人の

背後を取る。

 

「雑魚に用はねぇ・・・時間が掛かる事はしたくねぇ」

 

「「がっ!」」

 

すぐさま『龍槌閃』を繰り出した。少年二人は

地面へ落下し気絶する。シャルロットも少女と

戦っていた。

 

「いい加減!・・・落ちるしっ!」

 

「そう簡単には・・・行かないよ」

 

サンダルフォンで横に一閃。少女の手から

固有霊装を吹き飛ばしたシャルロット。少女は

そのまま、地面へ座り込む。

 

「へぇ~・・・まさか直々に来てくれたんですか。

飛天御剣流使いの綾崎先輩」

 

声がした方へ向く。そこにはニコニコと

張り付けたような笑みを浮かべた少年がいた。

 

 

 


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