落第騎士の英雄譚 破軍剣客浪漫譚「本編完結」   作:どこかのシャルロッ党

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プロローグ「バカの泣く頃に」

 

 

 

己の魂を武器に変えて戦う時代。現代の

魔法使いと呼ばれている伐刀者(ブレイザー)。

伐刀者を育成する養成学校『破軍学園』には

落第騎士と呼ばられる二人の少年がいる。

 

 

その二人は黒鉄一輝と綾崎翔真である。二人は

伐刀者としての能力値が低すぎて留年していた。

本来なら2年生のはずの二人は、この春からまた

1年生をやり直すのだ。

 

 

周りから落第騎士と呼ばれ、家に捨てられ、

見下されても、境遇が似ている二人は腐る事は

なかった――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いくぞ・・・・・一輝!」

 

「何時でもいいよ」

 

「「天鎖斬月!/陰鉄!」」

 

翔真は己の固有霊装『天鎖斬月』を構える。

一輝は『陰鉄』を握りしめて互いに戦闘体勢に

入る。

 

「頑張ってね二人とも~!!」

 

 

二人を見守るのは、翔真の幼馴染

白雪明日菜。ワガママボディーの持ち主。

腰まである黒髪が風に揺れる。

 

桜の花びらが舞う中で、二人は戦う。

 

「はあァァ!」

 

一輝の一振りを交わす。翔真は宙に舞う。

 

「飛天御剣流!龍槌閃ッ!」

 

天鎖斬月が一輝に振り下ろされる。

 

「ッ!」

 

動きを読み、翔真の龍槌閃を交わす。

 

 

ちなみに翔真が使っている技は『飛天御剣流』。

飛天御剣流とは戦国時代に端を発する古流剣流だ。

『剣の速さ』『身のこなしの速さ』『相手の動きの

先を読む』という三つの速さを最大限に生かし

最小の動きで複数の相手を一瞬で仕留めることを

極意とする、一対多数の戦いを得意とする

実戦本位の殺人剣である。

 

 

「はあァァ!!」

 

「(やっぱり速い。隙のない攻撃・・・・それに

剣の速さ・・・・・さすがだよ翔真)」

 

迫り来る刃。それを華麗に交わす一輝。

 

「(一輝の奴・・・・俺の攻撃を読むように

なったか・・・・・何時かは試合で戦ってみたいな)」

 

二人の考えが交差するように、刃が交差する。

 

「「・・・・・ッ!」」

 

天鎖斬月と陰鉄がぶつかる。そして瞬時に

翔真がステップを踏みながら宙を再び舞う。

 

「飛天御剣流・・・・龍巻閃ッ!」

 

「甘いよ。まだだ!」

 

龍巻閃を交わして、翔真は攻撃に移ろうとしたが

既に遅く、陰鉄の刃が向けられる。

 

「はい。今日はここまでだよ二人共!

早くしないと入学式が始まるよ?」

 

「そうだな。一輝、俺はこのまま明日菜と

先に行っておくぞ」

 

「うん。じゃあ後でね二人共」

 

練習を終えて一輝は自分の寮へと走る。

これから始まる新年度に胸を踊らせながら―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―寮・一輝の部屋―

 

 

「・・・・・」

 

「・・・・」

 

「(なんで・・・・・なんで僕の部屋に女の子がァァ!?)」

 

部屋の扉を開けると、紅い髪をした少女が

制服に着替えようとしていた。生まれたままの

姿をさらけだし、ワガママボディーの持ち主の

少女は次第に顔を赤らめていく。

 

「いや・・・・や」

 

「待って!・・・・・このまま叫ぶのはまだ

待ってほしいんだ!確かに君の気持ちは分かる・・・・

見られたら恥ずかしいよね」

 

さわやな笑顔で語る一輝。

 

「だから!僕も脱ぐから!これでフェアに・・・・・」

 

「いやあああァァァァ!!」

 

 

―――――パチン!

 

 

 

部屋中に、綺麗な乾いた音が響いた。

 

 

 

 

 


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