フラっぴーです!
なんとか間に合いました。平成最後の投稿です!!
煉獄ステージへと足を踏み入れた奨真たち。その目の前には病院のような大きな建物が建っていた。入口のような大きな穴から中に入ると突然影のようなものから誰かが現れた。
身構える奨真たち。その現れた誰かの正体は加速研究会の一人『ブラックバイス』だった。
アルトリア「あなたは……」
奨真「ブラックバイス!!」
バイス「おやおやこれはこれは。みなさんお揃い……ではないですね」
フィリア「この人もバーストリンカー……だよね?」
エギル「だと思うが、変な形のアバターだな」
バイスのアバターは普通の人型とは違う。板のようなものが集まって人型を保ったアバターなのだ。だからなのか自分の体を分離させても自由に動くことができる。
オルタ「あんたがオーブを持ってるのかしら?んなわけないわね。だってあんた王じゃないし」
バイス「酷いなぁ。確かに僕は王じゃないけど、もしかしたらそのオーブを持ってるかもしれないよ」
蓮「黙れ。俺はお前に構ってる暇はない。さっさと失せろ」
皆の前に出て蓮はバイスに言った。その時の蓮は普段とは雰囲気が違った。バイスに対して怒りが込められていた。
それもそうだ。蓮は白雪姫のことを誰よりも大事に思っている。その白雪姫がバイスとグレーマインドの手によって操られたのだから。
バイス「パペット君怖いよ?いつもの君ならもう少し冷静じゃないか」
蓮「話聞いてたか。黙れって言ってるんだ」
バイス「それとも僕を恨んでるのかい?君の王を利用した僕を」
蓮「黙れええええ!!!!!」
怒りが限界を超えて蓮は一人でバイスのほうに飛び出してしまった。奨真たちは止めることが出来なくて、自分たちも加勢しようとした。
だが突然天井が崩れてしまって、蓮とバイスがいるところに行けなくなってしまった。
カムイ「まずいよ!彼一人に戦わせるのは危険だ!」
クロエ「そうは言ってもどうやっていくのよ!」
奨真「どこからでもいい!とにかくこの建物周辺を探索して中に入る方法を探すんだ!」
奨真たちは二手に分かれて蓮と合流するためにあたりを探索し始めた。
場所は変わって建物内。蓮はバイスと交戦していた。
蓮「チッ!逃げ回りやがって……」
バイス「やっぱり君はまだまだ僕には勝てないね」
蓮「っ!?」
いきなり後ろが声が聞こえたと思い、急いで振り向いたが遅かった。バイスは体の一部を板にして蓮を挟む。蓮は潰れないように耐えるが抜け出すことが出来なかった。
バイス「君は支援型。僕とは相性が悪いんだよ。いくら糸が強力でも当たらなかったら意味はないしね」
そしてバイスは片腕を槍のようなものに形を変えてそのまま蓮の体を貫いた。急所だったのか蓮は力が抜けてしまい、板に潰されそうになった。その瞬間バイスは板を体に戻して、蓮は前に倒れこんだ。
蓮「あ……がぁ……バ、バイス……」
バイス「無駄なことを。これに懲りたらもう僕に勝負を挑まないことだね」
バイスは蓮の頭を片手で掴んで持ち上げる。そして上に放り投げると、また自分の体の一部を使って蓮を黒い箱に閉じ込めた。それだけでは終わらなかった。最後の仕上げのようにバイスは何か呟く。
バイス「ブラックニードル」
蓮が入った箱の中から何かを貫いたような音が響いた。バイスは箱に近づこうとした時、奨真たちは合流した。
奨真「見つけたぞ!」
アルトリア「待ってください。パペットの姿が見えません!」
バイス「彼ならその中にいるよ。なんなら君達に見せてあげよう」
バイスは箱の一部を体に戻して中の様子を奨真たちに見せた。箱の中には無数の針に貫かれて無残な姿になった蓮がいたのだ。
ユウキ「ひ、酷い……」
リーファ「こんな酷いことを平気でするの?」
寿也「僕も初めて見ました……」
オルタ「あんな残酷なことを平気でするのがあいつなのよ」
奨真「お前……お前は!!」
バイス「おっと。怒りに任せてるとまた暴走するよ?」
奨真「うおおおおおおお!!!!!!!!」
奨真から怒りが溢れ出していた。その怒りからは禍々しいオーラも含まれている。そのオーラこそ災禍の鎧。奨真はまた災禍の鎧に取り込まれてしまったのだ。
誰もが手がつけられなくなると思っていた。でも今回は違った。理由はわからない。でもただの暴走ではない。今までなかった冷酷というものが今の奨真にはあった。
奨真?「…………」
バイス「こ、これはこれは。今までにないパターンだね」
