捻くれた俺の彼女は超絶美少女   作:狼々

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どうも、狼々です!

今回、一話の作文が出てきます。それで、作文の形式で書いているのですが、
段落ごとで、一行空けております。
本来の作文では空けませんが、こちらの方が見やすいと判断したためです。

今回から、第1章です。ラブコメ要素をどんどん入れていきたいです!

では、本編どうぞ!


第1章 運命なんてものは、信じられるものではない。
第3話 協力ほど非協力的な言葉はない


 俺に見せた彼女の笑顔が、今日見た中で、変わっていた。それが指す意味は――。

 

「……なぁ、小鳥遊。小鳥遊は、今日学校に来たばかりだ」

「えぇ、そうですね。皆いい人が多いような気がします」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あんまり無理する必要ねぇんじゃねえの? ()()()()()()()()動こう、なんてものは、つまらないんじゃないのか?」

 

 俺がそう言った瞬間、彼女の目が、一瞬見開かれた。が、すぐに戻る。けれど、俺はそれを見逃していない。伊達にコールドリーディングが得意だと言っていない。

 

 恐らく小鳥遊は、周りから『できる存在』であることを強いられていたのだろう。その癖のようなものが、この学校でも出てしまった、と推測している。真偽はわからないが。

 

「……どうして、わかりましたか?」

 

 ほう、案外素直だな。もう少し粘るかとも思ったが、あっさりだったな。まぁ、楽なことに越したことはない。昼食の昼休みの時間は、限られているのだから。

 

「転入早々に発表なんてするか?、普通。あと、座る時の溜め息聞こえてたのと、先生の言葉の返しのトーンが下がってた」

「……すごいですね。そこまで気づくとは。エスパーさんですね?」

 

 彼女の華やかな、柔らかい笑顔が浮かぶ。エスパー『さん』ってのがまたいいと思うって何考えてんだ。やはり、笑顔が違う。俺に見せる笑顔と、皆に見せる笑顔と。自意識過剰とかじゃなく。

 

「そうやって笑えるんじゃないか。()()()()じゃなくて。本当に無理はする必要ない」

「ぁ……」

 

 彼女の笑顔が、心からの驚きに変わった。そこまでリアクションがいいと、俺も嬉しくなってくる。

 

「ふふっ……そう『だね』。私も、柊君の前では素でいようかな?」

 

 敬語のなくなったことの意味が、どれだけの重みを持っているかは知らない。が、彼女とは中々上手くやれているようだ。

 

「じゃあ……昼食にしよっか?」

 

 小鳥遊は、どこからか弁当を取り出して言う。てか、その弁当の大きさ小さくない? それで足りるの?

 

 

 

 

 

 

 さて、昼食を二人で終えた後、ちょうど昼休みの終了を告げるチャイムが鳴った。今日の昼休みは、長いようで短かった気もする。……戻るか。俺が立ち上がろうとした時に。

 

「……柊君は、いつもここで昼食をとってるの?」

「ん? ……あぁ、そうだよ。ぼっちなりの工夫だ」

 

 彼女も俺と同時に立ち上がって、ふと、風が吹き抜けた時に。彼女は笑顔で、俺にこう言ったのだ。

 

 

 

 

 

 

「明日からも来るよ。じゃあね、柊君♪」

 

 彼女はそう言うや否や、階段を駆け下りて、教室に戻っていった。……何だったのだろうか。夢なのだろうか? 俺の昼食にこれからも付き合う、ってことだよな? 学校一の超絶美少女が? 不思議でならない。

 

 と、その時。屋上の扉が開いた。

 

「いや~、誠、すごいね~。あの小鳥遊から……ねぇ?」

「いや、『ねぇ?』じゃねえよ、吹雪。何聞いてんだ。どこから聞いてたよ」

 

 そう俺が問いを投げかけた瞬間。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――棒状の機械が吹雪の手から出された。おい、それ不要物だろ。先生に突き出して――

