TOWRM3 〜ThePlain's Walker〜   作:赤辻康太郎

10 / 30
第九話です。今回はブラウニー坑道探索前編です。


第九話

第九話

 

オルタータ火山の調査後、アドリビドムに新たな仲間が二人加わった。一人は紫色の異国風衣装(樹曰く着流し)を身に纏い紙を頭の後ろで髷の様に纏めた無精髭の男、レイヴン。もう一人は白と青のセクシーな服を着た青髪のグラマラスな女性、ジュディス。彼女は『クリティア族』という種族らしく頭に二本の触覚が生えていた。二人とも元はユーリと同じギルドに籍を置いていたがユーリに『王女誘拐』の疑いが掛かりギルドにまで捜査の手が回って来たのでアドリビドムに身を寄せる事にしたらしい。ユーリの王女誘拐容疑について当の王女本人は、

 

「私は自分の意志で此処(アドリビドム)にいるんです!」

 

と憤慨していたが、樹が

 

「『王族が自国の政府に嫌気がさして何処の馬の骨とも知れないギルドに入った』なんて格好つかないからな」

 

と言うとユーリ達は笑いながら(エステルは苦笑い)賛同した。

 

さて、その樹だが、彼は今自室で本を読んでいた。本の内容はルミナシアに伝わる伝説や逸話等を纏めたものだ。樹は今例の赤い煙について調べていた。「何故伝説を?」と思うかもしれない。実際、アンジュやカノンノはそう聞いた。それに対して樹は、

 

「もし過去に今回の様な事が起きていたら、それが伝説やお伽話として伝わっているかもしれない」

 

と答えた。樹のいた地球でも実在の人物や出来事をモデルにした伝説や物語は存在する。もしかしたらルミナシアでも、というのが樹の考えだった。樹の意図を理解したアンジュは、自分がいた教会から持ってきた書物を樹に渡した。他のメンバーも自分達が持ってきた本を渡したり故郷の人から聞いた言い伝え等を樹に話したりした。

 

「ふう。これにもなかったか」

 

だが結果は樹のぼやきからも分かるように、『収穫ゼロ』だった。

 

「う〜ん、と。少し外の空気吸って来るか」

 

樹は軽く伸びをすると甲板に出るため自室を後にした。

 

「はい。確かに承りました」

「よ、よろしくお願いします……ゴホッ、ゴホッ!」

 

樹がロビーに着くと、かなり窶れて病弱そうな男性が依頼を出しているところだった。

 

「アンジュ今の人は?」

「あら樹。調べ物はもういいの?」

「少し休憩だよ。で、依頼は?」

「さっきの人はモラード村のジョアンさん。依頼はブラウニー坑道の奥地までの護衛よ」

 

アンジュは樹に先程の男性、ジョアンの依頼内容を簡潔に説明した。

 

「坑道の奥地?なんでまたあんな『私今絶賛病気です』って人が?」

「その言い方はちょっと……。何でも、彼医者が匙を投げる位の病に冒されたらしいんだけどブラウニー坑道に行けば『病を治す方法』があるって」

「『病を治す方法』ねぇ」

 

樹はジョアンが一般人には危険なブラウニー坑道に何故行きたがるのか疑問に思ったが、アンジュにその理由を聞いてますます眉間に皺を寄せた。

 

「依頼、受けたいんでしょ」

「……やっぱ分かるか?」

「そりゃあ顔に書いてありますから」

 

アンジュは樹をからかう様に「フフッ」と軽く笑った。樹はただ苦笑いするほかなかった。

 

「じゃあ他のメンバーが決まったら声をかけるから」

「おう。んじゃ少し外の空気吸ってくる。篭りっぱなしだと肩が凝ってしかたねぇよ」

「お疲れ様」

 

樹はアンジュの言葉に手を振って答えると甲板に出て行った。

 

後日、樹以外のメンバーも決まり、ジョアンの護衛任務が決行された。メンバーは樹、ファラ、マルタ、そしてレインだ。ただしレインの加入に関してはカノンノと一悶着あったことだけを記しておく。一行はファラを先頭に中盤でレインとマルタがジョアンを挟む様に護衛し、殿(しんがり)を樹が務めた。