奨真の周りから出ていた禍々しいオーラはやがて奨真の体の一部となった。その時に奨真のアバターの色は茶色だけじゃなく災禍の鎧と同じ色が混ざってしまった。
彼の禍々しさにバイスは後ろに退いてしまう。それを見逃さなかった奨真はバイスの背後から剣を作り出して逃げ場を無くした。
そしてあっという間に距離を詰めて、奨真は銃のようなものを投影して銃口をバイスに向けた。
奨真?「…………」
バイス「銃なんて珍しいじゃないか」
奨真はバイスに銃弾を放ち、避けきれなかったバイスは腕に直撃する。そして奨真は何か呟く。
奨真?「
聞いたことのない技を呟くとバイスの腕から無数の剣などの武器が貫いて飛び出してきた。もちろんバイスの腕は使い物にならなくなって、ポリゴン状となった。
それと同時に奨真の体から放たれていた禍々しいオーラは消えて、元のアバターの色に戻った。
奨真「…………あれ?俺はいったい……」
アッシュ「アニキ!!大丈夫ですかい!!」
アルトリア「何も覚えてないのですか?」
奨真「あ、ああ」
さっきのことを奨真は全く覚えてないようだ。奨真はバイスの状態を見ると立ち上がり、いつもの剣を投影する。前に歩き出すと、その隣にクロエも一緒に歩き出す。
奨真「どうした?」
クロエ「んー奨真さんとタッグ組んだらいったいどうなるんだろうかなーって思ってね」
奨真「さぁな。ま、お前も投影を使えるみたいだけど、遅れるなよ?」
クロエ「ふふん♪こっちのセリフよ♪」
二人は一斉に走り出してバイスとの距離を詰める。バイスは地面に潜って逃げようとしたが、奨真は巨大な剣を作って地面に叩き潰した。地面という逃げ場がなくなって落下するバイスは元の姿に戻って体勢を立て直そうとする。だが立て直す前にクロエがバイスの懐に潜り込んで斬り刻んだ。
そのまま下に落ちて地面に激突すると、奨真は追い打ちをかけるようにかかと落としを決めた。今度はバイスを蹴り上げて奨真とクロエは空中でさらに攻撃する。
奨真「はあああああ!!!!!」
クロエ「やあああああ!!!!!」
物凄いスピードでバイスを斬り刻む2人。そして最後は同時にバイスを遠くへと吹っ飛ばした。2人の攻撃はそれだけでは終わらない。2人は同時に弓を投影して矢を放った。
2人「「カラドボルグ!!」」
対するバイスは腕と足を板に変えて何層もの壁を作った。矢の貫通力は強力だが、最後まで貫通することはできなかった。
奨真「くそ……あと少しなのに」
クロエ「しぶといわね」
バイス「今のは危なかったね……」
バイスは体を元に戻して逃げるために異界ゲートを目指し始めた。奨真たちは逃さないために必死に追いかける。リーファたちが後ろから魔法で攻撃しようとしても地面に潜ってるため当たらない。
そしてバイスはゲートの前につくと地面から出てきて潜ろうとした。その時だった。突然黄色い花のようなものがバイスを襲ったのだ。
???「全く……。騒がしいと思ってきてみれば」
アルトリア「貴女は……?」
???「それは後です」
奨真たちの前に現れたのは猫耳をつけて黄金の鎧を纏い、黄金の剣を片手に持った女の人だった。バイスの元へゆっくり歩いて、倒れたバイスの前に立つ。
???「あんな嘘に引っかかるなんて……。私もまだまだですね。ここにユージオがいるわけないのに……。まあいいです。あなたには聞きたいことがあります。なぜユージオのことを知ってるのです」
バイス「僕はなんでも知ってるからね。ユージオという人がどんな人なのか、君がどれほどユージオのことを思ってるのかとか」
???「意地でも答える気はないようですね。ならここで消えなさい」
女はバイスの首を掴むと、上に放り投げた。そして剣を掲げて叫ぶ。
???「巡れ花たち!!!」
剣の刃の部分が大量の花に変わってバイスを襲う。残り僅かだったバイスのHPは少しずつ削られて0になった。バイスはポリゴン状になって消えていく。
???「しかし、なぜあいつはユージオのことを?彼のことをよく知ってるのは私とキリトの2人だけなのだが」
オルタ「それで?あんたは誰なのよ」
???「申し遅れました。私はアリス。アリス・シンセシス・サーティです」
寿也「シンセシ……?」
アリス「アリスで構いませんよ」
リーファ「アリスさん!?アリスさんもALOに残ってたんですね!!」
アリス「ええ。この世界がおかしくなってるのを見て放っては置けません。ところであなたたちは?」
アリスは奨真たちに自己紹介を求める。奨真たちは軽く自己紹介を済ませて、バイスにやられた蓮を診ているユウキの元へ向かう。