 

 ピッ。……ピッ? その瞬間、その機械から声が聞こえる。

 

 

 

 

 

 

 

「……いたいた。ここにいたんだね、柊君は」

「……どうした小鳥遊さん、俺なんかのところに。教科書のお礼なら何度も聞いたぞ」

 

 

 

「最初からじゃねぇか! しかも盗聴だぞ!」

「つい、出来心でやっちゃった☆ 反省も後悔もしていない」

「よしわかった今から反省も後悔もさせてやるから――あ、逃げた!」

 

 俺は全速力で逃げた吹雪を追い、盗聴のデータを消させて、反省させた。その所為で、次の清掃に二人で遅れそうになった。……何してたんだろうな、俺。

 

 

 

 

 

 今はSHR(ショートホームルーム)中。残る授業で厳しい視線を受け続けながらも、耐えて、今。やっと放課後だ。家に帰って遊びまくる。そう心を固めて、SHRを流していた。チャイムが鳴り、皆が礼にかかろうとした時。片岡先生が。

 

「そうだ、柊。ちょっと残ってくれ。用件はその時に話す」

 

 え、何? 呼び出し? 何か知らないところでやらかした? まさか、屋上か? ついにバレてしまった。まぁ、バレたところで行かなくなるわけじゃないのだが。だが。俺の遊ぶ時間が削られてしまうことに関して……おい、吹雪。ニヤニヤしてんじゃねぇよ。

 

 

 皆が帰った後、教室に俺と片岡先生だけが残っている。夕焼けの光が、電気の消された教室を薄赤く照らしている。

 

「悪いな、残ってもらって。今から、職員室に来てもらうぞ」

 

 ……え、そんな大きいことやらかしてんの、俺? 少しビクビクと怯えながらも、片岡先生についていって職員室へ。中に入り、片岡先生の机の前に。他の先生もいるなか、片岡先生が取り出したのは、一枚の紙だった。

 

「これ、何かわかるか?」

 

 そう言って俺に見せたのは――俺が今日書いた作文だった。題名もそうだし、その下の名前、書いた内容まで俺の作文。紛れもなく。完全に一致している。

 

「作文ですね、今日書いた」

「……俺が何を言いたいかわかるか?」

「いえ、わかりません」

 

 即答。綺麗なまでに、即答。わからないことは正直になる。むしろ悪いことでも開き直る。それが俺のポリシー。わからないことを繕っても仕方がないし、ボロが出ることに変わりはない。だったら、いっその事開き直った方がいいと考えている。

 

 片岡先生は、「はぁ~っ」、と溜め息とをついて――他の先生がいるなかで、俺の作文を読み上げる。ちょ、恥ずかしいんだが。公開処刑なの? 俺の書いた作文の内容は、こうだった。

 

 

 

     『協力ほど非協力的な言葉はない』    柊 誠

 

 協力、という言葉は誰もが知っている言葉だろう。小学校で言われやすい言葉の一つだ。担任の先生が、

「みんな、協力しましょうね」

という、あの言葉だ。実際、協力しないとできないことは山ほどある。一人で生きていける程、世の中は甘くない。それを、小さい頃から頭に、体に染み込ませ、身につけさせる。

 

 しかし、本当に「協力」とは、協力的な言葉なのだろうか。答えは否。協力の漢字を見てほしい。三人の力を合わせて、協力。だが、一つ忘れないでおいてほしい。協力の内、力は四つあるのだ。なのに、「三人で」固まって協力。これが示唆する意味は、協力は、誰かを省いて、外して成り立つものである、ということだ。

 

 つまり、協力の言葉さえも、非協力的なのだ。省いておいて、何が協力か。これでは、人を省くことを全面的に許容していると、声を大にして言っているようなものである。限られた人のみを選ぶのが協力であると、言っているようなものである。もう一度述べよう。省いておいて、何が協力か。

 

