俺が楓子にプロポーズ(仮)をして数日が経った。
俺は無制限フィールドの自分で購入した店で俺のアビリティを使って強化外装を作っていた。
俺の『作成』のアビリティはエネミーなどからドロップしたアイテムを強化外装に作り変えることができるから店には作った強化外装が沢山飾られていた。
カランカランッ
お、今日も客が来たみたいだな。
「一旦中断するか」
俺は強化外装を作るのを途中で辞め、鍛治スペースから出て店に入った。
「いらっしゃい!」
「おお!!本当に無限の剣製がいるんだ!!」
「何か探し物か?」
「ええと……銃型の強化外装が欲しいな」
「具体的にはどんなやつだ?」
「連射ができて軽いものがいいな」
連射ができて軽いものか……。
ええと………どこだったかなー。
俺は店の倉庫に入り、客の欲しい強化外装を探していた。
しばらく探していると、いい感じの強化外装が見つかった。
「これはどうだ?」
「ええと……軽いな。試し撃ちってできるのか?」
「そこの梯子を下っていけば訓練場がある」
客は地下の訓練場に行って銃の試し撃ちに向かった。
俺も一緒について行き、様子を見た。
ダダダダダッ!!
お!上手く使えてるな!
「いやー使いやすいなこれ!なんて名前なんだこれ!」
「それは『シューターXYZミニ』だ。XYZシリーズの一つだ」
「XYZシリーズ?」
「XYZシリーズは俺が作った初心者でも扱いやすいもののシリーズだ。今回あんたが使ったのは軽くて連射もしやすくて2丁拳銃もできる。XYZシリーズは種類も豊富で結構人気があるんだ」
「へえー!そんなものがあるんだ!」
「それでそれは買うか?」
「もちろん買うぜ!」
客の試し撃ちも終わり、一階へ戻って会計をした。
「何個欲しい?」
「二つくれ!」
俺は客から50BPを貰って強化外装を渡した。
強化外装を渡すと客は上機嫌で帰って行った。
「そろそろ素材集めでもするかな……」
俺は店を出て鍵を閉め、素材集めのためにエネミーを探した。
しばらく歩くと遠くから騒がしい声が聞こえてきた。
俺は気になり、声のする方へ向かうと二人のバーストリンカーがもめていた。
「あんた何様なのよ!!」
「あなたはもう用済みだからそう言ったんですよ。充分にポイントも稼げたし新しいパートナー候補も見つけたしね」
「僕には君が必要だって言ったのは嘘だったのね!!」
「嘘ではないさ。あの時の僕は君が必要だっただけで今はもう必要ないのさ。さて、このままだと必ず僕に復讐してくるだろうし今ここで始末しようかな」
「どういうこと……」
「ほら、あそこにエネミーが沢山集まってるでしょう」
「っ!?まさか!?」
「そのまさかだよ!!」
「きゃああああ!!!」
っ!?あのバーストリンカー、自分の腕の触手を使ってあの子をエネミーの大群に投げたのか!!
早くあの子を助けないと無限EKになってしまう!!
俺は急いでエネミーの大群に駆け寄り、あの子を助けに行った。
「嫌ー!!誰か……誰か助けて!!!」
「デュアルクラス!!ガンブレード!!」
俺はあの子の周りにいたエネミーを範囲攻撃で吹っ飛ばした。
吹っ飛ばしただけだから全然倒せていない。
「え……」
「お前を助けにきた。いいか、俺のそばから離れるな」
「は、はい!」
俺は剣を構え、襲いかかってくるエネミーを一体一体確実に倒していった。
だがエネミーの数が多すぎて体力はかなり消費してしまう。
「この子の前では使いたくないが……もう使うしかない!!」
俺は剣をストレージにしまい、手を前に出し、集中した。
「イメージしろ。武器の性能を……形を………」
俺はあの子を楓子の元に連れていき、この力のことを教えるのを覚悟して心意技を使った。
「
俺は何もないところから剣を作り出し、それを実体化させた。
エクスカリバーを両手に取り、力を剣に注ぎ、地面に思い切り叩きつけた。
「はあああああ!!!!!」
力が注ぎ込まれた剣を叩きつけたことにより、地面は爆発して周りのエネミーは爆風に巻き込まれ、全滅した。
あの子には離れるなと言ったから無事だろう。
「はあ………はあ………はあ………大丈夫か?」
「ほえぇ………ハッ!だ、大丈夫です!!あ、ありがとうございます!!」
「それはよかった………それよりも酷いやつだなあいつ。自分の前のパートナーにこんなことするなんて」
「あいつ……絶対に許さない!!」