 

「……ゴホッ、ゴホッ!」

「ジョアンさん大丈夫ですか?」

 

坑道を進み始めてから時折咳込むジョアンにマルタが気遣かい声をかけた。レインはその間ジョアンの背中を摩ったり水を飲ませてあげたりしていた。ジョアンはその度「大丈夫です。ありがとうございます」とは言っていたが顔色は優れていなかった。寧ろ段々と悪化している様な気がする程だった。

 

「……堪えられなくなったら言って下さい。場合に因っては引き返します」

 

ジョアンの様子に見かねた樹がそう提案した。ブラウニー坑道はある程度人の往来があるとは言え魔物も出るため一般人には危険である。ましてや空気が淀んでいる坑道を、ジョアンの様な病気の人が通るのは正に自殺行為にも等しかった。

 

「……ゴホッ。お気遣い、ありがとう、ございます。けどいいんです。私は、もう長くはありません。だから、これが最後の希望、なんです」

「病を治す方法……それって何なんですか?」

 

ファラがずっと気になっていた事をジョアンに尋ねた。それはファラだけでなくジョアン以外の全員が聞きたかった事だった。

 

「実は、友人から聞いたのですが……」

 

ジョアンは途中咳込みながらもゆっくりと事のいきさつを話した。ジョアンの話によると、その『存在』は友人から聞いたものらしい。友人はジョアンと同じ病気に罹り、腕の良い医者に診断してもらうため一人でブラウニー坑道を歩いていた。だがその道中発作が起きてしまい動けなくなってしまった。死を覚悟したが突然『何か』が起きた。次に気が付いた時には発作は治まり、さらには今まで散々苦しめられてきた病気の症状もなくなり、健康体そのものになったという。

 

「ですから、私もそれに賭けてみようと思い、依頼させていただきました」

「……経緯は分かりました。それで、ご友人の身に一体何が?」

「それが、発作中の事で、ゴホッ、その上気絶していたらしく詳しい事は何も。ただ、意識を失う直前赤い煙の様なものを見たそうです」

「「「赤い煙!?」」」

 

ファラ、マルタ、レインの三人はジョアンの話しに赤い煙りが出て来た事に驚きを隠せなかった。

 

「ゴホッ!ゴホッ!……すみません。あまり大きな声を出されると体に……」

「あ、ごめんなさい!大丈夫ですか?」

 

三人の大声に驚いたジョアンはそれが体に響いたらしく大きく咳込んでしまった。慌てたマルタが謝りながらジョアンの背中を摩った。

 

「確認ですが、赤い煙を見られたんですね?」

「……ゴホッ。何分発作中の事らしく、詳しい事は覚えていないそうです。ただそのようなものを見たとしか……」

「分かりました。ありがとうございました」

 

その後ジョアンの回復を待って一行は坑道を奥へと進んで行った。

 

途中、鉄格子の嵌められた扉をジョアンが預かっていた鍵で開けると、岩石でできた人型の魔物がいた。

 

「げっ、ストーンゴーレム。あいつ結構固いんだよなあ」

 

マルタが魔物、ストーンゴーレムを見て明らかに面倒臭さそうな表情を見せた。

 

「なら術主体でいった方が無難だな。俺とファラがアイツを引き付けるから」

「二人は隙をついて術で攻撃して」

「分かった」

「了解!」

 

樹とファラは二人の返事と同時にストーンゴーレムへと駆け出した。ストーンゴーレムも樹達を認識すると臨戦体勢に入った。

 

「魔神剣っ!」

「掌底波っ!」

 

樹は魔神剣を、ファラは掌底突きから衝撃波を放つ『掌底波』を牽制球として繰り出した。

 

「ゴアアアッ!!」

 

−−ズウウゥン−−

 

だがストーンゴーレムが雄叫びを上げてその岩でできた両腕を地面に叩きつけると、二人の攻撃はあっさりと打ち消されてしまった。

 