 そして、一思いに作られた、左の十字架。これは、省かれた一人を排除することを意味しているのだろう。くくりつけにし、見せしめとしてつりあげる。協力の数だけ、省かれる、十字架にくくりつけにされる人間はいるものなのだ。「協力」という表面的な、薄っぺらい道徳心を並べたかと思えば、排除するときには容赦がない。それが、人間の本質。

 

 結論としては、協力ほど非協力的な言葉はないのだ。協力があるほど、非協力が成り立っているのだ。

 

 

 

 

 ……こうして今聞くと、自分の未熟さに気が付く。文の稚拙さが露見しまくっている。あぁ、なるほど。これが原因か。この作文の下手さで呼び出されたのか。違いますか違うでしょうね。

 

「……で、わかったか?」

「で、でも、テーマは自由とのことだったので……」

 

 そう反論すると、もう一度先生が「はぁ~っ」と溜め息をついて、こう言う。

 

「……まぁ、俺もそう言った手前、怒る気はない。けどなぁ、やりすぎじゃねぇの?」

 

 全くだ。こんな捻くれた作文、誰が書いたんだよ……あ、俺でした。てへっ☆ やべ。怒られる。それに気持ち悪い。誰得なんだよ。

 

「は、反省してます、はい……」

「書き直せとは言わないが、次からは気をつけてくれよ?」

 

 俺はもう一度肯定を示して、帰りの準備をしようとする。さぁ、帰還の時だ。そう意気込んだ時。

 

「待ってくれ。誰も用件が一つとは言っていない」

「……わかりました」

 

 できるだけ手短にお願いしたいものだが。VITAとかPS4とかが待ってる。SONYのゲーム機大好き。画質の良さは逸品級。ネプテューヌとか、ネプテューヌとか、ネプテューヌとかは、超楽しい。ちなみに推しはノワール一筋。テーマも買った。

 

「小鳥遊さんのことでちょっと、な。小鳥遊さんとは仲良くしてくれよ。あの容姿と学力で、周りからはよく思わない人間も出て来るだろう。それが一番わかっているかつ、小鳥遊さんと仲が良いのが、柊なんだよ」

「えぇ、わかりました。できる範囲でやってみますよ」

「悪かったな、引き止めて。もういいぞ、じゃあな」

 

 片岡先生に会釈をしながら、教室を出る。作文を読まれた時の周りの先生の目線は気にしないでおこう。気の所為だ、冷たかっただなんて。困った時には、やはりこれに限る。『できる範囲でやってみます』。万能すぎる。

 

 にしても、片岡先生は意外にクラス事情を把握している。あのことに気付いているのは、吹雪と俺くらいだと思ったんだがな。……ん? 仲良くしてた? どこでそう思ったんだ? まぁ、いいか。

 

 

 帰路に着いてからしばらくして、俺の住む部屋のあるマンションが見えてくる。実家と高校が離れていたため、引っ越してこのマンションに一人暮らしを、先月から始めている。しかし、如何せん俺には広すぎる部屋である。仕送りも、多めに送ってもらえているが、絶対に使い切れない。なので、貯金中。以前からの貯金額と合わせて、もう二十万くらいにもなるだろうか?

 

 十階建てのこのマンションを、エレベーターで一階から八階に上がる。甲高いベルの音を響かせて、箱の扉が開く。そして俺は、自室の805号室へ。通学用カバンから家の鍵を取り出し、鍵穴に差し込んだ後、回転。かちゃりと音を立てて、解錠された。扉を引き、薄暗い部屋の中へ。

 

「……ただいま」

 

 当然、帰ってくる返事はないのだが。薄暗くなった部屋に電気を点ける。もうこの生活を続けて一ヶ月になるが、やはり寂しいものは寂しいのだ。学校でぼっちを続けているが、家でもそれが続くとなると、少し考えるものがある。

 

 さて……早くノワールを愛でねば。

 

 

 

