落第騎士の英雄譚 破軍剣客浪漫譚「本編完結」

第十三幕「1/3の純情な修羅場」

凍り付くような空間。シャルロットと明日菜は

互いに見合ったまま動こうとしない。共に笑顔。

だが、全く目が笑っていない。

そして翔真は冷や汗を掻きながら二人に

挟まれていた。一輝達はあまりの静けさに

正座を余儀なくしていた。

「(ねぇイッキ)」

「(なに、ステラ)」

「(私の勘だけど･･･ショウマ死ぬかもよ)」

「(うん･･･多分、そんな気がする)」

一輝達が見守る中、明日菜が口を開く。

「ねぇ翔真君」

「は、はい」

「その子は誰かな？私的には話して欲しいなー」

「ボクもかな。ねぇショウマ？教えてくれるよね」

「･･･嫌と言ったら？」

「「レヴァンティン/サンダルフォン」」

明日菜とシャルロットは固有霊装を展開する。

「ちょっと二人共！？ストップ！ストップ！」

今、この部屋の中で暴れたら間違いなく

月牙天衝並みの衝撃で全てが吹き飛ぶだろう。

一輝は、二人の間に入りなんとか止める。

「あのね翔真。こういう時に限って全てを

話さないの？そんなじゃ男が廃っちゃうわ」

「アリスの意見に賛成です」

「さあ！翔真先輩！早く真相をゲロってください！」

「お前だけこの状況楽しんでるだろ！？」

アリスと珠雫はともかく、加々美は片手に

メモ帳を持ち、鼻息を荒くしていた。ネタに

する気満々らしい。

まあ加々美からすれば、この修羅場は

スクープのネタ間違いなしだ。恐らく一面は

『冴えないもう一人の落第騎士と二人の

少女！密室の24時！？』だろう。

翔真は明日菜にシャルロットとの出会いを

話した。次にシャルロットに対して明日菜は

幼なじみだと説明した。

「なるほど。つまりシャルロットさんとは

そういう経緯だったんだね。また恵って人

みたいに、幼なじみかと思ったよ」

「さすがにそれは『ショウマ？』」

肩を掴まれる。ぎぎぎっと聞こえそうな

くらいゆっくり後ろを向く。そこには

笑顔(笑っていない)を向けるフランスの

貴公子、シャルロットがそこに居た。

「恵ってなんなのかな？出来ればその子の事も

教えて欲しいなー･･･綾崎君」

迫る半ヤンデレの彼女――――すると明日菜が

口を開いた。

「加藤恵ちゃん。翔真君の幼なじみだよ。

そりゃもう、とびっきりの美人さんだよね」

「ふーん････」

ジト目で睨む二人。だが、翔真は表情を

キリッとさせて反論に出る。

「それは違うぞ明日菜」

「え？」

「明日菜もシャルロットも美人じゃないか。

恵もそうだけど、二人だって負けてないぞ」

その発言を聞いて二人は顔を赤くする。

突然何を言い出すのかと思えばこの発言。

好意を寄せる男子からそんな事を言われたら

女子二人が顔を赤くするのは当然といえば

そうなのだろう。

「(ショウマも相当な女たらしね。少しは

イッキを見習って欲しいわ)」

「(･･･？)」

ステラの考えは一輝には伝わっていないが

これで事態は終息を迎えるかに見えた。だが･･･

「翔真パイセンッ！こ、これって！」

「どうした加々･･･だああああァァァ！！」

目を鼻息を荒くする加々美。何事かと思ったら

加々美は翔真の忍たまの友――またの名をエロ本を

取り出していた。

「馬鹿野郎！？何を出してんだ！」

「翔真！危ないッ！」

「え･･･」

降り返るとレヴァンティンの刃が迫る。

ギリギリ回避してつかの間。シャルロットが

怒りに身を震わせていた。

「し、翔真･･･翔真の･･･バカァァ！！」

「サイテーイッ！」

ブシュッ！

「だあああ！！目が！目がァァ！」

二人から目を潰され、ジタバタする。

一輝は苦笑いするしかない。翔真が

何かとトラブルメーカーなのは知ってるし

今さら驚くような事ではない。

結局、ステラによる協議の元シャルロットは

そのまま翔真と同居する事となった。

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次回からシリアス！一輝対桐原の戦い！
翔真は誰と戦うのか！(多分分かるかも)