「ちっ、やっぱ一筋縄じゃあいかないか」

「そうだね。なら……」

「「連撃で崩す!」」

 

樹とファラはストーンゴーレムの反撃を避けると素早く左右に回り挟撃体勢に入った。

 

「「三散華!」」

 

樹は裏拳、回し蹴り、斬撃の連続攻撃を、ファラは三連続回し蹴りを繰り出した。

 

「臥龍空破!」

「翔空裂斬!」

 

間髪入れず、ファラは気を篭めた渾身のジャンピングアッパー、『臥龍空破』を、樹は上昇しながらの縦回転斬り、『翔空裂斬』を繰り出した。

 

「飛燕連天脚!」

「剛断臥!」

 

そして続けざまに、ファラは三連続の空中回し蹴りからサマーソルトキックで追撃する『飛燕連天脚』、樹は空中で軽く一回転し刀を叩きつけると同時に衝撃波で追撃する『剛断臥』をそれぞれストーンゴーレムにお見舞いした。

 

「ゴアアアッ!」

 

だがストーンゴーレムは二人の連撃をものともせず身体を回転させて攻撃してきた。

 

「うぉっ!」

「きゃあっ!」

 

樹とファラは攻撃直後だったが紙一重でその攻撃をかわした。だがストーンゴーレムの両腕は付近の岩をいとも容易く粉砕し、その飛礫となって二人を襲った。

 

「ぐっ!」

「ああっ!」

 

二人は何とか飛礫を防御したがダメージは小さくなかった。

 

「ちっ。味なマネを」

「そうだね。けど……」

「「詰めが甘い!」」

 

二人が叫んだのとほぼ同時、

 

「煌めきよ、意を示せ……フォトン!」

「我が剣は雷を以って斬罪せん……サンダーブレード!」

 

ストーンゴーレムの胸の辺りで光の球が爆ぜ、雷でできた大剣がその体に突き刺さり、さらには衝撃波が襲った。マルタの唱えた光属性の中級魔術『フォトン』とレインの雷属性の中級魔術『サンダーブレード』が発動したのだ。

 

「ゴアアァアアアァッ!」

 

ストーンゴーレムは雄叫びの様な声を上げるとそのまま崩れる様に地面に倒れた。

 

「ふぃー。何とかなったな」

「そうだね。マルター!レイーン!ナイスタイミングー!」

 

ファラはマルタとレインに向けてサムズアップすると二人の方へ駆けて行った。樹は刀を納めファラに続こうとしたが、

 

「ファラ!危ねぇ!」

「えっ!」

 

ファラの死角にあたる物陰からストーンゴーレムがもう一体現れ、その巨腕をファラに叩きつけようとしていた。

 

「きゃああああっ!」

「くそったれがっ!」

 

樹は急いでファラの元へ駆け出した。だが無情にもストーンゴーレムは両腕を振り下ろした。

 

−−ドゴオオォォン−−

 

強い衝撃と共に轟音が鳴り響き土煙りや砂埃が盛大に待った。まともに食らい無事で済まされない事は明白であった。

 

「ファラ!樹!」

「樹!……よくもっ!」

 

マルタは目の前で起きた惨劇に口を両手で覆い立ちすくんだ。両目には涙を浮かべている。レインは怒りで我を忘れ単身でストーンゴーレムに躍りかかろうとした。

 

「おいおい。まだ死んでねぇての」

「けど危なかったよ」

 

土煙が止むと、そこにはファラを抱き抱えた樹が飄々と立っていた。土で汚れあちこちに擦り傷ができていたが、命に別状はないようだった。

 

「ファラ!無事だったの!?」

「樹!大丈夫!?」

「うん。まだまだ。イケるイケる!」

「何とかな」

 

マルタとレインは急いで二人に駆けより無事を確認した。二人ともまだまだ戦えるようだった。

 

「けど……よく間に合ったわね?」

「ほんと。私ももう駄目かと思ったよ」

「俺もだよ」

 

