マシュの水着が脱げるという事件は無事解決して、みんなで花火をしていた。花火は線香花火、ロケット花火、ネズミ花火などいろんな種類の花火があり、みんないろんなもので遊んでいた。俺と楓子は線香花火て遊んでいた。
「ねえ奨真君」
「んー?」
「野球拳しない?」
「ブフゥ!」
突然の爆弾発言に俺は思わず吹き出してしまった。野球拳って負けたら服を一枚ずつ脱いでいくやつだろ。今の俺たちは水着だ。そんなことをすればすぐに決着がつく。その前にそういう問題ではない。
「な、なに言い出すんだ!!」
「だって最近の奨真君、全然私に対してドキドキしてないじゃない。今日も私の水着姿を見ても、全然ドキドキしてなかったし。だからこれならドキドキすると思ったんだけど」
「やりません!!」
「むぅ…」
隣で楓子は拗ねてしまい、三角座りしていた。そんなにしたかったのか?でもこのままだとなんか楓子が可哀想に見えてくるな。そう思い、俺は楓子の頭を花火を持っていない右手でそっと撫でた。
「えっ?」
「あのな楓子。面には出してないけど、これでもドキドキしてたんだぜ。だから拗ねるなよ。今はこれしかできないけど、家に帰ったらちゃんと相手するからさ」
「ふふ、それじゃあ楽しみにしてるわね」
楓子の機嫌は無事になおって、丁度線香花火の火玉が地面に落ちた。
次は違う花火で遊ぼうと思い、取りに行こうとしたが、突然悲鳴が聞こえた。声のする方を見ると、猛スピードでこっちに走ってくる白夜とハルユキ、タクムがいた。さらにその後ろを見ると大量のネズミ花火とニコが3人を追いかけていた。
「しょ、奨真!助けてくれ!」
「ニコ!ストップストップ!!」
「やめてくださーい!!」
「こ、こっちくるなー!!」
3人は俺の方へ逃げてきたせいで、俺もそれに巻き込まれることになってしまった。俺も一緒に逃げていると、今度はアルトリアが見えてきた。このままだとアルトリアも巻き込まれてしまうと思い、逃げろと言おうとしたが、言うのが遅くなり、一緒に逃げることになってしまった。
「今日の私こんなことばっかりじゃないですかー!!」
「すまんアルトリア!!」
「それそれー!あはは、楽しいー!」
周りに助けを求めたいが、絶対に巻き込まれてしまうから求めようにも求められなかった。そんな時、美早がニコの後ろに回り込み、首を掴んで捕まえた。
「ニコ。そこまで」
「パド!いいところだったのにぃ…」
「みんな困ってる」
「わかったよ…」
美早のおかげで、俺たち5人は助かった。あとでお礼を言わなきゃ。
俺とアルトリアはそんなに走ってないからバテてないが、3人はバテバテだった。そんな3人を放って、俺は楓子のところに戻りにいった。すると、そこには楓子だけではなく、マシュとういういもいた。
「2人もいたのか」
「奨真君が追いかけられてた時に、2人がきたの」
「しょーにぃも一緒に遊ぶのです」
「折角ですし、4人で勝負しませんか?」
「勝負?」
「はい。線香花火で誰が一番長くもつのか、っという勝負です」
「よし、やるか」
俺たち4人はマシュから線香花火を受け取り、一斉に火をつけて、勝負がスタートした。勝負の間は全員無言で、集中していた。30秒が経過して、俺の花火が消えて、その5秒後にういういの花火が消えた。それから40秒、50秒が経っても、楓子とマシュの花火は消えなかった。1分が経過して、楓子の花火が消え、その直後にマシュの花火も消えた。
「私の勝ちですね」
「負けちゃったわ」
「凄かったのです!」
「俺が最下位か」
「マシュお姉ちゃんが優勝したんだね!」
「寿也?見てたんだね」
「うん!勝ったお姉ちゃんになにかご褒美が必要だね!」
ご褒美か……。なんだろう、嫌な予感しかしないんだが…。
「ご褒美?」
「えーい!」
「ひゃっ!?」
「やっぱりか…」
俺の予想は見事当たり、寿也がマシュの胸を正面から揉んでいた。これで何回目なんだ?5回くらいしてそうだな。
「と、寿也!これって、私のご褒美じゃなくて……寿也のご褒美じゃない!ひゃん!」
「マシュお姉ちゃんへのご褒美だよー!だって僕に触られてる時、いつも気持ちよさそうじゃん!」
「そ、そんなこと……ないよぉ…」
「寿也君。マシュが困ってるでしょ?」
「じゃあ楓子さんのを触らせてー!」
「やん!」
今度は楓子の胸を揉み始めたか…。ったくこのエロガキ…。
「やっぱり楓子さんのおっぱいも柔らかくて気持ちいいなー」
「も、もう……口に出さなくていいの」
「しょーにぃ、フーねぇ全然嫌そうには見えないのです」
「母性本能でも出てるんじゃないか?」
「しょーにぃ?怒ってるのですか?」
「全然怒ってないよ?」
「でも額に怒りマークが出てるのです」
「ちょっと楓子のところに行ってくるよ」
ういういの言う通り、俺はほんの少しだけ怒っていた。もちろん、なにも抵抗しない楓子に対してだ。とりあえず、寿也を白夜のところに連れて行こう。
「寿也。白夜が呼んでたぞ?」
「わかったー」
「さてと……楓子?」
「は、はい?」
「ちょーっとこっちにきてくれ」
「う、うん」
「2人ともどこに行くんでしょうか?」
「わからないのです」
俺は楓子を連れて、人目のないところにきた。そこで楓子を壁に寄せて、思い切り壁ドンをした。
「しょ、奨真君?」
「楓子、俺は怒ってるんだぞ。寿也に胸を揉まれて嫌そうにしなかったことに」
「もしかして嫉妬してる?」
「ああ、嫉妬してるさ。本当はすぐにでも楓子を俺の好きにしたいが、それは家に帰ってからだ。だから今はこれで我慢する」
俺は耳元で囁いて、楓子の唇に自分の唇を重ねた。軽いキスだから、すぐに唇を離した。
「奨真君をドキドキさせるどころか、私がドキドキしちゃったわ」
「そうか?」
「ええ。ちなみにさっきのことなんだけど、寿也君に触られてる嫌そうにしてなかったのは、母性本能が自然に出てきてしまったの。でも、やっぱり奨真君が一番かな?」
「自分で言い出しておいてあれだが……恥ずかしいな」
「ふふ。さあ、みんなのところに戻りましょう」
「ああ」
俺と楓子はみんなのところに戻り、シートなどを片付けて、ホテルに荷物を置きに行った。