「ま、今後は関わらなければいい」
「は、はい………あの、さっきの技はいったい……」
「あーその事なんだけど……やっぱり気になる?」
「まあ……はい」
ま、聞かれることを覚悟してたから使ったんだし楓子の元に連れていって説明するか。
一緒に加速したからまだいるはずだ。
「じゃあちょっとついてきてくれ。っとその前に君の名前は?」
「タンタルアンクルです!アンクルと呼んでください!」
「俺はブラウンクリエイト。エイトでいいぞ。じゃ、早速だけど落ちないようにしっかり掴まってろよ」
「え?」
俺はアンクルを背中に背負い、ジェットレッグで楓子がいるプレイヤーホームに向かった。
「きゃああああ!!!」
「よし!ついたぞ」
「し、死ぬかと思った」
いきなりここまで飛んで連れてくるのは早すぎたか。
ここにくるだけでかなり伸びてしまっている。
「あら?エイト、早いわね」
「まあ……色々とあってな」
「その子は?」
「この子はタンタルアンクル。この子を助けた時に心意技を使って見られてしまったんだ。だからアンクルに心意技のことを教えようと思って………」
「見られたならもう教えるしかないわね。初めまして、アンクル。私はスカイレイカー、よろしくね」
「よ、よろしくお願いします!」
「早速だけど今から言うことは絶対に誰にも言わないでね。たとえそれが仲のいい友達でも……。それが約束できるなら話すわ」
「わ、わかりました!約束します!」
「あなたはエイトのある技を見たのよね。それはどんな感じだった?」
「ええと……普通の必殺技とは違って光っていました。それと物凄い破壊力でした!」
「『光っていた』。確かに普通の必殺技は光らないわね。でもある技では光るの。それを心意システムと言うの」
「心意システム……?」
「心意システムとは加速世界で設定されている事象を自分の感情や心の力、イメージ等で制御し
「事象の上書き……」
「これを聞くだけだと凄く協力な力のように聞こえるけど、この心意システムにも欠点があるの。それは心意を乱用すると自らの心の闇に飲まれるという事。だからこれは決して広めてはならないものなの」
「アンクルは災禍の鎧のことは知ってるか?」
「もちろん知っています」
「災禍の鎧も自分の負の心意に飲まれた結果、ああなってしまったんだ。心意は災禍の鎧を誰でも作り出すこともできる。だからこれを公開していないんだ」
「そうなんですか……」
あとはアンクルに心意システムを教えるかどうかだな。
「あの!お願いがあります!私にもその心意システムを伝授してください!!決して悪用なんかしません!!」
「………わかりました。なら私が伝授しましょう。でも……私の訓練はとても厳しいですよ。覚悟は出来ますか?」
「ちょっと待てレイカー!心意システムを教えるなら俺が教えるよ!」
「もちろんエイトにも手伝って貰いますよ。でも私が伝授します」
「………わかった」
「覚悟は出来てます!!」
表情は見えないがこの子の目はやる気で満ち溢れているに違いない。
「では早速訓練を始めます!まずは心意システムの簡単な扱い方です。それはイメージをすることです!
「それだけですか?」
「ええ!それでは頑張って♪」
「ってちょっと待ってえええ!!!」
楓子はアンクルを下に突き落としていった。
そういえばアッシュの時もこうだったような……。
本当に鬼だな。
「大丈夫かな?」
「きっと大丈夫よ!奨真君、強化外装を全部渡してちょうだい」
「え?何で?」
「すぐにわかるわ」
俺は楓子の言う通りに強化外装を全部楓子に渡した。
「で、どうするんだ?」
「ふふっ……えい」
「え?」
「奨真君も頑張ってね♪」
俺は楓子に押されて下に突き落とされた。
きっとこれは俺も一緒に登ってこいっていうことだろう。
でも……。
「何でさああああああ!!!!」
こうして俺とアンクルは楓子の地獄の訓練を開始した。
何で俺まで訓練に参加しなきゃならないんだ。
そんなことを考えてながら落ちていると何か降ってきた。
これは石?の周りに紙が貼ってるな。
ええとなになに?
『アンクル一人だと心配だから一緒にいてあげてね♪』
……そういうことか。
「なら何で強化外装を俺から回収したんだよおおおお!!!!」
タンタル・アンクルはアプリ『アクセルワールド・エンドオブバースト』に登場するオリジナルキャラです!