三人の言う通り、あのタイミングで樹が間に合ったのは奇跡としか言いようがなかった。

 

「樹」

「どうした?」

「倒した方も復活したみたい」

「え!?」

「嘘!?」

 

レインの指摘に、倒した筈のストーンゴーレムを確認すると、立ち上がり気合いを入れるように両腕を打ち鳴らしていた。

 

「……ちっ。そういう事か。つくづく厭らしい奴だ」

「どういう事?」

 

樹はその姿を見て何かを理解したようだった。

 

「簡単に言えば、あのストーンゴーレムは元々コンビだったんだ。んでまず一体が偵察役として獲物と戦う。そのまま倒せたらそれでよし。もし倒せなければ二人係りって事さ。しかし死んだフリしたり断末魔の声に見せ掛けて合図だしたりするとはな」

「何か変だよ。さっきの飛礫といい今の樹の説明といい、ストーンゴーレムがそんな知能を持っているなんて信じられない」

 

マルタの指摘通り、本来ストーンゴーレムの知能は余り高くはない。攻撃パターンも基本的にパンチや腕を振り回す、叩きつける等の単純なものばかりの筈である。岩を砕いて飛礫にして攻撃したり、ましてや援軍を呼んでの不意打ちや死んだフリなどが出来るなど誰も考えもしなかった。だが、マルタの指摘に樹は首を横に振った。

 

「信じる、信じない、じゃねえよ。現実に目の前で起きたんだ。それは認めるしかねえ」

「そうだね」

 

樹の意見にファラは同意した。樹の言う通り、起きてしまったものは信じられずとも認めるほかなかった。例えそれが有り得ない事でも。

 

「それよりどうする?流石に二体相手はきついよ」

「それなんだが、俺が新しく来た方を引き付けるから、三人はもう一体の方を頼む」

「ええ!?」

「ちょっと、それは」

「無茶だよ!」

 

樹の提案に三人は驚愕し、当然の如く反対した。

 

「だがこれが一番効率が良いんだ。奴ら見た目通り物理攻撃が効きにくい。だからレインとマルタには術で攻めて欲しいんだ」

「けどそれなら二対一でも……」

「確かにそれでもいいが、それだと時間がかかる。終わるまでにジョアンさんに何かあったら元も子もない」

「あっそうか」

 

いくら安全圏に隠れてもらっているとはいえ衝撃や土煙りは防ぎ切れない。ただでさえ体調が悪いのにこれ以上長引かせる訳にはいかなかった。

 

「だから頼む」

「……分かった。けど無理しないで」

 

レインは樹が本気だということを悟った。だから渋々ながらも樹の提案を受け入れた。ファラとマルタはレインが承諾したのを見ると静かに頷いた。

 

「なら、もう一体は私が引き受けるね」

「無理すんなよ」

「そっちこそ!」

 

作戦が決まると、樹は抜刀し、ファラは拳を握り構えた。レインとマルタも何時でも詠唱を始められる体勢に入った。

 

「こっちだ、ストーンゴーレム!」

 

樹はそう叫ぶと新しく現れたストーンゴーレムに向かって駆け出した。

 

「喰らいな!魔神剣・双牙っ!」

 

樹は魔神剣を放つと間を置かず拳を振るいもう一発衝撃波を放った。魔神剣の上位技『魔神剣・双牙』である。樹は攻撃した後命中を確認せずすぐにその場から距離を取った。一度攻撃すれば注意は自分に行く、そう判断しての行動だった。しかし、

 

「なっ!?」

「嘘っ!こっちに来た!」

 

ストーンゴーレムは樹の攻撃、いや樹を無視してファラに狙いを定めていた。ファラの服装は樹とは違い普通の服である。故に防御力はほとんどなかった。更に武器はナックルなので防御してもダメージは確実に受ける。ストーンゴーレムはそのことを先程の戦闘で理解し、ファラに狙いを定めていた。これは樹達にとって大きすぎる誤算だった。

 

「くっ……何とかってきゃあ!」

「ファラ!」

 

