落第騎士の英雄譚 破軍剣客浪漫譚「本編完結」   作:どこかのシャルロッ党

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第十幕「烈火の修羅 後編」

翔真や一輝達がいるショッピングモールは

解放軍により占拠されていた。全員人質に

取られ、モールの中央広場に集められていた。

 

翔真、明日菜、一輝はアリスの固有霊装

『黒き隠者』―ダークネスハーミット―を

の能力を使い二階付近にたどり着く。

 

「アリスちゃんの固有霊装凄いね。まるで

ブリッツのミラージュコロイドみたい」

 

「ブリッツ?なにかは知らないけど

こういう時には役立つのよ」

 

明日菜にウインクしながら告げるアリス。

そして一向は状況を伺う。今の状況は人質を

守ろうとステラが立ち向かっていくも、解放軍の

ビショウにより攻撃全てを跳ね返され、人質の

中にいる子供の身柄の安全を条件にステラに

服を脱ぐよう指示していた。

 

「やっぱり王女様は育ちがいいんですなァ?

ゲヘヘ・・・・ヒャハハハ!」

 

「ビショウさん、写真いいですかね!

こりゃたんまねぇ!」

 

「ッ!・・・・」

 

今すぐにでも殴りたい。その衝動を抑える

ステラ。今日の為にオシャレしたきた服を

次々と脱いでゆく。

 

「(イッキ・・・・ごめんね)」

 

頬に流れる一滴の涙―――当然それを見ていた

一輝は黙っているはずもなかった。

 

「落ち着け一輝ッ!」

 

「今出たら危ないよ一輝君!」

 

「離せよ・・・・二人共・・・・」

 

「「ッ!」」

 

殺気を込めた眼差し。今にでも殺し兼ねない

雰囲気を醸し出す一輝は普段の姿からは

想像出来ないものだった。

 

 

「ステラは・・・・あの学園で・・・・初めて

出来た友達なんだ・・・・なのに・・・・ステラが

ステラがあんな姿で泣いているのをずっと

見ていろっていうの?」

 

「一輝君・・・・」

 

「アリス・・・・頼めるか」

 

「もちろんよ」

 

アリスは影縫い―シャドウバインド―を使い

一輝の動きを止めた。

 

「行かせて・・・・くれ」

 

「今行ったところでなにになる一輝」

 

動けない一輝の前に、翔真は懐から電子端末の

生徒手帳を見せる。

 

「お前の可愛い妹が動いてる」

 

手帳には珠雫から結界が出来るまで

待って欲しいというメッセージだった。

 

「結界・・・・だけどそんな魔力の気配は・・・・」

 

「そりゃそうよ。なんてたって珠雫はBクラス

騎士だけど、敵に気付かれないように魔力を

用いる迷彩の技術の指標。魔力制御だけは

ステラちゃんを抜いて今年度ナンバー1よ」

 

「だから、今は反撃の時間を待つ。まずは

人質の安全が優先だ・・・・気持ちは分かるが

今は耐えろ」

 

「ッ・・・・分かった」

 

 

タイミングを見計らう。翔真と明日菜、一輝は

すぐ動けるように固有霊装を展開する。

 

 

「ッ!―――障波水蓮!」

 

珠雫は結界を張った。他の奴等が銃を放とうと

した瞬間に3人は二階からジャンプ。翔真は

明日菜を抱えて下へ降下し、着地する。

 

「一輝ッ!思いっきり殺って来いッ!」

 

「女の子を泣かせる奴なんて最低だからね!

ステラちゃんの想いを無駄にしちゃダメだよ!」

 

「うん。ありがとう二人共――そして、珠雫も!」

 

一刀修羅を発動した状態の一輝は

ビショウに斬りに掛かる。

 

「なんだアイツらは!?撃て!」

 

複数の男がこちらに銃を向ける。

 

「面倒どうだな・・・・飛天御剣流ッ!

飛天無限斬ッ!!」

 

 

天鎖斬月を大きく振り回し複数の男を薙ぎ倒す。

後に続き明日菜が攻撃を繰り出す。

 

「紫電一閃ッ!」

 

自身の伐刀絶技を発動する。刃に魔力を込めて

縦の斬撃を繰り出した。

 

 

「伐刃者か・・・・この左手に攻撃は効かぬ!

さあ来いッ!幻想をぶち殺してやろう!」

 

「第七秘剣―《雷光》」

 

ビショウの言葉に耳を貸さず、一輝は

陰鉄で左腕を、次に右腕を斬り落とす。

 

「あ"あ"あ"ァァァァァァァァ!!

