ハルユキside
「これで決着をつけよう！」
「ああ！」
「………」
この前は中途半端に終わってしまったけど、今回は無制限フィールドだ。
制限時間もないし即離脱もできない。
せっかく師匠から翼を借りたんだ。
負けるわけにはいかない！！
「「「アンリミテッドバースト！」」」
無制限フィールドにきて、僕らは能見が来るのを待っていた。
そして能見は翼を広げて降りてきた。
「さてと、逃げずにきましたか。じゃあ……」
能見はアイテムストレージからあるアイテムを取り出し、僕に投げた。
「これに自分のポイントを全部入れてください。決着がつけばその中に入ったポイントは勝者のものです」
「……わかった」
僕は自分が持ってるポイントを全てアイテムの中に入れた。
タクも自分のポイントを全部入れた。
「それじゃあ始めましょうか！！」
「っ！？」
僕は戦闘態勢に入ったが何処からか突然黒い板が僕を挟もうとした。
「ぐぅ！！なんだこれ！！」
「バイス！足止めを頼んだぞ」
っ！？タク一人じゃ危険だ！！
僕はタクに逃げるように言おうとしたが声が出なかった。
「無駄だよ。その中では声を発することはできない。しばらくそこでじっとしててね」
「ハル、大丈夫。僕も修行して強くなったんだ。簡単にはやられないさ」
タクはそう言って、自分の強化外装の先端を握った。
強化外装は光り、タクが剣を抜刀するような動作をすると強化外装の形が刀に変わった。
「シアンブレード！！」
「リアルの剣道で負けて、こっちの世界で勝つつもりですか！笑わせるな！！」
能見も負けじと心意で禍々しい剣を作り、タクと戦った。
剣が激しくぶつかり合い、お互いの体力が少なくなってきた時、能見はチユのところに行き、腕を掴んだ。
「能見！！チーちゃんに触るな！！それにチーちゃんはこの戦いに関係ないはずだ！！」
「確かにここで倉嶋先輩を殺してもサドンデスにはならない。けどこうやることはできるんですよ！！」
能見は左手の触手をチユの腕に絡めて引き千切った。
嫌な音が鳴り、チユは腕を抑えて悲鳴をあげた。
「ああああああ！！！！」
「やめろ！！頼む……やめてくれ…」
タクはシアンブレードを手から離し、地面に落として膝をついてしまった。
能見はそれを見て、タクをいたぶり始めた。
シアンブレードを握れないように両腕を切断して、ジワジワとHPを削っていった。
（やめろ！！やめろおお！！！！）
僕は体が崩壊してもおかしくないぐらい力を出し、黒い板から脱出した。
そのせいで僕は力を出し切ってしまい、地面に手をついてしまった。
黒い板を操っていたデュエルアバターも驚いてるみたいだった。
「バイス。君が手を抜くなんてらしくないじゃないか」
「私は常に全力だよ。逆に彼が凄いんだよ。褒めるなら彼を褒めるべきだね」
「まあいい。バイスの拘束から抜け出したのは素直に褒めてあげましょう。でもそこからでは何もできない！！おとなしく友達が消えるのを見てるがいい！！」
「っ！？や、やめろおおお！！！」
僕は立ち上がって能見のところに駆け寄ろうとした時、突然黒い光が能見の近くに落ちた。
能見は慌てて避けて、タクから離れると黒い光がやってきた方向を見た。
僕もつられて見ると、そこにはあの人がいた。
「先………輩……」
ペガサスのようなエネミーに乗った先輩がこちらを見ていたのだ。
先輩はエネミーから降りると、手綱を回収してエネミーを逃していた。
「遅れてすまない！」
「先輩！！」
「マスター！！」
「あいつは私が足止めしておく！君たちは君たちの敵を討つんだ！！」
「「はい！」」
タクは立ち上がろうとしたがそれを僕が止めた。
「ハル？」
「タク、あいつは俺にやらせてくれ」
「……わかった」
僕はゲイルスラスターを装着させようとした時、突然声が聞こえてきた。
「悪いけど、君はもう終わりだ」
何もないところからいきなり灰色のデュエルアバターが出てきた。
いや、出てきたというかまるではじめからそこにいたかのように現れた。
「
「この距離で避けるのは不可能だ。マインドコントロール！」
灰色のデュエルアバターの目を見ると、視界が歪んで見えるようになっていた。
そのまま僕の意識は消えるかと思ったが、また新たな助っ人が現れた。
「やっと見つけたぜ！！」
突然現れた新たな助っ人の攻撃を灰色のデュエルアバターは避け、僕は技から解放された。
意識は元に戻り、視界も良くなってきてから彼を見ると両手に剣を構えた奨真さんがいた。