「この先をずっと進めばルークさんと遭遇するのでしょうか?」
「それはまだわからないの。だから今クロウが偵察に行ってもらってるの」
「あ、帰ってきたよ!」
先に偵察に行っていたクロウが戻ってきて、ルークの居場所を伝えた。
「みなさんお待たせしました!この先を進めばルークさんがいます!でも気をつけてください!アンクルさんの言った通り、妨害してくる人がいます!」
「了解なの!」
「っ!?みなさん避けてください!」
シルは敵の攻撃を感知し、4人に避けるように伝えた。
攻撃してきた方を見ると、巨人型エネミーをテイムしたサルファポッドがいた。
「チィッ!仕留め損ねたか!だが次はないと思え!!行け!!」
「みなさん私の後ろに!!」
シルは4人を自分の後ろに待機させ、必殺技を放った。
「ロードカルデアス!!」
シルは自分の盾をさらに大きくして、巨人型エネミーの攻撃を防いだ。
けど巨人型エネミーの攻撃は続いた。
シルはずっと防ぎ続けたが、シルにも限界がある。
「ぐぅ……このままじゃやられる…」
「そのムカつく盾も限界がきたようだな!これでトドメだあ!!」
「はあああ!!」
「っ!?ぐあ!」
サルファポッドはトドメの一撃を放とうとしたが、誰かに攻撃されて、エネミーの肩から落ちてしまった。
4人は巨人型エネミーのほうを見ると、肩の上にアンクルがいた。
「攻撃に集中しすぎて後ろが隙だらけよ!!」
「アンクルさん!」
「4人はルークさんを追いかけて!!こいつは私が足止めする!!」
「アンクル!1人じゃ危険よ!私も!」
「フランさん!最初に私は言いましたよ!こいつ以外にも妨害してくる人は必ずいます!そのためにも人数を温存しなきゃいけません!大丈夫ですよ!さっさとこいつを倒して後を追いかけますから!」
「ここはアンクルに任せるの!」
「アンクルさん!僕は信じてますから!」
「アンクルさん!必ず追いついてくださいね!」
「ここはお任せします!」
「に、逃がすかあ!チャコール」
「あんたの相手は私だあ!!クォーツテンペスタ!!」
アンクルは小太刀に電撃を浴びせて斬りつける心意技をサルファポッドが技を使う前に放った。
「き、貴様も心意を!?」
「だから何!今は目の前の敵のことを考えておくことね!!」
「小賢しい!!」
アンクルは何度も小太刀で攻撃をするが、サルファポッドも体術でそれに対抗してきた。
小太刀を一度宙にあげて、サルファポッドの目線を小太刀に集中させ、隙を見て足を引っ掛けた。
動けないように倒れたサルファポッドの足を思い切り踏み、空から落ちてきた小太刀を手に取り、首を切断しようとした。
「ふっ」
「っ!?があああ!!!」
……がサルファポッドがテイムした巨人型エネミーの存在を忘れていたせいで、エネミーの重い一撃をまともに食らってしまった。
アンクルは衝撃で吹っ飛び、エネミーはアンクルを両手で掴み握りつぶそうとした。
「ああああああ!!!!!」
「いいぞ!もっとやれ!」
エネミーはアンクルを片手で握り、地面に叩き落とした。
アンクルはボロボロになり、まともに動くことができなかった。
「がはっ……」
「おいおい、もうお終いか?あれだけ大口を叩いてこの程度か?調子に乗るんじゃねえ!!」
サルファポッドはブチギレて倒れたアンクルの腹を思い切り蹴った。
アンクルは徐々にHPを削られていき、残り2割になった。
「さっさと死にやがれ!!」
「があああ!!!」
(私は………負けるの?こいつに負けて、みんなとの約束を守るの?そんなの……そんなの………絶対に嫌だ!!私は……私は……こいつを倒して、4人を追いかけて!ルークさんを連れて帰って!!そして……みんなに頼られる………奨真さんに頼られるような存在になりたい!!!)