アリス「これは酷い。HPは残ってますが、このままにしていれば現実世界に支障が出るかもしれません。すぐに治療します」
アリスは魔法のスペルを言って蓮を回復させる。HPと傷は治るが、蓮は目を覚まさない。
そこでアルトリアは何かに気づく。
アルトリア「おかしいです。もし現実世界に支障が出るなら強制ログアウトさせられるはずです」
タクム「確かにそうです」
カムイ「もしかして、侵食の影響で強制ログアウトが機能しないんじゃないか?」
エギル「ありえなくはないな」
アリス「とにかく、早く街へ戻りましょう」
ゲートをくぐり、砂漠エリアに戻ってきた。それから少し歩くと、スメラギが何かに気づいて上を見る。他のみんなもつられて上を見ると、椅子に座った真っ白なアバターが宙に浮いていた。
タクム「あれって……!?」
奨真「最悪だ……」
オルタ「ったくタイミング悪いわね!!」
フィリア「あの白いアバターって白雪ちゃん!?」
スメラギ「ホワイトコスモスか」
ユウキ「でも雰囲気が違うような……」
アッシュ「ネーサーン!!」
奨真「馬鹿!止まれアッシュ!!」
バイクでコスモスのところへ向かうアッシュ。奨真は止まるように言うが聞こえてないのかそのまま進んでいく。コスモスは光の玉を操り、アッシュに攻撃しようとする。光の玉がアッシュに当たる瞬間、一時的に目を覚ました蓮が糸でアッシュを後方へ投げた。
蓮「全く……。世話が……やける」
エギル「おい大丈夫か?」
エギルは背負ってる蓮に声をかける。まだ危ない状態だが蓮は口を動かす。
蓮「あれは……お嬢じゃない……。操られてるのか……何かが違うんだ……」
奨真「どういうことだ?」
蓮「俺の……予想だが……記憶操作の……可能性……だ」
それを言うと蓮はまた意識を失った。コスモスは降りてきて少しずつ近づいてくる。
コスモス「さあ。私のパペットを返して」
オルタ「はぁ?」
タクム「何言ってるんですか!」
コスモス「ああパペット……。こんなにボロボロになって……かわいそうに……」
これがホワイトコスモスなのかと疑いたくなるくらい人格が違っていた。それに何故か蓮を独占しようとする気持ちが恐ろしいほど伝わってくる。
奨真たちのことを気にもせず、蓮のところに行こうとすると、アリスが剣を向けて止めさせる。
アリス「止まりなさい。あなたに彼は渡しません」
コスモス「何?邪魔しないでくれる?私のパペットを返して。返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して!!!!!!!!!!!!」
アリス「っ!?」
突然狂ったようになるコスモス。そのコスモスからは禍々しいオーラが溢れ出ていた。
オルタ「何よこれ!?あいついつの間にヤンデレみたいなのになったのよ!!!」
アルトリア「蓮が言ってた記憶操作なんじゃないですか!!人の記憶の操作は無理でも、ダミーアバターならできないこともないですし!!」
コスモス「邪魔するならあなたたち全員消してあげる!!!!私の僕たち!!あいつらを消すのです!!!」
コスモスは必殺技で今まで倒してきたダミーの王たちを蘇らせた。そこには楓子やキリトたちが倒したナイトとグランデも含まれている。
ユウキ「嘘でしょ?」
タクム「王たちを相手にするなんて……」
カムイ「この人数じゃ勝てるかどうか……」
アリス「何を怖気付いているのです!!目の前に敵がいるなら戦うだけです!!」
アリスはナイトに剣を振りかざす。ナイトは大剣で軽く受け止めてそのまま跳ね返す。アリスは受け身をしてナイトの攻撃を和らげた。その時にクロエは思いついたように言った。
クロエ「死んだやつを生き返らせて操ってるだけでしょ?それって元よりも弱いってことじゃん?なら一人でその王を相手にするのもできないことはないと思うけど。その間に本人を倒せばいいんじゃない?」
クロエが言ってることも正しい。意思があるなら確かに強いかもしれないが、操り人形なら元よりも弱い可能性も十分ある。それにコスモス本人を倒せば王たちを操るものも居なくなって王たちは動かなくなる。
奨真「よし。ならナイトはアリス。グランデはスメラギ。ソーンはオルタ。レディオはフィリア。レインはクロエ。残りはコスモスを倒すぞ!!」
全員「「「おお!!!」」」
バイスと戦ったばかりで疲れはまだ取れてないが、今は戦うしかない。奨真たちはそう思って走り出した。
ありがとう平成。そしてよろしく令和。
令和になっても頑張ります!
奨真「これからも!」
楓子「よろしくお願いします!」