痛い!痛い痛い・・・・ヒィ!?」

 

「うるさいな」

 

痛さにより声を上げるビショウに陰鉄の刃を向ける。

 

「そんなものiPS再生槽使えば治るだろ。お前が

ステラにやった事に比べれば大した事ない」

 

目付きを鋭くして、ビショウにひたすら

殺気を飛ばす一輝。陰鉄を仕舞いステラに

駆け寄る。

 

「ステラッ!」

 

「い、イッキ!」

 

力強く抱き締める。全身を優しく包み込むように

一輝はステラを抱き締める。

 

「ごめんね。もっと早く助けたかったんだ・・・・

遅くなってごめん・・・・」

 

「ううん。気にしないで・・・・イッキが

来てくれた・・・・それだけで嬉しいから」

 

「こちらは一件落着だな・・・・さてと」

 

二人の様子を見て安心するのも束の間。

素早い神速を活かして、抵抗しようとする

男に向かう翔真。天鎖斬月を勢いよく

振り上げ――――

 

「飛天御剣流・・・・龍・巣・閃ッ!」

 

高速の乱撃――龍巣閃を放ち、男を行動不能にする。

 

「はぁ・・・・はぁ・・・・」

 

「ねぇ・・・・」

 

声を掛けられふいに後ろへ向いた。白い

ベレー帽をかぶり、セミロングの黒髪を

揺らしこちらを見る少女――――

 

 

「恵・・・・ちゃん?」

 

「久しぶりだね。翔真君」

 

『加藤 恵』は微笑みながら

 

 

恵はゆっくり立ち上がる。

 

「・・・・誰?」

 

当然、恵の事など知らない明日菜は呆然とする。

騒ぎが静まった時――一人の青年が姿を現す。

 

「いやー、誰かと思ったら君達だったのか。

久しぶりだね二人とも」

 

 

「「・・・・ッ!」」

 

「やあ」

 

こちらに手を振るのは翔真や一輝にとっては

絶対に会いたくない人物だった。

 

「何の用だ・・・・桐原」

 

桐原静矢―――そして彼はニヤリと笑う。

 

「黒鉄君に綾崎君・・・・君ら、まだいたんだ?

Fランクの分際で」

 

「「「・・・・ッ!!」」」

 

見下した態度に明日菜、ステラ、珠雫は

静矢の方に睨みの視線を送る。

 

「てっきり僕の助けがいるかと思ったけど

必要なかったみたいだね。まあそりゃそうか。

なんていっても僕は強いし、こんな奴等が

相手じゃ話にもならないね。精々Fランク

である君達の方がお似合いかな?」

 

「なんなのよアイツ。ムカつくわね・・・・

消し炭にしてやろうかしら」

 

「許せない・・・・」

 

「お二人に同意見です」

 

見下し、さらには翔真と一輝をバカにした

ような静矢の言い方に明日菜やステラ、

珠雫は内心怒りに溢れる。

 

「ちょっと桐原くーん!早く早く!」

 

「まだデートは終わりじゃないでしょう!」

 

「そうだったね。じゃあねFランク騎士の

黒鉄君、綾崎君・・・・待たせたねベイビー達。

さあデートの続きをしよう」

 

一輝、翔真は何も反論はしなかった。もし

ここで反論してしまえば静矢が調子に乗ると

悟り、敢えて冷静を装う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぇー・・・・あの人が綾崎先輩か。さらには

黒鉄先輩もいるとは・・・・いつか戦ってみたいな」

 

「こんな所で何してるのツーくん」

 

「ちょっとね」

 

 

現場の付近では、一人の少年が探していた

二人を見つけて少しはしゃいでいた。

 

「それじゃ、デートの続きしようかふらのちゃん」

 

「うん」

 

セミロングの白い髪を靡かせ『雪平ふらの』は

少年――加宮翼に手を引かれ、共に歩く。

 

「それにしても飛天御剣流か・・・・面白そうだな」

 

そんな事を呟きながらふらのとその場を去る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




飛天無限斬・・・・原典 戦国の三日月

るろうに剣心では登場しない技。戦国の三日月に
おいて比古清十郎が操る『飛天三剣流』奥義。
この技に関しては一度に100人を斬る事が出来、
威力は大地を粉砕する程だとか。ただし使い手
によって威力には個人差はあるものの、複数の
相手を始末する時には有効な技。

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