アンクルは力を振り絞り、サルファポッドの攻撃に対抗しようとした。
だが、サルファポッドはエネミーを使い、アンクルの左腕を踏み潰した。
普通なら痛みでおかしくなるはずだが、アンクルは耐えぬいて、立ち上がった。
「こいつのどこにこんな力が!?」
「私は……負けない!!」
「この死に損ないが!!」
(今の私じゃ攻撃を全て避けることは不可能。なら、こいつらの動きさえ止まれば!)
「タイムストップ!!!!」
アンクルは今、新たに心意技を覚えて、ブラックバイスの次に時間を操る力を発揮した。
エネミーの攻撃はアンクルの体ギリギリで止まり、サルファポッドはエネミーの隣で停止していた。
「はあ……はあ……はあ………と、止まった?」
アンクルは自分が時間を止めたことを信じられなかった。
でもこれでアンクルは有利になった。
「このまま攻撃すればどうなるのかな?」
左腕を抑えて、サルファポッドに近づいた。
少し突いてみたが、やはり動かなかった。
「斬れるのかな?せや!」
ガキンッ!
右手に持った小太刀でサルファポッドの左腕を斬ると、見事切断することができた。
「これなら身動きを取れなくすることもできる!いつ時間が動き始めるかわからないし、早くしないと!」
アンクルはサルファポッドが身動きを取れないように、両腕と両足を斬り落とした。
そして巨人型エネミーの両足を切断して、動けなくした。
「これで大丈夫かな?」
アンクルは傷ついた体を少しでも休ませるため、時間が動き始めるまで地面に座った。
座ってから数秒で時間が動き始めて、サルファポッドは時間が止まってる間に受けた衝撃を一気に受け、後ろに吹っ飛び、エネミーはポリゴン状となり砕けた。
「っ!?がはっ!!」
「っ!?」
「ど、どういうことだ……いったい何が!?お前何をした!!」
「それを答えるわけにはいかないわ」
「くそ!両腕と両足を斬り落とされたせいで身動きが!!」
「答えなさい!あんたは何で私たちの邪魔をするの?」
「お前と同じことを言ってやる。答えるわけにはいかない」
「そう……ならもう用はないわ。楽にしてあげる」
アンクルはサルファポッドの首に小太刀を近づけ、そのまま首を刎ねた。
「っ!?ぐぅ!」
アンクルはサルファポッドとの戦闘でかなり傷ついていた。
本当はもうまともに動ける状態ではないのに、無理矢理体を動かしたせいで、もう限界だった。
「とにかく……ここを離れないと……1時間後にはあいつが……復活する。その前に遠くに………いかないと……」
アンクルは左腕を抑えて、重い足を引きずりながらその場所から離れた。
レミside
どれくらい遠くに来たかな?
あれからずっと歩き続けたような……。
「はあ………はあ………」
もう……意識が……遠のいていく……。
ごめんね……みんな……。
私は建物の陰に隠れて、背中を壁に預けた。
私………ここで……リタイアみたい………。
あ……あれは……奨真さん?
あはは………幻でもあの人が出てきちゃうんだ………。
奨真さん……私……加速研究会の1人を倒しましたよ………。
……あ……奨真さんが笑ってる……褒めてくれるんですか……。
あれ……なんでこんなに嬉しいんだろう………。
いつもは………会っては喧嘩するような仲なのに……。
………ああ……そっか………いつも私が奨真にちょっかいかけてたのは…………あの人にいつまでもみて欲しかったからなんだ……。
だから……あの人の恋人の先生に抱きついて嫉妬させたり、余計なことを言って困らせたりしたんだ………。
今思えば………私ってあの人に迷惑をかけっぱなしだなぁ………
ルークさんを連れ戻したら………あの人に………
………………………告白しよう
レミside out
立花伶弥『タンタルアンクル』
リタイア