更に最初に戦ったストーンゴーレムが飛礫の攻撃に味を占めたのかもう一度飛ばしてきて、運悪くその一つが足に当たってしまった。

 

「どちくしょうがぁっ!」

 

樹は慌てて駆け出した。その表情は、普段の彼から考えられない程焦りに満ちていた。

 

「駄目っ!間に合わない!」

 

マルタが悲鳴を上げた。ファラはレインとマルタの詠唱時間を稼ぐため二人から距離を取っていた。勿論、樹からの距離は言うまでもない。ストーンゴーレムは既に攻撃体勢に入っていた。ファラを覚悟を決めて目を閉じた。

 

−−ドンッ−−

 

「うおおおぉっ!空破掌ぁっ!」

「ゴアッ!?」

 

何か弾ける様な音がした瞬間、樹の掌底突きがストーンゴーレムに炸裂した。ストーンゴーレムは突然の横からの攻撃に成す術なく体勢を崩されるはめになった。

 

「た、樹!?」

 

覚悟を決めていたファラは目の前で起きた事が信じられず、思わず目を見開いた。それだけではない、

 

「ライトニング!」

「ゴ……ガ……」

 

レインの唱えたライトニングがもう一体のストーンゴーレムに落ちた。しかもその威力は通常よりも強力になり、ストーンゴーレムを一発で悶絶させる程だった。

 

「レインまで……」

 

マルタとファラが予想外の出来事に唖然としていた。

 

「レイン!合わせろ!」

「分かった!」

 

樹がそう叫ぶと、樹は一度バックステップして構え直し、レインは再び詠唱に入った。その瞬間、

 

−−キィン−−

 

樹とレインの胸の中心を繋ぐように一条の光りの線が走った。

 

「え?」

「何?」

 

ファラとマルタが今日何度目となる驚きを見せていたが、二人は自分達に起きた事など気にする素振りも見せず攻撃に入った。

 

「はああぁっ!瞬迅剣っ!」

「ウィンドショット!」

 

樹が気を篭めた鋭い刺突『瞬迅剣』を繰り出し、レインが風でできた弾丸を放つ風属性の初級魔術『ウィンドショット』を発動した瞬間、二人を結んでいた光りがさらに強く輝き出した。そして、

 

「行くぞ、レイン!」

「任せて!」

「「貫け!風塵崩牙!はあっ!」」

 

二人が一瞬の間にストーンゴーレム二体を挟むように移動した。そして互いに擦れ違う様にストーンゴーレムごと貫いた。最後に二人が剣を振ると、ストーンゴーレムを中心に黒と黄色の爆発が起きた。

 

「「ゴアアアァァァッ!!!」」

 

ストーンゴーレムは今度こそ断末魔の悲鳴を上げるとガラガラと身体がバラバラになり崩れ落ちた。

 

「っはぁ!はあ……はあ」

「っく……」

 

戦いが終わった後、樹とレインはその場にへたりこんでしまった。何とか剣を杖にして膝立ちしているのがやっとの状態だった。

 

「樹!レイン!大丈夫!?」

 

そこにファラが走り寄って来た。

 

「ファラ……もう、大丈夫なの?」

「私はさっき治癒術かけたから大丈夫。それより二人が……」

「私は、大丈夫。ちょっと、疲れた、だけ、だから」

「俺、もだ。それより、ジョアンさんは?」

「ジョアンさんなら今マルタが迎えに行ってるから大丈夫だよ」

「そっか。よかった」

「待って。今グミあげるから」

 

ファラはポーチからアップルグミとオレンジグミを二、三個取り出すと樹達に渡した。治癒術には傷を癒す効果はあるが造血を促進したり疲労を回復させる効果は低い。なので疲労には疲労回復成分の入ったグミを与えるのが効果的だった。勿論、負傷はしているので治癒術をかけることも怠らなかった。その後は、ジョアンの希望もあり、二人と、軽い発作が起きてしまったジョアンの回復を待って奥に進む事になった。

 




ご意見・ご指摘・ご感想お待ちしております。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。