落第騎士の英雄譚 破軍剣客浪漫譚「本編完結」   作:どこかのシャルロッ党

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第二十二幕「マダオ―まるで・ダメな・お姉さん―1」

 

七星剣武祭の選抜戦開始から約1ヶ月。

翔真、一輝、ステラ、明日菜の四人は順調に

勝ち進んでいた。

 

「――僕にも、譲れないものがある」

 

「それが出来るからこそアタシは強いのよ」

 

「待っくれ明日菜!?これには深い訳がッ!」

 

「私のブラジャーを返しなさーいッ!!」

 

一輝の株は徐々に上がり、ファンも出来ている中

彼は戦い方を変えずに勝ってゆく。ステラもまた

一段と強くなり同級生だろうが、上級生を倒して

ゆく。翔真達に至っては・・・通常運転である。

 

 

「・・・・・・」

 

「・・・ねぇショウマ。これってボクのブラだよ?

なんで男のショウマが持ってるのかな?」

 

「翔真君・・・」

 

一輝の試合観戦の後、翔真は大勢の生徒や

ステラ・一輝達が見る中で窮地に陥っていた。

制服のポケットからはみ出ている水色のブラと

白のブラ。水色はシャルで、明日菜が白だ。

 

冷や汗を掻きながら必死に言い訳を考える。

元々取るつもりなどなかった。しかし二人の

ブラジャーが、寮の部屋の自分の洗面台に

置きっぱなしにされ、込み上げる欲望を

抑えきれず、翔真はついついブラを取って

しまった。二人にそれがバレ、今のような

状況になっている。

 

「これはその・・・・・・複製したんだ!そう!

名付けて無限の下着製って言うんだ!」

 

無限の下着製(アンリミテッド・ブラジャー

ワークス)という訳の分からん言い訳をした翔真。

 

「ねぇシャルちゃん・・・どうしよっか」

 

「取り敢えず、O☆HA☆NA☆SHIしよう」

 

「やめて!?完全にヤバい予感しかしないよ!?

あだだだだた!?ちょ!?」

 

シャルロットはアイアンクローで翔真の動きを

封じて、明日菜と翔真と共に寮へと向かった。

 

「はぁ~、相変わらずショウマも懲りないわね」

 

「ははは・・・まあそれが翔真だしね」

 

はば呆れたステラがそう言うと、一輝は

苦笑いしか出来ない。フォローしようにも

何故か出来ない。

 

 

「少しはお兄様を見習って欲しいです。

ね、お兄様・・・」

 

「えと・・・珠雫さん?」

 

「ちょっとシズクッ!どさくさに紛れて

イッキに抱き付いてんじゃないわよッ!」

相変わらずスキンシップの激しい珠雫に

もの申すステラ。この二人のやり取りも

もはや日常茶飯事だ。

 

「あのね珠雫。人通りの多い所で抱き付くのは

やめて欲しいかな・・・」

 

「はい。恥ずかしがっているお兄様も

とても可愛いですね」

全く会話が噛み合っていない。丁度近くに

やって来たアリスに助けを求める一輝。

 

「うふふ。長い間のコミュニケーション不足が

原因かもしれないわね」

 

取り敢えず一輝、ステラ、珠雫、アリスの

四人はその場を離れて、歩き出す。

 

「あら?そう言えば翔真と明日菜は?」

 

「二人なら用事でいません・・・ふふ、お兄様」

 

アリスの背後で、メラメラと背に炎を揺らす

ステラ。兄に抱き付くとはいえあまりにも密着

し過ぎている。

 

「いい加減イッキから離れなさい!」

 

「別にいいじゃありませんか。『無関係』な

ステラさんに何かを言われる筋合いはない

はずですが?」

 

『無関係』という言葉がステラの胸に

突き刺さる。本当は違うと言いたい――

しかし言えない事情がある。一輝と恋人関係には

なれたが、身分もある故になかなか言い出せない

ステラは珠雫に反論出来ない。

 

「はぁ・・・いくじなし・・・」

 

「?・・・何か言った珠雫?」

 

「いーえ、なんでもありません」

 

周りの生徒達は一輝を見るなり尊敬の眼差しを

送る。やはりあの桐原との試合で生徒達は彼に

対する評価が変わりつつある。

 

「ようやく皆、イッキのつよさに気付いたみたいね」

 

「なんか照れちゃうな」

 

「この1ヶ月でだいぶ一輝への環境は

変わりつつあるわ。そろそろファンが出て来て

ラブレターなんかが来たりして」

 

ラブレターという言葉にステラと珠雫が反応する。

ニュータイプの如く、白い稲妻が彼女達の間に

駆け抜ける。

 

「変な女に引っかからないように、お兄様の

身の回り管理を徹底しないといけませんね」

 

「そうね。早めに対策は打っとくべきよね」

 

何かよからぬ事を考える二人に一輝は

話し掛けようとする。

 

「・・・でも、ちょっと気になることがあるかも」

 

「どうしたの?」

 

次の言葉を聞き、ステラと珠雫は声を上げる。

 

「なんだか僕・・・・・・ストーカーされてるみたい」

 

「「・・・はぁあ!?」」

 

二人の叫びがこだまする。

 

「ストーカーってあれよね!?一日中つき

まとったり勝手に家に入ったり、手紙にひげ剃り

入れて送り付けたりするっていう・・・!」

 

「ステラさん、それはカミソリです」

 

「あたしも気付いてたけど、一輝もあえて

無視してるようだったから黙ってたわ」

 

「放っておいたら、解決するかと思ったんだけど

もう一週間以上背中に視線を感じるんだ」

 

そう言いながら一輝は草むらに視線を移す。

 

「何か恨まれるような事はしたの?」

 

アリスが一輝に聞く。

 

「それはない・・・覚えもないし・・・取り敢えず

聞いてみれば分かる。ねぇ、そこに隠れてる人、

僕に何の用かな?」

 

 

すると、草むらから2つの人影が出てきた。

一人は両手に木を持ち、もう一人は片手に

黒い馬?のような物を乗せている。

 

『バレたかッ!マユっち!あやっち!作戦は失敗!』

 

「あわわ!」

 

「ち、違うんだァァ!ボク・・・キャッ!」

 

 

二人の女子生徒は逃げようとしたが

近くの池に落ちた。大きな水柱が立ったのは

言う間でもない。




最後に出来た人達はお察しの通りw

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