 先に宿題を終わらせて、思う存分にノワールたんを愛でていたところで。というか、四女神オンラインの衣装が、皆可愛すぎる。ノワールたんも可愛いが、全員可愛い。ベールさんとかめっちゃ清楚なお嬢様って感じの格好だ。ツインテツンデレは最高。黒髪ロングのストレートも中々可愛い。どちらも好み。それに、女神化の衣装が露出が多くなるのもGOOD。

 

 ぴんぽ~ん、と家の玄関のベルが鳴らされた。俺は不審に思う。何故なら、今はもう夜の七時だからだ。……七時!? やっべ、夜ご飯作るの遅くなりすぎでしょ。今から作って何時になる……? そこら辺のコンビニとかで済ませるか、もう。というか、時間云々は置いといて、俺の家に来る奴は、吹雪くらいだ。今日もそうなのだろう。それよか何しに来たし。

 

 そんなことを考えつつ、玄関に向かい、ドアの覗き穴も覗かずに玄関を開ける。不用心にも程があるが、吹雪だと思っていたのだ。

 

 

「……えっ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目の前に、()()()()()()()()()()()の女の子がいた。しかも、見覚えのある、超絶美少女の。それも、私服だ。

 

 白のワンピースに、灰色がかったカットソーテーラードジャケットを着ている。露出はワンピースで見える、白の細く綺麗な生足のみ。清楚な雰囲気をいっぱいに漂わせて、その魅力的な黒髪が揺れている。ってか、生足エロすぎだろ……そんな格好で出て大丈夫なのか?

 

「ぇ、ええっ?」

 

 彼女の、可愛らしい声が聞こえた。滅多に聞こえないような。そして、またも滅多に見られないであろう、意地悪そうに、悪戯を仕掛ける前の幼子みたいな微笑を浮かべる。そして、その次に、周りには見せていないだろう輝かしい笑顔。そのどの顔にも見惚れていると、彼女はこう言ったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()8()0()4()()()()()()()()()()()、小鳥遊 音葉です。よろしく、柊君♪」

 

 ……マジか。嬉しいイベントなんだが……これ、何ていうギャルゲー?

 

 俺も私服で、黒のTシャツに赤のボタンダウンを上から羽織っている。羽織っているだけなので、前のボタンは開けたままだ。下は普通のジーパン。この服装が大体いつもの服装になっている。センスはまぁないだろうが、俺が言うのもなんだが、似合っているかとは思う。気に入ってるし。後、赤が黒や灰色になったボタンダウンもある。

 

「お、おう……よろしく――って、ど、どうした、そんなに近づいて?」

「う~……ん……」

 

 うんうんと唸りながら、一歩一歩近づいてくる。それに伴い、俺は一歩下がる。進む、下がるを繰り返す内に、小鳥遊が家に入る。と、同時に。

 

「どうして逃げるの?」

「あ、いや、可愛い女の子に迫られるのとかは慣れてないんだよ。その服も超似合ってて――あ」

 

 うっかりと口を滑らせる。いや、今の心拍数結構あるからね? てか、恥ずかし……。

 

「ぁ、ぇ……ふふっ、ありがとう、柊君。柊君も似合ってると思うよ? じゃあね、また明日学校で♪」

 

 ……輝いているその笑顔は、夜に輝く一等星にも負けない。けれど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――少し、その笑顔が赤らんでいたのは、気の所為だっただろうか。




ありがとうございました!

知っている方もいらっしゃると思いますが、この作品が透明日間、ルーキー日間ランキングにのりました。
皆さん、本当にありがとうございます!

ちなみに、ノワールのくだりに関しては、全部私の考えです、はい。
テーマも買いました。四女神オンラインのやつは、今度買います。
ノワール推しです。ネプテューヌ知ってる人はいるんですかね?

一話の『自分の部屋』が『自分の家』ではなかったのは、マンションだからで、
隣に音葉ちゃんを引っ越させるためなんですね~。

ではでは!

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