今日はみんなで海に旅行に行く日だ。
俺は荷物の準備をして、母さんから車を借り、先に車の中で待っていた。
すると白夜からメールがきた。
メールの内容は『孤児院の子供たちもどうしても行きたいって聞かないから連れていくことにした。俺の車と奨真の車だけだと全員乗らないから院長さんも車を運転して行くことになった。予約は後から人数追加も出来たよな?』だった。
「まあ出来るよな……」
俺は『予約は後から人数追加できるぞ。みんなにもメールしておく』っとメッセージを送信した。
それと同時に楓子とジャンヌが車に乗ってきた。
「「お待たせ!」」
「忘れ物はないか?」
「ええ!ちゃんと水着も入っているわ!」
「私も大丈夫よ!」
「じゃあ行くか」
俺はメールアプリのグループにメッセージを送ってから車を出した。
黒雪姫side
私とハルユキ君、タクム君とチユリ君、ういういと姉さん、綸君とレミ君、アルトリア君の9人は梅郷中の門の前で奨真君たちを待っていた。
急遽人数が増えたとメッセージが来ていたが、何も支障はないな。
子供たちも海に行きたいはずだしな。
しばらく待っていると、奨真君たちがやってきた。
奨真君の車にはもうフーコとジャンヌとリサ君、白夜君の車にはもうあきらとニコ、美早とマシュ君が乗っていた。
「俺のところは後4人乗れる。白夜のところは2人、院長さんのところも3人だ」
奨真君はそう言って、私たちはそれぞれの車に分かれて乗ることにした。
奨真君の車には、奨真君とフーコ、ジャンヌ君とレミ君、ういういとアルトリア君、リサ君と綸君。
白夜君の車には、白夜君とあきら、マシュ君とニコ、美早と私、姉さん。
院長さんの車には、院長さんと孤児院の子供たち3人とハルユキ君、タクム君とチユリ君だ。
そして私達は泊まるホテルに向かうことにした。
黒雪姫side out
奨真side
車の中では後ろの方でみんな仲良く話していた。
「どんなホテルなんだろう」
「ご飯が美味しいところがいいです!」
「でもこれだけの人数なら凄いお金がかかるんじゃないですか?」
レミ、アルトリア、リサの順番で言って、リサがお金について聞いてきた。
「まあ結構なお金はいるが、父さんたちが残した遺産がたくさんあるから。どうせ使うならみんなのために使いたいんだ。父さんたちもきっとそう言うはずだしな」
「い、遺産?」
「奨真君、リサたちに言ってもいいの?」
「構わないさ。いつか知ることになるからな」
「わかったわ。リサ、レミ、ういうい、アルトリア、実はね……」
楓子が俺の本当の父さんと母さんが昔事故で亡くなったことを説明した。
説明が終わると、車の中は重い空気が漂っていた。
「ごめんなさい。そんなことがあったのに、気軽に聞いてしまって」
「全然気にしてないよ。それより、今から旅行に行くんだからさ、今は忘れて目一杯楽しもうぜ!」
リサは暗い顔をしたが、俺は気にしてないと言った。
「……そうですね!今は楽しみましょう!」
アルトリアがそう言って、重い空気は無くなっていった。
途中で信号で止まって、青になるのを待っていると、楓子が俺の左手の上に手を重ねた。
「奨真君、あなたは1人じゃないわ。あなたには私やみんながいる」
「…………ありがとう」
「ラブラブなのです」
「いつものことだよー」
「ジャンヌさん、奨真さんの弱点を教えてくれませんか?」
「レミ!変なこと聞くな!!」
俺たちはそんな感じで盛り上がり、目的地に向かった。